混血のカレコレとLost evolution   作:Ks5118

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No.15 遊園地と恐怖〈後編〉《修正版》

 キリトside

 

 人に化けたボティスの正体を明かしてから遊園地に着いた俺たちは、それぞれ好きなアトラクションへと散らばることになった。

 

 キリト、カゲチヨ、シディの男子組と、ボティス、ヒサメ、カンナ、フィーアの女子組。別れ際、俺はきっちり釘を刺す。

 

「とりあえず別れるけど、締めに行く場所は決まってるから、その時に連絡するし、昼食は一緒に食べるぞ」

 

 ヒサメ達女子に軽く手を振りながら男子組はゴーカートへ向かった。

 

「で、カゲチヨ、最初は何に乗る?」

 

「そうですねぇ……俺はゴーカートにしますかね」

 

 カゲチヨは少し緊張した顔で答える。

 

「そんじゃそれにするか。シディもいいよな?」

 

「うむ、初めてだからお手柔らかに頼む」

 

 俺の心の中で悪魔の囁き。

 

 [カゲチヨだけを狙ってゴールしよう]

 

 だが、カゲチヨも俺の思惑に気づいている。

 

 [おやっさん、俺を狙うな……]

 

「このレースでビリになったら、お化け屋敷に一人で入ってもらうぞ」

 

 二人はギョッとしながら、内心こう思った。

 

 [[ビリだけは絶対イヤだ]]

 

 そしてゴーカートのエンジン音が響く中、レース開始。

 

「ぶっちぎりで一位になってやる!」

 

「みんなで楽しく走ろう!」

 

「よーい、どんっ!」

 

 俺とカゲチヨはアクセル全開。シディは後方からにこやかに追いかけてくる。

 

「おやっさん、ゴーカートやったことあるんすね」

 

「まぁな、昔よく来てたからな」

 

 だが次の瞬間、シディがスッと俺たちを抜き去った。

 

「お前、どうやって追いついた?」

 

「普通にアクセル踏んだだけだぞ?」

 

 俺とカゲチヨは肩をすくめ、少し気まずく笑う。

 

 ゴールはシディ一位、カゲチヨ二位、そして俺ビリ……! 

 

「よっしゃぁー! 一人にならなくて良かった!」

 

「楽しかったぞ」

 

「はぁ〜ビリか……」

 

 ゴール後、俺はお土産屋を発見。

 

「おーい、オーナーに買うお土産決めに行こうぜ」

 

 シディは「うむ、いつもお世話になってるしな」と素直に言う。

 

 カゲチヨは「えぇー、俺はいつも怒られるから……」と渋るが、俺が「報告したらどうなるか分かってるだろ」と軽く脅すと慌てて選び始めた。

 

 [やれやれ……]と俺は笑いつつ、自分のお土産を選ぶ。

 

 ヒサメside(屋台編・コメディ風)

 

 男子組と離れてから、私たちはボティスさんと一緒に屋台へ。

 

「んん〜〜ん! おいしぃ〜」

 

「ヒサメちゃん、こっちも美味しいよ」

 

「こちらは食べ応えがあるわね」

 

「これも美味じゃのう」

 

 そのとき、チャラそうな男二人組が近づいてきた。

 

「ねぇ、無視しないでよ」

 

「俺たちと楽しいところ行こうよ」

 

 フィーアが冷静に切り返す。

 

「しつこいですよ。私たちは興味ありません」

 

 一人の男が肩に手をかけようとすると、フィーアはすかさず関節技。

 

「イタタタタッ、痛い痛い、やめて!」

 

 もう一人の男が襲いかかろうとした瞬間、カンナが股間に強烈な蹴りをお見舞い。

 

「ゔゔゔゔっ!」

 

 二人はその場で縮こまり、店員さんに連れて行かれた。

 

 ヒサメはにっこり笑いながらフィーアに言う。

 

「もう離していいんじゃない?」

 

「ヒサメちゃんがそう言うなら……」

 

 フィーアは渋々関節技を解いた。

 

 周囲の野次馬から「おおっ、強い!」の声が飛び、ちょっとしたヒーロー扱いだった。

 

 キリトside

 

 ちょうど良い時間になり、俺はカゲチヨとシディに声をかける。

 

「ヒサメ達のところ行くけど、来るか?」

 

「もうそんな時間か?」

 

「なら俺も行こう」

 

