混血のカレコレとLost evolution   作:Ks5118

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第一期 第三章 フェーズ3
No.12 古き友と因縁の敵との再会〈修正版〉


 カゲチヨside

 

 旅行から帰ってきて一週間が経ったある日、俺たちの元に一通の依頼が届いた。封筒を開けると、簡潔ながらも妙に重みのある文章が書かれていた。

 

「この壺を、とある組織から守って頂きたいのです」

 

 俺は眉を寄せて訊ねた。

 

「とある組織……?」

 

 依頼人は少し考えてから答えた。

 

「はい、トッププレデターという組織です」

 

 その名前を耳にした瞬間、俺は思わず大声を出し立ち上がってしまった。依頼人はびっくりして後ずさる。

 

「す、すみません。思わぬ名前を聞いてしまって」

 

 俺が謝ると、依頼人は柔らかく笑い、許してくれた。

 

「いえいえ、構いませんよ。それで、この壺にはとある悪魔が封印されていました」

 

「とある悪魔……?」

 

 悪魔の話に興味が湧いた俺は、少し身を乗り出して訊いた。

 

「はい。その名も双角王ボティスと言いました。ソロモン七十二柱にも名を連ねる、途轍もなく強力な悪魔です」

 

 それを聞いたシディが首を傾げる。

 

「ソロモン七十二柱? それってホルモンの親戚か?」

 

 俺は思わず吹き出しそうになったが、ぐっと堪えて説明する。

 

「違うって。ソロモン七十二柱ってのは、悪魔の王サタンが傘下に加えた七十二体の悪魔のこと。どの悪魔も途轍もない力を持っていて、人々はその力を恐れた。そこでソロモンっていう偉人に頼み、封印してもらったんだ」

 

 シディはまだ理解できないようで首をかしげる。

 

「つまり、どういうことだ?」

 

 依頼人が間に入り、簡単にまとめてくれた。

 

「悪魔の中でも強いやつってことです」

 

 俺は小さく頷いた。その説明だけで大体のイメージが掴める。

 

 桐斗side

 

 旅行から帰ってきて一週間、俺の店に久しぶりの客が訪れた。その人物は、まさかの顔ぶれだ。

 

「ほう、お前が来るとは珍しいな、〈アヌビス〉」

 

「ふん、そう言うお前こそ、店を始めてまでわざわざ宝を自慢しに来るのが面倒じゃないのか」

 

 俺は笑った。久々に会えた友人に、つい嬉しさを隠せない。

 

「せっかく来たんだ。何か頼みか?」

 

 アヌビスは首を振る。

 

「いや、今回はお前の力を貸してほしくてな」

 

 俺は少し驚きながらも、にやりと笑った。

 

 [そんなこと言うのは珍しいな。エジプトの神が俺に相談か]

 

「お前が力を貸してほしいって珍しいな。エジプトの神が俺に相談って……」

 

 アヌビスは少し沈んだ表情で言った。

 

「実はな、俺の宝が誰かに盗まれたんだ」

 

 俺は思わず心の中で突っ込む。

 

 [アヌビスの宝を盗むなんて、相当馬鹿な奴だな]

 

 そして彼が口にした名前に、俺は思わず眉をひそめた。

 

「盗んだのはトッププレデターという組織だ。お前もその組織について探していただろう。それで協力を頼みに来た」

 

 俺は深く頷いた。

 

「良いだろう。ようやく手掛かりを見つけたんだ。そいつから組織についてたっぷり聞かせてもらおう」

 

 閉店準備を済ませ、俺はアヌビスに訊く。

 

「二手に分かれるぞ。お前はお前で探してこい。それと、盗まれたものって何だ?」

 

 アヌビスは少し息を吐いて答える。

 

「悪魔が封印された壺だよ。中にはソロモン七十二柱の一体が封印されている」

 

 俺は少し笑って言った。

 

「この騒動が終わったら、また宝の話を聞かせてくれよ」

 

 カレコレ屋に着くと、カゲチヨたちはシディにソロモン七十二柱の話をしていた。シディはまだ理解していない様子だ。

 

