過去の話だがここの世界での私の生まれは、今住んでいる場所から遠く離れたシャロンという国であった。距離的にはここを沖縄とすると故郷は北海道くらい離れてる。多分。もしかすると九州から東北くらいかもしれない。うん、どっちにしろ近くはないな。
雪がよく降る寒い国。幼かった私にはそんな印象が強い。
何故そんな遠くからこちらに来たかというのはさておくとして、私が住んでいた場所はまぁ辺鄙で閑散としたところで。山の木を掻き分け、人除けの魔法を乗り越えて、さらに徘徊する使い魔のゴーレムから逃げてようやく辿り着くような場所にあった。当然周囲に他の家はなく、近くの町や村に行くのでさえ一苦労な程だった。あれ?少しニュアンスが違うか。この場合は向こうからこっちに来る方が困難だ。
子どもの頃は『そんなもんか』と気にせずに、絶妙に尖ったカッコ良い木の棒を持って山を駆け回っていたが、今思うと敢えて人から離れて暮らしていたんだろうなぁ。それが私たち親子にとっても、他の人たちにとってもお互いに利のあることだから。
私たちは静かに暮らしたいし要らぬちょっかいをかけられたくない。向こうも心穏やかに暮らしたいし余計な怒りを買いたくない。ならまぁ、距離を離しておくのがいいのだろう。もしもこちらに用があるなら相手が出向いてくるだけだ。辿り着けるかどうかは別として。
ただ色々ひっくるめても結局今も『そんなもんか』である。いやはや、私はともかく母はいい性格してるからな。家に泥棒に入ってくるような気概のある奴を簀巻きにしてゴーレムに町まで運ばせてたし。ご丁寧に顔に落書きまでして。自由奔放な魔女だ。あまり近づきたくないのも頷ける。
………………まぁ、そのおかげか故郷にいた当時は全くと言っていい程に人間の友人はいなかった。いや、近所の家という存在自体がないから仕方ないのだが。
兄弟姉妹もおらず、遊ぶ相手は母の使い魔かその辺にいる動物だけだった。それらを連れだって走り回ったのは良い思い出ではあるものの、やっぱり人間の友人も欲しかったなぁって。
だから故郷を離れてからここで初めて人間の友人ができた時は嬉しかったなぁ。しかも同郷ときた。同郷と言ってもこの世界の、ではもちろんないが。
私も一念発起して道具屋を開いてみて心細かったし。お客は来ないわ、暇だわ、よくわからない邪神が復活したとかで皆して暗い顔していたし。こんな状況が続くのにも嫌気が差してきたわけで。その友人に誘われるまま、冒険を始めた。
うん、まぁ世間一般有り体に言えば英雄譚だ。勇者と魔法使いが邪神を倒すまでの物語。一つを除いてめでたしめでたしで終わった物語。
………………私にとってはただのお人好しとただの道具屋の二人旅。私は一緒にいられればそれで十分だった。
「師匠っておいくつ何ですか?」
「………………………………何歳に見える?」
道具屋を閉めた後の夜。私たちは肩を並べて事務仕事をしていたわけだが。帳簿を合わせているアンナのふとした瞬間に飛び出た素朴で率直な疑問に対し、逆に面倒くさいと思われても仕方ない返しをした。いつもはしないよ?でもね、私は今、魔法協会から送られてきた古代魔法に関する論文の精査をさせられているのだ。その数なんと………………どのくらいあるんだろうね。箱いっぱいに詰めて送られてきてるからわかんにゃい。笑える。いや笑えない。頭おかしくなりそう。査読なんかは自分たちでやってくれ……!
アンナは作業の手を止め、ペンを口元に当てて数秒考える仕草をとる。私の掟破りの面倒くさい質問返しに意外にもちゃんと考えてくれているのだろうか。なんだか悪いことしちゃったな。
「えっと、何歳に見えるかって聞かれたら私と同じか……少し下くらい?失礼かもしれませんが歳上には全く、これっぽっちも見えません」
アンナはためらいつつ、それでいて噓偽りなく直球で答える。眉を八の字にして申し訳なさそうな困り顔でそこまで言えるのは立派である。流石は私の弟子だ。将来大物になるぞ~!
