「うー……頭痛い」
砂漠の燃えるような日差しの中 、いつまでも消えない頭痛、止まらない吐き気、ひりつく喉の痛み、とにかく最悪な気持ちで目が覚める。
二日酔いである。
なぜこんな砂漠で倒れているのだろうか。酔ってここまで来たのだろうが、いかんせん昨日の記憶がほとんどない。
そしてここはどこだろうか、と暫し考え込むも答えは変わらず分からないのまま。
そうだ、スマホで現在地見ればいいんじゃないだろうか。ここに類を見ない思いつきである。よし! *1。ポッケに手を突っ込んでスマホを取り出す。
……がスマホの画面に表示されたのは充電切れのマーク。
おや?
おやおや?
おやおやおや???
嘘だ!!
おい嘘だろまじで嘘だと言ってくれ。
ふざけるなぁ!?
充電切れで使えない? 嘘を言うな嘘を。じゃあなんだその充電切れのマークは!? それを指示している電力を別のところに回しやがれ畜生め!!
閑話休題
「すーー」
「はーーー」
とりあえず落ち着け落ち着け。まだ状況は最悪じゃない、何とかなるはずだ。まずは一旦自分の状況を整理してみよう。
充電切れのスマホ。見知らぬ砂漠の大地。遭難。二日酔い。
あれ、これ意外*2とまずいのでは?
その瞬間1つの名案が思い浮かぶ。
──そうだ、呑もう。
とりあえず酒、酒はなんでも解決してくれるはず、そうと決まれば飲んで寝よう。
寝て起きたらまた別のところでぶっ倒れているはずだ! *3
がはは、勝ったな
ズボンのポッケに入っているパック酒を手に取ろうと──
──ない!?
はあああああああ!?
まずい、まずいまずいまずい。遭難自体はまだいいが酒がないのはまずい。まずすぎる。
く、手が震えはじめてしまった、さっそく禁断症状が!
──ぐらっ
急に目の前が霞んできたかと思えば、体に力が入らなくなる。それと同時に激しい喉の乾き、目眩に気づく。
脱水症状か! 。
そういえば砂漠ど真ん中で寝てたんだった、二日酔いになってたせいで気づくのが遅れた。やばい、俺はキヴォトス人程頑丈にできてないぞ。
そうこう考えているうちにますます体に力が入らなくなり────
~~~
「んあー? ……ここどこ?」
目が覚めてまず目に着いたのは見知らぬ天井。次に視線を少し下げ自分の体を確認すると毛布がかかっており、ベットに寝かされている。
どうやら誰かが助けてくれたらしい。
とりあえず体を起こそうとするが、なにかに抱きしめられているみたいに体が動かない。
なんだ? ……と思い、違和感のある方に目を向けると
「ん……起きたんだ」
そこには、セミロングの銀髪から犬のような耳を生やし、左右の瞳孔が黒と白のオッドアイと言うかなり特徴的な容姿を持つ美少女。
────砂狼シロコがいた
「んー? ……シロコが助けてくれたのー?んーそれはありがとうだけど、なんで抱き着いてるのかな?」
「ん。このまま添い寝するため」
「ん?、色々言いたいことはあるけどりあえず添い寝はやめようか、そういうのは付き合ってる人にだけにね」
「じゃあ問題ない」
何故かドヤ顔でシロコは右手でグッとサインを作る。
「ん? どこが??」
「ん……私と彼方は付き合ってる」
「付き合ってないんだけど?」
「……なら、付き合うべき」
意味不明なことを言いながらシロコは抱きしめる力を強める。
「ちょいちょい、痛くなって来たから一回離れようか」
「しょうがない……」
そう言いながら力を弱めるシロコ。だが一向に離れようとはしない。
「離れてくれないかなー」
「それは無理」
「ぬぬぬ────」
シロコから逃げるために暴れてみたがビクともしない。
「ん……じっとしてて」
畜生、キヴォトス人に力で敵うわけがなかった。この抱きつきからどうやって脱出するべきか。仕方ない、あまりやりたいてではないがこれしかない。
「一旦落ち着こう、後で何でもするから、1回離れようか」
「なん……でも……」
「そう、なんでも」
「ん……わかった」
そうしてシロコはだんだんと力を抜き、そのまま離した。
──今だ!
