混血のカレコレとLost evolution   作:Ks5118

18 / 55
No.13 新たなる形態と契約〈修正版〉

 カゲチヨside

 

 銀色に輝く天麟が森の中で舞い、俺たちを挑発している。少年の声が森に響くたび、空気が微かに振動する。俺は息を整え、ヒサとシディの無事を確認する。ヒサは地面に伏せているが意識はあるようだ。シディはアヌビスと戦い続けている。

 

「くそ……こんな状況で依頼人を守らなきゃならないとは」俺は歯を食いしばりながら、壺を抱え直した。目の前で天麟が羽ばたき、地面を蹴って空中に浮かぶ。まるで風そのものが彼の体を支えているかのようだ。

 

「うわっ!」俺は反射的に身をひるませ、血の槍を形成して飛ばす。しかし、天麟は軽々と避け、槍は森の木々に突き刺さっただけだった。

 

「本当に速いな……」カゲチヨが低く呟く。彼の目には警戒と興奮が混ざっている。俺も頷きながら、次の手を考えた。

 

「シディ、ヒサ、依頼人を守れ」俺は短く叫ぶ。

 

 シディは咄嗟に体を反らし、アヌビスの攻撃を受け止める。ヒサは少し前に出て、依頼人の前に立った。だがその瞬間、轟音が森に響き渡り、シディが吹き飛ばされた。

 

「シディッ!」俺は咄嗟に血の槍を増幅させ、天麟に向かって放つ。しかし、天麟は軽々と跳躍し、避け続ける。まるで空気そのものを操っているかのようだ。

 

「よし、次の手しかないな……」俺は心の中で考え、壺を抱いたまま地面にひざまずく。そしてゆっくりと心臓に手を当てる。

 

「これは契約だ、俺の心臓をくれてやるから力を貸せ」俺は低く呟き、壺に封印された悪魔を呼び出す。

 

 壺の封印が震え、光が溢れ出す。森全体が揺れ、鳥たちは一斉に飛び去った。やがて、白銀の髪に黒い肌、黒いドレスを纏った女性が姿を現す。頭には雷のような角、額には金色の瞳。まさに絶世の美貌を持つ悪魔、双角王ボティスだった。

 

「ワシの名は双角王ボティス、呼んだのはお主か?」彼女の声は低く、鋭くも威厳に満ちている。

 

「そうだ。契約だ、俺と永遠の友人になってくれ」俺は力強く答える。ボティスの金色の瞳が揺れる。

 

「ふんっ、そのような事で良いのか? ではお主の心臓をよこせ」ボティスは冷たく言う。

 

 俺は一歩前に出て、自らの心臓を差し出す。金属のように冷たく、しかし力強く、脈打つ心臓を。ボティスはそれを受け取り、封印の力を解放する。

 

「なぜお主は死んでおらぬだ?」ボティスの声に絶望の色が混じる。

 

「俺は不死身でね、例えこの体が消えようとも、細胞が残れば蘇る」俺は微笑みながら答えた。

 

 その瞬間、天麟が再び俺たちに向かって飛びかかってくる。空中で笑い声を響かせ、挑発するように旋回する。俺はすぐにガルーガトリンガーを構え、シリンダーを回転させる。

 

『One Hundred!』『Too Hundred!』『Three Hundred!』『Four Hundred!』『Five Hundred!』『Six Hundred!』『Seven Hundred!』『Eight Hundred!』『Nine Hundred!』『One Thousand!』『Full Ballad!』

 

 巨大なエネルギー弾が天麟に向かって放たれる。彼女は軽やかに跳躍し回避を試みるが、速度では到底追いきれない弾丸は最後に命中し、森の奥に吹き飛ばされた。

 

 俺とカゲチヨはすぐに壺を抱えて落下地点に駆け寄る。天麟は地面に倒れ込むが、風の力で再び立ち上がろうとする。

 

「さっさと出てこい……どうせ近くにいるんだろ?」俺は鋭く問いかける。

 

「アッハッハッハッ! 態々こんな所に来てどうするって言うの? その銃でまた私を撃つの?」天麟は嘲笑うように答える。

 