それはそれとして、アンナの言わんとすることはまぁそうだろうなと自分自身でも納得だ。私は童顔寄りで、背は……特別低いわけではないと個人的に思うけど……あまり伸びなかった。母は背が高いのだからもっと伸びる……!!と確信していたのだが、育つ部分は選べないのだなぁ。
敢えて比較するなら、隣で歩くとアンナの方がお姉さんに見えるはずだ。私から醸し出る大人の威厳は残念ながら見た目ではなかなか判断できないのである。こればかりは母方の長命種の血が混ざっているのが原因だ。父は純粋な人間だったらしいが……生きている父と会うことはなかったから本当かどうか真相は闇の中だ。
「そんなに若く見られると少し照れる。もしかすると学生集団に混じっても気づかれないかもしれないな」
「何を当然なことを。いつもの服装をやめれば溶け込むのなんて……………………あ、すみません。溶け込むのは色んな意味で難しいですね。注目を集めちゃう」
「あはは!流石に無理か!」
どんなに童顔だったとしても、私から溢れ出る大人力は隠せないのだ。大人powerはな、身から湧き出るものなのだから。それに若い集団の中で、年齢がかなり上の異分子なぞすぐに見つかって一人ぽつんとだ。先生役なら違和感がないだろうがな。
「まーた斜め上の勘違いをしてる気配が……まぁでも」
「でも?」
「実際の年齢は相当上ですよね?大通りのパン屋のおばさんが『私の小さい頃から全く変わってないねぇ』って笑って言ってましたよ」
「………………………………うん!そうだな。あっ!そろそろ仕事しなきゃだ!」
「………………えっ。今の流れでそうなります?答えは?」
ちっ。全く誤魔化せなかった。観念してがたがたと椅子をアンナの方へ向け、いそいそと座り直す。
「具体的な数字は言わないぞ?大体の年齢を自分で絞り込んでくれ」
「え、あ、はい。わかりました」
あまりの年齢に引かれるのはちょっとなぁ。だからそれとなく想像できる情報を与えるとしよう。
「まず私が生まれたのはシャロンって国だ。多分、国名くらいは歴史の授業で習ったことがあるんじゃないかな」
「シャロン……?あぁ!聞いたことあります!あれ?今はそこって」
「私たちが住んでいるこの国、アールドの一部になったのは九十年と少し前になる。シャロンはもう国としては存在していないな」
アールドは世界最大の領土を持つ大国だ。しかしそうなったのはここ百年程の間であり、私が野山を走り回っていた子どもの頃は現在の領土の七割程度の大きさだったと記憶している。
シャロンはそのアールドに吸収された多くの国の一つで、一番最後に併合された小さな国であった。大陸の端っこに位置する国だったから最後になったのだろう。
……私の目から見てもシャロンはあのまま先細りするしかない運命にあった。主要な交易品の純度の高い魔結晶や宝石は採掘され尽くし、追い打ちをかけるように危険度の異様に高いダンジョンの出現も重なった。それはやはり致命的だったのは言うまでもない。
王族が特殊な神を信仰する閉ざされた国。神秘的な国を開くのを嫌がる者もいたが、大半は仕方ないと思っていたはずだ……関係のない話だな。
「私はシャロンが辛うじて国として維持できていた時代に子どもだった。これで大体の年齢は予想できるんじゃないか?」
「ふぅん、じゃあ師匠は少なくとも90歳以上ってことですか……で、どんなに大雑把に予想しても120歳はいかないくらいと……うーん!思ったよりは若いなって感じです!」
アンナは大した驚きもなくそう言った。私としては『そんなに!?』のような反応をちょっと期待してたんだけど。
それよりも思ったより若い……?若い!?若いって何?思わずアンナの顔をまじまじと見てしまう。
「どう考えても100は超えてんだぞ?嘘だろ……?どれくらいだと想像してたんだ……?」
「400とかそれ以上の年齢かと思っていたので……予想は全く超えなかったというか。むしろ下回りましたね」
「はぁ!?400!?そ、そこまでは歳重ねてないもん!」
私を何だと思ってるんだよ!
