混血のカレコレとLost evolution   作:Ks5118

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 すみません、データが消えてしまい遅れました。そして時間もかかっていながらも文字数が少なくなってしまいすいません。自動保存が機能しませんので、どうしたらいいんですかね?とりあえず今日もう一本短編を出します。


No.19 クリスの復活と不穏な気配〈修正版〉

 キリトside

 

 ヨーメイのバイト合格から一週間が経過していた。クリスはまだ人型のままであったが、俺はついに薬の解析を終え、解毒薬を作り始めた。

 

「薬の解析だけなら三日だったが、解毒の解析に四日もかかってしまったな……。これとこれを混ぜて少し置いておくか。その間に、少し休憩でもするか」

 

 そう言いながら、俺は完成間近の薬を机の上に置き、部屋を出て行った。その間に、クリスがゆっくりと目を覚ました。部屋を見渡すと、俺が置いておいた薬の瓶に気づき、思わず手を伸ばした。

 

 しかしその瞬間、ボティスが静かに部屋に入ってきた。彼はクリスが薬を手に取ろうとしたのを見て、柔らかいが毅然とした声で言った。

 

「クリスよ、まだその薬は出来ておらん。しばし待て」

 

 ボティスは薬の瓶を取り上げ、元の位置に戻すと、クリスに向かって言った。

 

「寝ぼけておるようじゃし、顔でも洗ってこい」

 

 その言葉に従い、クリスは部屋を出た。ボティスは静かに俺に振り向き、眉をひそめながらつぶやいた。

 

「キリトも無用心じゃのう。クリスも所詮は獣、そこら辺に置いとけば勝手に飲んでしまう。その様なことにも気づかんのかのう」

 

「すまん。その件については謝る。もう少ししたら薬は完成するから、そのときお前が飲ませてやれ」と俺は答え、ボティスの頭を軽く撫でようとした。しかし彼は首を振り、柔らかくも厳しい口調で言った。

 

「良さぬか。恥ずかしいそういうことはクリスやヒサメ達にやってやれ」

 

「確かにそうだな……今度美味い酒でもやるとするか」

 

 そう言って、俺は薬に最後の材料を加え、慎重に混ぜ合わせた。

 

「よし……これで完成だな」

 

 完成した薬を手に、俺はクリスの元へ向かった。

 

「クリスゥー! 薬が出来たぞ、飲め!」

 

 クリスは目をぱちぱちさせながらこちらに近づき、期待と不安の入り混じった声で言った。

 

「ご主人、出来たんですか……?」

 

「ああ、これを飲めば元に戻る」

 

 俺は薬を差し出すと、クリスは慎重に口に含んだ。その瞬間、クリスの体から白い煙が立ち上り、ゆっくりと体を包み込む。

 

「グルルルルッ……」

 

 その声が部屋に響き渡る。しばらくすると、クリスの体は再び元のマンティコアの姿に戻っていた。

 

 ボティスが微笑みながら近づき、俺に尋ねる。

 

「キリト、お主、成功したのか?」

 

「ああ、無事に戻れたぞ」

 

 そのとき、玄関からヒサメ達の声が聞こえてきた。

 

「ただいまー!」

 

「ただいま帰りました」

 

「疲れましたぁー!」

 

 俺はクリスに向かって言った。

 

「ヒサメ達の所に行っておいで」

 

 クリスは軽やかに玄関に向かい、ヒサメ達の元へ駆けて行った。玄関では、三人が目を輝かせて歓声を上げていた。

 

「ワァ────ッ! クリスちゃん元に戻ったんだっ!」

 

「人型のクリスも良かったけど、アーシはこっちの方が好きだよ」

 

「私もクリスが元に戻って良かったと思います」

 

「すみません、クリスさん、また撫でて良いですか?」

 

 三人の喜びに、ヨーメイも加わり、恐る恐るクリスの頭を撫で始めた。それを見たヒサメ達は、抗議するように声を上げる。

 

「アーシ達だって撫でたいのにっ!」「早く私達に代わってください!」

 

 ヨーメイは得意げに言った。

 

「早い者勝ちですぅー、遅かったあなた達が悪いんじゃないですかぁ?」

 

