混血のカレコレとLost evolution 作:Ks5118
ボティスと契約してから一週間。アヌビスはすでにエジプトに帰還し、フィーアとカンナが戦った二人も、今では俺の店の常連客になっていた。それを見たカゲチヨは目を丸くしていた。
一方、契約したボティスは俺の部屋の一角を占領して、蛇のような姿でYouTubeを見ている。何故かボティス専用のスマホは空中に浮いている。
「キャハハハハハハッ! このアニメは面白いなっ!」ボティスは床をバシバシ叩きながら笑っていた。
「全く、朝から何見てんだよ」俺は呆れ顔で聞く。
「スクールデイズというアニメじゃ。男女のどろどろ関係が実に面白い」
ボティスは笑いながら画面を指さす。
俺は心の中で思う。
[あ〜、やっぱり悪魔だな〜]
ふと疑問が湧いたので聞いてみる。
「そう言えば、お前、初めて会ったときは人型だったよな? その姿って何なんだ?」
ボティスはニヤリと笑う。
「これはいわゆる省エネモードというものじゃ。あの人型は魔力を食うのじゃよ」
俺は眉をひそめる。
「俺の心臓を食っといて省エネモードってそんなに燃費悪いのか?」
ボティスは得意げに答える。
「いや、むしろこの蛇型は魔力が溢れておる。なぜだか分からぬが、人型のまま百年は維持でき、魔法を連発しても大丈夫な力がある」
「じゃあ人型でいいじゃん」俺は真顔で言った。
「それもそうじゃが、人型になると周囲の人間が鬱陶しくてな……この姿になると視線が減るのじゃよ」
[なるほど……確かに人型のコイツ、側から見たら絶世の美女だからな]
俺は心の中で納得。
「それじゃあ人間に化ければいいんじゃないのか?」
ボティスの顔が急に真っ赤になり、アングリの表情で叫ぶ。
「それじゃ! そうじゃ、その手があったのじゃ! 何故今まで気付かなかったのじゃろう」
言うや否や人型に変化。ウロウロしながらブツブツ独り言を言い続け、数分後に俺に向かって宣言する。
「では、キリト、ワシの変化した姿を見てくれぬか」
俺は思わずツッコむ。
「良いけど変な姿になるんじゃないぞ」
ボティスは一瞬キラリと目を光らせた後、変化開始。肌は健康的な褐色に、額の目も角も消え、ついには完全に人間の女性の姿に。
「これで如何じゃ? 人間に見えるじゃろ?」
「あぁ、見た所完全に人間に見えるな」
俺は苦笑。
ボティスは小躍りして喜ぶ。
「そうかそうか、やはりワシは天才じゃのぅ!」
その後ボティスが俺に尋ねる。
「そう言えばキリト、お主の店はどうした? いつもならもう始めている時間じゃろう」
「今日は定休日だから行かなくて良いんだよ」
ボティスは上から目線で、しかし少し不満げに頷いた。
「ならば付き合え。ワシは行きたい場所がある」
スマホを目の前に出すと、そこに映ったのは近頃有名な遊園地の画像だった。
「何で悪魔のお前がこんな所に行きたいんだ?」
「うむ、ここには人を絶望のどん底に落とすものがあると載っておった」
俺は思わず笑う。日本一のお化け屋敷がある遊園地だ。
「気になるなら行ってみるか?」
「よかろう。お主が生きたいと言うならば着いていってやろう」ボティスは偉そうに宣言。
俺は電話を取り、ヒサメ達を呼ぶことにした。
「ヒサメ、カンナ、フィーア、遊園地に行くぞ。みんなで行った方が楽しいだろう」
ボティスは悪い顔で頷く。
「悲鳴は多いほうが良い」
[電話掛けたの間違いだったか……]
心の中で思う間もなく、ヒサメ達は大騒ぎ。
『行きたい行きたい!』
『いつ行くの?』
『楽しみ〜!』
俺は落ち着かせる。
「落ち着け、今日の放課後に迎えに行く」
レンタカーを借り、カレコレ屋に向かう途中、ボティスはナンパされまくる。俺は必死に守りつつ、レンタカー屋に到着。ボティスには特殊なヒールを履かせ、レンタカーに乗せる。
「お前も一緒に来ないと意味ないぞ」
「何故じゃ? ワシは早う行きたいのじゃ」
「まだレンタカーを受け取ってないんだよ」
「仕方がないのう……」ボティスは少しガッカリ。
カレコレ屋に到着すると、カゲチヨ達はボティスの姿に釘付け。
「おやっさん、その美人な人は誰ですか?」
「お父さん、もしかしてナンパしたの?」
「うっそ、お父さん女の人に興味あったの?」
「これは意外だなぁ」