「敵だからな、容赦はしない」俺は低く答え、変身を解き、自らの心臓を壺に捧げた。

 

「何してんだよっ! おやっさん、何で自分の心臓を取り出したんだ!」カゲチヨが叫ぶ。

 

「黙れ、これは契約だ!」俺は返す。壺から封印の光が溢れ、ボティスが姿を現す。

 

「これから長い付き合いになるぞ、よろしくな」俺は告げる。ボティスは金色の瞳を光らせ、首を傾げる。

 

「ワシの名は双角王ボティス……呼び出されたのはお主か?」

 

「そうだ、契約だ」俺は力強く答え、ボティスは心臓を受け取った。

 

 天麟は恐怖に顔を歪め、叫ぶ。「そんなことを……されては我々の悲願が!」

 

 だが俺は無視し、レバーを回してガルーガトリンガーの必殺技を発動する。

 

『Losttex Finish!』『Ciao!』

 

 天麟は遠くへ吹き飛ばされ、森の奥へ消えた。俺は深く息を吐き、カゲチヨと共に壺を守りながら現場を見渡す。

 

 アヌビスに壺を使ったことを謝り、条件付きで許してもらう。

 

「アヌビス、ほんっとぉうにっごめん」

 

「今回はお主が持っている食事無料券で手を打つが、次は許さないぞ」アヌビスは冷たく微笑むが、どこか安心した表情を浮かべていた。

 

 俺は肩の力を抜き、深呼吸する。戦いは終わった。だが、壺の中に封印された悪魔、双角王ボティスとの契約は、これから長く続く物語の始まりに過ぎないことを、俺は知っていた。

 

 森を抜け、町の明かりが見えた頃、俺は深く息を吐いた。壺を抱き、背後でカゲチヨが肩で息をしている。ヒサはまだ少しぐったりしているが、意識はある。シディはアヌビスと戦った後で少し疲れた様子だが、険しい表情のまま俺たちを見守っている。

 

「ふぅ……やっと戻ったな」俺は壺を慎重に置き直す。

 

「やれやれ……あんなの、もう二度と見たくねえ」カゲチヨがため息をつく。

 

 ヒサもぼそりとつぶやく。「シディ、大丈夫?」

 

「えぇ、問題ない」シディは少し息を整えながら答えたが、その目はまだ警戒を解いていない。

 

 カレコレ屋の扉を開けると、中にいた仲間たちが一斉にこちらを振り返る。普段の雑然とした雰囲気とは違い、戦闘後の緊張感がまだ残っているのが伝わった。

 

「お、おかえり……無事だったか……?」と、ある仲間が声を震わせる。

 

「無事とは言いがたいが……壺は守った」俺は短く答え、ボティスが封印された壺を丁寧にテーブルに置く。

 

「おやっさん……この壺……やっぱりあの悪魔が入ってるんだな」カゲチヨが恐る恐る近づく。

 

「そうだ、双角王ボティス……ソロモン七十二柱の一柱、途轍もなく強い悪魔だ」俺は少し笑みを浮かべながら説明する。

 

 するとボティスが突然姿を現した。白銀の髪、黒い肌、黒いドレス、金色の瞳。圧倒的な存在感に、カレコレ屋の空気が一瞬で凍る。

 

「ワシの名は双角王ボティス、呼び出したのはお主か?」

 

「そうだ、契約した」俺は落ち着いた声で答える。

 

 ヒサが小さく後ずさりしながら、「……あの……怖い……」とつぶやく。

 

 カゲチヨも少し顔を引きつらせ、「おやっさん……マジでやばいの連れてきたな……」

 

 俺は肩をすくめて笑う。「まあ、今は俺たちの味方だから心配するな。長い付き合いになるぞ」

 

 ボティスは金色の瞳をじっと俺に向け、微かに笑む。「ふんっ……ワシの力を借りる覚悟があるなら、これからよろしくな」

 

