機動戦士ガンダム 0087 Stardust melody   作:k-suke

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第7話 星屑の見た夢

コロニーパーツの地球への落下という非常事態を受け、ジオン公国軍も全力で破砕作業にあたるべく、艦隊が急行していた。

 

 

その艦隊の一つ、グワジン級に搭載されたジオン軍の最新鋭MS部隊でもまた、怒号の様な指示が飛び交っていた。

 

 

「急げ!! サイド7からは既にMS隊が現着し破砕作業に入っているとのことだ」

 

「各機、万一の際に備え大気圏突入用バリュートの装備及び最終点検を怠るな!!」

 

 

 

 

「ガトー中尉、G-ホワイト A小隊はアクシズのガザ隊及びシュネーヴァイスと連携して外部よりコロニー破砕作業に当たれ!!  B隊は俺のG-100(ハンドレッド)と共にコロニー内部に侵入、廃棄MSを爆薬代わりに仕掛ける!!  各自マップは頭に叩き込み、データチェックは常に怠るな!!!」

 

「了解です大尉。 最終破壊用に例の新兵器も準備させます」

 

 

ずらっと並べられた白銀のMS G-ホワイト部隊に対し、黄金の隊長機ともいうG-100に乗り込んだ若い士官といった男が、キビキビと指示を出しており周囲もよくその指示に従っていた。

 

各自準備が進む中、その士官に対しMS内に通信が入った。

 

 

『エグザベ君、どうかよろしくお願いしますよ。もしコロニーが地球に落ちたら今の仮初の平和は終わりです。 ジオンや連邦の内乱と併せて三つ巴四つ巴の大戦争に発展しかねませんからね』

 

モニターに映った丁寧な物言いの仮面の男に対しエグザベと呼ばれた男は、はいはいという様に返した。

 

「分かっていますよ。それよりそちらの調査もお願いしますよ。この件に一体どんな裏があるのか」

 

 

『ええ、この間サイド7より手配依頼があった連邦兵が怪しいと睨んでいます。この件と無関係と切って捨てるにはタイミングが出来すぎていますからね』

 

 

「木星帰りニュータイプの勘と何よりあなたの実力、頼りにしてますよ。 シャリア、いえレーツェル=バールト中佐」

 

 

信頼していることがよくわかる笑みを浮かべつつ通信を切るとエグザベは乗機であるG-100を発進体勢に入れた。

 

 

「エグザベ=オリベ G-100出るぞ」

 

その掛け声とともに、サングラスの様なアイカメラを光らせ、黄金の光と共にG-100は白銀のG-ホワイト部隊を引き連れて今にも地球に落下しつつあるコロニーパーツへと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひーっ、大変なことになった!! でも少しでも破壊して被害を抑えないと…」

 

私はスターダストガンダムのビームサーベルで、コロニーパーツに必死に斬りかかりつつ、昨日からのことを思い出していた。

 

 

 

 

 

突然鳴ったスマホからは狂った様な勢いで、大至急来る様にとの声が響いてきた。

 

その口調から相当事態が切迫していると判断した私は、まだ授業があるにも関わらずやむなく軍警に向かったが、そこで詳細な事情を説明されてぶっ飛んだ。

 

 

「コロニーパーツが地球に落ちたら最悪の事態だ。ジオン本国からも全速力で対応に向かっているし、各コロニーにも応援要請がいっている。 だが距離からしてジオン本国以外は間に合うか怪しい上、猫の手も借りたい状況だ。全員で破砕作業に当たってくれ!!」

 

 

その言葉通り、私を含むバイトもほぼ全員呼び出されており、全てのMSにヒートホークやマシンガンを始めとした武装や、破砕用の爆薬、緊急用のバリュートやらが装備されていた。

 

そんなMS格納庫は怒号の様な指示が飛び交っており既に戦場の様だった。

 

 

 

「コロニーパーツの内部には本職の方で対応する。アルバイトはコロニーパーツの外装を破砕用の爆薬で破壊してくれ!!  ポイントはMSごとにデータを送ってあるから各自でその指示に従ってくれ!!」

 

 

 

 

 

 

サイド7からの初の遠出がまさか戦艦に乗ってのことになるとは思わなかったが、初めて目の当たりにする巨大な水の星に感慨に耽る間も無く、ビームサーベルでコロニーパーツに傷をつけつつ、外壁に爆薬を片っ端から設置していった。

