そうだ、キヴォトス曇らせよう(唐突)   作:音弧

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間の期間だとか
質だとか
厨二過ぎとか
気にしてはいけない
ごめんなさい

え?サッちゃんとアズサ?
ごめんやん口が戦闘の気分だったやん


戦闘ログ:第三の預言者

 

報告:記録の再生を開始。

 


 

「あぁ、ユメ先輩……んなとこに居たんですね。早く帰りますよ」

 

「………ク…………に………」

 

「はいはい、分かってますよ……と、言いたいところですが。」

 

 

 

()()が逃がしてくれそうに無いもんでして」

 

 

 

それは自らを「音にならない聖なる十の言葉」と呼称する者。

 

それは古の技術者によって形作られた「対・絶対者自律型分析システム」。

 

それは「違いを痛感する静観の理解者」の名を持つ()()()()()

 

 

 

第三の預言者(ビナー)

 

 

 

 

 

 

人ならざる()と人ならざる()が今、邂逅する。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

(──────やべぇ!!)

 

シシラは焦っていた。

 

一に、ユメ先輩の避難が完了していない。本来ならば自分の戦う様を見せつけたいところだったがそれどころではない。

 

彼女は現在生死の境目を彷徨っている。既に脳機能にも異常が出ているだろう。

 

シシラは想定外の犠牲を良しとしない。何故ならば全ては自分の掌の上で行われる事象であるべきという考えの元行動しているからだ。

 

この状況下では下手に戦場を離れることは出来ない。かと言ってそのまま戦うのも余波で彼女が死んでしまうだろう。

 

で、あれば……自身の相棒と言っても過言では無い一人の大人へと連絡を送る。

 

(非常に惜しいが……アビドスからは今日で離れることにしよう)

 

貴様の都合など知ったことか、と言うようにビナーが動き出す。

 

大道の劫火

 

その(おお)いなる体躯の側面からミサイルが放たれる。

 

「間に……合った!」

 

ゲマトリアの技術によって作られた電磁バリア。それをユメの周囲に発生させる。

 

その場凌ぎにしかならないだろうが勿論無いよりマシだ。

 

「やってやるよクソッタレ……『ゲームスタート』」

 

身体が消し飛び、シシラは死亡した。

 

 

 

「───コンテニュー」

 

死亡した、はずだった。

 

預言者は確かにその身体が弾け飛び目の前の邪魔者が死亡したところをメインカメラで確認した。

 

しかし現にその存在は自らの足で地に立ち、傷一つなく平然と佇んでいる。

 

警戒度が上がる。

 

「一回一回裸になってもカッコつかねぇからな。ゲマトリアの技術で身体とリンクして……まぁとにかく、今の俺に何一つ変化はねぇわけだ」

 

「──────かかって来いよ鉄クズ」

 

 

 


 

 

 

手応えはある。実際に死亡するところも確認している。

 

しかし、次の瞬間には全てが元通りなのだ。

 

理解不能(エラー)

 

更にこの存在は、()()()()()()()()()()()()

 

理解不能。不快、不可解。

 

故に、潰す。

 

 

 


 

 

 

 

(1、2、3……20。駆動部稼働後1~2秒後発射及び着弾。回避は、出来そうにないが……まぁする意味もないか。上手く肉片を飛ばせれば急接近できそうだが……難しいか。おっと、顎を開き喉奥が光ったなら……よし、い)

 

 

(──────247。範囲が広すぎて全身が消し飛ぶな。しかし燃えカスが残る、その場で復帰可能だ。大道の劫火(ミサイル)ほど対処は難しくない。あれ下手したらキロ単位で弾き飛ばさ)

 

 

(──────れるからな。248。気をつけるべきは大道の劫火(ミサイル)と……シンプルなフィジカルを用いた攻撃、浄化の嵐(砂嵐)だな。復帰がキツそうだ。アツィルトの光(レーザー)はその場で復)

 

 

(──────帰可能だから気にしなくていい。249。さて、情報はこんなもんでいいだろう。次で一気に攻めよう。機械ってのは精密機械だから……内側からぶっ壊しゃあ良いんだろ。こい)

 

 

(──────つの場合どうかは分からんがやる価値はある。250)

 

 

「さぁて……『クエストスタート』」

 

黒い幽霊が顕現する。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

()()()()()()

 

様子が変わった邪魔者を見て、アツィルトの光(レーザー)を放つ。

 

相手は得体のしれない存在で、何をしてくるかは一切不明だ。

 

まさか完全に無効であるとは思えない、限界があるはずだ。

 

肉体が()()したのを確認し、尾による薙ぎ払いを仕掛ける。

 

これがこの存在に最も効果的な攻撃だ。弾き飛ばしてしまえばダメージはなくとも衝撃は入る。上手くやれば脳震盪なども狙える。

 

───が、その尾が標的を無惨に()()()()()ことは無かった。

 

 

ギリギリギリギリ…………

 

()()()()()()()()()

 

悍ましい。不可解だ。その場所に生命は感知できない。

 

離脱しようとする、が……

 

……それより先に、尾が無惨に引き裂かれることとなった。

 

理解不能(エラー)理解不能(エラー)理解不能(エラー)理解不能(エラー)理解不能(エラー)!!!!!

