【完結】ヒロアカ世界でも猿が嫌いな夏油傑   作:カワニ

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夏油が仲いい面子を中心に強化しまくったおかげでB組の強さがとんでもないことになってます。特にA組好きな方はご注意ください。


A組対B組対抗戦➀

 脳無との戦闘はたいそう話題になった。神野の悪夢の再来かとも思われたが、夏油やエンデヴァー、ホークスの迅速な対応によって奇跡的に人的被害はなかった。

 エンデヴァーも脳無をあと一歩で倒せるところまで追いつめていたため世間からは高評価だ。ホークスはビルの人々を全員脱出させる神業を見せた。

 

 エンデヴァーとホークスも勿論評価されたが、特に評価されたのは夏油の活躍だった。途中からは彼の独壇場で圧倒的な力を大衆に見せつけた。

 これならば次世代のヒーローも心配いらないと思わせたのである。その影響もあってまた信者が増えたと夏油に連絡があった。そんな夏油だが当然学校生活があるわけで、今日は特別な授業が行われる。

 

 

「いやー、楽しみだなぁ、今日こそA組をこの手で叩き潰せるよ」

 

 物間は今日もA組に対抗心を燃やしていた。

 

「物間、手加減してあげなきゃ彼らの心が折れてしまうかもしれない。ヒーロー科からヴィラン堕ちだなんて我々の恥さらしを生み出さないように上手く負けさせてあげよう」

 

 夏油も悪気はないがゲスイことを言っている。

 

「お前らさぁ……そういうこと面と向かって言うなよ?」

 

 拳藤はこれ以上面倒事を起こさないよう願っていた。ただし彼女も自信をにじませている。

 

 準備を終えたB組は本日の演習場に到着する。そして物間は早速A組の集団を発見した。どうやらA組は和気あいあいと話しているようだ。

 

「おいおい、まーずいぶんと弛んだ空気じゃないか。僕らを舐めているのかい?」

「お!来たなぁ!舐めてねーよ、ワクワクしてんだ!」

「フフ……そうかい。でも残念。波は今、確実に僕らに来ているんだよ。さぁA組!今日こそシロクロつけようか⁉」

 

 そこから物間は独自のアンケートをもとに、文化祭ではB組の方が優れていたと言う。だが物間は相澤に首を絞められた。

 本日の授業にはゲストがいるとのことで紹介されたのは普通科の心操だった。

 

「心操?」

「普通科か。なるほど」

「体育祭で見たような気がするな」

 

 A組、B組共に全体的にあまり印象に残っていないようだった。ただ夏油はしっかり覚えている。

 心操が一言挨拶する。とてもやる気に満ちていて好感触だった。

 

 そして早速今回の訓練のルールが説明される。4対4のチーム戦で先に4人牢に投獄した方の勝ちというルールだった。心操は一回ずつそれぞれの組のチームに入るらしい。

 組分けはくじということで順番に引いていく。夏油は5組目だった。同じチームは物間、柳、小大だ。心操も同じ組に入った。

 

「皆よろしく。心操もいることだし各自得意なことから話して作戦を立てよう。あ、でも心操

はもうすぐ試合か。じゃあそれが終わってから話そう」

 

 夏油が音頭を取って作戦を立てようとする。だがそこにブラドキングから呼び出しが来る。

 

「夏油、ちょっと……」

「なんです?もう始まるんじゃないですか?」

「いやな……言いにくいんだが、ハンデつけていいか?」

「ハンデそりゃまたどうして?」

「お前強すぎ。相手のためにもクラスのためにもならないってことだ」

 

 ブラドキングと一緒にいた相澤がそう説明する。

 

「クラスのためにも?なるほど、そういう事ならば。で、私はどうすれば?適当に手を抜けばいいですか?」

「お前にはこの重りをつけてもらう。それとクイーンは禁止な。あれが暴れたら試合にならん」

「それって期末試験で先生方が着けていたやつですね。クイーンだけじゃなく雑魚呪霊以外は禁止でいいですよ」

「……いいのか?」

「ええ。それでも勝つのは私たちですので」

 

 夏油は自信満々にそう言い切った。

 

