アシリパを名乗る少女に狙われている杉元に身を守る術を誰かが教える必要があると考えていたが、様々なことを教えてくれる先生と言える相手を杉元は見つけていたようだ。
黒髪の整った顔をした男性で、自身を殺せんせーと名乗る本名不明な男性ではあるそうだが、杉元に様々な技術を教えているらしい凄腕の先生な男性。
アシリパを名乗る少女から自力で逃げられるようになっていた杉元がどんな技術を学んでいるのかが気になった俺は、杉元とその先生に会いに行ってみることにした。
空き地で様々な技術を教わっていると言っていた杉元の言葉を信じ、駒王町に幾つかある空き地を巡ってみる。
3番目に見付けた空き地と言える場所で対峙する男性と杉元が柔道と格闘術のような動きをしている姿が見えたが、滑らかに動く男性に比べて杉元の動きはぎこちない。
「いいですね、貴方は柔道と素手の格闘術に才能があるようです。一応自衛の手段としてそれも教えておきますよ杉元くん」
杉元に技術を教えながら笑顔で対応している男性が、杉元の先生で間違いなさそうだ。
「殺せんせーは様々な技術を身に付けてるけど、実際は何歳なんだ?」
「ヌルフフフ、老化を緩やかにする波紋の呼吸の影響で若くみられることは多いですねえ。実際は45歳くらいになります」
「いや20代にしか見えないけど、凄いな波紋の呼吸」
殺せんせーと呼ばれる男性の実年齢よりも若々しい外見に驚いていた杉元。
聞こえていた会話と殺せんせーの若い外見には驚いたが、とりあえず俺は殺せんせーに話しかけて挨拶をしておくとしよう。
「はじめまして、こんにちは。俺は桐生一馬と言います」
「どうもこんにちは。貴方のことは杉元くんから聞いていますよ。わたしのことは殺せんせーと呼んでください」
笑顔を絶やさずに自分自身のことを殺せんせーと呼ぶように言ってきた杉元の先生。
「じゃあ殺せんせーと呼ばせてもらうが、殺せんせーは杉元にはどんなことを教えてるんだ?」
「そうですね、まず杉元くんには身体の動かし方や逃走用の手段としてのパルクールなどを覚えてもらいました。それから基本的な身体能力を向上させる全集中の呼吸と回復手段としての波紋の呼吸、両方を覚えてもらってから応用として全集中と波紋が同時に使えるようになる波の呼吸というものを覚えてもらいましたね」
「杉元は様々な技術を教わっているみたいだな」
「杉元くんには逃げることに役立つ技術を教えることから始めましたが、アシリパを名乗る少女からは逃げられるようになっても、彼女の一族を狙う者達は少なくないようですから、杉元くんには自衛の手段も必要になると判断しました」
「それは確かにそうだと俺も思う」
「柔道と素手の格闘術に才能がある杉元くんには、それらの技術を教えていきたいと思っていますよ」
「なら邪魔しちゃいけねぇな、俺は帰った方が良いか?」
「いえいえ、素手の格闘術を教える時に手伝ってもらいたいので、桐生くんもこの場に居てください」
「殺せんせーがそう言うなら残っとくぜ」
それから殺せんせーという先生による杉元への指導が続けられ、磨かれていく杉元の技術。
柔道の技と体捌きに受け身の技術を、草の生えた空き地で教わっていく杉元。
ほぼ初心者だった杉元の動きが殺せんせーによって修正されていき、熟練者と遜色のない動きをするようになった杉元も凄いが、もっと凄いのは杉元に技術と動きを教えている殺せんせーの指導力だろう。
只者ではない殺せんせーが何者であるのか気になるところではあるが、今度は素手の格闘術を杉元に教えていく殺せんせーに悪意は全くない。
拳の握り方から始めて、拳打の打ち方や様々な蹴りの出し方などを、しっかりと教えていた杉元の先生である殺せんせーは良い教師だった。
的確な指導により格闘術の基本的な動きを習得した杉元へと「では見本となる動きを桐生くんに手伝ってもらいながら行いますので、わたしの動きを見ていてくださいね杉元くん」と殺せんせーが言い出す。
「それでは構えてください桐生くん。行きますよ」
そう言って俺に殴りかかってきた殺せんせーは本気ではなかったが、そこらのチンピラとは比べ物にならないほど身体の動かし方が上手い殺せんせーは、正に達人だ。
まるでお手本のような動きで攻撃してくる殺せんせーは、杉元に動きを見せる為に動いていた。
今回は拳撃を基本としているのか、まずは的確なジャブを放ち、ストレート、フック、アッパーなどの基本のパンチだけを打ってくる。
それ以外にもジークンドーでは縦拳と呼ばれるリードストレートや、空手の正拳突き、形意拳の中段突きである崩拳なども放ってきた殺せんせーは様々な武術も習得しているようだ。
殺せんせーが繰り出すそれら全ての攻撃を、受け止め、逸らし、回避していた為、俺に攻撃が直撃することはない。
しばらく殺せんせーの相手をしていたが「今日はこの辺にしておきましょう」と攻め手を止めた殺せんせーによって、杉元に見せるお手本の戦いは終了。
「流石ですね桐生くん。貴方の素手の格闘術は我流のようですが、凄まじく高いレベルで完成されています。更に貴方には戦いに関すること全般の才能があるようですね。あらゆる武術や技術を身に付けることが貴方なら可能でしょう」
「そうなのか?」
「ええ、貴方は原石の時点で輝きを放つ特大の宝玉のような存在ですよ。教師としては、是非とも磨いてみたい存在ですね」
「杉元を教えることを優先した方が良いと思うが」
「勿論杉元くんをないがしろにするつもりはありません。素手の戦いに慣れている貴方に協力してもらえれば杉元くんの格闘術の完成度が、更に高まると考えてのことでもあります。どうか手伝ってくれませんか桐生くん」
「一応此方は学生なんでな。学業の方を優先させてもらうが、それで良ければ」
「ええ、学業を優先してください。都合が合う時だけで構いませんよ」
そんな会話があった日から、暇な時があれば殺せんせーの手伝いをしながら俺も様々な技術を学んでみることにした。
数時間もかからない内に波の呼吸を身に付けた俺に「おれは1週間かかったのに」と杉元が崩れ落ちることもあったが、殺せんせーは俺と杉元に様々な技術を惜しみ無く教えてくれる。
俺と杉元にとって殺せんせーが、良い先生であったことは確かだ。
殺せんせー
暗殺教室の世界でかつて死神と呼ばれた殺し屋だったが超生物となり、E組の生徒達によって暗殺されたE組の担任教師である殺せんせー
選んだ特典は教え子達が幸せに生きること
外見は人間だった頃の初代死神に戻っている
ハイスクールD×Dの世界では世界を巡る旅人として生活しており、前世で身に付けた技術を駆使して生きているが様々な転生者と出会い、新たな技術も習得しているようだ
ジョジョ系の転生者達から波紋の呼吸、鬼滅系の転生者達から全集中の呼吸、蒼天の拳系の転生者達から北斗孫家拳や転龍呼吸法など、他にも様々な技術を転生者達から学んでいるらしい
今も殺せんせーと名乗っているのは、かつての教え子達から名付けられた思い入れがある名前であるから