 その時、依頼人がカレコレ屋に入ってきた。先ほどの森での騒動を目の当たりにしたらしい。目を大きく見開き、口を開けたまま固まっている。

 

「……あなた……これ……どういうことですか……?」

 

「説明しよう。壺の封印が破られることなく、双角王ボティスを呼び出すことで、天麟を一網打尽にした」俺は簡潔に状況を説明する。

 

 依頼人は息を飲む。「そ、それで……これで安全に……?」

 

「安全にはなった。だが、今後も警戒は必要だ」俺は厳しい顔で答える。

 

 アヌビスも少し遅れて店に現れ、俺に視線を向ける。

 

「お主……壺を勝手に使ったのか……」

 

「悪かった。だが、天麟が逃げる前に力を使わなきゃ、この壺も危なかった」

 

 アヌビスは少し黙った後、肩をすくめてため息をつく。「……今回は許してやる。だが次は許さんぞ」

 

 カゲチヨが小声で俺に囁く。「おやっさん……お主ってやっぱり……いつもこうなんだな……」

 

「……まあな」俺は軽く笑う。

 

 その後、俺たちはカレコレ屋の奥のスペースで少し休むことにした。ボティスは静かに椅子に座り、俺たちの動きをじっと観察している。その威圧感に、誰も声を出せない。

 

「お前……この店の中、どう思う?」俺はボティスに尋ねる。

 

「ふん……面白い、だが……人間どもはやはり愚かで無駄に騒がしい」

 

「まあな……俺たちの世界はいつも騒がしい」

 

 カゲチヨが小さく笑い、「……でも、悪魔が友達になるってのも悪くないな」

 

 ボティスは金色の瞳で俺たちを見回し、微かに笑う。「……ふん、ならばこれからはワシの力を貸してやる」

 

 俺は軽く頷く。「ああ、頼む。天麟のような連中は、これからも出てくるだろうしな」

 

 ヒサが少し元気を取り戻して、「おやっさん……あの悪魔……友達になるんですか……?」

 

「そうだ、長い付き合いになる」俺は穏やかに答え、心の奥で決意を新たにする。

 

 その日の夜、カレコレ屋は久しぶりに静けさを取り戻した。壺は安全な場所に置かれ、ボティスは俺たちの側で静かに座る。外の風が店の窓を揺らし、森での戦闘の余韻を運んでくる。

 

「さて……次はどう動くかだな」俺は深呼吸し、仲間たちと共に壺を見つめる。

 

 カゲチヨは笑みを浮かべ、「おやっさん……次もよろしくな」

 

 ヒサは少し照れくさそうに、「無事で良かった……」

 

 シディは眉をひそめつつも、「依頼人は無事……か」

 

 ボティスは静かに微笑む。「……ワシの力は、これからお主に尽くす」

 

 俺は拳を軽く握り、「ああ、頼むぞ。俺たちの世界は、まだまだこれからだ」

 

 こうして、森での戦いは終わりを迎えたが、双角王ボティスとの契約、天麟との因縁、そしてトッププレデターの影──すべてが、俺たちの新たな戦いの始まりを告げていた。

 

 翌朝、カレコレ屋には薄い陽光が差し込み、前日の戦いの痕跡が静かに残っていた。壺は安全な棚に置かれ、ボティスは静かに俺の隣に座っている。

 

「ふむ……やはり、人間どもは愚かだな」ボティスは伸びをしながら呟く。

 

「おい、褒めてるのかけなしてるのか、どっちだよ」俺は苦笑いを浮かべた。

 

 カゲチヨはテーブルに肘をつき、少し考え込むように言った。「おやっさん……あの天麟、まだ油断できないんじゃないか?」

 

「当然だ。トッププレデターが関わっている限り、あいつらは再び動くだろう」俺は頷き、窓の外を見やる。

 

 シディが資料を広げて言う。「依頼人が言ってたトッププレデターの情報……不完全ですが整理すると、あの組織はただの盗賊団じゃないみたいです」

 

「ふん……何を企んでいるかまだわからんが、次は確実に俺たちの邪魔をしてくる」カゲチヨが言う。

 

