【完結】ヒロアカ世界でも猿が嫌いな夏油傑   作:カワニ

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なんて忙しい日なんだ……


委員長決め・マスコミ騒動・戦闘訓練前

 朝、夏油が登校すると門の周りには多くのマスコミが詰めかけていた。どうやらオールマイトが雄英に勤め始めたことが伝わったらしい。

 

『菜奈さん、これ飛び越えて入っちゃダメですかね?』

『ダメに決まってるだろう?』

『なら菜奈さんの狐火で幻覚作ってくださいよ』

『私はこれでも元ヒーローだぞ?個性の不正使用には厳しくなければならないんだ。諦めてさっさと行こう』

『はぁ……これならもっと早く来るべきだったかな?』

 

 門に近付くと案の定マスコミに囲まれた。

 

「オールマイトが雄英に勤め始めたようですか、教師のオールマイトはどんな様子でした?」

「えーと、私のクラスはまだ授業を受けてないのでなんとも……」

 

 夏油はいつもの朗らかな笑顔で相手をする。だがマスコミも引き下がらない。

 

「じゃあこれからオールマイトの授業のどんなところが楽しみですか?」

「そうですね……これぞナンバーワン!というところを見せて欲しいですね。強いんでしょうね、ナンバーワン」

 

 そう言って不敵な笑みを浮かべる夏油。マスコミはこのコメントに満足したのか、次の獲物を探しに行った。

 

 

 夏油が教室に到着したのは時間ギリギリですぐにブラドキングが教室に入って来た。

 

「早速だが今日は学級委員長を決めてもらう」

 

 ブラドキングの突然の発表に教室が賑やかになる。

 

「学級委員!いいなそれ!」

「やってみてえ!」

 

 そこを拳藤が一喝。

 

「皆!やりたいのは分かるけど、まずは先生の話を聞こう!」

 

 拳藤の発言でクラスが落ち着いたところでブラドキングが話を進める。

 

「あー、まあ決め方は皆に任せる。それと連絡だが今日のヒーロー基礎学は教室に待機していてくれ。担当の教諭がここまで来て説明する。じゃあ委員長決めるがどうする?」

 

 そこで鉄哲が手を上げる。

 

「先生!それって推薦もありですか?なら拳藤がいいと思う!」

 

 それを受けてまた教室が騒がしくなる。

 

「拳藤か、いいんじゃないか?少ししか話してないけどいい奴そうだし」

「リーダーシップあるしな!」

「姉御って感じだし」

「賛成ですぞ!」

 

 拳藤を学級委員長に推す声が広がる。

 

「待て待て、拳藤が良いと言ったらな。拳藤、委員長やるか?」

 

 ブラドキングがクラスを落ち着かせ拳藤に聞く。

 

「そういうことならやらせてもらいます!」

「じゃあ委員長は拳藤に決まりだな。じゃあ後は拳藤進行してくれ」

「はい!じゃあ他の委員会を決めます。立候補ある人は手を上げて……」

 

 他の委員決めに移ったが夏油は特に何も選ばなかった。中学時代は無視されるか面倒事を押し付けられていたから選ぶという選択肢があることに戸惑っていた。

 

「副委員長は男子が良いと思うんだ。男子のまとめ役になって欲しいから。誰か立候補ないか?自薦でも他薦でもいいぞ」

「じゃあ僕は夏油がいいと思う?」

 

 そう言って夏油を推薦してきたのは物間だった。「余計なことを」と思いながら発言する。

 

『物間くん!いいこと言うじゃないか!夏油、チャンスだよ』

『いや、やりませんから……』

 

「申し訳ないが私は辞退させてもらうよ。あまり人をまとめるという質じゃなくてね。私からは骨抜なんかいいと思うけど。物腰や対応が柔軟だ」

「そうか。骨抜はどうだ?やるか?」

「俺でいいのか?ならやりたい」

 

 骨抜はやる気十分のようだ。

 

「骨抜いいじゃん」

「やる気ありそうだしな」

「柔軟さ大事だよね」

 