「まぁA組担任としては否定したいが夏油の言うことは最もだ。成績面で言えばA組ではB組に勝てそうもない。最近弛んでいたからちょうどいい薬だな」

 

 相澤は合理的にそう言った。

 

「あと夏油、もし時間が余ったらなんだが……」

 

 ブラドキングは授業時間に余裕ができた場合のことを説明する。

 

「へぇ、それは面白い。私は歓迎しますよ」

「じゃあそういうことで。これで話は終わりだ。そろそろ第一セットを始めるから戻っていいぞ」

 

 ようやく話が終わったところで夏油はチームの元へ戻る。

 

「夏油、話はもういいのかい?」

「ああ。中々愉快な話だったよ」

 

 夏油はさっきのハンデの件を話した。

 

「うわぁ……」

「……ん」

「ハハハハハ!流石だよ!その舐め腐った条件!それでこそ我が友だ!」

 

 物間の十八番の高笑いが響く。周囲も何事かとこちらを見ている。

 

「というわけで私は直々に暴れられるというわけさ。私は前線に出るから指揮は柳、君に任せるよ」

「私?物間じゃなくて?」

 

 柳は自分が指名されたことに驚いている。

 

「君の方がいいだろう。物間は前線でも戦えるが君は後衛だ。それに適性を見ても相応しい」

「そういうことなら。唯もいい?」

「ん」

 

 その後もどう動くか軽く話し合っていると、第一セットが始まる。

 

 

 

※※※

 

 第一セットが始まる前、B組のこのセットの参加者は作戦を話し合っていた。

 

「ここは鱗氏に指揮を執って欲しいですぞ!やはりあなたが一番バランス感覚に優れている」

「そうか?じゃあ俺が指示を出すな。とは言っても近接最強クラスの宍田を軸に円場がサポート、俺が援護して捕獲・運搬が塩崎で行くのがいいと思う。どうだ?」

 

 宍田の推薦を受けて鱗がリーダーシップを発揮する。

 

「いいぜ。それが理に適ってる」

「謀は良くありませんが勝つために悪魔に魂を売りましょう……」

 

 円場と塩崎も同意して作戦は決まった。

 

「じゃあ勝ってB組の勝利に弾みをつけよう!いくぞ!」

 

 

 

※※※

 

 夏油はモニターをニヤニヤしながら見ていた。

 

「宍田の雄姿をしっかり見届けねばね……」

 

 訓練がスタートした。A組の面子はどこか緊張感のない様子で歩いている。口田の索敵を信頼しきっているのだろうか。

 

「そんな無警戒に進んでは……やっぱり来た」

 

 A組の進行方向の影からいきなり宍田が現れて襲撃してきた。腕を払って上鳴を吹き飛ばす。上鳴は吹き飛ばされて壁やパイプに激突する。

 

『一人目……』

 

「おいおい、宍田ってあんなデカかったか?それにパワーもすげえし……」

 

 A組の瀬呂が驚いているが、あれは宍田の個性、ビーストを鍛えた結果の獣化・深度2である。この状態になると、今まで以上にパワー・スピード・五感が強化される。

 

 そのまま宍田の上に乗っていた円場が必殺技を発動させる。口田が透明な箱状のものに囚われた。

このエアプリズン・ダブルは空気を二重にして固めている。

 

 同時に混乱している隙を狙って鱗が蛙吹を狙うが簡単に避けられていた。その後も1対1で戦っている。

 その時切島が宍田を攻撃していたが、効いている様子はなかった。

 

『痒いですなあああ!』

 

 宍田はハイになって叫びながら切島を掴んで地面に何度も叩きつける。そしてボロボロになった切島を見て少し反省する。

 

『ありゃ、やり過ぎてしまいましたな。次……!』

 

 切島を後方の塩崎に放り投げ、次の目標に向かう。その間に塩崎は切島を牢に運んで投獄している。

 

『よっしゃ蹴散らせ宍田!』

『任されましたぞ!』

 

 円場の声がしてそれに応えた宍田の動きが止まる。心操が洗脳したようだ。

 

「心操……やっぱり彼面白いよね。君もそう思うだろう?」

「物間の言う通りだ。いい個性だよ」

 