そのまま俺は窓ガラスを突破って家から脱出する。*4去り際にシロコの顔を見たが、しゅんとした雰囲気になったかと思えばすぐに獲物を捕まえる前の肉食獣のような目でこちらを見つめてきた。
「ヒェッ」
一瞬で血の気が引く、まずい捕まったら何されるか分からない。頭の中に浮かぶのは恐怖の2文字、俺はその言葉に後押しされるように全速力で走るのだった。
~~~
──夜
昼間の燃えるような暑さはなりを潜めて肌寒くなったころ。あの後シロコを撒いた俺はまた砂漠の地──アビドスに訪れていた
いつも通りお酒を呑みお腹が空いた俺はシロコのことなど忘れ、アビドスにある美味しいラーメンを目当てに再びアビドスに戻って来た。
「あははっ! しばせきラーメン、とーちゃく!!」
目の前に広がる屋台のラーメン屋──柴関ラーメンに近づいただけで、ラーメンの豊潤な匂いが鼻腔を刺激してきて思わずお腹がなってしまう。
眼前に広がる柴関ラーメンに我慢できなり、駆け足気味で暖簾をくぐる。
「たいしょー! きたよ〜!」
「おお坊主か、これまた随分飲んでんな」
「あははっ、ぜんっぜんのんでないよ〜。それよりきょうもしばせきらーめん、ひとつおねがーい!!」
「あいよ」
ここのラーメンは安くて美味い! おまけに柴大将の人柄も良くて素晴らしい場所だ。だからか気づいたら何時ももここに来てしまう、そしていつの間にか俺はここの常連の内の1人になっており顔と名前を覚えられるようになったのである。
「柴関ラーメンいっちょうお待ち」
これから来るであろうラーメンに想いを馳せながら待っていると時間はあっという間に過ぎ、ついにお目当てのラーメンが来た。
「あははっ、これだよこれー」
まずレンゲでスープをすくい息をふきかけ少し冷ます、口に入れても火傷しない温度になったらズズズと啜る。
味わい深い醤油ベースのスープ、その中に様々な香りが広がるのだがそれらは一切互いを邪魔せず、逆に互いの魅力を引き出し、香りの相乗効果を生み出している。
次に麺をスープと一緒に啜る、これまた素晴らしい。先程の豊潤なスープの香りが麺に絡まりとても美味しい。
次にチャーシュー、噛んだと同時に肉の厚みを感じる、だが驚く程柔らかく、すぐに噛み切れる。チャーシュー自体の味も美味しくこれでだけで大変満足できる一品である。
そんなボリューミーな柴関ラーメンだが、何故か飽きが来ず油っこさも感じさせないため、直ぐに食べきれてしまう。
そんな来んなでちょっとお高めな酒をちょびちょび呑みながら食べていると、あっという間至福の時間は終わってしまった。
「ごちそーさまでしたー!! たいしょーおかいけーい」
「あいよ、柴関ラーメンひとつで180円だな」
「あはっ、たいしょうかいけいまちがってるよ〜」
「まさか、いい食いっぷり見せてくれたサービスさ」
「いいの〜? ならえんりょなく。ありがとね〜、おいしかったよ〜! バイバ〜イ!」
~~~
「おなかいっぱいだー。あははっ! つぎはどこいこうかなー。あははは「私の家なんてどう?」はは、は」
声のした方へ顔を向けるとそこには銀髪を夜風だ靡かせている砂狼シロコがいた。その事に冷や汗をかく。
「どうしたの〜シロコちゃん。そんな目を輝かせて〜。あははー」
「ん……彼方さっきなんでもするって言ったよね」
「んえ?」
「私の家で彼方の〇〇〇を〇〇〇して彼方を〇〇〇〇にするね」
その言葉を聴いた瞬間俺は回れ右をして逃げ──
「ん……捕まえた」
──れなかった
まずいまずいまずい、いくらアルコールが万能の力だとしても、全能ではないのだ。この状況では何も出来ない*5。しかも何故か脳みそもまわらん、何故だ!? *6
くっ、ならばさっきと同じてで
「し、シロコちゃん」
「ん……何?」
「なんでもするからてをはな「なら家へいこう」し、て」
ダメだった。何故だ!? さっきはいけたのに! ちくしょう、まだ何かてはあるはずだ!
「じゃあ……連れていくね」
まってシロコさん引っ張らないで、えっ、ここまだ外でしょ、え、待ちきれない? 、一旦落ち着こう、まだ引き返せるからっ!
えっ、あっ。ちょっ。
「俺のそばに近寄るなああーッ!」
スマホの充電切れって必要な時に充電切れの表示してる分を他のに回して欲しい時ってあるよね。僕はある!
あと柴関ラーメンはほとんど想像なのでそこんとこよろしくお願いします。
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