 合流すると、チャラ男たちはすでに関節技で戦いを終えていた。

 

 カゲチヨは青ざめながら言う。

 

「おやっさん……ヒサ達にそんな訓練……」

 

「格闘術は教えたけど、急所蹴れとは教えてないぞ」

 

 俺とシディは顔を見合わせて「さんせい」と頷く。

 

 その後、締めのお化け屋敷へ。チーム分けはこう。

 

 カゲチヨ&ヒサメ

 

 シディ&ボティス

 

 カンナ&フィーア

 

 そして俺一人……と思いきや、女子組から「お父さんも一緒に!」と腕に抱きつかれ、俺は泣きそうな三人を抱えながら進むことに。

 

 廊下を進むと、貞子のような人がクランチングスタートで飛びかかってきた瞬間、俺が二人を抱えて横に避ける。

 

 [あれは違う意味で怖い……]

 

 その後も叫びながら進むカンナ、泣き出すフィーア、抱きついてくるヒサメ……俺は汗だくで支える。

 

「大丈夫、大丈夫だよ。もう怖くない」

 

 ボティスは隣で冷静に飲み物を持ち、

 

「お主も大変じゃのう、娘が三人もあるのだし」

 

「それでも可愛い娘なんだよ」と頭を撫でると、三人は涙目で「ありがとう」と言った。

 

 最後にパレードを見て、笑顔でカレコレ屋へ帰宅。

 

 こうして、キリト家のカオスな遊園地遠足は終了した。

 

 遊園地からの帰り道、レンタカーの中はすでに疲れと興奮が混ざり合い、妙に賑やかだった。

 

 カゲチヨは助手席でずっと「太陽怖い、遊園地怖い、陽キャ怖い」とブツブツ言い、俺は笑いを堪えるのに必死。

 

「おやっさん、さっきのゴーカートのビリ……まだ心が痛いです」

 

「まぁ、俺も痛いがな……シディの加速、意味不明だったし」

 

「普通にアクセル踏んだだけだって……どんだけチートだよ」

 

 カゲチヨの頭がもはや煙を吹きそうな勢いだったので、俺はハンドルを握りながらも心の中で笑った。

 

 後部座席ではヒサメ、カンナ、フィーアがそれぞれ戦利品のチュロスやタピオカを食べている。

 

「ヒサメ、チュロスの端っこ食べる?」

 

「え、私が食べてもいいの?」

 

「いいけど、途中で変な格好の人に襲われても文句言うなよ」

 

 そのとき、ボティスが後ろでのんびりスマホを浮かせながら見ている。

 

「このお化け屋敷、何とも理不尽な恐怖を植え付けおるのう……」

 

「いや、それ完全にお前がビビらせてる側だからな」

 

「むむむ……確かに理不尽とはこのことか」

 

 ボティスの天然ボケにヒサメ達は苦笑。

 

 カレコレ屋に着くと、玄関前で荷物を降ろしつつ、俺はみんなに言った。

 

「さぁ、ここで帰宅後の反省会だ。誰か今日一番ビビった奴を挙げろ」

 

 カゲチヨは即座に手を挙げ、泣きそうな顔で

 

「私です! もう、全てが怖すぎて……太陽も遊園地もカラフルも怖いです!」

 

「なるほど……まぁ、君はあの貞子跳びで完全に心が折れたもんな」

 

 シディは冷静に「俺は意外と平気だった」と言い、カゲチヨの震えっぷりに横目でニヤリ。

 

 ヒサメ、カンナ、フィーアは目を輝かせて

 

「私は……カゲチヨが一番面白かったと思う!」

 

「ヒサメ、優しいようで鬼畜発言だな」

 

「でも本当に、ビリになったお父さんも面白かったです!」

 

 俺は思わず「ビリは反省会ネタになって良かったな……」と笑ったが、ボティスは何故か真顔。

 

「キリト、お主……娘達に何を教えたのじゃ? 関節技とは……」

 

「いや、教えたのは自衛術で、急所は……まあ、多少、ね?」

 

 ボティスは首を傾げたまま、浮かせたスマホで何かを検索している。

 

「ふむ、どうやら現代でも急所蹴りは人権問題扱いされるようじゃのう……」

 

 しばらくして、ヒサメが膝を抱えていたカゲチヨに近づく。

 

「ねぇ、カゲチヨ……今日は私と一緒に泣いてくれてありがとう」

 