 俺は苦笑しながら、注意を促す。

 

「お前ら、うるさいぞ。そんなに騒ぐなら、今月のお小遣いなしだ」

 

 ヒサメ達は顔を真っ赤にして反論した。

 

「お父さんやめてっ!」「アーシも友達と遊ぶ約束している」「私も新しいトレーニング用品を買おうとしていて」「私だって課金したくて……」

 

「ヨーメイ以外はわかった、あまり無駄遣いするなよ」

 

 ヨーメイは悔しそうに口を尖らせて言った。

 

「何で私はダメなんですか? 嫌がらせですか?」

 

 俺は軽く肩をすくめ、注意した。

 

「お前はアルバイトしてるだろ、自分の給料内でやれ」

 

 ヨーメイは小さく「ウギギギギッ」と悔しそうにうめいた。

 

 [何で俺、ヨーメイにもお小遣い渡してたんだろう……]と、ふと我に返りながらも、その日の朝の騒ぎは終わった。

 

 ??? side

 

 キリト達の生活から離れた場所。雨が降りしきる、廃れかけた倉庫の中に、怪しい男の笑い声が響く。

 

「フハハハハハッ! ついに! ついにあいつを倒せる! これでようやく、あの方に認めてもらえるっ!」

 

 その声に応えるかのように、獣の低い唸り声が響く。

 

「グルルルルッ!」

 

 闇に紛れるように、男の背後に影が蠢く。雨に濡れた鉄骨の隙間からは、わずかな光が差し込み、男の瞳が冷たく光った。その目は、まるで計画の成功を確信した者のものだった。

 

 男の手には、見慣れぬ武器が握られており、その先端からは青白い光が漏れていた。獣は男の足元で身を潜め、低くうなりながらも指示を待つ。

 

「さあ……始めるか……」

 

 男はゆっくりと前に進み、倉庫の暗がりで立ち止まった。雨音と男の息遣いが倉庫内に反響する。今、すべてが動き出そうとしていた。

 

 キリトside

 

 クリスが元の姿に戻り、ヒサメ達やヨーメイとともに朝食を囲む光景は、普段の穏やかな日常を取り戻したかのようだった。俺は手早く朝食を整えながら、心の中で今回の騒動を振り返る。

 

「しかし……この一件で、俺の作る薬の精度がますます問われるな」

 

 ヒサメ達は、クリスの元に駆け寄って撫でるのに夢中で、俺の言葉には耳を貸さなかった。ヨーメイもまた、クリスの毛並みに触れながら小さくうめいている。

 

「……ああ、羨ましいな、俺も撫でたい」

 

 つい、独り言のようにつぶやく。するとヒサメ達が声を揃えて抗議する。

 

「お父さんまで……!」

 

「そ、それは……!」

 

 俺は苦笑しながら手を止め、クリスが落ち着いて食事できるように配慮した。その間、クリスは慎重に食べ物を口に運びながら、ボティスのそばで落ち着いていた。

 

「ボティス、クリスの世話はありがとうな」

 

「無用じゃ。お主がこうして手を貸さねばならんのだろう?」

 

「……ああ、まあ、俺も少しは役に立つだろう」

 

 俺は小さく笑い、朝食を続けた。ヒサメ達は少し拗ねた表情を見せながらも、朝の騒ぎは次第に落ち着いていった。だが、心の片隅にはまだ不安があった。

 

 [あの怪しい男……動き出すタイミングをうかがっているかもしれない]

 

 それを考えると、油断はできないと俺は思った。

 

 ??? side

 

 雨の降りしきる倉庫。怪しい男の手元で、青白く光る武器が微かに震えていた。獣は低く唸りながら、男の指示を待つ。

 

「フハハハハッ! 奴らが油断している今がチャンスだ……」

 

 男の声は、雨音にかき消されることなく倉庫中に響き渡った。獣が低く唸りながら身を潜める。その瞳には、狙う者への冷徹な光が宿っていた。

 

「まずは……奴を仕留める。それから、あの方への証明を……」

 

