【完結】ヒロアカ世界でも猿が嫌いな夏油傑   作:カワニ

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インターン開始

 夏油が動画投稿したり教祖になったりしても日常は変わらなかった。ただブラドキングには怒られていたが……

 そんなある日のホームルームでブラドキングが話し始める。

 

「今日はインターンの話を本格的にしていく。入って来てくれ」

 

 ブラドキングが廊下に声を掛けると、扉が開き三人の生徒が入って来た。夏油が見たことのない生徒である。

 とんでもなく緊張してたり、不思議不思議~と話しかけに行ったりで困惑するB組であったが、最後の一人の言葉で何故か戦うことになり、体操着に着替えて体育館γに移動した。

 

「というわけでこれから戦ってもらうんだけど、A組とは昨日やったんだ。で、最初からこうしたほうが説明しやすいってわかったんだよね」

 

 通形はそう言った。戦った方が説明になると思っているらしい。

 

「アハハハハ!また僕らA組の後なのか!酷いなぁ!」

「まぁ順番的にA、Bってなるのは仕方ないけど残念だぜ」

「やる気になってきましたな!」

 

 物間はいつも通りA組に嫉妬し、鉄哲と宍田もやる気になって来ていた。

 

「先輩か……これは暴れても問題ないということかな?」

「いや、夏油お前は抑えろ。先生、夏油は参加して大丈夫ですか?」

 

 夏油もやる気を出そうとしていたが拳藤に止められる。

 

「抑えろ?何を言っているんだ。格上相手に抑えるなんて失礼だろう?出す機会がなかったが、クイーンとレヴナントの同時召喚が可能になったんだ。ここを更地にしてでも勝つさ」

 

 夏油が物騒なことを言っている。どうやらクイーンも志村も使うみたいだ。

 

「夏油は見学だな。多分まともにやればお前と通形じゃ勝負がつかん」

 

 ブラドキングがそう言うと夏油は大人しく見学することにした。尊敬する人の言うことは素直に聞く男である。

 というわけで通形対B組が始まるが、通形がすり抜けたり、ワープしたりしてB組に腹パンを決めて行く。ただどうしても倒せないのが数人いた。鉄哲、宍田、回原、鱗、拳藤である。

 

「すごい……ミリオの攻撃が効いていない……それにあの女の子は見てから避けてる」

「彼らにあの程度の攻撃は効きませんよ。それに拳藤の反射神経と個性ならアレを受けるのはたいしたことない。それより物間は鍛え直しだね」

 

 天喰が驚いているところに夏油が言う。

 

「贔屓目もあるが今年のB組はどいつもこいつも曲者揃いだ。それを何人も一瞬で倒しおって……通形、許せんな!」

 

 ブラドキングは愛しい生徒がやられて少し怒り気味だった。

 

「ところでこの戦闘まだ続くんです?ずっと変わらない展開で飽きましたね。私も参加してもいいですか?」

「待て待て。よし、一旦終了だ!寝ているやつら起こせ!」

 

 夏油が退屈しているとブラドキングが戦闘の終了を宣言し腹パンで伸びていた者たちが起こされる。そして通形はB組にインターンの良さと大変さを語った。

 

「うーん、今年の一年強いなぁ。A組には通用したんだけど……あんまり実感として教えられなかったかもだけど、インターンでの経験を力に変えてトップを掴んだ!ので!怖くてもやるべきだと思うよ一年生!」

 

 最後には、通形はインターンをやるべきだと勧める。

 

「インターンかぁ……」

「授業との両立がなぁ……」

「寮生活に慣れてからというのもありかな?」

「インターンやってみるのもありかもな」

 

 皆それぞれ考えているようだった。

 

(インターン……外に出る……布教……おっと、これはまたも私に風が吹いているね)

 

 いつも通り夏油は悪人面で笑っていた。

 

 

 

 インターンの説明を受けて数日後、ブラドキングからインターン受け入れ実績の多い事務所に限り許可が出た。夏油は早速ホークスに連絡してみる。するとあっさり許可を貰えた。常闇も来るつもりなら歓迎するとのことなのでA組に行くことにした夏油。

 

「夏油氏、どこか行くのですかな?」

 

 昼休みに食堂以外にどこか行くことが少ない夏油に疑問を持った宍田。

 

「ちょっとA組にね」

「A組⁉ちょっと夏油、A組に行くと言っていたね?なら僕も連れて行かなくちゃだろう?」

 

