混血のカレコレとLost evolution 作:Ks5118
カゲチヨside
おやっさんと別れてから、俺たちは廃倉庫に向かっていた。
森の中はひっそりと静まり返り、木々の葉が風に揺れる音だけが耳に届く。落ち葉が踏まれてカサカサと音を立てるたび、俺の神経は研ぎ澄まされる。
その静寂に、全身を黒い服で覆った二人の影が浮かび上がった。道を塞ぐその姿は、まるで森の闇の一部のように自然でありながら、異様な緊張感を放っていた。
俺は立ち止まり、冷静に声をかけた。
「すみません、そこを通してくれませんか? この先に用事があるもんで」
しかし返ってきた声は冷たく、鋭かった。
「腐血、陽狼、氷電、戦麟、海炎の五名を確認、お前達を捕獲する」
その言葉を聞き、カゲチヨは即座に反応した。
「……距離を取れ。奴ら、ただ事じゃない」
彼の言葉に合わせて、俺たちは無意識に後退しながら、黒服の動きを観察した。
森の木々の間に潜む影の中で、黒服の二人の身体は僅かに揺れ、次の瞬間に襲いかかろうとしていることが容易に想像できた。
俺は問いかけた。
「お前らも、あの組織のメンバーなのか?」
黒服の一人は笑みを浮かべ、低く答える。
「肯定。 我が名はロクス。我らはトッププレデター。異宙と混ざり合おうとも、人類が頂点でなければならない。そのための犠牲になることを光栄に思え」
俺の拳は自然に握りしめられた。怒りと決意が混ざり合い、体中に熱を生み出す。
「そんな事させねぇよ! 自分たちの理想のために他者を平然と切り捨てる奴らに、この世界をどうこうする権利なんてねぇ!」
ロクスは目にも留まらぬ速さで距離を詰め、腹に鋭い蹴りを叩き込んできた。
その衝撃で、俺は空中に浮かび、次の瞬間地面に叩きつけられた。
「ぐぅっ……!」
体中に激痛が走り、立ち上がることもままならない。
[何故、痛みが消えない……? ]
傷口を確認すると、普通なら俺の再生能力で回復するはずの箇所が溶けたようになっていた。
ロクスの足元を見ると、彼自身も異形の力を秘めていることが理解できた。
「お前も混血児か?」
問いかけると、ロクスは冷酷に答える。
「我はヒュドラと麒麟の混血児である。お前達では我には勝てない」
その瞬間、フィーアが前に出た。
「なら、私が相手をします。私にも貴方と同じ遺伝子が……」
しかしロクスは笑いながら切り捨てる。
「笑止千万、その思い上がった心、この我が打ち砕いてやる」
二人は光速のような速さで戦闘を開始した。
その隙に俺たちは廃倉庫に向かおうと試みるが、残る一人──アレクが立ちはだかる。
「俺の名はアレク。マンティコアと天狗、そして宇宙人の混血児であり、お前達を捕獲する者だ」
「宇宙人? そんな遺伝子、一体どこで?」
問いかけると、白衣の男がどこからともなく現れ、笑い声を響かせた。
「はぁーはっはっはっはっ! まさか正規品と融合の成功例が同時に現れてくれるとは思わなかった!」
ヒサとカンナはその姿に怯える。
「お前が……ヒサ達を!」
怒りに震えながら拳を振り上げるが、アレクに防がれ反撃を受ける。
「ぐぅあっ!」
白衣の男は冷笑する。
「よくやった新型。お前のおかげでコイツらの実験を完遂できる」
俺は叫ぶ。
「ふざけるなっ! ヒサ達は道具じゃねぇ!」
その指示で、男はクリスに似たキメラを襲わせる。
腕を引っ掻かれ、痛みが走る。
「痛ってぇ! だが……俺の再生がっ?」
傷は回復せず、白衣の男が解説する。
「その通り、コイツには再生を阻害する毒がある。つまり天敵なのだ!」
俺は既に先ほどの怪我の時からウィルスを散布し、周囲を満たしていた。
その効果でキメラは倒れ、白衣の男は疑問を抱き、自分の体が青く変化していくのを見つめる。
「な、何だ? お前っ! 私の体に何をした!」
「なぁに、ちょっと能力を使っただけだよ」
ゾンビもヴァンパイアも根源はウィルスだ。
「きぃさぁまぁーっ! 失敗作が創造主たるこの私に牙を向くなど……!」
俺たちは地面に伏せつつ、次の動きを警戒しながらも、全員が次の瞬間に備えて森の中で息を潜める。
木々がざわめき、風が枝を揺らす。
落ち葉が擦れる音が、戦いの前の静寂をさらに濃くする。
森は暗く、冷たく、全てが緊張で満ちていた。
俺たちは、仲間を守りつつ、次の一手を考える。
だが、この先に待ち受けるのはさらに強大な敵の存在であり、その影は森の奥で静かに息を潜めていた。
カゲチヨside out
キリトside
俺は二人を寝かせて廃倉庫に向かおうとしたその瞬間、森の薄暗い影の中から、誰かが立ちはだかった。
その姿は静かに、しかし確固たる存在感で、俺の前の道を塞いでいた。枝や葉が揺れ、森の中の小さな音さえも、今は異様に大きく響く。
「誰だお前? 今急いでいるからそこを退いてくれ」
俺は声をかけるも、相手は無言で立ち尽くすだけだった。足元の落ち葉が微かに擦れる音、呼吸のわずかな乱れも感じ取れるほど、緊張が森に張り付いている。
俺は慎重にソイツの横を通ろうとした。
だがその瞬間、ソイツは動き、俺に向かって急に殴りかかってきた。
「うおっと! 危ねぇなぁ、いきなりなんだよ」