昨日、弟子に400歳くらいだと思われていたアイテム置き屋さんです……まぁあの後、100歳超えてるのならそれ以上は誤差なのでは?と言われて確かに……!と納得したけれど。一定のラインを超えるとどうでもよくなる現象だ。またの名は諦観。生きている限り増える数を憂うのは疲れるのみ。
それによくよく振り返ってみれば、実年齢の数倍ということはだ。アンナから見て私は実質400歳くらいの威厳があるのに他ならない。わかる人にはわかるのだ。玄人好みだな。知られざる名店だな。自分でも何言ってるか意味わからないなこれ。
はい!そんなデリケートな部分はとりあえずね、どうでもいいことなんでね。今日はこれを置くことにする。ユニコーンの角!を削った粉末!角自体はめちゃくちゃ大きいってことはないけど、細長いのでそのまま宝箱に入れてしまうと収まりが悪いからな!大丈夫!粉末にしても効果は変わらないどころか作業工程を一つ省ける!何にしても角の状態のままで使うことなんてないし。
ユニコーンの角は滋養強壮、長寿の薬の素である。例えば粉末状にして一つまみ飲み物に入れる。それだけで一日中疲れ知らずにどこまでも走っていける程だ。あと精力剤代わりにもなる。一晩中盛れるらしいぞ!つまりはとんでもなく元気になるってわけなのだ!ヤバそう。
一般的にユニコーンの角は、市場に出回っているほぼ全てが偽物な程にすっごい貴重なんだが、アイテム置き屋さん奮発しちゃうぞ!値段が付けづらいから道具屋に並べにくいって理由もあるけどね!
欲しいなぁーってなったら町の近くの森にいるユニコーンから貰ってくるし!どうやってかって?リンゴと交換だ!!やっぱりユニコーンも元を辿れば恐らく馬だからリンゴが好きなんだなぁ。
ちなみにユニコーンは詳しい生態が判明してないうえに、普段は滅多に人前に出てこないらしいけれど一人で森に行って薬草採集してる時になんかいた。私が探していた薬草をハムハムしてた。幻獣って呼ばれていても意外とその辺にいるし、景気よく背中にも乗せてくれる。角で突き刺してきて凶暴だとかなんとかのイメージは私たちが勝手に投影してるだけなんだろう。だって私が出会ったユニコーンはとても人懐っこい。
じゃあユニコーンの角クン!よろしくぅ!『貴重な物なんでね。良い場所選べよ』なんだこいつ偉そうだな。
さてさてさて!!今回はどこに行くかはもう決めてるんだぁ。ユニコーンの角が一番輝ける場所ってどこだろうな?って頭を悩ませてたんだけどね?ダンジョンではないよ!アイテム置き屋さんにとってはダンジョンみたいなものだけど。
うん!そうだね!娼館だね!『なんで?ねぇなんで?』
「でっかぁ」
町の裏路地を抜けた先にある娼館の前にアイテム置き屋さんはいる。数ある娼館の中でも一番大きいところを選んだ。理由は夢は大きい方がいいのと同じで、娼館も大きい方が多分いい。知らないけど。
煌びやかな看板、見上げる程に大きい建物、出てくる人たちもなんだか幸せそう。うんうん!これはユニコーンの角クンの置き甲斐があるな!必要な人が多そうだ!気分上々、意気揚々と扉を開け放つ!
「はいはい。いらっしゃーい」
「こんばんは!お世話になってます!アイテム置き屋さんです!アイテム置きに来ましたー!入りますねー!」
「あ、はーい。どうぞー」
受付の人に元気よく挨拶し、早歩きで侵入する。こういうのは勢いで堂々と行くのが正解。挙動不審にすると侵入リスクが格段に上がってしまう。何でもない顔で進むべきである。
「………………ん?アイテム……なんて?何屋さん??」
「アイテム置き屋さんです!!お邪魔します!それでは!」
「警備の人ー!あのふざけた格好した坊や捕まえてー!不法侵入ー!」
その後筋肉モリモリの警備の人に事務所に連れてかれた。で、椅子に座らせられているってわけ。いやぁ捕まっちゃいました。
ここの警備の人たち、皆足はっや!統率も取れていてあっという間に囲まれてしまった。流石は高級娼館。セキュリティもしっかりしてるんだなぁ。勉強になったぞ。
逃げられるかって?愚問!話し合いでなんとかなる。穏便にできるならそれが最善である。アイテム置き道とは力に任せるものではないのでね。美しくも素朴な土下座、見せてやるよ。ダメなら……まぁ……魔法でどうとでもなる!