俺は全員にお小遣い免除と負担金免除を約束し、みんな泣きつく。
「次はないぞ」と釘を刺し、全員を乗せて遊園地に向かう。
道中、シディが妙に静かなので聞く。
「なぁシディ、どうした?」
「いや……店主の連れてきた女性が母さんに似ている気がしてな」
俺は「ああ、そうか」と軽く返す。ボティスは「意識してない」とあっさり否定。
カゲチヨが尋ねる。
「おやっさん、その女性は誰ですか?」
俺は目線でボティスに合図し、ネタバラシ。
「コイツ、ボティスだぞ」
全員の頭に「?」が浮かび、次の瞬間、車内は「えぇ──────ーっ!」の嵐。
ボティスは笑いながら叫ぶ。
「キャハハハハハハッ! 驚くのぅ!」
遊園地が近づくにつれ、ヒサメ達の質問攻撃はヒートアップ。俺は止める。
「ヒサメ、カンナ、フィーア、そろそろ着くぞ。話はその辺にしとけ」
「帰ったら覚えて……いてね、いてよ、いてください」
ボティスは窓からヘロヘロと叫ぶ。
ついに遊園地に到着。ヒサメ達は歓声を上げる。
「やっと着いたぁ〜」「楽しみ〜!」
カゲチヨは一人でブツブツ。
「太陽怖い、遊園地怖い、陽キャ怖い」
俺は無視して全員を引き連れ、販売権の方へ歩き出した。
「ちょっと待ってくれぇ〜」カゲチヨが叫ぶが、俺たちはもう手遅れだった。
遊園地に着いた瞬間、ヒサメ達のテンションは最高潮。
「やっと着いたぁ〜!」「楽しみすぎる〜!」
一方でカゲチヨは車の後部座席で目を細め、ブツブツ言う。
「太陽怖い……遊園地怖い……陽キャ怖い……」
俺は心の中でため息。
[いやいや、そこまでビビらんでも……]
ボティスは人型のままニヤリと笑いながら、肩を揺らしている。
「ふふん、これで人間の姿……いや、美女モードじゃから視線が集まるぞ」
「集まってもナンパされるだけだろ」と俺は突っ込む。
ヒサメ達は早速お化け屋敷に向かおうとして、カンナが手を引っ張る。
「お父さん、行くよ!」
ボティスも負けじと肩を揺らしながら
「お主らをワシの恐怖実験に付き合わせるぞ〜!」
俺は一言。
「待て、全員一緒に行くんだ、バラバラは危険」
その瞬間、カゲチヨが椅子の上で奇声をあげる。
「いやぁぁ! 太陽が目に刺さるぅ〜!」
ボティスは笑いながら近づき、指でカゲチヨの頭をツンと突く。
「ビビリ小僧め、ワシの恐怖の前ではまだまだ赤子じゃ」
カゲチヨは顔を真っ赤にして後ずさり。
俺はため息をつきながら、ヒサメ達と一緒に入口へ向かう。
入り口で販売権を買った瞬間、ボティスが突然大声。
「ここじゃ! この恐怖マシンの力を確かめるぞ!」
「ちょ、ボティス、待て、まず順番を守れ!」俺は焦る。
だがボティスはお構いなし。
「ワシが先頭に立つ! そして絶望の渦に叩き込むのじゃ!」
ヒサメ達は大はしゃぎ。
「うわぁ〜、先頭はボティスだって!」「怖そうだけど面白そう!」
一方カゲチヨは完全に顔面蒼白。
「いやぁぁ! 俺は乗らない! 絶対乗らない!」
俺はカゲチヨの手をつかみ引きずりながら、「無理やりでも乗るんだ」と説得。
ジェットコースターが動き出すと、ボティスは翼のような手を広げ、声を張り上げる。
「キャハハハハッ! 恐怖の頂点に達するぞ〜!」
ヒサメ達は歓声を上げ、絶叫マシンの速度に興奮。
「やっほぉ〜!」
「キャー! 面白い〜!」
カゲチヨは絶叫しながら頭を抱える。
「た、助けて……俺だけ降ろしてくれ……!」
ボティスは人型のまま車内で翻弄し、両手を広げて暴れまわる。
「もっと絶望を、もっと絶叫を!」
俺は必死でボティスを押さえながら、ヒサメ達を笑顔で見守る。
[こいつ……本当に悪魔なのに楽しみ方が人間と同じすぎる]
ジェットコースターが頂上に達すると、ボティスは両手を掲げ叫ぶ。
「ふはははは! ここが恐怖の絶頂じゃ!」
その瞬間、カゲチヨが悲鳴。
「やめろぉぉ! 落ちるぅぅ!」
だが、ボティスは完全無視。
「もっともっと叫ぶのじゃ! ワシの笑い声と恐怖が融合するぞ!」
ヒサメ達は絶叫しつつも楽しんでいる。
「キャハハ! 楽しい!」
「お父さん、ボティス先頭でテンションやばい!」
俺はため息。
[いや、やっぱり悪魔と遊園地に来るのは地獄だ……]
ジェットコースターが一周し終わったとき、ボティスは満足げに降り立つ。
「ふふふ、ワシの恐怖実験は成功じゃ!」
