【完結】ヒロアカ世界でも猿が嫌いな夏油傑   作:カワニ

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第一種目 障害物競走

 雄英体育祭本番当日。1年B組は入場までの時間、控室に待機していた。緊張している者もいれば、精神統一をしている者もいた。

 そんな中夏油は志村と会話していた。

 

『本当に私は出ないってことでいいんだね?』

『ええ。流石に全国放送に映りこむのとクラスメイトに顔を見せるのではリスクが違いすぎます。オールフォーワンに気付かれる危険性がある以上、出る必要はないですよ』

 

 志村の問いに夏油はそう答える。

 

『それはそうだが……私がいなければ戦力は半減どころではないぞ?』

『ですね。ですがそれでも勝つ自信はありますよ。それに()()を使いますし』

『あいつを使う気なのか……制御は大丈夫なのか?』

『相手を殺さない程度には。集中すれば何とかなる目途は付いています』

『ならいいが……くれぐれもやり過ぎないようにな』

 

 夏油が志村と話していると物間がB組全員に向かって声を掛ける。

 

「皆、ちょっといいかな?これから体育祭なわけだけど、作戦があるんだ」

「作戦?」

「また物間変なこと考えてんのか?」

「なんか嫌な予感してきたぞ……」

 

 物間の発言に対し微妙な反応だ。

 

「そんな大したことじゃないさ。例年通りならまず最初に足切りの予選があってヒーロー科以外がほとんど落ちる。だからライバルの個性や性格を把握するために、わざと突破ギリギリの順位を取ろうってことさ」

「そんなんありか?」

「謀はいけませんよ。神が許しません」

「でも他のクラスの個性把握できるのは大きいぞ」

「場合に合わせてでいいんじゃね?」

 

 各々意見を言うB組一同。だが物間は止まらない。

 

「皆よく考えてくれ!このままA組ばかりが目立ってていいのか?僕たちもいるんだぞ、ってところを見せつけないと!」

「たしかにA組に話題取られてるけど……」

「まあ予選だけならありか?」

「いいかもね」

 

 物間の作戦を実行する空気になってしまった。

 

「申し訳ないけど、私は1位を取りにいくよ」

 

 夏油は謝りながらもはっきり宣言した。

 

「夏油はその想定だったよ。むしろ暴れて僕らに目を向けさせないようにして欲しいね」

「なるほど。それなら私も協力できそうだ」

「夏油もそうだけど、僕の作戦が嫌だったり無理な人はやらなくていいよ。B組が全く上位にいないってのも違和感あるしね」

 

 話がまとまってきたところで入場の時間がやって来た。

 

「皆!そろそろ時間だから移動するよ!」

 

 拳藤の声に従って入場ゲートに移動する。

 

『雄英体育祭!ヒーローの卵たちが我こそはとしのぎを削る年に一度の大バトル!どうせてめーらアレだろ、こいつらだろ⁉ヴィランの襲撃を受けたにも拘らず、鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!ヒーロー科!1年!A組だろぉぉ⁉』

 

 プレゼントマイクのアナウンスが会場に響き渡る。これを聞いた夏油の気分は良くなかった。

 

(やはりA組ばかりだな……さて、私たちにはどんな紹介がされるのか……)

 

『B組に続いて普通科C・D・E組!サポート科F・G・H組も来たぞー!そして経営科……』

 

 夏油が予想していた通り簡素な紹介だった。ついでに他の科も。

 

(うーむ、これは不快だ……露骨に扱いが違う。他の科の生徒も不満そうだ)

 

 夏油が不満を抱えている中、審判のミッドナイトが現れる。

 

「選手宣誓!!1年B組、夏油傑!!」

 

 ブラドキングがあらかじめ言っていたように、選手宣誓で夏油の名が呼ばれる。夏油は前に歩いていく。

 

「あれ?入試1位ってB組にいたんだ……?」

「あの爆豪が負けたのか………⁉」

「っていうかこの前の大胆不敵な人じゃん!」

 

 A組から夏油が呼ばれた事に対する驚きの声が上がっている。そんなこと意に返さず夏油はマイクの前に立つ。

 

「宣誓。私たちは正々堂々とフェアプレーを心がけ、最後まで全力で戦うことを誓います」

 

 そう簡単に選手宣誓を終えるかと思ったら、夏油は続けて語った。

 

「特に、A組はヴィランの襲撃を受けてそれを退けたとか。きっと私たちの想像を超えるとんでもない力を見せてくれるのでしょう。一体どれほどの力があるのか今から戦うのが楽しみです。

 あぁ、あと最後に我々B組や普通科、サポート科、経営科も競技に参加します。視界に入ってない方もいらっしゃるようですが観客の皆さんにはこちらも注目してもらえると嬉しいですね。応援よろしくお願いします」

 

 そう最後にカメラに向かって笑顔で締めくくった。

 

『あんな煽るようなこと言って良かったのかい?』

『煽る?ちょっと正論に私の感想を付け加えただけじゃないですか。これでも全国放送に配慮したんですよ?』

『…………やっぱり私が道徳は教育し直した方がいいか?』

 

 これに対する反応は様々だった。

 

「あの夏油って奴やる気あるなぁ」

「たしかにA組ばっか注目してたけど他にも大勢参加するもんな」

「俺はスカウトも兼ねてるからちゃんと見てるぞー!」

「あの夏油って子かっこよくない?最後の笑顔にやられたわ………!」

 

 観客からは好評だった。それに対しA組の反応は………

 