 だが洗脳の隙も、鱗の雑な攻撃の衝撃で一瞬で解除された。

 

 心操も迎撃しようとするが、円場に拘束される。そして宍田はというと、円場の個性で拘束されていた口田をエアプリズンごと両手を組んで叩き潰した。口田は気絶している。それをさっきより前進していた塩崎に放り投げ、投獄を任せる。

 

 その時円場は最初に吹き飛ばされた上鳴を回収しに行っている。一人で脱出できそうにない心操はエアプリズンから出してから丁寧に後方の塩崎にパス。次戦もある心操に気を遣う余裕があった。

 一方鱗はなおも蛙吹とダラダラ戦って時間を稼いでいる。結果、回収された上鳴とパスされた心操が投獄され、0対4でB組の勝ちだ。

 

『第一セット、我らがB組の勝利!』

 

 ブラドキングの実況で試合は終わった。

 

 

「反省点を述べよ」

 

 相澤はA組生徒にそう言うが、彼らは元気がない。

 

「俺の個性は頑丈さが売りなのに簡単にやられちまった。情けねえ……」

「音を出せないと何もできないのと、簡単に拘束されてしまった……」

「俺、最初にやられていいとこなし……」

「鱗ちゃんに皆と引き離されて何も関われなかったわ」

「動きが遅い。悔しいです」

 

 切島、口田、上鳴、蛙吹、心操の順に答える。

 

「まぁ今回はそれぞれ自覚がありそうだな。相手に一人強力な敵がいるだけで簡単に崩されている。もっと作戦や立ち回りでカバーすべきだった。しっかり反省する事」

 

 相澤は相変わらず厳しい。

 

「にしても宍田やばくない?」

「体育祭で強いのは分かってたけど直接戦った人がウチにはいないから分からなかったわ……」

「あそこまで暴れられると厳しいな……爆豪か緑谷、砂藤あたりなら直接戦えるか……?」

「これ気合入れて行かないとキツイなぁ……」

 

 A組の面々は想定よりもB組が強くて驚いている様子。

 一方B組の一組目はブラドキングに褒められていた。作戦・対応共に高評価だ。

 

 

 続いて第二セットが始まる。

 

「第二セットは心配いらないね。なぜなら……」

「頼りになる委員長がいるからね」

 

 物間と夏油は仲良く観戦している。

 

 始まってすぐ、A組は常闇の黒影(ダークシャドウ)で様子見をしたが逆にそれを利用し、黒色がそれを乗っ取って操り常闇を襲った。そのまま攻撃し続けるかと思いきや青山を連れて行く。

 

「黒色の成長幅は凄いよ。本人も黒に隠れるだけじゃだめだと思って頑張ってたからね」

 

 夏油は彼の頑張りを見ていたからか感慨深い。

 

 常闇が黒の堕天使で黒色を追いかけるが、黒色の条件次第ではB組最速(夏油除く)のスピードには敵わない。しかも微妙に追いつけそうな速さに調節しているのがいやらしい。ついでに青山をぶつけまくって気絶させている。

 黒色はそのまま牢にたどり着く。常闇が深追いしすぎたと気付いた時には近くに拳藤がいた。拳藤が個性を強化して得た新たな技、今までの大拳の倍のサイズにまで大きくした倍大拳で常闇を一撃ノックアウト。そのまま青山と共に投獄された。

 

「やっぱ拳藤は強いな。指揮能力はもちろん、本人が格闘戦に強いのがいいね」

 

 夏油は素直に拳藤の強さに感心する。そして格闘戦強いのは夏油好みであった。

 

 A組が二人捕まったところでB組は新たな一手を打つ。八百万と葉隠の周囲にキノコが生え始めたので。これによって葉隠の位置もバレた。

 そこに吹出のオノマトペの具現化によってA組の二人は寸断される。そのままそれぞれが撃破されて投獄。あっさりB組が勝ってしまった。

 

『第二セット!またもや0対4でB組の勝利!』

 

 こうして第二セットはB組の完勝で終わった。気絶者がいたため講評は行われなかったが、夏油は今回のA組の敗因は常闇の深追いだと考えていた。ただ黒色の速度調節が良かったという事でもある。

 

 