ヒサメ達は歓声を上げながらボティスに群がる。
「すごい! ボティス最高!」
カゲチヨは地面にへたり込み、青ざめながらも生きていたことに安堵している。
「太陽……恐怖……やっぱ俺無理……」
俺はボティスに軽くツッコむ。
「なぁ、もう少し人間らしい楽しみ方を覚えろよ」
ボティスは肩をすくめる。
「無理じゃのぅ、恐怖と喜びはワシにとってセットだからのぅ」
俺はレンタカーに乗せ、次のアトラクションへ。ヒサメ達は先頭で大はしゃぎ、カゲチヨは後部座席で震えっぱなし。
ボティスは助手席でニヤリと笑いながらスマホを操作している。
「次は観覧車じゃ! ワシの恐怖をもっと高い位置で味わうのじゃ!」
俺は心の中で呟く。
[……この悪魔と遊園地に来たこと、後悔する日が来そうだ]
だが、ヒサメ達の楽しそうな声と、ボティスの得意げな笑い声に包まれ、俺は今日の休日がカオスながらも最高に面白くなることを確信していた。
レンタカーで観覧車前に到着した俺たち。
ヒサメ達は待ちきれず、前のめりになってチケットを手にしている。
「早く乗ろうよ!」「絶景見たい〜!」
カゲチヨは後部座席で小さく震えながら、目をそらしている。
「や、やめろ……観覧車なんて……高すぎる……」
俺はため息をつきながらボティスを見る。
「おい、助手席、次は観覧車だぞ。人間の姿で大人しくしてろ」
ボティスは上目遣いでニヤリ。
「ふん、人間らしい楽しみ方……か……理解した」
と言いながらも、目は明らかにキラキラしている。
[いや、完全に楽しむ気満々だな]
チケットを渡して観覧車に乗り込むと、ボティスは窓際に陣取り、肩を揺らして笑う。
「うむ、この高さ……恐怖と絶景の融合がたまらん!」
ヒサメ達は窓の外を見て大興奮。
「わぁ〜すごい景色!」
「空がきれい〜!」
だがカゲチヨは車内で固まる。
「やめて……揺れる……手すりにしがみつきたい……」
俺はカゲチヨの肩を軽く叩き、呆れ顔。
「おい、楽しめ……とは言わないが、怖がるなよ」
ボティスは観覧車の頂上に差し掛かると突然、両手を広げて声を張り上げる。
「ふはははは! この高さこそ恐怖の極致! ワシの存在価値を証明するぞ〜!」
ヒサメ達は爆笑。
「すごい! ボティス先頭でテンションやばい!」
カゲチヨは絶叫する。
「や、やめろぉぉ! 落ちるぅぅ!」
ボティスは人型のまま、窓際で楽しそうに回転し始める。
「恐怖と喜びは表裏一体……キャハハハ!」
俺は観覧車の安全バーを押さえながら、ため息。
[この悪魔、やっぱり普通の楽しみ方を知らない……]
観覧車がゆっくりと頂上を過ぎ、降り始めるとボティスは突然立ち上がって両手を広げる。
「次は絶叫系だ! ジェットコースター第2ラウンドじゃ!」
俺は焦る。
「おい、勝手に動くな! 順番守れ!」
ヒサメ達は既に興奮状態で、ボティスに群がる。
「お父さん、見て見て! ボティスすごい!」
カゲチヨは後ろで完全にお手上げ。
「無理だ……俺、降りる……」
ジェットコースター第2ラウンドでは、ボティスが完全に車両を支配。
「ふはははは! 恐怖の絶頂を味わえぇぇ!」
ヒサメ達は絶叫と笑いの渦。
「キャハハ! 面白い〜!」
「お父さんも楽しんで!」
カゲチヨは悲鳴を上げながら、両手で顔を覆う。
「た、助けて……俺だけ……」
俺は必死でボティスを押さえつつ、ヒサメ達を守る。
[この悪魔、やっぱり人間に化けても性格が悪魔すぎる……]
ジェットコースター終了後、休憩所で一息つく俺たち。
ヒサメ達はまだ興奮冷めやらず、ボティスと写真を撮りまくる。
「お父さん、ボティスと一緒に写真撮ろう!」
ボティスは人型で笑顔を作り、ポーズを決める。
「ふふん、完璧じゃろう」
カゲチヨは椅子に座り込んで、汗だくで震えている。
「俺……もう……限界……」
俺はカゲチヨの頭を軽く叩く。
「もう少しだ、次は最後のアトラクションだけだ」
ボティスは興奮状態のまま、次のアトラクションを指差す。
「ワシの恐怖実験はまだ終わらんぞ!」
俺は心の中でため息をつく。
[この悪魔と遊園地一日……無事に終わるのか……? ]
だがヒサメ達の笑顔とボティスの得意げな笑い声を見て、俺は今日一日がカオスでありながらも、最高に面白い日になることを確信した。