「悪魔の中でも強い奴ってことだよ」

 

 カゲチヨたちは俺の方を見て、カゲチヨが口を開いた。

 

「おやっさん、この後連絡しようと思っていたんですが、今回の依頼はトッププレデターが関わっているようで……」

 

 俺は手を振って遮った。

 

「俺も昔の友人から壺のことを聞いた。それにもトッププレデターが絡んでいる。ところで、なぜお前がその壺を持っているんだ?」

 

 依頼人は少し気まずそうに答えた。

 

「これはトッププレデターが持っていたもので、その組織がこの壺には悪魔が封印されていると言っていました」

 

 俺は眉をひそめる。

 

「じゃあ、なぜ封印されているのが双角王ボティスだと知っている?」

 

「それも組織の者が教えてくれたんです」

 

 俺は頷いた。

 

「じゃあ、俺が預かってやろう。元の持ち主の知り合いだから、ついでに返してやる」

 

 依頼人は困った顔で言った。

 

「それは困ります。これは私たちと友人の努力で手に入れた物です。元の持ち主が返せと言っても返せません」

 

 カゲチヨも呟く。

 

「確かに、いくらおやっさんの友人でも、悪魔が封印されている壺を持ってるのはおかしいだろ」

 

 俺はため息をつく。

 

「盗んだトッププレデターも馬鹿だが、持ち主に返さないやつもおかしい。お前たちも変だろ」

 

 カゲチヨは興味深げに聞く。

 

「おやっさんでも戦いたくない相手って、どんな奴なんだ?」

 

 依頼人は言った。

 

「元の持ち主が何を言おうと、今は私たちのものです。指定の場所まで壺を運んでください。依頼料は相応に払います」

 

 俺は慎重に発信機と通信を確認し、カゲチヨたちに聞いた。

 

「その壺、どうする?」

 

 カゲチヨは決意を込めて答える。

 

「俺はこの依頼を受けようと思う」

 

 ヒサメが小さな声で聞く。

 

「カゲ?」

 

「せっかく手に入れた手掛かりを、みすみす逃すわけにはいかないんだ」

 

 俺は呆れつつも理解した。

 

「はぁー、それで良い」

 

 準備を整え、合流地点へ向かう途中、二人の男に止められた。

 

「待ちな、その手に持っている物を置いていけ。素直に渡せば痛い目には遭わない」

 

 金髪に赤いメッシュの角が生えた男と、黒髪で眼鏡をかけた左角の男だ。

 

「自己紹介してやる。俺がサトウ、こっちはスズキだ。よろしくな」

 

 スズキが言う。

 

「サトウ、余計なことは言わずに任務を遂行しろ」

 

 突然、スズキが俺の前に現れたが、フィーアが攻撃を防いでくれた。

 

「あなたたちは、欠番ですね」

 

 スズキは答える。

 

「そうだ、俺はお前たちを倒してトッププレデター内での順位を上げる」

 

 フィーアが毅然と返す。

 

「良いでしょう。あなたの相手は私がする」

 

 スズキとフィーアは目に見えない速度で交戦し、その場から離れていった。

 

 アーシとカンナもそれぞれの相手を引き受け、俺たちは合流地点に向かう。

 

 到着すると、そこにはケモ耳の少年と、全身が薄紫で所々ワインレッドの異形の存在がいた。その隣にも同じくケモ耳の少年がいた。

 

「お前たち、その壺を返せ」

 

 俺は落ち着いて尋ねる。

 

「その前に二つ聞かせてくれ。まず、ここにいた人たちはどこに行った?」

 

 少年は答える。

 

「そんな奴、元々ここには居なかった」

 

 俺は眉をひそめる。

 

「それじゃ二つ目、お前たちは何者だ?」

 

 少年は真っ直ぐに俺を見て答えた。

 

「俺はアヌビス、エジプトの罪人を裁く神だ」

 

 俺は思わず吹き出す。

 