「色々と言いたいことあるんだけどね。興味があるのは仕方ないとして、それでも子どもがここに来ちゃダメ。大人の遊び場なのよ。わかる?」
用心棒とかそんな様子の黒服を後ろに並ばせ、煙草をふかしながら諭すようにそう言うのは黒髪を腰まで伸ばした妙齢の女性だ。大きくふかふかな黒いソファにどっかりと腰を下ろし、威圧感たっぷりにこちらを見やる姿からは上に立つ人間の雰囲気が漂っている。女主人とかそんなところだろう。若いのにすごい。
だが!ここで会話の主導権を取られるわけにはいかない。なぜなら既に向こうに有利なフィールドが展開されてるのだ。第一にして最大の理由として、そもそもこちらに非がある。言い訳のしようがない。
お客でも何でもないただの一般アイテム置き屋さんが、それはもう何食わぬ顔で『アイテムを置かせてください』と世迷い事を宣いながら侵入しようとしたのだ。同じ立場であれば普通に恐怖だ。
ただアイテム置き屋さんに追い風があるとすれば、相手はこちらを子どもだと思っていることだ。この事務所内の現在の空気は『少し脅かして早く帰らせようねー』くらいのもので、特段ギスギスしていない。これからの会話次第ではあるのだが……だからどうにか屁理屈をこねて少しでも有利な状況を作る……!そして目的であるアイテム置きを完遂する……!ユニコーンの角クン!任せてくれよ!『もう置かなくてもいいんじゃない?』何言ってんだよ!何のためにここまで来たと思ってるんだ!任務は遂行するから平気だってぇ。
まずは小粋なトークからだな!
「ふっふっふ。子どもではありませんよ。アイテム置き屋さんです。以後お見知りおきを」
「……今の状況で、その服装と同じくらい馬鹿馬鹿しい冗談を言えるのは大したものね。目元の仮面と帽子くらいは外しなさいよ」
まずは上々の反応だな。畳み掛けるぞ!
「普段はダンジョンを中心にアイテムを置いているんですけどね?たまには気分転換も兼ねて違う場所に置きたいなと思いまして……この娼館を選ばせていただきました!あ、これが置く予定だったものです!」
ユニコーンの角クン(粉末)が入っている小さな宝箱をハットから取り出して、目の前で眉間に皺を寄せている女主人に見せてあげる。取り出した瞬間に周囲がざわざわと警戒し始めたようだが、危ないものではないよ?むしろ体に良いものだから安心してくれ!
「……ちっ……はぁ……全く反省してないのなら、今すぐ衛兵に引き渡してもいいのだけど。お店としてはそれでも構わないのよ。別に」
…………めちゃくちゃ冷たい目だ。しかも舌打ちまでされた!あと『別に』からひしひしと伝わってくる、『どうでもいいけどお前の命運はこっちが握ってるんだぞ?』の圧が強い。出会って間もないが多分この人はマジでやるぞ……でも一つ反論させてもらえるのなら、タキシード姿は似合ってると自分では思ってる!真剣に着てるから馬鹿馬鹿しくはないはずだ!火に油を注ぐだけなので言わないけど!
「あのぉ……怒ってます?」
でも一応聞いとくか………
「そうねぇ……とりあえず身ぐるみ剝いでから突き出されるのと、ちょっと痛い目に遭ってから突き出されるの……どっちがいい?選ばせてあげる」
………………………………あー、うん。怒ってます。無理です。無駄な抵抗はやめましょう。お気に入りの黒いハットを外し、流れるような動作で地べたにぺたんと正座する。この服で正座ってどこか破れちゃいそうだな。実際、タキシードパンツの太ももとお尻のあたりがぎちぎちと『破れちゃうよー』と悲鳴を上げている。
ふっ………この姿でやるのは初めてだ。いつもの服装ならばなら程よくゆったりしているんだが……首と肩をコキっと鳴らして準備をする。もしもの時のために最近は部屋の中でも練習してきてるんだからな。以前より上手くできると思うぞ!