「いや、俺は……泣くわけには……えぇい、ヒサメの手が……!」

 

 カゲチヨはもがきながらも、ヒサメに手を握られ、しばし無言のまま涙を受け止める。

 

 フィーアは俺に抱きついたまま

 

「お父さん、怖かったけど……ありがとう」

 

 カンナも片方の腕にしがみつき

 

「お父さん、次はもう少し優しいお化け屋敷にしてよね」

 

 俺は両手で二人を抱え、笑いながら

 

「次は……いや、次も絶対楽しいぞ、たぶん……いや、確実に楽しいはず!」

 

 ボティスは隣でポツリ

 

「キリト、あまりに楽しそうで羨ましいのう……わしも次は抱っこしてもらおうかの」

 

「いやお前は抱っこされる側じゃなく、抱っこする側だろ」

 

「むむ、確かにその通りじゃ」

 

 みんなで大笑いしながら、こうしてキリト家の遊園地遠足は無事、カオスかつ爆笑のまま幕を閉じたのであった。

 

 夜、カレコレ屋に戻ってからも、家の中は遊園地の余韻でまだ賑やかだった。

 

 ヒサメ、カンナ、フィーアは買ったお菓子をテーブルに並べ、キャッキャ言いながら味見。

 

 カゲチヨはソファでまだ放心状態。

 

「太陽怖い、遊園地怖い、チュロス怖い……」

 

 いや、それは関係ないだろう。

 

 ボティスはキッチンでケバブをかじりながら、空中に浮かせたスマホでなにやら検索中。

 

「むむむ……お主、このケバブという食べ物は実に理不尽な美味さじゃのう……」

 

「理不尽な美味さ……? それはただのケバブだから」

 

「否、わしの舌が騒ぐ……うむ、どうやら文明とは恐ろしいものじゃ」

 

 ボティス、意味深な顔でケバブを噛みしめている。

 

 俺がふと振り向くと、ボティスがテーブルの上のアイスを指差して

 

「お主、これは一体何じゃ?」

 

「アイスだよ、冷たいお菓子」

 

「冷たい……? では、わしがこの力で温めてやろう……!」

 

 言い終わらぬうちに、ボティスは空中に浮かせたアイスを魔法で温め始めた。

 

 結果、アイスは溶けて床にダラダラ垂れ、ヒサメが悲鳴。

 

「わあっ! ボティスさん、アイスが……!」

 

「ふむ、これは計算外じゃったのう……」

 

 ボティス、無邪気な笑顔で溶けたアイスを舐め始める。

 

「いや、舐めるな! 床が汚れるだろ!」

 

 俺の怒声も届かず、カンナとフィーアは大笑い。

 

「お父さん、やっぱりボティスさん面白い!」

 

「ヒサメも笑え、笑え!」

 

 その後、ボティスは突然立ち上がり、ソファでくつろぐカゲチヨに近づく。

 

「カゲチヨ、わしの変化した姿……見ても怖くないか?」

 

「いや、怖くない……けど距離は置いてくれ……」

 

「距離……? では少し縮めて……」

 

 ボティス、無邪気にカゲチヨの隣に座ろうとするが、カゲチヨは慌ててジャンプして避ける。

 

「やめろおお! 近すぎる!」

 

「むむ、意外と俊敏じゃのう……」

 

 ボティス、手を広げて無言で笑いながらカゲチヨを追いかける。

 

 その様子を見て、ヒサメ・カンナ・フィーアは大爆笑。

 

「キャハハハ! カゲチヨさん、逃げろー!」

 

「いや、マジで助けてくれ……」

 

 キリトはハンドル(いや、今回はソファの背もたれ)を握りつつ、

 

「……まったく、ボティスの天然は底なしだな」

 

 さらにボティスは突然、テーブルの上にある飴玉を手に取り、

 

「よし、これで次なる試練を……」

 

「試練って何だよ」

 

「うむ、食べさせっこ勝負じゃ!」

 

 こうしてボティスと娘たちの飴玉バトルが勃発。

 

 ボティスの無邪気な魔力で、飴玉が空中でピョンピョン跳ねる。

 

 ヒサメ、カンナ、フィーアは必死に飴玉をキャッチするも、ボティスは笑いながら飛ばす。

 

「キャハハハハ! わしは無敵じゃ!」

 

「いや、誰も勝てねぇだろ!」

 

 カゲチヨは後ろで「おやっさん、助けて……」と泣き顔。

 