 男の手が武器に触れ、青白い光が強くなる。獣が前足を踏み込み、体を低くした。雨粒が床に跳ね返る音と共に、緊張が倉庫内に張り詰めた。

 

「くっ……奴らはまだ、何も気づいとらん。ふふふ……」

 

 男の笑い声が、倉庫内に低く反響する。獣の目もまた、戦いの瞬間を待ちわびて光った。

 

 キリトside

 

 朝食を終え、ヒサメ達やヨーメイがそれぞれの支度を始める頃、俺は窓の外の雨音に耳を傾けていた。

 

 [何か……感じる、妙な気配]

 

 クリスは再びマンティコアの姿に戻り、床に座って毛づくろいをしている。ヒサメ達はそれを羨望の眼差しで見つめている。ヨーメイは自分の制服に袖を通し、鏡の前で髪を整えている。

 

「……ヨーメイ、今日は面接だろう? 準備はできているか」

 

「はいっ! 大丈夫です!」

 

 彼女の声には、まだ不安が隠れていたが、それでも決意は固そうだった。俺は彼女の背中に軽く手を置き、安心させるように言った。

 

「よし、それなら出発だ」

 

 ヒサメ達も続き、家の玄関を出る。クリスはその後ろで、警戒しつつも嬉しそうに尾を揺らしていた。

 

 ??? side

 

 倉庫内で男は武器を肩に担ぎ、獣と共に影に潜む。雨粒が滴る音と、遠くの雷鳴が緊迫感をさらに高める。

 

「奴らが動く前に……先手必勝じゃ……!」

 

 獣が唸り、青白い光を纏った武器が微かに震える。男は低く笑い、手元を調整しながら計画を思い描く。

 

「ふふ……奴らがまだ気づかぬうちに……これで……」

 

 その時、倉庫の奥で小さな振動が走った。男は獣の方を見やり、低くうなずく。

 

「来るぞ……準備はいいか?」

 

 獣が低く唸ると、男は武器を握り直し、倉庫内の闇に溶け込むように体を低くした。

 

 キリトside

 

 ヨーメイの面接先に向かう途中、俺は彼女の様子を観察していた。制服姿の彼女は、朝の緊張感からか少し肩に力が入っているように見えた。

 

「ヨーメイ、大丈夫だ。落ち着け」

 

「はい……でも、少し緊張しています」

 

 俺は彼女の手を軽く握り、安心させるように微笑む。彼女も少し肩の力を抜き、深呼吸をひとつ。

 

「よし、それじゃあ行こう」

 

 リサイクルショップの前に到着すると、オーナーは俺たちの姿を確認して微笑んだ。

 

「お、ヨーメイか。話は聞いている。こっちに来い」

 

 店の奥に案内されると、ヨーメイは少し後ろに下がりつつも、俺の視線を頼りに一歩一歩進む。俺は彼女の緊張を察し、静かに肩を叩く。

 

「落ち着け、俺も一緒だ」

 

 ヨーメイは深呼吸し、しっかりとした声で挨拶した。

 

「よろしくお願いしますっ!」

 

 オーナーは頷き、軽く面接を始めた。ヨーメイの受け答えは思ったよりも的確で、緊張している割にはしっかりとした返答ができていた。俺も彼女の背中をそっと支えながら、面接を見守る。

 

「……やはり、少し支えがあると安心するな」

 

 クリスやヒサメ達が家で待っていることを思うと、ヨーメイだけでなく、俺も少し肩の荷が下りた気がした。

 

 ??? side

 

 一方、雨に濡れた倉庫の中では、怪しい男と獣が緊張の中で準備を整えていた。男は青白く光る武器を握り、獣は低く唸る。

 

「奴らはまだ油断しておる……よし、動き出すのは今だ」

 

 獣の瞳が獲物を捕らえた瞬間、男は低く笑い、武器を振り上げた。倉庫の破れた壁の隙間から、外の雨が細かく飛び込み、光と影が不規則に揺れる。その中で男の笑みは一層不気味さを増す。

 

「ふふ……奴らが無防備なら……容易くあの方に証明できる……」

 

 獣が男の合図に応じて前足を踏み込み、体を低くした。雨音と雷鳴が混ざり、倉庫全体に緊迫した空気が張り詰める。

 