 

この存在は、今ここでなんとしてでも抹殺しなければならない!!!

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

シシラは二五〇回に及ぶ死亡を経て、第三の預言者(ビナー)()()()()()()

 

(持続10~12秒、風圧発生。身を(よじ)る予備動作発生後さらに身を乗り出せば突進、そうでなければ薙ぎ払い……正直一番喰らいたくないが一番見切りやすい)

 

彼はどこまでも『ゲーム脳』なのだ。

 

彼にとってプログラムを組んで行動する存在は全て自身の力を試すための的でしかないのだ。

 

例えそれが常に最適化を重ねプログラムが変化しているとしても。

 

彼が理解した行動は、二度と彼には効かない。一つでも癖を見せてしまえば貪るように理解を重ねる。

 

彼は攻略本で、彼は攻略者で、彼は絶対者で、それ以上にどうしようも無く()()()()()なのだ。

 

「んで、薙ぎ払い後は自身の重量に引き摺られて少しだけ体勢を崩すから……そこを突けば……」

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

数百から数千キロはあるであろう(おお)いなる体躯を、包帯のようなもので構成された矮躯で受け止めている。

 

尋常ならざる力だ。

 

これは他の個体の黒い幽霊だとしても有り得ることは無いだろう。

 

シシラ本人も詳しくは理解していない。ただただそういう存在なのだ。

 

黒い幽霊は掴んだ尾を捩じ切り引き裂き、喰い千切った。

 

踊るように躱し、身軽に跳ねるシシラとは相容れない非常に荒々しい獣のような戦い方。

 

『gmde'ja〒+×jokqvi¥j※☞≦kfp©♦✟』

 

()()は他の黒い幽霊のように言葉を解さない。故に言葉では指示は出せない。

 

そんなものは些細なことにすぎない、そう言えるだけの破壊力をソレは持っている。

 

言わば、威力も被曝地点も予測不可能な核兵器のようなものだ。

 

シシラが決めることができるのは起動するタイミング、及び抹消するタイミングのみだ。

 

その矛先は自分に向かうかもしれない。仲間に向かうかもしれない。

 

故にこれは一対一でしか使えない。

 

他にも制約は幾つかある。

 

まずこれはシシラも知らないことだが、この暴の化身は異常なまでのIBM密度により成り立っている。

 

本来ならば枯渇することなど無いはずのIBMが枯れてしまうほどに。

 

故に、一定回数以上の死亡を経なければ使用できない。さらに一度呼び出してしまえばその日は二度と呼べない。

 

次に、知能。暴力だけに特化したその身体は、人の言葉を喋ることはできない。幼少期から鍛えた亜人は黒い幽霊を一人の人間のように振る舞わせることも連携を取ることも可能だが、コレには夢のまた夢だ。

 

自身へ攻撃されることも当然有り得る。

 

しかし、これに関しては些細な問題だ。精々連携が取れない程度。

 

兵器に知能など必要ない。これは仲間ではなく道具だ。

 

 

 

「さっさと行くぞ、喰い

             荒らしてこい」

 

 

 

指図するな、と言わんばかりに肉体が引き裂かれる。

 

(チッ、これだからコレはなるべく使いたくないんだ……ま、しょうがないか。……おっと、今度は大道の劫火(ミサイル)か)

 

服と同じく自身の肉体により構成されているナイフをホルダーから取り出し左腕を切り落とし、思いっきりぶん投げる。

 

「さぁ、て……ッ」

 

「二五一!」

 

亜人の性質として、再生は最も大きい肉片から始まるという物がある。

 

それを利用し、腕を切り落とし投げることで遠距離まで自身の肉片を運び、自分自身は粉々に砕かれることによる、いわば『グリッチ』*1

 

「──────!!!」

 

預言者が完全に想定外の事態に動揺している隙に眼球へと何発か発砲……しかしあまり効果はない。カメラを破壊し視界を奪うのなら腕を叩き込む必要があるかもしれない。

 

「まぁいい。()()()()()()()()()()

 

……そう。これもまた、彼専用の兵器なのである。

 

身体とリンクし自己修復可能な衣類……のような防刃防弾を兼ね備えたアーマー、【CODE 001:(カイ)】。

 

骨を使った刀身の内部を「体内」とし、内部に機構を仕込むことによって不壊と化した機械仕掛けの毒ナイフ、【CODE 002:(カイ)】。

 

骨と筋肉のような気味の悪い外見を持つ、歯や骨粉などの肉体から構成される無限の銃弾を放つ銃、【CODE 003:(カイ)】。

 

他にもシシラの肉体から作られた兵器は幾つかある。が、現在所持しているのはこの三つだけだった。

 

【戒】も【灰】も携帯性に優れ、隠して仕込むことが他兵器に比べ容易なのだ。

 

(おーやっとるやっとる……とりあえず俺の目標は目玉をカチ割って内部からズタズタにすることだな。【灰】じゃ威力不足、【戒】は……毒とか効くわけないし。ただのナイフとしても切れ味が足りないな)

 

「『サブミッション:眼球の部位破壊』……にしてもこの外殻クソ硬くて【戒】も弾かれるんだが……なんでアレは易々と引き裂いてんだ?」

 

 

ギャギャギャギャ!!!バリバリバリ!!!ガガガガガッッッ!!!