「ぶっはっはっふ、お前が神様?」

 

 少年は目を見開き、怒りの色を見せる。

 

「お前、俺を馬鹿にしてるのか?」

 

 俺は肩をすくめて笑った。

 

「だってお前みたいな餓鬼が神様なんて、誰が信じるんだよ」

 

 その瞬間、少年は俺たちの目の前に瞬間移動して立っていた。

 

 俺はアヌビスの前に立ちはだかる。目の前には、ケモ耳の少年二人と、異形の存在。どこか妖しげな気配を放っている。壺は俺の手に握られていたが、重量感以上に中身の存在感がある。まるで封印された悪魔が俺の手元で目覚めるのを待っているかのようだった。

 

「その壺、どうするつもりだ?」

 

 俺は冷静を装って言った。だが胸の奥では、緊張と興奮が入り混じっていた。封印された悪魔の力、そしてトッププレデターが絡む状況。普通の依頼ではない。これは、戦場の匂いが濃く漂う案件だ。

 

 アヌビスは微かに眉をひそめる。

 

「返せ、と言っているのだ」

 

「返す理由があるか? お前たちは、俺たちの前に現れたばかりだろう。正体も分からない奴に渡せるか?」

 

 少年は小さく溜息をつき、表情を曇らせる。

 

「俺たちは……正規の持ち主の命令で来た」

 

 その言葉に俺は眉を上げた。正規の持ち主……? つまりアヌビスの言う“神”が認めたわけではない。だが、アヌビスの目には怒りと決意が宿っている。

 

「それじゃあ、話をつけるには力で示すしかないな」

 

 俺がそう言った瞬間、異形の存在が突然跳び上がった。動きが速すぎて目で追えない。空気が震え、俺たちの周囲の木々がざわめいた。

 

「くっ……!」ヒサが声を上げ、防御姿勢を取る。

 

 俺は壺を抱えながら周囲を見渡す。風向き、地形、障害物。ここでの戦いは、力任せでは危険すぎる。だが相手の攻撃速度を考えると、迂闊に動くわけにもいかない。

 

「行くぞ」カゲチヨが俺の横に立ち、低く声をかける。「ヒサ、後ろは任せた」

 

 ヒサは頷き、目を鋭く光らせた。俺は壺を抱えたまま、アヌビスを観察する。少年の体格は小さいが、背中から放たれる圧が尋常ではない。彼の気配は……神のそれだ。いや、神だからこそ、人知を超えた力を秘めている。

 

「よし、まずは牽制からだ」俺は心の中で計算する。相手の行動パターンを読むのが最優先だ。壺を奪われたら、封印の危機が訪れる。

 

 その時、アヌビスが口を開く。

 

「お前たち……簡単には渡させない」

 

 言葉と同時に、周囲の空気が歪んだ。地面が微かに揺れ、空気中の粒子が光を反射する。次の瞬間、異形の存在が突進してきた。

 

「ヒサ!」俺は叫び、壺を抱えながら横に飛び退く。ヒサがその攻撃を防ぎ、俺の後ろに回り込む。地面に深い爪痕が残る。異形の力の凄まじさが手に取るように分かる。

 

「くそ……速い」カゲチヨが呟く。彼の目も緊張で鋭く光る。

 

 俺は呼吸を整えながら、壺を抱えたままアヌビスに向かって言う。

 

「お前、本当に神なのか? その力、尋常じゃないぞ」

 

 アヌビスは答える。

 

「神であると認めたくなければ、貴様の目で確かめるがいい」

 

 その瞬間、彼の体が淡い光に包まれる。俺たちの周囲の風景が歪み、時間がゆっくりと流れたような感覚になる。全身に鳥肌が立つ。これは……封印された悪魔の気配に匹敵する力だ。

 

 カゲチヨが息を呑む。

 

「くっ……おやっさん、壺を持ってるからって悠長に構えてる場合じゃないぞ」

 

 俺は唇を噛み、壺を抱き直す。

 

 [まずは相手の動きを封じる……だが神と呼ばれる存在か。迂闊な接近は命取りだ]