 というわけで副委員長は骨抜に決まった。夏油としては回避できて一安心だった。

 

 

 その日の昼休み、何となく昨日のメンバーが集結して昼食をとっていた。

 

「拳藤、委員長就任おめでとう」

 

 夏油は本心からそう言ったが拳藤は納得いってなさそうだ。

 

「私が委員長なのはまぁ置いといて、なんで副委員長引き受けなかったんだよ」

「理由は二つあってね、一つは単純に私が人の上に立つのに相応しくないということ。昔組織を崩壊させて責任取れずじまい。二つ目はトレーニングに集中したいのさ。私は強くならなければならないのでね」

「ふーん……まぁお前がそう言うなら仕方ないか。そうだ!物間は何で私を推薦したんだ?」

「そりゃ拳藤、僕が君に捕まらないためさ。委員長で全員を見る必要ができたら僕に構う余裕がなくなるだろう?」

「そんな理由かよ!どういう風の吹き回しかと思ったら……」

「でも一佳あってると思うよ」

「ありがとう、レイ子」

 

 夏油は名前で呼び合っているのを聞いて懐かしく思った。

 

「私たちも名前で呼び合うかい?物間、宍田、鉄哲」

 

 そう3人に問いかけた夏油。

 

「想像したらなんか気持ち悪いから僕は名字のままで」

「夏油氏の呼びやすい方で良いですぞ」

「俺どっちでも発音変わらねぇ……」

 

 一名落ち込んでいるが夏油はこのままの呼び名で呼ぶことにした。

 

『私には家族だから名前で呼べって言ってたのにこいつらはいいのか?』

『あなたは私にとって家族以上の存在になった。B組はいい奴らばかりですがそこは同じじゃない』

『ふーん。そう言ってもらえるのは嬉しいね。死んだ私には君しかいないから』

『私にとってもあなたは唯一無二です。同じですね。フフフッ』

 

 静かに笑っている夏油を周りは不思議そうに見ていた。

 

 その時、警報が鳴り響く。

 

「なんだあ⁉」

「この音ウラメシイ」

「耳がキーンとなりましたぞ」

「皆落ち着いて!とりあえず何が起きてるのか確認しないと。夏油、頼めるか?」

 

 拳藤が落ち着かせ、夏油を頼る。

 

「お任せあれ」

 

 夏油は10体ほどのガンちゃんを周囲に飛ばす。

 

「うーん……見た感じマスコミだね。どうやら朝からいたマスコミが我慢できずに入ってきたようだ」

「なんだよ、マスコミかよ!こっちは食事中だってのによ!」

「そう怒らないで下さい、鉄哲氏。むしろ良かったのでは?ヴィランだったらただ事では済まなかったですぞ?」

「そうだよ、鉄哲。ほら拳藤と夏油なんてもう食べ始めてるぞ」

「なにっ!俺も食べなきゃ!午後は体動かしそうだからな」

 

 彼らが喋っている間に混乱していた場はいつの間にか収まっていた。

 

 

 午後の授業の時間がやって来た。1年B組の今日の午後はヒーロー基礎学だった。

 

「わーたーしーがー!!普通にドアから来た!!」

 

 そこに現れたのはナンバーワンヒーロー、オールマイトだった。オールマイトがこの授業を受け持ってくれるらしい。

 

「早速だが今日はこれ!戦闘訓練!!そしてそいつに伴って……こちら!入学前に送ってもらった「個性届」と「要望書」に沿ってあつらえた……コスチューム!!」

 

 コスチュームを着れるとあって場が盛り上がる。

 

「着替えたら順次グラウンドβに集まるんだ!」

 

 オールマイトの指示に返事をしてから、各々更衣室に移動する。

 

 更衣室で早速ケースを開けて中を確認すると、要望したものが入っていた。

 夏油のコスチュームは前世の恰好と同じで藍色の僧衣と五条袈裟だ。足元も含めて和が前面に出ている。ついでに頼んだ三節棍も格納呪霊に入れておく。

 夏油はいくつかの物に呪力を纏わせて虚空に入れていた。近くにいた黒色が気になったのか尋ねる。

 