 

 

「相変わらず品性の欠片もない……近付いてアイツの付けた傷から潜ろうとしても俺が殺されるだけで何も出来な」

 

「──────さそうだな。二五二かな?とりあえず、目ン玉カチ割るなら登らねぇと」

 

 

(とはいえ───)

 

(───登れるのか?()()相手に?)

 

肉片を撒き散らしながら考える。予め投げておいた左腕から肉体及び装備が再生し、ポジション取りを済ませる。

 

「であれば、アレしかないよなぁ……一旦、待ちだな」

 

 

 

猛攻に耐えかねた預言者が動き出す。

 

見えない何かを引き離すために地中に潜り込む。

 

しかし()()相手に多少の攻撃は無意味だ。

 

鬼神の如し握力で外殻に鋭い指先を抉り込ませ、しっかりとしがみついている。

 

(もうアレだけでよくね?と思わんでもないが……アイツ任せだとデータごと破壊しかねん。アイツのメモリだのなんだのは回収しなけりゃいかん)

 

もう彼の預言者の動き出すは鈍り始めている。

 

(ヤツの体力を240000程度だと仮定した場合、アレは一撃700~800ダメを与えてることになる。アレを解き放ってから……四分二十秒程度経過しているが、10秒あたり3発程度抉りこませているので……54000〜55000ダメってとこか?ざっくり1/4だな。丁度いい……)

 

「消えろ」

 

ソレを解除し消し去る。

 

解けたIBMが霧散するため、非常に視界が悪くなるが……どうせ死んでも死なない。攻撃の1、2発はコラテラルダメージだろう。

 

「………」

 

二五三。

 

二五四。

 

二五五。

 

じっと待つ。

 

二五六。七。八。

 

(まだ来ない……ッ!!!来た!!!)

 

顎が開き、銃身が露になる。

 

アツィルトの光

 

(来た来た来た!!)

 

腕を千切飛ばし、()()()()()()()()()

 

異物を感知したビナーはその腕ごと消し飛ばさんと極光を放つ。

 

が、もう手遅れだ。

 

辛うじて焼ききれなかった指先がビナーの口の中へと入り込む。

 

「……ッハハはハハははははハハハハハハハハ!!!!!!」

 

「俺とお前の戦いは!!!お前のミスで俺の勝ちだ!!!!!!」

 

 

 

内部から【灰】を叩き込み、喉奥に穴を開け飛び込む。

 

「アッハハハ!!!暴れすぎだ……っろコンチクショウ!」

 

「どうした!?そんなに辛かったかァ!?!?」

 

辿り着いたその場所は第三の預言者の体内、腹部にあたる位置。

 

「安心しろよ!!!しっかり「鍵」やらなんやらは回収してやるからよ!!!!」

 

 

 

「【起動(WAKE UP) CODE 007:(カイ)】」

 

 

 

 

それは自爆用システム。

 

万が一捕らえられたりだとか、死ねば脱出できるが死ねない状況……その為の自害手段。

 

他の兵器と同じく破壊不可能なその機構は体内に仕込まれていた。

 

起動コードは口で言う必要はない。脳裏にでも浮かべてしまえば起動される。

 

これは彼なりの勝利宣言だ。

 

 

 

 

 

世界から、音が消え去る。

 

威力としては水素爆弾どころか原子爆弾にすら届き得ないだろう。

 

されど、TNT爆薬5kt分に匹敵するであろう爆発は。

 

 

 

確かに預言者を内部から破壊した。

 

 

 

預言者の外殻は非常に硬く、並大抵の武器では傷一つ付けられない上、ナノマシンを用いた自己修復機能を有している。

 

故にこそ。

 

熱が、衝撃が、火花が、爆発が……外に漏れることはなく、内部から隅々までその体躯を破壊し尽くしたのだ。

 

 

 

 

 

「……あー、これで丁度二六〇。良いんじゃない?」

 

ごめんね、⬛︎⬛︎⬛︎さん。

また沢山死んじゃった。

 

人ならざる物と人ならざる者達の戦いを制したのは。

 

()()()()()、亜人。螺旋シシラであった。

 

*1
バグなどを悪用すること。




やはり彼は最高だ。
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