 夏油の言葉を聞いていた物間もついて来ようとする。

 

「私は遠慮しておきますぞ。お昼寝の時間なので」

 

 宍田は寝るらしくどこかへ行ってしまった。

 

「じゃあ二人でA組に行くか」

「ちょっと待て」

 

 夏油が物間とA組に行こうとしたら声がかかる。それは拳藤のものだった。

 

「拳藤じゃないか。どうかしたか?」

「どうかしたも何も、用がある夏油はともかく物間は用ないだろうが。喧嘩売りに行かずに大人しくしてろ」

「酷いじゃないか拳藤!健全な他クラスとの交流を妨害するなんて委員長のすることか?さぁ行こう、夏油」

 

 拳藤に止められても物間は止まらない。夏油を連れて物間は教室を出ようとする。

 

「はぁ……レイ子ごめん、揉めるかもしれないし様子見てくる」

「いってらっしゃい」

 

 拳藤は柳にそう言って面倒そうに付いてきた。A組とB組は隣のクラスなのですぐに到着する。扉が開いていたので夏油は堂々と入っていく。

 

「失礼するよ。常闇いるかい?」

「む、お前がわざわざ来るなんて珍しいな。俺に何か用か?」

 

 夏油が常闇を探すと彼は教室でクラスメイトと喋っていた。物間は早速煽りに行って爆豪と喧嘩して拳藤に手刀を食らっていた。

 

「インターンの説明は受けただろ?ホークスに受け入れているか確認したら歓迎しているとのことだ。で、常闇にもそう伝えておいて欲しいと言われたから早速伝えに来たよ。どうするかは君が決めることだけど一緒に活動するのも楽しそうだ。要件はそれだけ。じゃあ私はこれで」

「それを伝えにわざわざ来てくれたのか。感謝する」

「いいよ、いいよ。君とは一緒に職場体験をした仲だ。それにA組の中でも一番ポテンシャルを感じてるんだよね。君、強いもん」

 

 夏油は本心からそう口にする。

 

「俺が一番……轟や爆豪でなく……?」

「まぁ彼らも実力はあると思うけど、明確な弱点が消えないことには何ともね。あぁこれは個性の性質の話じゃなくて使い方とか性格面の話だ。轟はまだしも爆豪はなぁ……」

 

 夏油が何と言おうか迷っていると話題の爆豪がやって来る。

 

「好き勝手言ってくれるじゃねえか、エセ教祖!」

「君、教祖のこと知ってるなんて私のこと詳しいね。ファンなのかな?サインいるかい?練習したから自信あるんだ」

 

 夏油が何か書くものがないか探していると爆豪が怒鳴る。

 

「要らねえよ、クソが!!それよりおめぇ、今期あるっつう合同訓練でボコボコにしてやっから覚悟してろ!」

「そうか。お互いインターンを糧にして頑張ろう」

「「「「「あ」」」」」

 

 夏油の言葉に教室が静寂に包まれる。

 

「ん?何か変なこと言ったかい?」

「爆豪は俺と一緒で仮免取れてねえぞ」

 

 轟がそう言う。

 

「そういえばそんなことを聞いたような……どうでもいい情報って頭から抜け落ちるんだよなぁ。悪いね、デリカシーのない発言だった。じゃあ……補講、頑張って?私はインターン行くけども」

 

 夏油はそう言って教室から出て行こうとする。

 

「殺す……アイツぜってー泣かせて殺す……」

「待て待て!」

「夏油に悪気はないんだと思う!というかないよな?ないって言ってくれ!」

 

 爆豪が今にも襲い掛かりそうなのを切島と上鳴が押しとどめている。

 

「僕とは勝負付かなかったが夏油は勝ったみたいだ。次は僕も勝つ!じゃあねA組」

「A組、悪いな。物間は心がアレで、夏油は性根がクズなんだ。二人とも悪気があるわけではない……と思う……多分……もしかしたら。何かあったら私に言ってくれれば対応するから!じゃ!」

 

 物間と拳藤も夏油に続いてA組を出て行った。彼らが去ったA組にはキレた爆豪が残されていたのだった。

 

 

 

 夏油は週末、早速ホークスの元へ向かった。今回は常闇も一緒だというのが分かっていたので共に行くことになった。

 常闇の個性である黒影(ダークシャドウ)とも夏油は仲良くなった。夏油は志村のことも紹介し恋人だと言ったが、常闇も黒影(ダークシャドウ)のことを友人だと思っているらしくあっさり受け入れた。分かっている男だと常闇の評価を上方修正する。