 ステージ移動を兼ねて休憩を挟むこととなった。

 

「B組ヤバくね?強くね?」

「八百万のオペレーションでも歯が立たないとは」

「第二セットは個というよりチームワークにやられた感あったな」

「やっぱ分断されるとキツイね」

「次は轟いるしA組勝つぜ!」

 

 A組はB組が2勝したことに驚いていたが、夏油としては意外でも何でもない。

 

「次は鉄哲たちか……果たしてどうなるか」

「鉄哲は単純だけど骨抜が何とかしてくれるはずさ」

 

 夏油は少し心配するが物間は楽観視している。二人とも鉄哲に対し戦術面の信頼はあまりなかった。

 

 そして第三セットが始まる。始まるや否や、鉄哲がステージを破壊し始めた。

 

「これは……作戦なのかな?」

「鉄哲なりに考えたんだろう。私は応援しているよ。それに被害に目をつぶれば悪くない」

 

 開けたところにいたB組を轟の氷結が襲う。しかしこれは骨抜の個性で簡単に無効化された。そして辺りを適当に柔化したことでA組の位置が続々とバレていく。

 尾白には回原が、飯田には骨抜が対応した。障子の位置も角取にバレて持って行った。その隙に鉄哲が轟に突撃する。

 

「いいね、いいね。僕らの力が存分に出てるよ!」

 

 それを見ていた物間はとても楽しそうだった。

 

 骨抜は飯田のスピード相手には不利と見込んで撤退する。その時鉄哲は轟相手に正面から殴り合いをして優位に立っていた。氷結はそのまま突破する上、炎も効いていない。

 

『氷結?炎?そんなの効かねえぞ!しかもこんな温い炎、気持ちいいくらいだぜ!俺拳ガトリング!』

 

 鉄哲は志村との特訓で得た最高硬度、カチンテツで金属の伸びる性質を利用した連撃を放つ。これまでの鉄哲の硬さをはるかに上回る硬度で放たれた拳は轟の意識を失わせるには十分だった。そのまま轟はなすすべもなく倒れた。

 

「流石は鉄哲。あの特訓が活きてるね」

 

 夏油は素直に感心する。強力な轟を落としたのは大きい。

 

 一方その頃、骨抜に逃げられた飯田は尾白と回原の戦っているところに行き、回原を牢に連れて行こうとした。尾白は回原の相手を飯田に任せて障子の元へ。回原は全身を回転させて抵抗し、飯田は持ち運ぶのに苦戦する。

 

 同じ時、障子は角取と向かい合っていたが攻略できずにいた。お互い勝負を決めようとするが、そこに骨抜が乱入する。骨抜は障子の足元を柔化して拘束した。

 遅れてやって来た尾白だったが、角取の成長した強力な角を前に吹き飛ばされる。そこを骨抜が柔化して拘束した。

 

 一方回原を運ぼうとしていた飯田は想像以上の抵抗に手を焼いていた。正直運ぶのには苦労しないと考えていたのだ。そこに轟を倒した鉄哲がやって来る。

 

『おいおいヴィランよぉ……!大事な仲間に何してくれちゃってんのよ!」

 

 そのまま飯田に襲い掛かる鉄哲。思いもよらない2対1でそのまま飯田はやられてしまう。

 

 結果、気絶した轟・飯田、拘束されて身動きできなくなった障子・尾白が次々投獄された。

 

『第三セット!0対4でB組の勝利!』

 

 またもB組が勝利した。

 

「マジかー……轟でもだめかー」

「というかまだ一人も確保できてなくね?」

「やっぱクラスで訓練してるとかいうのが大きいのかな?」

「連携・戦術・個人技どれをとっても強いな……」

 

 落ち込むA組とは対照的にB組はお祝いムードだった。

 

「アハハハハ!これで僕たちの勝利確定さ!なんて気分が良いんだ!」

「物間じゃないけど私たちの頑張りが結果に出るのは嬉しいね」

 

 拳藤も皆の努力の結果がこうして表れているには喜んでいた。

 

「ここまでは順調だね。というか順調すぎるほどだ。次のセット、キーマンは彼だね……」

 

 そう言う夏油の視線の先には爆豪がいた。

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