【完結】ヒロアカ世界でも猿が嫌いな夏油傑   作:カワニ

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合格発表

 雄英入試を受けて一週間ほどが経った日。夏油は合否通知を受け取っていた。

 

「郵便受けに雄英から来てました。一緒に見ましょう」

「もう来たのか!あの人数が受験したってのにこのスピード。流石は天下の雄英ってことか」

 

 夏油の持ってきた通知を開けると、中に小型の機械が入っていた。

 

「今時は紙じゃないのか?」

「さあ?私もこういうのは初めてです」

 

 志村の問いかけに夏油はそう答えた。

 

『私が投影された!!』

 

「オールマイト?」

「……俊典?どうして……」

 

 夏油と志村、二人とも驚いていた。

 

『結論から言おう。夏油少年、君は合格だ!私が出てきて驚いたかい?なんと4月から雄英で教師を勤めることになったんだ!筆記は合格者の中でも最上位クラス!いやー優秀だね。実技はというと……なんと217ポイント、首席合格だ!素晴らしいね!ただ、もう少し周りのことをフォローできたらもっと良かったかな?レスキューポイントという審査制のポイントがあってね、ヴィランポイントとは別に見ていたんだ。そこは君の課題だね。まぁそれは追々雄英で学んでいこう!合格おめでとう!雄英で待っているよ!』

 

 そこで映像は終わっていた。

 

「菜奈さんの言っていた通り、首席合格でしたね。安心しました。あれ?菜奈さん?」

 

 夏油が志村に声を掛けると彼女は泣いていた。

 

「どうしたんです⁉」

「いや、嬉しいのさ。傑はこれまで苦労してきたんだろう?この家に一人ぼっちで……君が正当に評価されたんだ」

「一人じゃないですよ。あなたがいた。それだけで私は救われました」

 

 夏油はそう答えた。

 

「ふふ、そうか!そう言ってもらえると嬉しいよ!ところで学校にいる間、私は傑から出ちゃいけないのか?」

「授業中はそうでしょうが……休み時間や自主トレ中は出てきても問題なさそうですね」

「だがそうなると知り合いにばれそうだな。死人が蘇ったとなるとAFOが狙いかねない。秘密にした方がいいだろう」

「では顔を隠しますか?体格は一回り大きくなって、髪色も真っ黒から毛先が白のグラデーションに。目の色も黒から淡い青白い光を帯びた色になってますよね?なら鼻から口元にかけて隠せばいいのでは?」

「たしかに……それなら髪型もいじればだいぶ印象を変えられるか」

 

 家の中を探したところ、フェイスベールを発見した。占い師や踊子が着けるような顔を隠すアイテムだ。

 

「コスチュームの申請で装備として菜奈さんの分も頼んでみますから、それまではこれを着けましょう」

「なかなかいいじゃないか。似合うか?」

「よくお似合いですよ」

 

 夏油がそう言うと志村は満足そうだった。

 

「そうだ!今日は合格祝いに私がご馳走を作ってやろう。普段作らせてもらえないからな!」

「いえ、そういうわけには……ご馳走ならせっかくだし外食しませんか?」

「それもいいな!なら着替えてこよう。この格好ではまずい」

 

 そう言って志村は自室に戻った。

 夏油は安堵していた。志村の作る食事は微妙に不味い。全くダメならそれはそれで言いやすいのだが、ショックを受けるかもと思い踏みとどまっている。

 

(最初は利用価値があるだけだったはずだ。だが最近は本当の家族のようにも思ってしまっている。どうしたもんかな……)

 

 志村を利用することには抵抗を覚えていないが、騙すような事には罪悪感を覚えるようになった夏油。

 彼がこれからどう行動していくのかは、誰にもわからない。

 

 

 

※※※

雄英高校side

 

「実技総合成績でました!」

 

 そう言って画面に一般入試実技試験の順位表が画面に映し出された。そこにはズラッと合格者の名前が並ぶ。

 

「とりあえず1位は置いといて、レスキューポイント0で2位とはなあ!1ポイント、2ポイントは標的を捕捉し近寄って来る。後半他が鈍っていく中、派手な個性で寄せ付け迎撃し続けた。タフネスの賜物だ」

 

 そう言って教師の一人は感心する。

 

「対照的にヴィランポイント0で9位。あれに立ち向かったのは過去にもいたけど……ぶっ飛ばしちゃったのは久しく見てないね。まぁ今回ぶった切ったのはいたけど……」

 

 ある教師は誉めながらも恐れをにじませる。

 

「思わずYEA!って言っちゃったからな」

「しかし自身の衝撃で甚大な負傷……まるで発現したての幼児だ」

「妙なやつだよ。あそこ以外はずっと典型的な不合格者だった」

「細けえことはいいんだよ!俺はあいつ気に入ったよ!」

「YEAH!って言っちゃたしな」

 

 その後も合格者について議論する。そして最後に後回しにしていた問題の合格者について話し始める。

 

「それで最後は彼か……夏油傑。個性、呪霊創操術。呪霊という生き物を自在に操る。これを聞いただけではよくわからないが、実際に見ると圧巻だな」

「この……呪霊と言ったか?の量が凄まじいな。一人で多数を制圧できる」

「それに機動力もあるぞ。エイみたいな生き物に乗って移動していた」

「あの小さい目玉は偵察用か?索敵もできるのだな」

「極めつけは0ポイントヴィランを倒した巨大なやつ。あれはなんだ?強すぎないか?」

 

 ここまではその強さを褒める内容であった。

 

「だがヒーロー志望としては人を助ける行動がなかったのは2位の合格者と同様に気になるな」

「0ポイントヴィランを倒しに行ってるじゃないか。十分だろう?むしろどうしてこんなにレスキューポイントが少ないんだ?9位の子よりも圧倒的に少ないぞ」

「それは仕方ないのでは?彼は0ポイントヴィランを暇つぶしのように破壊していた。9位のように助けようという雰囲気ではなかったように思う」

 

 この意見に一同納得したようだった。

 

「それは一理あるな。それに1位は仮想ヴィランがいなくなるまで蹂躙していたが、他の受験生に影響はなかったのか?」

「影響がないとは言えないが、今更やり直すというわけにもいかんだろう。この会場で他にも合格者が出ている以上はな。実力があれば合格できるはずだ」

「気になることは多いが正当に受験して合格したんだ。入学してから直せばいいだろう」

 

 そこからも合格者についての議論は進み、夜遅くなっても終わらなかった。




夏油の影響で物間が緑谷より上位に入ってます。
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