 

 ヒサが俺の後ろで構え、敵を視界に収める。異形の存在も、神も、俺たちの動きを見極めようと間合いを詰めてくる。空気が張り詰め、呼吸をする音さえも耳に痛い。

 

「……行くぞ」カゲチヨの低い声。俺も頷き、ヒサと共に構えを取る。異形の存在が飛び掛かる瞬間、アヌビスが光の刃を放つ。その光が地面を切り裂き、俺たちの足元に衝撃が走った。

 

「くそっ……!」俺は咄嗟に壺を抱え、防御体勢に入る。ヒサも全力で支える。カゲチヨが横から飛び込み、異形の攻撃を逸らす。速度、力、全てが常軌を逸している。

 

 その中で、俺はひとつの戦略を思いつく。壺の封印力を活かせば、相手の動きを一瞬止められるかもしれない。だが、使いすぎれば壺の中の悪魔を刺激しかねない。リスクは高いが、選択肢はそれしかない。

 

「ヒサ、カゲ、今だ!」俺は声を上げ、壺を前に突き出す。光が溢れ、周囲を包み込む。異形の存在が一瞬、動きを止める。その隙に、カゲチヨとヒサが攻撃を仕掛け、アヌビスに圧をかける。

 

 アヌビスは少し驚いたように眉を上げるが、すぐに冷静さを取り戻す。

 

「ふん……封印の力か。だが、これだけでは俺を止められぬ」

 

 その言葉通り、次の瞬間、彼の体が光と影に変わり、俺たちの間合いを一気に詰めた。反射的に俺は後退し、壺を抱えたまま距離を取る。ヒサも同じ動きを取った。カゲチヨは地面に足を突き、爆発的な踏み込みで距離を稼ぐ。

 

「……やっぱり手強いな」俺は心の中で呟く。相手の力は、封印された悪魔級か、それ以上の神格級だ。慎重に、かつ大胆に動かねば命はない。

 

 ヒサが小声で言う。

 

「おやっさん、このままじゃ壺が狙われる……どうする?」

 

 俺は瞬時に判断し、カゲチヨに合図を送る。

 

「よし、次の一手は……合体防御だ。俺は壺を中心に、カゲとヒサは周囲を固めろ」

 

 カゲチヨとヒサは頷き、戦闘体勢を整える。壺を中心に、俺たち三人の気配が結界のように重なる。異形の存在とアヌビスの視線が集中し、空気がさらに張り詰める。

 

「これで……どうだ」俺は呟く。壺の光が周囲を満たし、攻撃を一時的に封じることに成功した。異形は身動きを止め、アヌビスも光の中で一瞬立ち止まった。

 

 その隙に、俺は声をかける。

 

「アヌビス、俺たちは戦いたいわけじゃない。この壺を安全に運ぶだけだ。協力してくれ」

 

 アヌビスは光の中から俺を見据え、少し間を置く。そしてゆっくりと頷いた。

 

「……分かった。だが、貴様たちが封印を乱すようなら容赦はしない」

 

 俺は胸を撫で下ろす。勝負はまだ終わっていないが、まずは壺を安全に運べる道筋ができた。

 

 森を抜けると、視界が開け、指定された場所が見えてきた。小高い丘の上に、石で囲まれた広場がある。ここが依頼人の指定地点らしい。到着まであと少しだ。

 

「もう少しだ」俺は低く声をかけ、ヒサとカゲチヨに合図する。

 

 二人は頷き、警戒を緩めず前進を続ける。壺の封印が手元で微かに震える。中の悪魔の気配が、まるで俺たちの焦りを感じ取っているかのようだ。

 

 だが、安心はまだ早かった。丘の中腹から、異形の影が再び現れた。森で散らしていた敵の残党だ。彼らは俺たちを完全に追跡していたようだ。

 

「くそ……まだか!」カゲチヨが短く叫ぶ。

 

 ヒサも唇を噛み、冷静に周囲を観察する。

 

「攻撃のタイミングを見て……!」

 