「……行くぞ!」

 

 男の声で、獣は一気に走り出した。倉庫内の闇の中で、影が動く。

 

 キリトside

 

 面接を終え、ヨーメイは無事にバイトの許可を得た。彼女の表情は安堵と喜びで輝いていた。

 

「ありがとうございますっ!」

 

「これで安心だな」

 

 俺はヨーメイに微笑み、周囲のヒサメ達とクリスのことを思い浮かべる。家に戻れば、日常の中でまたいつもの賑やかな光景が待っているはずだった。

 

 しかし、胸の奥で微かな違和感が残る。何かが迫っている──そんな予感を俺は無視できなかった。

 

「……油断はできないな」

 

 クリスやヒサメ達、ヨーメイを守るためにも、俺は気を引き締める必要があった。

 

 ??? side

 

 倉庫の中、怪しい男は獣と共に影から影へと移動しながら、獲物を確認する。雨が打ちつける音、遠くで雷が轟く。男の目は鋭く光り、獣は唸り声を上げた。

 

「奴らはまだ気づいておらん……ふはははっ!」

 

 男は武器を握り直し、計画通りに動く準備を整える。獣も低く身を沈め、攻撃のタイミングを伺う。

 

「……奴らが一歩でも動いたら、一気に仕留める」

 

 その瞬間、倉庫の奥で小さな光が揺れた。男は獣と目を合わせ、微笑む。

 

「来るぞ……待っておれ、あの方に証明してみせるのだ」

 

 影が動き、雨に濡れた倉庫は戦場のように変わりつつあった。

 

 キリトside

 

 家に帰る道中、俺はふと空を見上げた。雨は止んでいたが、空気は重く、どこか不穏な気配が漂っている。

 

「……何か、感じる」

 

 ヨーメイが不安そうに俺を見上げる。

 

「どうかしましたか、ご主人?」

 

「いや、気のせいかもしれない。でも、何か近いうちに起こりそうだ」

 

 ヨーメイは小さく頷き、手を握り直す。俺は彼女を守る決意を胸に、家路を急ぐ。

 

 家に着くと、クリスやヒサメ達が玄関で出迎えてくれた。

 

「ご主人、お帰りなさい」

 

「クリスちゃん、おかえりっ!」

 

「ヨーメイちゃんも一緒か」

 

 俺はみんなに微笑みかけながら、警戒心を緩めない。庭にはいつも通り、柔らかい日差しが差し込んでいるが、その裏で何かが動いている予感がする。

 

「……油断はできないな」

 

 俺は玄関で荷物を置き、全員に声をかけた。

 

「今日は家の中でゆっくりしてろ。何かあれば俺が守る」

 

 クリスは安心したように俺に寄り添い、ヒサメ達はまだ半信半疑だが微笑んで頷いた。

 

 ??? side

 

 崩れかけた倉庫では、男と獣が暗闇の中で動いていた。男は青白く光る武器を握り、獣は低く唸る。

 

「奴らが気づかぬうちに、先手を打つ……」

 

 雨に濡れた床を滑るように獣が走る。男の目は鋭く光り、影の中で戦う準備を整えていた。

 

「ふふふ……これであの方に認められるのだ……!」

 

 男は高らかに笑い、獣は低く唸る。その声は倉庫の奥まで響き、外にまで不吉な気配を放つ。

 

「……来い、奴らよ」

 

 男の手が武器を握り直し、獣が構えを取る。まさに決戦の前の静けさだった。

 

 キリトside

 

 家の中では、クリスとヒサメ達、そしてヨーメイが穏やかな時間を過ごしていた。しかし、俺の胸の奥には不安が消えず、注意を怠ることはできなかった。

 

「クリス、ヒサメ達、何か変わったことはなかったか?」

 

「うーん、特には……」

 

「大丈夫だと思います」

 

「ヨーメイも問題なしです」

 

 俺は一度頷き、窓の外を確認する。雨は止んでいたが、風が強く、遠くの空には黒い雲がわずかに残っていた。

 

「……あれか」

 

 直感で感じた。何かが、間もなく動き出す。俺は静かに家族の安全を確認し、戦闘準備を整えた。

 

