2.
長崎沖EEZ、豪華客船『ライトニング流星号(光速流星号)』。
その船室の一室から、反応炉の稼働音が鳴り響く。
「それでは行って参ります」
かくして、彼らは飛び込む。すなわち、ダンジョンと称される空間。『ディープ・フロンティアスペース』『第1階層(レベル1)』へと。
長崎沖EEZと同じ座標のレベル1の空間へと。
その一室は『百億万』の社章が輝いていた。
「時間だ」
レベル1、『代々木ダンジョン村』のすぐ近くの狭苦しい小部屋の様な岩がむき出しの地下空間に椅子やテーブルを広げていた傭兵達の指揮官が立ち上がる。
指揮官とは別に、『赤髪』と呼ばれている男が立ち上がる。
そう、一度咲坂高校冒険部の4人組に蹴散らされた『赤髪』と『大尉』の2人組だ。
「日本語に言うお礼参りだ。小日本の特機戦力を焼き払う。どうせ誰も死なないのだ。思いっきりど派手に行くぞ。『雨傘』の調整は十分か?」
「問題ありません『大尉』。冷却機構、動力、ともに問題なく。ただし、注意事項はちゃんと覚えて頂ければ」
「最大同時12発。連続照射時間は最大で50秒まで。カートリッジの残量に警戒。照射の進路を妨害しない事と、偏光機のノイズ処理時間は照射を行わない事。問題なく」
技官の言葉に『大尉』は特に重要と何度も聞かされていた注意事項をすらすらと答える。
彼らが『雨傘』と呼ぶ兵器を装備した、インファイトフレームがそこにはあった。
「それと例の『結晶』の準備も抜かりない。結晶の数は全部で7つ。カートリッジの数は15発。これでいいな?」
「はい……本当はもっと技術的なあれやこれやも言いたいのですが、軍人であるあなた方にとってそれは考慮できるか保証できないのでしょう?」
「勿論。それでは、日本側のアセット回収、および特機戦力への警告と連中の拠点破壊。我々が受けた損害に見合うだけの損害を奴らにも与えてやるぞ」
かくして彼らは動き出す。
すなわち、『アセット』の回収、どこぞの4人組に大損害を被った被害の報復に『代々木ダンジョン村』という北九州最大の日本側拠点の破壊の為に。
「こっちのサラミスライスを完全に台無しにしたんだ。連中に目のものを見せてやる」
「『本社』はこれまでの投資額から考えてそれくらいしないと、取り返せないって考えてますものね」
「……ふん。『中南海』の内政派は、何をバカなことに金を使っているんだくらいしな思ってないだろうがな」
『誘因装置』は正常に稼働済み。まもなく誘導されたモンスターの大群が代々木に襲い掛かる。
そのどさくさに紛れて
「大暴れするぞ。今までのうっぷんを全部晴らしてしまえ!!」