 

 

絶え間なく小刻みに繰り返される爆発にコロニーパーツは少しずつ小さくなっていっていたが、まだまだ半部近くが原型を留めている。

 

このペースで大丈夫かと思っていると、非常通信が入った。

 

 

『内部爆発でパーツが割れるぞ!!  各機巻き込まれないように距離を取れ!!』

 

直後、コロニーパーツが真っ二つに割れて前半分が落下コースから外れていった。

 

 

 

 

「やった… でも、まだ半分も」

 

少しホッとはしたが、ノズルのついている後半分が中々崩れていってくれない。

 

もし万が一にでもノズルが噴射でもしたら止めようが無くなってしまう。

 

飛び交っている無線も、電波障害やミノフスキー粒子の影響で途切れ途切れながらも焦りが凄いことがよく分かった。

 

 

 

「これが落ちたら… でもこんな調子じゃ…」

 

地球がどんどん間近に迫り、不安に押しつぶされそうになる中、退避用の信号照明弾と共に遠方から高出力のビーム砲が次々に連射されてきた。

 

 

『サイド7所属各機に通達。ジオン本国よりMSの援護が現着した。協力し破砕作業を続行してくれ』

 

 

その通信を受けた私はもちろん、周りのMS隊にもほっとした空気がした様に私も感じた。

 

事実、ジオンから来たMS部隊はさすが軍用というべき火力でコロニーパーツをどんどん破壊していき、みるみるうちに小さくなっていった。

 

 

 

 

「うわっ!!  破片が飛び散って… あっ、大丈夫ですか?」

 

パーツはどんどん小さくなったが、比例して飛び散る破片も増えていっており、近くのザクが損傷してしまった。

 

 

『あ、ありがとう。 でもこいつをセットしてこないと…』

 

 

だが当たりどころが悪かったか、そのザクはうまく動かない様だった。

 

 

 

「その損傷じゃ危険ですよ。私が代わりに行ってきます」

 

『…わかった。 でもかなり内部になるぞ、十分気をつけるんだ』

 

 

相手も自分の損傷具合から行くのが難しいと判断したか、爆薬の設置箇所をコンソールに転送して指示してきた。

 

「わかりました。でもこの状況です、危険なんて言ってられませんよ」

 

 

状況が状況だし、私のせいで地球が大変なことになったなんてまっぴらである。

私はザクから爆薬を受け取ると、スターダストガンダムで残ったコロニーパーツに近づいていった。

 

 

 

 

 

 

コロニーパーツ内部

 

 

 

 

「えーっと、設置しておく箇所は… この辺りだよね。 なんか思ったより奥の方に来ちゃったな…」

 

コンソールでデータを確認しつつ、パーツの中を進んでいた私だったが、突然通信が入った。

 

 

 

『そこのMS、ここで何をしている!!』

 

 

「ひゃ、ひゃい!! 何って破砕作業のお手伝いで爆薬を設置に…」

 

突然の通信に驚きモニターで周りを見回すと、ジオンのものらしい金ピカのMSがこちらを睨んできていた。

 

 

『爆薬!? あぁサイド7のMSか… !! ガンダム!?』

 

 

ここに私がいるというよりも、「ガンダム」がここにいるということにさらなる驚愕の声を挙げ、こっちにライフルを向けてきた。

 

 

『お前!!  本当にサイド7のMSか?  なぜガンダムに乗っている?』

 

今更ながら至極当然の疑問だと判断した私は、別に隠す理由もなく堂々と素性を説明した。

 

 

「あ、えーっと簡単に言いますと連邦がこっそり作ったMSが操縦ミスでサイド7付近に来たのを捕まえたんです。 分析も終わったし捨てるのも勿体無いって、バイトの私に回ってきて…」

 

 

改めて考えるとめちゃくちゃな話だが、本当なんだから仕方がない。

 

『…識別信号も出てるし嘘ではないみたいだな。 しかし民間人がまたガンダムに…  まぁいい、ここはもう退避エリアだ。 こちらで爆薬をセットし終わっている。 脱出するぞ』

 

「えっ? でもまだ設置の指示が… あれ? 消えてる」

 

一応信用してくれたことにホッとしコンソールを確認すると、爆薬設置の指示が消えていた。

 

 

『データの更新にタイムラグがあったんだろうな。もう準備は終わってる、行くぞ』

 