 ヒサはカップを握りながら、少し不安げに口を開いた。「でも……おやっさん、あの悪魔を呼び出す時……本当に危なかったよね。心臓を……」

 

「大丈夫だ。あれくらいで死ぬことはない」俺は軽く笑うが、胸の奥では確かに緊張が残っていた。

 

 ボティスは俺たちの会話を聞きながら、少し顔をしかめる。「……人間は面倒だな。しかし、愚かなほど面白い」

 

「面白いだけじゃ困るんだ、これから戦いが増える」俺は鋭い目でボティスを見る。

 

 その時、店の電話が鳴る。俺は受話器を取ると、依頼人の声が緊張して響いた。「おやっさん……あの……聞いてください。トッププレデターの……動きが、またありまして……」

 

「詳細は?」俺はすぐに聞き返す。

 

「情報によれば……彼らは壺の他にも、異常な力を持つ artefact をいくつか狙っているようです」

 

 カゲチヨが眉をひそめる。「やっぱりな。あいつら、ただ壺を盗んだだけじゃない」

 

「つまり、今回の件は氷山の一角か……」俺は低く呟く。

 

 ボティスが興味深そうに顔を傾ける。「……ふん、ならば戦いは続くのか」

 

「そうだ。だが、あんたの力があるなら心強い」俺は胸の奥で契約の実感を噛み締める。

 

 ボティスは金色の瞳で俺を見つめ、微笑む。「ふん、ワシが戦わぬとでも思ったか?」

 

 その日の午後、カレコレ屋の仲間たちと作戦会議を開く。地図や資料を広げ、次に動くべき場所や予想される敵の行動を整理する。

 

「トッププレデターは二手に分かれる可能性がある。片方は壺の力を研究、もう片方は新たな artefact を奪いに動く」シディが説明する。

 

「ふん……そう簡単には行かないだろうが、奴らは確実に次の標的を動かす」カゲチヨは拳を握る。

 

 ヒサが慎重に意見を言う。「でも……おやっさん、ボティスを使う場合、封印された力は制御できるんですか?」

 

「ああ、心配はいらない」俺は頷く。「契約したのは俺の心臓だ。俺の意思があれば力を暴走させることはない」

 

 その後、俺たちは壺の警護を強化するためにカレコレ屋の周囲に結界を張る作業に入った。ボティスは興味深そうにそれを見ている。

 

「人間どもがこうして協力し合うのか……ふむ、面白い」ボティスが呟く。

 

「そうだ、人間は時に愚かだが、仲間のために力を使うときは強い」俺は答える。

 

 その夜、カレコレ屋の屋上に上がり、町の灯りを眺める。街は静かだが、暗闇の中に何かが動く気配を感じる。トッププレデターの影はまだ遠くにある。

 

「……次はいつ来るのか」カゲチヨがつぶやく。

 

「分からん。しかし、奴らが動く前に俺たちは準備を整えねえとな」俺は拳を握る。

 

 ヒサは少し怯えた表情で、「でも……あの悪魔がいてくれるなら……少しは安心できるかな」

 

「そうだ、ボティスがいれば……奴らも簡単には手を出せん」俺は答え、ボティスの方を見る。

 

 ボティスは屋上の夜風に髪をなびかせ、冷たく微笑む。「……ふん、人間どもよ。これからの戦い、楽しませてもらうぞ」

 

 俺は拳を握りしめ、心の中で誓う。「トッププレデター……お前たちの悪事、俺たちが潰す。必ずな」

 

 カゲチヨが隣で小さく笑う。「おやっさん……本当に、また大変なことになりそうだな」

 

「それが俺たちの仕事だ」俺は静かに答えた。

 

 夜空の星々が静かに輝き、カレコレ屋の屋上に風が吹き抜ける。その中で、俺たちの戦いの物語はまだ始まったばかりだ。トッププレデターの影は迫るが、俺たちには双角王ボティスという新たな力がある。そして、壺の中の悪魔との契約は、この先の戦いにおいて、重要な鍵となることを、誰もが心の中で感じていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。