 俺は壺を抱え、慎重に距離を調整する。敵の攻撃範囲を計算し、光の封印で牽制する。突進してきた異形が爪を振り下ろす瞬間、ヒサが側面から刹那の刃で斬り払い、カゲチヨが横合いから跳び込む。異形はバランスを崩し、地面に倒れ込む。

 

「よし、後は……」俺は丘の頂上を目指す。残る敵は少数になり、アヌビスの姿も少し離れた場所から監視している。彼は相変わらず光の刃を携え、こちらを見据えていたが、戦闘意欲は露骨に出していない。

 

「お前たち、まだ壺を守るつもりか?」アヌビスの声は低く響く。

 

「当然だ。依頼を受けた以上、命を懸けてでも運ぶ」俺は力強く返す。

 

「分かった」アヌビスは少し間を置き、そして言った。「ならば、私が試させてもらう」

 

 次の瞬間、彼の体が光の刃に包まれ、空気がねじれる。光と影が交錯し、森全体の気配が変わる。俺たちは息を止め、壺を抱えたまま彼の動きを注視する。

 

「ヒサ、カゲ、警戒は最大に」俺は指示を出す。

 

 二人はすぐに構え、互いの背後をカバーする体勢を取った。アヌビスの速度は常人の何倍も速い。正面からでは到底防ぎ切れない。

 

 アヌビスが一瞬で目の前に現れ、俺の脇をすり抜けようとする。その瞬間、俺は咄嗟に壺の封印を一段強め、光を前方に放った。光がアヌビスの動きを一瞬だけ鈍らせる。その隙に、ヒサが瞬間移動のような動きで側面から接近。カゲチヨも跳躍で間合いを詰め、アヌビスを包囲する形を作った。

 

「……なるほど」アヌビスは微かに微笑む。「力で抑え込もうとするのか。だが、それでは私の速度には追いつけぬ」

 

 その言葉と同時に、彼の体が光の波動に変化し、周囲に強烈な衝撃波を放つ。俺たちは衝撃に押され、身体を低くして耐える。壺の中の悪魔の気配が強く震え、封印の光が手元で揺れる。

 

「やばい……封印が暴走するかもしれない」俺は咄嗟に心の中で考える。だが、今は後退する余裕はない。頂上までの距離はもうわずかだ。

 

 ヒサが小声で囁く。「おやっさん、あの光……一瞬でも直撃したら壺が……!」

 

 俺は短く頷き、「封印を維持しろ。俺たちの連携が鍵だ」

 

 その瞬間、カゲチヨが叫ぶ。「ここだ!」

 

 丘の頂上に着く直前、俺たちは依頼人が指定した広場にたどり着いた。広場には安全な台座が用意されており、壺を置けば指定の条件が満たされるはずだ。

 

 アヌビスは光の刃を収め、息を整えるように立ち止まった。異形の残党も周囲に散らばり、こちらを警戒する。

 

 俺は壺を台座に慎重に置き、封印の光を弱める。中の悪魔の気配が徐々に落ち着き、手元で微かに震えるだけになる。

 

「……やれやれ、なんとか間に合ったな」俺は深く息を吐き、ヒサとカゲチヨに目配せする。

 

 二人も安堵の表情を浮かべ、互いに頷く。

 

 アヌビスは俺の方に近づき、静かに言った。「貴様たち……悪くない」

 

 俺は肩をすくめ、軽く笑う。「そう言ってくれるなら、それでいい」

 

 広場に壺が安全に置かれたことで、今回の護送戦はひとまず終わった。だが、トッププレデターや中に封印された悪魔、そしてアヌビスの存在が、この先も俺たちを待ち受けるのは間違いない。

 

「さて……次はどう動くかだな」俺は壺を見つめながらつぶやく。

 

 ヒサとカゲチヨもそれぞれ、警戒の目を緩めずに立っていた。

 

 空に夕日が沈み、森の影が長く伸びる。安全は確保されたが、この戦いの余韻は、まだ消えることはなかった。

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