 ??? side

 

 倉庫の男は獣と共に、ついに外の動きに気づく。遠くに小さな光──まさにキリト達の家だ。

 

「奴らだ……あの光は奴らのものだ!」

 

 獣が低く唸り、男は笑みを浮かべる。

 

「よし……行くぞ。奴らを叩き潰すのだ!」

 

 雨に濡れた廃材の隙間から、男と獣は静かに姿を現す。狙いは、守るべき家族たちを巻き込む一撃だった。

 

 キリトside

 

 その時、俺は背後から異変を感じた。耳を澄ませると、雨に混じった微かな足音。

 

「……来るな」

 

 俺は即座に警戒態勢に入り、クリスとヨーメイを守る位置に動かす。ヒサメ達も俺の隣に集め、集中力を高める。

 

「敵だ……来るぞ!」

 

 外の気配が強まり、窓ガラスがかすかに震える。俺は全力で防衛準備を整え、クリスを守りながら外を睨む。

 

「さあ、かかってこい!」

 

 その瞬間、倉庫の男と獣の影が家の方向に走り出す。雨に濡れた夜の闇の中で、戦いの幕が上がろうとしていた。

 

 キリトside

 

 雨に濡れた夜の庭先に、微かな影が忍び寄る。俺は即座にそれを察知し、クリスとヒサメ達、そしてヨーメイを守る位置に移動した。

 

「外の足音、聞こえるか?」

 

 クリスが低く唸り、体を小さく震わせる。ヒサメ達も俺の周囲で警戒を強める。ヨーメイは少し怯えながらも俺の後ろに隠れている。

 

「大丈夫だ、俺が守る」

 

 俺は心の中で自分に言い聞かせる。家族を守るのは当然だ。誰も傷つけさせはしない。

 

 そして、闇の中から二つの異様な影が現れた。倉庫の男と、彼に従う獣。雨に濡れた黒の装甲が夜の闇に溶け込み、動きはまるで影そのものだった。

 

「……来やがったか」

 

 俺は即座に構えを取り、全身に緊張を走らせる。クリスが俺の横に寄り添い、爪を立てて低く唸る。ヒサメ達もそれを見て、自然と背筋を伸ばした。ヨーメイは目を大きく開け、震えながらも俺の手を握る。

 

「……お前ら、絶対に守る」

 

 俺は心の中で強く誓った。

 

 ??? side

 

 倉庫の男は低く息を吐き、獣に目配せをする。獣は爪を地面に立て、低く唸りながら進路を定める。

 

「奴らは油断しておる……だが、我らも油断は許されぬ」

 

 男は手にした武器を握り直し、雨に濡れた影の中で静かに足を運ぶ。獣は低く唸り、夜の闇に溶け込むように進む。その目的は一つ──キリトの家族を叩き潰すこと。

 

「……認められる日は近い……!」

 

 男は笑みを浮かべ、獣と共に闇に消えた。足音は次第に庭の土を踏む音に変わり、今にも家の扉を叩かんとしていた。

 

 キリトside

 

 庭先に影が見えた瞬間、俺は全身に力を入れた。クリスが低く唸り、ヒサメ達は構えを取る。ヨーメイはまだ怖がっているが、俺の横で踏ん張っている。

 

「よし、まずは守りを固める」

 

 俺は家族を囲むように位置取り、目線を庭の影に固定する。雨に濡れた黒い影がゆっくりと近づいてくる。

 

「……お前ら、何しに来た?」

 

 叫ぶ間もなく、影は動きを加速させ、庭の端から飛び出してくる。獣の爪が地面を叩き、男は冷たい笑みを浮かべながら武器を振りかざす。

 

「来たな……!」

 

 俺は叫び、体全体に血が通うのを感じた。防衛戦の始まりだ。クリスは獣の本能を全開にして俺の横で構え、ヒサメ達はその後ろで守備の位置に付く。ヨーメイも必死に俺の背中を守ろうと身をかがめた。

 

「絶対に守る……!」

 

 俺の心に決意が燃え上がる。雨が降りしきる庭先で、家族を守る戦いが今、幕を開けた。

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