「あ、はい!!」

 

まぁ準備が終わっているならそれでいい。だが一つ気になることがあった。

 

 

「あのう、あっちの人はまだ何か作業があるんですか?」

 

 

 

 

 

『あっち?  どういうことだ?』

 

心底不思議そうに尋ねてきたジオンの人に私も首を傾げつつ指差した。

 

 

「ほら、あそこのノズル付近で何かやってる人です。ここには私一人で来ましたからジオンの人なんじゃ…」

 

 

そこまで口にした瞬間、金ピカのMSが私の指差していた方向に向けて問答無用でビームライフルを撃った。

 

 

 

『貴様!! どこの所属だ!! こんなところで何をしている!!』

 

 

その声に両手を上げながらゆっくりと一機の軍警ザクが姿を現した。

 

『おいおいご挨拶だな。 この非常時にわざわざ手伝ってるってのに』

 

少し軽い口調で答えたそのザクのパイロットに対して、ジオンの人は銃口を向けたままさらに問いただした。

 

 

『所属を聞いている。 どこのものだ?』

 

『決まってんだろ、サイド7だよ』

 

私はその言葉に眉を顰めた。

 

 

「えっ!?  私のMSに同僚の識別信号は出てませんが…」

 

その通信を入れた途端、金ピカのMSがビームライフルを発射したが、目の前の軍警ザクはそれを間一髪避けて私に向かって突っ込んできた。

 

 

「えっ!?  何!?」

 

突然のことに驚いていると、ザクから接触回線が入ってきた。

 

 

 

『スターダストガンダム!!  テメェに乗って俺がミスしなけりゃこんなことやらされることはなかったんだよ!!  よりにもよってここに来やがって!!』

 

苛つきながらの吐き捨てる様な台詞に、私はこのザクに誰が乗っているのか理解した。

 

 

「あなた、これに乗ってたあの連邦兵!? こないだの事件のどさくさで逃げたって聞いてたけど」

 

『うるせぇうるせぇ!!  テメェあん時のザクのパイロットか!?  テメェのせいで俺の人生はな!!』

 

恨み言の様な言葉を口にしつつ、自機の拳の方が壊れていくにも関わらず、そいつは私をめちゃくちゃに殴ってきた。

 

 

だがそんなことも長く続かず、金ピカのMSの飛び蹴りでザクはふっ飛んだ。

 

 

『貴様!! 連邦兵がなぜここにいる?  コロニー破壊要員の派遣があるとの連絡は連邦から受けていないぞ!!  まさかとは思うがこのコロニーが落下しているのは!!』

 

『いいや違うね。 このコロニーはテメェらスペースノイドが落としたことになるんだよ。 もうすぐノズルが再点火して真っ逆さまに地球に落ちる。地球への宣戦布告としてな!!』

 

 

一瞬何を言っているのかわからなかったが、その言葉の意味することがわかった時は本当に信じられなかった。

 

 

「まさか… 自作自演でコロニーのせいにするつもり? コロニーが落ちたら地球の方がただじゃ済まないのに!!」

 

 

『へっ、テメェらスペースノイドが悪いんだよ!!  大人しくエリートのアースノイドの言うこと聞いてりゃいいのに、独立なんかしやがって!!  言っとくけどなぁ、とりあえずのお情けで今の状態があるって忘れんなよ!!』

 

そのセリフと共にザクはマシンガンを撃ってきたが、目眩しと足止めが目的だったか、簡単に避けることができた。

 

でも当のザクはそのまま奥の方へ逃げていってしまった。

 

 

「そんな… なんとかしないと…」

 

焦る私だったが、金ピカMSのジオンの人は冷静に私に声をかけてきた。

 

 

『いや大丈夫だ。 もうすぐこのコロニーはバラバラになるし、破片もジオンで破壊する。 俺たちは脱出するんだ』

 

「え、でも…」

 

『大丈夫だ』

 

その有無を言わさない力強い言葉に、信用できると判断した私は一緒にコロニーパーツから脱出した。

 

 

 

そうしてコロニーパーツから脱出した瞬間、内部の爆薬が爆発したらしく最後のパーツもバラバラになっていった。

 

 

『破片が飛び散るぞ、注意するんだ』

 

金ピカMSからの通信通り、コロニーパーツは破片を撒き散らしながら粉々に崩れていった。

 