「やっぱB組からも期待されてんだなぁ!頑張らねえと!」

「馬鹿っ、ありゃ煽られてんだよ!ヴィランを退けたから強いんだよね?ってことだ」

「…………殺す……!」

「判官びいきってあるし注目度が低い他のクラスの方が応援されるかもな……」

「やりづらいわー」

 

 煽られてることに気づいていないアホもいたがほとんどが気づいていた。B組を含めた他のクラスはというと、

 

「さすが夏油!観客に僕たちのことを思い出させるとは!やるねぇ」

「いけすかねえA組なんてぶっ潰してやらあ!」

「鉄哲、頭に血が上りすぎだぞ」

「へえ、ヒーロー科って他の科見下してそうだったけど良いとこあるじゃん」

「やっぱヒーロー志望なだけはあるんだなぁ」

 

 こちらは概ね好評だった。夏油の戦略通りになった。

 

「さーてそれじゃあ早速第一種目行きましょう。いわゆる予選よ!さて運命の第一種目、今年は……コレ!障害物競走よ!!」

 

 ミッドナイトが第一種目を発表した。物間の言っていた通り予選をやるようだった。スタジアム外周約4キロを何でもありのレースだ。

 競技参加者が位置に着く。

 

「スタート!!」

 

 スタートの合図とともに一斉にスタートした。スタート直後にA組の生徒による氷結で凍らされた生徒が多く出た。

 

「酷い事するね。中途半端に凍らせるなんて可哀そうに……」

 

 そう言う夏油はエイに乗って楽々避けている。

 

「あれがエンデヴァーの息子かな?そんな噂を聞いたような……まぁいいか、この程度なら問題ない」

 

 夏油が様子を見ながら先頭に追い付ける位置に着けていると、入試の時の巨大な仮想ヴィランが大量にいた。

 

『さぁいきなり障害物だ!まずは手始め……第一関門、ロボ・インフェルノ!』

 

 巨大な仮想ヴィランだが夏油にとっては障害にはならなかった。明王を呼び出した。

 

「道を拓け、明王!」

 

 夏油の明王は一太刀で巨大な仮想ヴィランを両断した。

 

「皆さん、お先に~」

 

 夏油はそう言って手をひらひら振りながらエイに乗って飛んで行った。

 

『B組夏油!一瞬で仮想ヴィランを破壊!って今の何ー!A組轟も続く!』

 

 プレゼントマイクの実況が響く。実況が第一関門を語っているうちに夏油は第二関門に到着していた。

 

「後ろの轟?っていったかな?彼はもっと離したいね」

 

 第二関門は谷の合間に島があり、ロープで繋がれていた。

 夏油は飛んでいるのでそのまま渡ろうとしたが、高さ制限のネットと強風を起こす送風機が設置されており、飛ばされそうになる。

 

「エイだと風をもろに受けるな。ならここは……」

 

 夏油は一つ目を呼び出し、自身を握らせる。そして向こう岸まで投げさせた。

 

『1位は何やってるのかと思ったらなんと自らを投擲!いかれてるぜ!』

『飛んでいくには風が邪魔。ならぶん投げればいいという判断だろうな。合理的だ』

『ホントに合理的かー⁉それはともかく1位夏油は最終関門へ!第二の説明もろくにできてないのに最終かよ!最終関門は一面地雷原!!怒りのアフガンだ!!』

 

 夏油は難なく最終関門まで来た。地雷原ということだが夏油には関係ない。エイで飛んでいくが、コースの横から何か弾が撃ち込まれる。

 

「これは避けるのが面倒だ。スピードはそうでもないけど普通の弾じゃないね」

 

『最終関門は地雷に加え対空用のセメント弾があるぞ!飛べる生徒は要注意だぜ!』

 

 夏油はどう対処しようか考えたが、一瞬で答えが出た。破壊だ。

 

「何でもありって言ってましたよね?」

 

 夏油はイカの弾幕を張り片っ端からセメント弾発射台を破壊していった。

 

「やっぱり私は片付け上手だな。ですよね?」

『集中しなよ、傑。もうすぐゴールなんだから』

「どうも退屈でしてね」

 

 夏油は悠々と進んでいく。

 

『1位のB組夏油!あっという間に発射台を破壊!そのまま独走だー!』

『やっぱり圧倒的だな。強い上に動作によどみがない。正直他とは一線を画す実力だ』

 

 そのまま夏油はゴールテープを切る。

 

『さぁさぁ序盤からリードを保ち、2位に圧倒的な差をつけて一番にスタジアムに帰って来た!ヒーロー科1年B組夏油傑!!こいつはレベルが違え!!』

 

 夏油は彼の想定通り1位だった。

 

『正直歯ごたえないですね。こんなもんですか』

『君に有利な種目だったというのもあると思うよ。あんまり慢心しないことだ』

『それもそうですね。まだ予選ですし』

『でもおめでとう!私の援護は必要なかったね』

『ここで菜奈さんに頼ってたら情けないじゃないですか。あなたに釣り合うにはこれくらいしなくては』

『またそういう事を言う……ふざけてる場合じゃないぞ』

『ふざけてないんですがね……』

 

 夏油と志村が会話している間にも遅れて次々とゴールしてくる。B組は物間の作戦通り下位に着ける作戦を取っている生徒が多かった。

 

「さて、次の種目は何かな?段々私も楽しくなってきたよ」




雄英運営サイドは夏油など飛べる生徒が有利になり過ぎないように全体的に対空対策しています。

夏油が1位になり、今作不在の凡戸のところまで一つずつ順位が下がっています。凡戸より下は原作のまま。次回最初に順位と点数出します。
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