 

 楽しい電車の旅も終わり福岡に到着する。そこからホークスの事務所まで行くと、ホークスが部屋で待っていた。

 

「二人ともよく来たね、歓迎するよ。じゃあ契約とかはサイドキックさんたちにお任せするからそっちでよろしく!明日から早速働いてもらうからね」

 

 そう言ってホークスは去って行った。その後契約書にサインしてその日は終わった。

 

 翌日からインターンは本格的にスタートした。夏油たちは早速パトロールに参加する。夏油はエイに乗ってホークスに付いて行く。

 

「夏油くん、スピード上がった?前も付いてきてたけど楽々って感じじゃなったはずだけど……」

「若人は成長するものですよ。あと今の私はカースキング、カースと呼んでください」

「それ言われると大人としては辛いなぁ、わかったよカース」

 

 夏油とホークスがそう話しているとすぐ近くから通報が入る。

 

「聞いた?」

「すぐそこで強盗ですね。行きましょう」

 

 一瞬で現場に急行し、強盗集団を見つける。4人組で既に車に乗り込んでおり、逃走しようとしていた。

 

「カースは車止めて。俺はヴィランを」

「了解」

 

 夏油は言われた通り車の前に立ちはだかり行く手を遮る。ついでに周りに虫を配置して囲んだ。

 

「残念ながら君たちのヴィラン街道はここで行き止まりだ。大人しくしてくれると嬉しいね」

「うるせえ!こちとらそんなんで止まれるかってんだ!引き殺してやる!」

 

 夏油の降伏勧告にも臆せず車を発進させるヴィランたち。だが夏油は真正面から車を受け止める。タイヤが空回りして進めない。

 

「こいつなんちゅうパワーしてんだ……!クソッ!動けよ!」

「そんなことしても意味ないよ。ホークス!」

「ナイス、カース!」

 

 そこにホークスの羽がやって来て片っ端から気絶させる。周辺に待機して様子を見ていた警察に引き渡して一件落着だ。ホークスと軽く今の一件を話す。

 

「やっぱ君、便利だよねぇ。包囲得意だしパワーあるし」

「そうですか?私からしたらあなたの羽もいい個性だと思いますが」

「まぁそうなんだけどさ、やっぱパワー不足は感じるもんなんだよ」

 

 そこにまたも通報が入る。どうやら巨大化個性持ちが薬を打って暴れているようだ。二人は急いで現場まで飛ぶ。暴れている現場が見えてきたところで夏油は提案する。

 

「すみません、先行っていいですか?」

「え、いいけどこれ以上速く動けるの?」

「まぁ短距離限定ですが……過呪増強、エイ」

 

 夏油はエイに呪力を注ぎ込み強化する。するとスピードが一段階上がった。

 

「ではお先に!」

 

 そう言って夏油はホークス以上のスピードを出す。周りからは何が通っているのかも分からないほどだ。一瞬で現場に到着し状況を観察してとりあえずそのままヴィランを一発殴った。

 

「なかなか硬いね。それに周辺にまだ人がいる。被害を出さないように抑え込むには……クイーン、出番だ」

 

 夏油は迷わずクイーンを呼び出した。そのまま巨大化ヴィランを上から抑え込み拘束する。流石のパワーだ。そのまま三節棍を取り出して頭をフルパワーで殴って気絶させた。ヴィランは沈黙した。

 

「これで終わりかな?このヴィラン、違法な薬使ってるな……しかも結構いいやつ」

 

 夏油が独り言を呟いているとホークスもやって来る。

 

「驚いたよ。まさかあそこからスピード上がるなんて。職場体験じゃ使ってなかったよね?」

「あれは最近習得した技です。呪霊の能力を強制的に一段階、場合によっては二段階上げます。ただ燃費が悪そうなので使い勝手は悪く乱発は出来ませんが」

 

 ホークスと話していると周辺にいた市民が話しかけてくる。

 

「ホークスと……新人さん?いや、雄英の夏油くんか!助かったよ!」

「若いのにすげーなぁ……」

「ほら、お菓子あげよう」

「何か良く知らんけどネットでも色々活動してるんだっけ?立派だねえ」

 

 夏油を褒めてくれる市民たち。

 