だが最後に残っていたノズル部分がさっきの連邦兵の言っていた通り再点火し、地球に向け落下し始めた。

 

 

「ああっ!!」

 

思わず声を上げた私だったが、金ピカMSから心配ないとばかりに冷静な通信が発せられた。

 

『ガトー中尉。ノズルパーツの始末を頼む、G-ホワイト隊の準備は出来ているな』

 

 

 

 

エグザベから通信を受けたガトーは自身を含む数機のG-ホワイトに向かって命令を下した。

 

『当然です大尉。G-ホワイト部隊、総員随行のゲルググよりエネルギーチャージ開始。各機は射線上より待避せよ!!』

 

その直後、G-ホワイト達の構えたMS並みのサイズの大型メガ粒子砲に、随行したゲルググからエネルギーがチャージされた。

 

 

『射線確認、総員メガ・バズーカ・ランチャー発射!!』

 

 

その命令と共に放たれた数発の極太メガ粒子砲は見事にコロニーパーツのノズル部分に命中し粉々に打ち砕いた。

 

 

 

 

 

 

 

「す、すご…」

 

目の前の光景に思わず驚きの声を漏らした私だったが、直後ぞくっとする感覚が襲ってきた。

 

 

「この感覚… !!」

 

それに気づいた時には、爆発に巻き込まれたらしい軍用ザクがボロボロになりながらもコロニーパーツの瓦礫に紛れてこっちに突っ込んできた。

 

『スターダストガンダム!!  星屑作戦がおじゃんになった今、テメェだけは!!』

 

 

その怒声と共に食らった不意打ち気味の体当たりに、私はバランスを崩して大きく吹き飛ばされた。

 

 

「ま、まずい!! これ以上だと地球に落ちちゃう!! なんとか体勢を…」

 

必死に機体を立て直そうとするも、軍用ザクはそんな私に組み付いて怒りの言葉をぶつけてきた。

 

 

『何もかもテメェのせいだ!!  俺はエリートで、いつかは連邦軍のトップに立って他の連中を顎で使ってやれるはずだったんだ!!  それが、それが!!』

 

いやそれは逆恨みだと叫びたい気持ちでいっぱいだったが、正直今はそれどころじゃなかった。

 

 

「くっ、あなたわかってる!?  このままじゃ地球に落ちる!!  そんなボロボロのザクじゃ…」

 

実際こんな会話をしている間にも、どんどんと目の下の地球は近づいてきており、高度が限界に近づいているのが素人の私にも分かっていた。

 

 

『わかってるよ!! だがな、落ちるのも死ぬのもテメェだけだ!!』

 

もはやヤケクソとでもいう様に、軍用ザクは私をがむしゃらに殴りつけて地球に落とそうとしてきた。

 

 

「だ、ダメこれ以上は!!」

 

限界だと思った瞬間、私の背負っていたバリュートが自動展開した。

 

 

その勢いに軍用ザクは吹っ飛ばされ先に地球へと落下してしまったが、最後の悪あがきとばかりにヒートホークを私に投げつけてきた。

 

そしてそれは運悪く私のバリュートの近くを通過し切れ目を入れた。

 

「!! バリュートが!?」

 

 

私のバリュートが切り裂かれたのを見て、ざまあみろという様な通信が入ってきた。

 

『くたばれスターダスト!! 文字通り星屑になりやがれ!!』

 

 

でもそれも束の間、焦ったような声が響いてきた。

 

『なんだ、バリュートが開かねぇ!? まさかジャマイカンの奴、俺に不良品を!!』

 

 

チラリとモニターを見てみると、落下していくボロボロの軍用ザクはたちまちの内に真っ赤になって燃え尽きていった。

 

『なんでだ!! なんでこんなことになった!?  俺はエリートとして、ジェリド=メサの名を世界に轟かせるはずだったのに!!  俺の夢がぁぁぁぁ!!』

 

その悲痛な叫びと共に私の目の前でザクは燃え尽きていった。

 

 

 

「何… それ…」

 

 

その光景を見て、叫びを聞いて、私は呆然となりつつも叫んだ。

 

「無茶して夢追って、それで全部ダメになったら意味ないじゃない!!」

 

 

 

 

 

 

サイド7 コロニー グリーンノア1

音楽ショップ OLD CENTURY

 

 

 

 

昨日よりテレビもネットもニュースはコロニーパーツの落下事件一色であり、バイトとはいえその破砕作業にフィーナが参加しているのは、叔父であるタスクは当然ながらカンナやカミュにとっても心配以外何ものでもなかった。