「夏油……それは何してるんだ?」

「ああ、これはね、呪霊にもコスチュームが必要だと思ってね」

「それは昨日夏油氏を補助していた女性のことですかな?」

 

 宍田も会話に参加してきた。

 

「そうそう。彼女は家族みたいな存在でコスチュームを用意してあげたいと思ったんだよ。要望書に出したらオッケー貰えてね。おっ着替え終わったみたいだ」

 

『傑、これ間違えてないか⁉』

『ん?サイズが合わないかい?』

『いや、これはもっと若い人とかがやるような……』

『何言ってんですか、菜奈さんの肉体はまだ1歳ちょっとでしょう?』

『わざと言ってるだろう⁉心の話だ、心の!』

『それだって30代じゃないですか十分若いですって』

 

「皆、彼女は恥ずかしいみたいだから先に行っててくれ」

 

 夏油たちの様子を伺っていた何人かに先に行くよう促す。更衣室には夏油のみとなった。

 

『出るけど、笑うなよ?』

『笑いませんよ。当たり前でしょう?』

 

 その志村の姿は見慣れているはずの夏油もハッとするほど美しかった。

 上半身は筋肉質でありながらも女性らしい体のラインにぴったりした戦闘着。それは深めのV字カットが入った黒と白を基調としたノースリーブの羽織型ボディスーツだった。着物の打ち合わせを意識した斜め重ねの構造をしている。

 

 手には肘までの黒の革手袋。腕から熱を放出する可能性が高いので防火性が高いものを。

 肩掛けの黒マントは生前と同様の構成を踏襲している。マントで周囲に火が飛び散らないようにしている。

 帯は赤で狐火の模様の装飾が入っている。

 

 下半身はボディスーツと続いたスリット入りのスカートだ。色は黒と白で腿上まで深くスリットが入り、丈はくるぶし手前まであり動くたびに揺れる。

 足元には草履風のショートブーツ。和装モチーフながら戦闘用に補強されている。

 耳飾りには狐を模した装飾を、髪には髪飾りに簪をつけて髪を留めている。

 最後に狐面を装着すれば志村の衣装の出来上がりだ。

 

 全体的に生前の志村のコスチュームを踏襲しつつ、夏油と今の能力に合わせて和装っぽくした衣装になっていた。耐熱に関してもばっちりだった。

 

「どうだ?なにか言わないのか?」

「とてもお似合いです。綺麗すぎてびっくりしましたよ。言葉が出なかったです。それをヴィランに見せるのは惜しいですね」

「全くお前は本当に口が上手いな。でも褒められて悪い気はしない。ただちょっと恥ずかしいな。熱を逃がすためなんだろうけど露出が多い」

「でも前とそんなに変わらなくないです?胸元と脚くらいですか?」

「うーん……それでも気になるんだ。しばらくお前の中に隠れておく!」

 

 そう言って志村は夏油の中に戻った。

 

「訓練が始まったら出てきてくださいよ」

『わかってる!』

「ならいいですけど……」

 

 夏油は急ぎ足でグラウンドに行く道中、ちょうどB組女子がやって来るところだった。

 

「皆似合ってるじゃないか。ヒーローらしいよ」

「そういう夏油もかっこいいよ。なんか宗教っぽいけど」

「信じる神が違っても同じヒーローを志す身、切磋琢磨していきましょう」

「夏油の衣装ちょっと怖め」

「そーお?けっこうイケてると思うけどね。顔がいいからかな?」

「私もソゥオモイマァス。ジャパニーズ神父ステキデース!」

「強そうノコ」

 

 意外にも夏油の衣装は女性陣に受けが良かった。

 

「そう褒められても返せるものがないな。これは困ったな」

 

 喋りながらも既に男子が集合しているところに到着した。そこにはもうオールマイトがいた。

 

「これで全員来たかな?さぁ始めようか、有精卵ども!!戦闘訓練のお時間だ!!」

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