『──怪異ニュースです。本日丑三つ時頃に千葉県若葉区
専門家曰く「時期的に贄を欲していた」との見解であり、未津田町浄化班による救出作戦が間に合わない速度で殺害されたと予測されます。
続いてのニュースです、
「……ん?」
味噌汁を啜ってホッコリしていたところ、気になるニュースが流れた。
「ヤタ、この逆さトンネルの件おかしくないか」
『ふむ?あぁ、確かに』
怪異[逆さトンネル]は重力が全て逆さであり中では死者が生者に、生者が死者になる空間であるが外に出れば元に戻る事が出来る。時折人を招くことで中の住人を増やすことを目的としている怪異であるが、逆さトンネル自体は取り込みはしても殺害はしない。
「他殺か?」
『であろうな、何があったかは知らぬがな』
「知らんぷりしとくか、めんどいし」
『……はぁ、相も変わらず拝み屋とは思えん言動だな』
めんどいじゃん。肉体は別として精神年齢はおじさんだし、やりたくない事はやりたくないのよ。別に働かなくても食っていける金はあるし、拝み屋なんぞ道楽よ道楽。
「それで今日はなんか依頼ある?」
『ない』
「お守りでも作っとくか……」
【この町には神社がある、1950年代にできた新しめの神社である】
「ぅおおおお!?」
後ろから迫る
これではお師匠に叱られて、いやあの人は別にそんな人ではないか。
「あと、ちょっ……と!」
割と薄情、と言うよりは他人に対する興味が薄い男だが頼りになる、今回も助けてもらうべく足を必死に動かしている。
【その神社にはある噂がある】
魔力を扱うのが多少下手とはいえ、少なくとも時速40キロほどで走ってるはずなのに後ろから迫るあの怪異からは離れられない。
同じ速度で一定間隔で迫るとかそういう類のやつか?と思い一度止まったことがあるんだけどで普通に追いつかれそうになったから単に同速なだけだったわけで。
剣で斬りつけてもダメージがないあたり何かしらのルールがあるっぽくて。それを見つけるために耐えようとしても一撃一撃が死に直結するレベルで危険だった為即撤退を選ぶしか無かった。
「見えた!階段ッ!」
神社への階段が見えた、ここまで来ればもう安心だ。お師匠がここまできて反応しない訳がない。なにしろ神社に向かって怪異が向かってるから!
【怪異が手も足も出ない怪物がいる、って】
階段に足を踏み入れ──瞬間、頭上から液状の金属のようなものが怪異へと降り注ぎ、包み込んだと思いきや骨が、肉が、生き物として必要な何もかもが砕け散るような音が鳴り響く。
「うわぁ……推定1級でルール持ちなのにそれ無視して砕くって……」
階段の上から足音が響く。凄く眠たそうに……いやこれ寝起きだな?一応今10時くらいなんだけど。でもなんかご飯は食べたっぽい?お腹さすってるし。
「なに、また変なのと遊んでんのさ」
「変なのって……一応その怪異、ルール持ちっすよ?」
「いやあ、環くんならすぐ分かると思うんだけどなぁ……言うて1級以下だし?俺でもわかるんだし」
「元探索家と一緒にしないで欲しい。ちなみに答えは?」
「背中見たでしょ、背中見たら襲ってくるタイプだよ。弱点もそこだし」
背中には僕も攻撃してたんだけどなぁ。ダメージ入ってなかったんだけどなぁ……
「て事で環くん」
「はい?何がてことで?」
「君には逆さトンネルの調査をしてもらうとする」
「え、なんでまた」
「いやさ?なんかさ?逆さトンネルになんか妙なのいるみたいなのよね、んで。俺が調べに行こっかなーって思ったんだけど……視た感じ環くんでも全然行ける感じだし、行ってきて?」
「えぇー」
押し付けられた。なに、逆さトンネルに妙なのって。なんかあったっけ?
ったくもー……お師匠ったら適当なんだから。でも判断は的確なんだよなぁ。僕でも行けるってことは、本当に行けるんだろうなぁ……でもまた大変な目にあうんだろうなぁ、そんなレベルだろうなぁ……嫌だなぁ……
【その神社の名は】
【異空神社】
【日本全国、津々浦々の怪異、異形が集まる土地に住まう者の話】