お姉ちゃんを自称する年下の幼馴染にお世話される事になった~甘やかされ過ぎて、俺はもう弟で良いやと思えてきた~   作:138ネコ

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第31話「えっと……良いお手前で」

 勢いよく開かれた浴室のドア。

 こういう時、大抵はバスタオル姿で、バスタオルを取ると、下には水着を着ていましたのパターンだろう。

 残念だが、相手は遥である。そんな常識は通用しない。見事に全裸である。

 

「ちょっ、おまっ。なんで……」

 

「水着着てたせいで、ベタベタして気持ち悪いんだよ」

 

 気にする事なく椅子に腰かけ、プラスチック製の桶でかけ湯をすると、気にする事なく体を洗い始める。

 顔を横に向けるだけで遥の裸体が見える。しかし優斗に横に向ける勇気などない。もし目が合えば何を言われるか分からないので。

 

(もしかして、熱中症で俺は幻覚か夢を見ているのでは?)

 

 そう思い、頬をつねってみるが、ちゃんと痛みは感じ、隣からはごしごしと体を洗う音が聞こえてくる。

 残念ながら、というのは表現がおかしい気がするが、現実である。

 

 優斗は年頃の男の子である。女の子の身体に興味があるかないかでいえば、めちゃくちゃある。

 だが、ここで見ていた事がバレれば遥は何か言ってくるだろう。遥に何か言われるくらいなら優斗も耐えられる。

 

 しかし、それを彩音にチクられれば話は別だ。

 彩音だけではない、佐藤家に知られれば、年頃の娘と一緒に風呂に入ったなど、確実に問題になるだろう。

 もし遥が泣いて「アンちゃんに裸を見られた」といえば、警察沙汰にだってなりかねない。

 

 自分から勝手に入ってきておいて、流石にそれはないだろうとは優斗も理解はしている。

 だが、少しでもそんな可能性があれば、ヘタレてしまうのは仕方がない。

 まぁ、それでも興味があるのでコッソリ横目でチラチラと見ようと試みてしまうのも、思春期だろう。

 

(もう少しで、見え、見えッ……!)

 

 あと少しで見えそう。そこで桶を手に取った遥が体を洗い流す。

 そのまま立ち上がり、湯船に近づく。もはや見えそうなんてレベルではない。

 可愛らしくもツンと主張する小ぶりな胸、滑らかなくびれ。身長は低いが、それでも女性の身体をしているのが分かる。

 

 思わず見とれた優斗の中で、一瞬だけ時が止まる。

 そして、時が動き出すと、遥が視界から消えていた。

 

「イェーイ」

 

 激しい水しぶきが音と共に爆ぜる。

 浴槽へダイブしたのだ。

 

「ギャース!!」

 

「グフッ!!」

 

 浴槽はプールと比べれば浅い。そんなのは当たり前である。

 そして、そんな浴槽にダイブをすれば、浴槽の底にぶつかるのも当たり前である。

 

「いったぁ!! 足打った。アンちゃん、ちゃんと受け止めてよ!」

 

「馬鹿かお前!? 一般家庭の浴槽でダイブするバカがどこに居るんだよ!?」

 

「ヘッ、バカはアンちゃんの方だぜ。居るだろ、目の前に」

 

「そうだな。馬鹿が目の前に居るわ」

 

 ダイブのせいもあるが、小さな浴槽に2人も入れば当然お湯は溢れ出す。

 そんな溢れるお湯を見て、はしゃぐ遥。

 

「こういうの、いっぺんやってみたかったんだよね。彩音ちゃんと一緒に入る時にやったら怒られそうだし」

 

「確実に怒られるな。『めっ』って言って」

 

「あー、彩音ちゃん絶対言うよね」

 

 はしゃぎながら、まるで当たり前のように優斗の上に乗り足を伸ばす遥。

 そんなことをされて、優斗が何も感じないわけがない。

 女の子特有の肌の柔らかさとか、自分の顔の前にある遥の後頭部とか。

 

「ってか、恥ずかしくないのか?」

 

「えー、こうやってお湯がざっぱーんてのやってみたくない?」

 

「いや、まぁないとは言い切れないが……」

 

 優斗が言いたいのはそこではない。

 一緒に風呂を入って恥ずかしくないのかだ。もちろん口には出せない。それを口にすると、自分がやらしい目で見ていますといっているような気がするので。

 

「おっ、それともボクとお風呂入る事か?」

 

 ニヤニヤしながら遥が振り返る。

 別にやましい目で見ていませんとアピールするために、上を向いている優斗だが、そんな反応を示せば遥が余計に調子に乗るだけである。

 

「全く、一緒にお風呂に入るなんて今更だろぉ? それとも恥ずかしがり屋さんになっちゃったか?」

 

「むしろお前が恥じらいを持てよ」

 

「ハッ! アンちゃん相手に恥じらいを持て? そいつは無理だぜ旦那。なんせ『チンチン大車輪』とかやってた、あのアンちゃん相手に恥じらいなんて……」

 

 そこで遥の言葉が途切れる。

 一瞬、彩音が来たのかと焦り優斗が浴室のドアを見るが、そこに人影はない。

 一体どうしたんだと声をかけようと遥を見ると、遥が下を向いて固まっていた。

 

「遥、何を見ているんだ」

 

 口に出してみたものの、遥がナニを見ているのかは分かりきっている。

 

「えっと……良いお手前で」

 

「うっさいわ! ってかまじまじと見るな!」

 

「良いだろ減るもんじゃないんだから。それにアンちゃんだってボクの裸見ただろ!」

 

「みみみ、見てねぇし!」

 

「めっちゃ横目で見てたじゃん! 認めないなら彩音ちゃんに言うぞ!」

 

「はい、見てました。ごめんなさい!」  

 

「よぉし」

 

 彩音に言いつけるといわれ、一瞬肝が冷えた優斗だが、遥が納得したようでとりあえずホッとする。

 フフーンと勝ち誇ったように言う遥だが、耳まで真っ赤になっている事を優斗は気づいている。もちろん口にしないが。言ったらめんどうな事になるのは分かりきっているので。

 

「そういや、水着の上から制服着てたならベタベタだろ。一回洗濯しないと生乾きで臭いが付くぞ」

 

「そのままだと彩音ちゃんに怒られるかな」

 

「怒られるし、友達からも臭いって言われるぞ」

 

「じゃあ、上がったら洗濯する」

 

 そんな会話をしながら、しばらく湯船に入り続けた2人。

 風呂から上がり、そもそも制服ってそのまま洗濯機に突っ込んで洗って良いのか分からず、最終的に彩音を呼んで洗濯して貰ったのは言うまでもない。

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