「ごめんなさい!!衛兵に突き出すのだけは勘弁してください!悪意だけはないんです!!」
前方向の床へしっかりと付けた手、下品なくらいに大袈裟に下げた頭、縮こまって緩やかに丸めた背中……これが答えだ。アイテム置き屋さんが出せる全力の謝罪である。
「えぇ、やめなさいよ……そこまでは求めてないわよ……子どもにそんなのされると私が悪いみたいじゃない……さっきのは少し脅かすための嘘だから安心しなさいって」
顔は見えないけれどドン引きしている声が上から降ってくる。謝罪においてはどれだけ相手を引かせるかが肝要となる。要は怒りよりも大きい感情を持たせることができれば勝ちなのだ。謝罪で勝ち負けとかある?と冷静になっては当然いけない。帰ってから思い出すとベッドでバタバタしたくなるのは秘密だ。
「いえ!!!やめません!!!許してくれと自分勝手は言いません!!!」
「今もかなり自分勝手な感じだけど!?」
その後もなんやかんや説教された。『この辺は治安も良くないんだから』とか『誰かに命令されたの?』とか『保護者はいないのか』とか。その全てに対して変なことは言わず微笑んでおいた。
「ま、入り込もうとしただけで特に被害はないし、子どものすることだから一回は見逃してあげる。二回目はないからそのつもりでね?これに懲りたら悪戯も程々にしなさいよ?」
「ありがとうございます!!でも悪戯ではないです!真剣にやってます!!」
「はいはい。もう夜も遅くなってるんだから家に帰りなさい。もし来るんなら大きくなってお客として……」
「そうだ!お詫びの印を込めてこの宝箱置いていきますので!中身はご自由にどうぞ!それではさよなら!」
「は?」
さっきまで座っていた椅子の上に宝箱を置き、稲妻のような速さで事務所から飛び出す。安全策で煙幕玉も一つだけ使っておこう。へ!油断したなぁ!アイテム置き完了だ!甘い甘い!町に新しくできたお菓子屋さんの蜂蜜たっぷりのパンケーキより甘いぜ!あばよ!
五日後、裏路地の道具屋にて。
「夜に来るのは珍しいじゃない。変な奴に声掛けられなかった?」
「家から箒で直接飛んできたから平気。でも……外、大賑わいだな。お祭りでも開催してるのか?」
「ううん、ちょっと違うんだよねぇ。ここらで一番大きな娼館が大盛り上がりしてるから」
「…………あぁ、あそこかぁ」
「お客さんに出した試供品の精力剤がすごっい効き目らしくてねー。皆、いつも以上にあの娼館に行ってるってわけ。噂じゃあのユニコーンの角で作ったものらしいのよ!」
「ぁ……もしかしてそのせいでここの精力剤、売れてないとか?」
「へ?まぁ少しは売上下がったけどさー、どうせ一時的なものだしね。すぐに元通りなると思うよ」
「ふぅん…………じゃあ多少は余ってるってことか。ここにある精力剤全部買ってもいい?調合に使いたい」
「おっ!いいのー?そこそこ余ってるのはそうなんだよねー。毎度あり~!」
………………………………アイテム置き屋さんは調合はそこまで得意ではない!それに調合する予定もない!!では何故買ったのかって?いや、自分が置いていったアイテムのせいで売上が下がったと思うと、罪悪感がね……?貴重なアイテムを置く場合は気をつけよう!
・アイテム置き屋さん
この世界では110歳。見た目は100年近く変わっていないが、背はもっと欲しかった。
他店の媚薬とか精力剤とかの売れ行きを見ると『効果はあるんだ……!』と感慨深い。
・アンナ
17歳。たまに自分が何の弟子だっけ?と忘れそうになる。明るい髪色で笑顔が素敵。
たくさんの精力剤を買ってきた師匠を『なんで……?』と呆れている。
・娼館の女主人
27歳。威圧感を持って働かないと、仕事柄舐められるしなぁ……と考えている。
よくわからない子どもが置いていったのが本物のユニコーンの角だったのが怖い。
・ユニコーン
200歳。精霊に近い存在であり、条件を満たさないと姿を見せないようにしている。
リンゴも好きだがニンジンも好き。あと森に生えてる薬草の苦みも好き。