 

 

だが、中継でコロニーパーツが破砕に成功したという嬉々とした報道がされる中、一同は胸を撫で下ろしていた。

 

 

「ふぅ、やれやれ。一段落だな」

 

「よかったぁ…  フィーナのやつ突然学校飛び出していったと思ったら、これだもん。心臓に悪いよ」

 

「しかしタスクゥ、あんたよくもまぁ可愛い姪っ子にこんな危なっかしいバイトさせるわね」

 

それについては情けないかな経済的な問題のため、大きな声でカンナに反論することもできず押し黙ってしまったタスクだったが、直後店の電話が鳴った。

 

 

「うるせぇな、仕事の電話だ黙ってな。 はいこちらOLD CENTURY… あ、フィーナのバイト先の、はいお世話になってます。 ええ中継で見てますし、知ってますが… は?」

 

なんともなしに電話に出ていたタスクだったが、明らかに変わっていく口調と表情にカミュもカンナも不信感を持った。

 

 

「えっ!? 冗談じゃない… え、作業中トラブルで地球に落下して、ビーコンも切れて行方不明…! うちのフィーナが!?」

 

 

歓喜の声のテレビ中継が続く中、思わず受話器を取り落としたタスクだったが、カミュもカンナも何を言われているのかわからないままただ呆然とする他なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だ、ダメ!!  減速できない!! このままじゃ私も…!!」

 

なんとかして助からないかと全力でバーニアを噴かしたが、落下速度は私の想像を遥かに超えておりどうにもならず、コックピットの温度もどんどんと上がり始めていた。

 

 

このまま私も燃え尽きてたまるかと必死に足掻いてはいるものの、スターダストガンダムに大気圏突破のオプションが都合よく見つかるわけでもなかった。

 

「何か… 何か方法は…」

 

 

 

激しい揺れと共にコックピットにアラートが鳴り響く中、突然目の前に火花みたいなものが飛び散った。

 

(大丈夫、落ち着いて)

 

 

 

「え? だ、誰?」

 

どこからともなく聞こえてきた声に驚くも、続け様に同じ声が響いてきた。

 

 

(姿勢を整えて手を伸ばして。金色のMSが追ってきてるからそれに捕まって)

 

 

その言葉に従って前を見るとさっきの金ピカMSが全力で私を追いかけてきていた。

 

私は必死にスターダストガンダムの手を伸ばして金ピカMSの差し出してきた手を掴むと、そのまま抱き抱えられるような格好になった。

 

「えっ?」

 

 

突然の体勢に驚く間もなく、金ピカMSのバリュートが開き接触回線の声が響いた。

 

『動くんじゃない!!  このまま一緒に地球に降りるぞ!!』

 

 

 

他に手はないとはいえ、そもそもバリュートはMS一機分を支えるのがせいぜいのはずだ。

 

スターダストと金ピカMSの二機分を支えられるのか不安だった。

 

 

「こ、これ本当に大丈夫!?」

 

実際問題、バリュートが展開しているにもかかわらず落下速度がそこまで落ちている様な感覚がなく、コックピットの温度上昇も緩やかになったとはいえ止まらなかった。

 

 

(大丈夫だよ、何も心配しなくていい。その人は信用できるし、何より…)

 

そんな折またあの不思議な声が響いてきた。

 

 

「何よりなんなの!?」

 

思わず聞き返してしまったが、直後後悔した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ガンダムがそう言ってる)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何よ… それ…」

 

地球に落下していく中、その気の抜ける様な理由で緊張の糸が切れたこととコックピットの温度上昇とが相まって、私の意識は遠くなっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

破砕されたコロニーパーツがいくつか地球に降り注いだものの、その全ては大気圏で燃え尽き実害はほぼないとの報道が各地でなされていた。

 

結果、その日の地球での夜空は流星群が降り注いでいるかの様に幻想的なものであった。

 

部屋の窓からそんな夜空を見上げて、一際大きな流星を見つけて嬉しそうに微笑む小柄のショートヘアの少女に、やや高身長のスレンダーな少女が話しかけた。

 

 

「話してたの?」

 

「うん。地球に来るよ、ガンダムが」

 

 

 

 






参考 レーツェル ドイツ語で謎。 バールト ドイツ語で髭。
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