と驚きながら身をかわす。ソイツは沈黙したまま、しかし手の動きには迷いがなかった。
そして、俺の視線は彼の手元に釘付けになった。ソイツが無言で取り出したもの──それは、スクラッシュドライバーだった。
この世界には存在しないはずのドライバー。俺は思わず声をあげる。
「何処だっ! 何処でそれを手に入れたぁ! そのドライバーをー」
心臓が早鐘を打つ。目の前の相手が手にしているのは、俺の知る限り、この世界には存在していないはずの道具だった。
[何であれがこの世界に有るんだ? この世界にはブラッド族は居ないはずだし、ビルドの歴史も無かった。念の為俺のドライバーと似た奴がないかも探したが無かったし……有り得ない、まさか俺が来たことでドライバーが出来たのか? ]
疑念と驚愕が頭を駆け巡る。
ソイツは無言でドライバーを腰に装着すると、手に持ったボトルを力強く振った。
『Sclash Driver!』
低く響く音。
そして、ボトルを振った後、静かにドライバーへ装填する。
『Danger』
音が森の奥深くに響き渡り、冷たい風が木々を揺らす。
そして──
『Cerberus!』
森の静寂を引き裂くように、振動する音が続く。
ソイツの足元から、まるで実験装置のようなビーカーのようなものが形成されていき、取り囲むように金属の柱が三段ほど立ち上がり、白い液体のようなものが満たされた。
その光景は異様で、まるで森の中で現実とは思えない光景が現れたかのようだった。
『♪〜〜〜♪〜〜〜』
しばらく音が鳴った後、ソイツはレバーを下げる。
『裁く! 引き裂く! 食いちぎる!』
森に響くその音に合わせ、狼のような口がビーカーのようなものを噛み砕く動きを見せ、白い液体を満たした装置は一瞬で砕け散った。
その後、ソイツは姿を現した。
『ケルベロスinサーベラス、ブゥラァ──────ッ!』
初めて声を発したソイツは俺に向かい、鋭く言い放った。
「俺の名前はサーベラス、仮面ライダーサーベラス。お前らブラッド族を滅ぼす者だ」
その言葉と同時に、ソイツは俺に向かって拳を振り上げた。
俺は即座に反応する。
「俺はブラッド族じゃねぇよ」
反論するも、ソイツは冷ややかに言い返す。
「そのドライバーを持つ物は全てブラッドだ」
俺は目を細め、言い返す。
「それじゃあ、お前もブラッド族ってことになるぞ」
その瞬間、ソイツは動きを止め、険しい表情で言った。
「何を馬鹿な事を言っているんだ? 俺がブラッド族? ふざけた事を言うなっ!」
怒りに満ちたその視線のまま、再び突進してくる。
だが俺は冷静に問い返す。
「じゃあ何でブラッド族の事を知っているんだ? その存在は俺がこの世界に来るまでに絶滅したと聞いているんだぞ」
ソイツは一瞬動きを止め、混乱したように言葉を紡ぐ。
「それはどう言う事だ? 絶滅? ブラッド族が? エボルやキルバスも死んだと言うのか? この2019年に」
俺は首をかしげ、再度訂正する。
「何を言っているんだ? 今年は2027年だぞ? それにこの世界には仮面ライダービルドどころか仮面ライダー自体ないぞ?」
ソイツは頭を押さえ、取り乱したように繰り返す。
「嘘だっ! 嘘だっ! 嘘だっ! 嘘だっ! 嘘だっ! 嘘だっ! 嘘だっ! 嘘だっ! 嘘だっ!」
暫く取り乱した後、ソイツは決意のような声で再び言った。
「まぁいい、お前を倒せば俺が正しい事になる。そして俺がこの世界をビルドの世界にする。ブラッド族ならパンドラパネルも有るだろうしな」
その言葉を聞き、再び襲い掛かってくるソイツ。俺はその攻撃をいなしながら、次の行動を考える。
「どうせお前も他のブラッド族と一緒で、この世界を滅ぼそうと思っているんだろ」
だが俺は反論する。
「んな事考えた事ねぇよ。それにお前、いつからこの世界にいるんだ?」
ソイツは答える。
「神様が転生させてくれてから一週間だ」
俺は納得した。だが同時に、この存在がこの世界にいてはいけないことを確信する。
「その神様には申し訳ないが、お前はこの世界にとってガンになりそうだ。だからこの場でお前を殺させてもらう」
ソイツは嘲笑混じりに叫ぶ。
「ふざけるなぁ! お前風情が俺を殺せるわけがねぇだろう。お前こそこの一撃で殺してやるっ!」
そしてドライバーのレバーを下げ、必殺技を放つ。
『スクラップフィニッシュ!』
飛び蹴りを放つソイツに、俺はラグナロクトリガーを前に出し、必殺技のエネルギーを全て吸収する。
「やっぱりお前、ブラッド族だったか。ブラックホールトリガーを持っているしなぁ。お前を殺してそのドライバーとトリガーを貰って、お前が持っているものを全て壊してやるよ」
俺は握るラグナロクトリガーに力を込め、強い意志で応える。
「壊すだと、俺がこの世界で築いて来たものを全て? ふざけるなよ、お前なんかに家族や友人を壊されてたまるかよ」
ソイツは笑いながら応える。
「はぁーはっはっはっはっ! 家族だぁ? ブラッド族のお前が家族を持っているなんて笑えるなぁ! じゃあソイツも殺してこの世界を救わないとなぁ」
俺は決意を固め、こいつだけは絶対に殺さないと心に誓い、ドライバーを装着し、悪魔のボトルを取り出した。