「ちょうどいい、皆さん紹介します。この子は今雄英からインターンで来てる夏油傑くん。ヒーロー名はカースキング。将来期待できる子だから名前を覚えて損はないよ」

 

 ホークスが市民に紹介してくれるので夏油も名乗る。

 

「ご紹介にあずかりました夏油傑、ヒーロー名カースキングです。気軽にカースと呼んでくれると嬉しいです。副業で雄星教の教祖やってます。よろしくお願いします」

 

 夏油はそうやって頭を下げる。すると拍手が巻き起こる。

 

「ホークスやるなあ、体育祭1位引っ張って来るなんて」

「生夏油様!」

「これで福岡は安泰だな!」

「イケメンヒーローツーショットとか尊い……!」

「これが学生って……最近の若いもんすごくないか?」

 

 変な声もあったが好意的な市民たちだった。その後、警察に件のヴィランを引き渡してこの一件は片付いた。

 

「君と俺、二人一緒だと効率悪いな……よし、分かれて行動しようか」

「え、いいんですか?私はまだ仮免ですが……」

「サイドキックさんたちが遅れてくるから大丈夫でしょ。ぶっちゃけ君、優秀だし。それに俺が相性悪目なパワー系を優先して欲しい」

「なるほど、そういうことですか。パワータイプには私が、小回りが必要なタイプにはホークスが、ですね。ホークスの方が小回り効きますし」

「そういうこと!」

 

 ホークスの提案によって分かれて行動することになった。その後も夏油は一人でヴィランを捕らえては警察に引き渡すというのを繰り返してその日を終えた。ちなみに常闇はホークスの方に付いて行っていた。

 

 本来は雄英の授業があった翌日も同じ様に淡々と事件や事故を解決していった。その活躍はもうそこらのプロとは遜色ないレベル、大袈裟に言えばトップクラスであった。

 

「インターン、大体掴めてきたね。これからは布教パートの始まりさ」

 

 

 

 数日のインターンを終えて久しぶりに登校したら、教室中の視線が夏油に向いた。

 

「皆おはよう、一体どうした?」

「どうしたもこうしたもないさ!これを見てみな!」

 

 夏油の疑問に物間が答える。

 

「なになに……『新米インターン生、カースキングこと夏油傑、獅子奮迅の活躍でヴィランを圧倒!プロも顔負けなヴィラン大量確保。将来のトップテン入りは確実か⁉』へえ、もう記事になってるんだ」

 

 夏油としては昨日の今日で記事が出ていてちょっと驚きだ。いつ取材とかしてるのだろうか?

 

「もっと喜ぶんだ!ちょうどA組もインターンに行っているらしいが、その記事より十倍コメントがついてるんだ!A組が悔しがる様が眼に浮かぶよ……!アハハハハ!」

 

 今日も心がアレな物間であった。それを見て帰ってきた感じがする夏油である。

 

「A組はともかくもっと嬉しそうにしなよ。それとも怪我とかしたか?」

 

 拳藤は純粋に夏油を心配していた。流石は面倒見のいいB組の姉御である。

 

「フッ、そんなわけないさ。ただ雄星教のことが書いてないなと思ってね。やっぱり布教はちゃんとやらないと教会の幹部に怒られてしまう」

「お前マジで教祖やってんだな……」

 

 拳藤は少し呆れ気味だった。

 

「夏油氏のことですから常識は通用しないですぞ。私はもう諦めましたぞ」

 

 宍田は夏油はこういうもんだと常識を捨てたらしい。

 

「俺も行けばよかったかなー⁉でも勉強がな……」

 

 今日もうるさい鉄哲は迷った末に学業を優先したらしい。

 

「自分のペースでいいのさ。私がいるときは訓練にも付き合うし」

「おう!でもいいのか?流石に忙しくないか?」

「無理はしない。最近編み出したんだが、呪霊に教科書を読ませて自分は訓練することで効率よく学習することが出来る」

「すげえ!天才かよ!」

 

 鉄哲は単純だからか素直に感心している。

 

「いや、逆に効率悪くないか、それ」

「夏油、かわってるね」

「やっぱ夏油氏おかしいですな」

 

 拳藤、柳、宍田がそれぞれ感想を口にする。

 

「ま、私が言いたいのは遠慮するなってことさ。友達だろう?」

 

 夏油としては忙しくても友達との交流は減らしたくなかったのである。

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