 結局、テーブルの上は飴玉だらけ、ケバブの残骸も点在し、床はアイスでベタベタ。

 

「……これが……ボティスさんと過ごす夜か」

 

 キリトは疲れ果てた顔で呟いたが、娘たちはまだ笑いが止まらず。

 

「お父さん、ボティスさん最高!」

 

「もう、助けてくれー!」

 

 カゲチヨの叫びが夜のカレコレ屋に響くのであった。

 

 夜も更け、カレコレ屋の中はまだ戦場。

 

 床はアイスとケバブの残骸でベタベタ、飴玉がピョンピョン飛び交い、娘たちはまだ笑い疲れていない。

 

 カゲチヨはソファで潰れた顔。

 

「……助けてくれ、これは人間の夜じゃない……」

 

 俺は深呼吸して心を落ち着け、ボティスに近づく。

 

「ボティス、お前そろそろ落ち着け。娘たちを寝かせないと明日が地獄になるぞ」

 

 ボティスは肩をすくめ、頭上で浮かぶスマホを見つめながら

 

「むむむ……そうかのう……寝かせる……か……」

 

 しかしその瞬間、ボティスはなぜか冷蔵庫に目をつけ、魔力で一気にアイスを空中に持ち上げた。

 

「ここで勝負じゃ!」

 

「ちょっと待て、勝負って飴玉じゃなかったのか!?」

 

「いや、もうアイスになっただけで大惨事だろ……!」

 

 案の定、アイスはテーブルや床に飛び散り、ヒサメが

 

「きゃー! 滑るー!」

 

「お父さん、ボティスさん……やめて!」

 

 と叫ぶ。

 

 俺はあわてて娘たちを抱き上げつつ、カゲチヨに指示。

 

「カゲチヨ、そっちはボティスを止めろ! 俺は娘たちを抱えて安全地帯へ!」

 

 カゲチヨは泣き顔でうなずき、

 

「……分かった、俺に任せろ……!」

 

 と言いつつボティスに近づくと、ボティスは楽しげに魔法で空中でくるくる回る飴玉とアイスを投げつける。

 

「キャハハハハ! 逃げられるかー!」

 

「逃げるぞ、カゲチヨ! スライディング回避!」

 

 カゲチヨ、身をよじってアイスをかわすが、思わず滑って尻もち。

 

 ボティスは無邪気に笑う。

 

「むむむ、逃げ足速し、しかしわしには魔法がある!」

 

 俺はヒサメ・カンナ・フィーアを抱えて安全地帯に避難。

 

 娘たちはまだケラケラ笑っているが、眠気も少しずつ勝ってきたようで、ヒサメがぼそっと

 

「……お父さん、ボティスさん……怖いけど面白い……」

 

「だろ? でもそろそろ寝る時間だぞ」

 

「はーい……」

 

 その声を聞いたボティスは何か閃いたらしく、突然大げさに手を広げて

 

「よし、わしの魔法で眠くなる呪文をかけてやろう!」

 

「やめろ! そんな魔法は不要だ!」

 

 と俺は叫ぶが、ボティスは真顔で唱え始める。

 

「ふむふむふむ、スヤスヤ……ムニャムニャ……」

 

 ところが、ボティスの呪文は効きすぎて、自分自身がまず眠くなって椅子にどっかり座ったままウトウト……。

 

「ボ、ボティス! 自分が寝たら意味ねぇ!」

 

「むむ……この眠気……これは……!」

 

 ボティス、無防備に前のめりで寝落ち。

 

 その隙に俺は娘たちを布団に寝かしつけ、ヒサメが最後に

 

「お父さん、ボティスさんも……そのうち寝るかな?」

 

 と笑う。

 

 俺はカゲチヨの方を振り返ると、カゲチヨも疲労困憊でソファに沈み込んでいた。

 

「……これでやっと……落ち着くか?」

 

 ボティスの寝顔を見ながら、俺は静かにため息。

 

「……まあ、明日も何かやらかすんだろうな……この悪魔は」

 

 しかし、その夜はボティスのいびきが妙に可愛らしく、娘たちはそれを聞きながら眠りにつき、カゲチヨも小さく「おやすみ……」と呟いた。

 

 キリトはリビングで一人、残骸だらけのカレコレ屋を見回しながら、

 

「……明日、掃除から始まるんだな……」

 

 と覚悟を決めるのだった。

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