混血のカレコレとLost evolution   作:Ks5118

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No.23 猫化とお世話〈前編〉《修正版》

 キリトside

 

 トッププレデターの拠点を潰してから一日が経ち、俺はデビルロストロードボトルを片手に、ぼーっと空を眺めていた。

 

「何をぼーっとしておる、そろそろ朝飯の時間じゃぞ」

 

 ボティスの声に反応してリビングを見ると、ヒサメが手招きしていた。

 

「お父さん、カンナちゃんが朝ご飯できたって言ってるよぉ〜」

 

 リビングに入ると、テーブルには美味しそうな目玉焼き、ソーセージ、サラダ、味噌汁、白米が並んでいる。目がハートになりかけた俺に、カンナがにこやかに言った。

 

「うん、いつもお父さんに作ってもらっているから、今日は私が作ろうかなって思ったの。昨日みたいに倒れたらアーシ達悲しいし」

 

 ヒサメも笑顔で頷きながら、

 

「そうだよ。私達は家族なんだから」

 

 ボティスも手を叩きながら、

 

「そうじゃぞ、困ったならワシらを頼れ」

 

 俺は胸がぎゅっと締め付けられる思いで、カンナたちの頭を撫でた。

 

「悪いな。もうあんなことにならないようにするから」

 

 そんな微笑ましい空気を破ったのは、ヒサメのお腹の音だった。

 

『グウゥ〜〜〜ッ』

 

 顔を赤くして顔を覆うヒサメ。

 

「ご、ごめんっ! カンナちゃんが作ったご飯が美味しそうで、つい」

 

 俺は笑いながら、

 

「さてと! ヒサメも我慢出来なくなってきた事だし、早く食べよう」

 

「もうっ! そんな事、言わないでよっ!」

 

 朝ご飯を囲んで笑いながら、俺たちは幸せな時間を過ごした。食べ終わるとヒサメとカンナは学校へ、俺とボティスは喫茶店へと向かった。

 

 キリトside out

 

 カゲチヨside

 

 トッププレデターの一件の次の日、放課後のカレコレ屋に俺は集まっていた。

 

「はぁーっ、今日も疲れたぁーっ!」

 

「そんなこと言って、カゲ授業中ずっと寝てたじゃない」

 

「えっ! アーシだって我慢してたのに、カゲチヨ寝てたの!」

 

 フィーアが眉をひそめて言う。

 

「真面目に勉強していませんと、来月のテストに響きますよ」

 

 俺とカンナは顔を見合わせ、思わず叫ぶ。

 

「「あぁ────ーっ! そうだったぁ────っ!」」

 

 ヒサはため息混じりに、

 

「全く二人ともぉ〜、そんなんじゃ卒業できないよ」

 

 俺は開き直るように、

 

「俺は別に良いかなぁ〜とか思ってたりして」

 

 ヒサは目を光らせ、

 

「そんなこと言っていると、お父さんに言うからね」

 

 慌てて土下座しながら謝る俺。するとカンナが逃げようとした瞬間、フィーアに捕まった。

 

「何、逃げようとしているんですか。貴方も同じですからね」

 

 カンナは慌てて否定する。

 

「べ、別に逃げようとなんてお、思ってな、無いよ」

 

 ヒサがまた、お父さんネタを出す。

 

「カンナちゃんも、そんなこと言うんだったらお父さんに言うからね」

 

「ごめんてぇー、だからお父さんだけには言わないでぇ」

 

 ヒサの足に絡みながら謝るカンナに、入り口からオーナーが現れた。

 

「邪魔するぞ」

 

 昨日の一件を聞きたがるオーナーに、俺は詳細を説明。

 

「なるほどな、アイツが暴走したのか」

 

 顔色が悪くなるオーナーを心配して、つい声をかける俺。

 

「大丈夫っすか? 具合悪そうですが?」

 

「いや、大丈夫だ」

 

 と答えた直後、ヨーメイが入ってきた。

 

「こんにちわぁ、貴方達にお届け物が来てましたが?」

 

 ヒサはお菓子を期待して飛びつくが、宛名を見ると俺宛。

 

「あー、いやっ! 気にしなくて良いよ」

 

 しかしヒサたちに問い詰められ、俺は正直に答える。

 

「新作のゲームを買いました」

 

 ヒサの怒りの鉄槌が炸裂。

 

「いくらお父さんにお小遣い貰ってるからって、余りそういうことするならお父さんにお小遣い止めてもらうからねっ!」

 

 泣きながら懇願する俺。ヒサは電撃で攻撃してくる。

 

「アバババババババッ!」

 

 痺れながらも、ヨーメイから箱を受け取り中を確認すると、怪しい飲み物が入っていた。

 

「お前達っ! それを飲むなっ!」

 

 注意するもヒサとカンナは飲んでしまい、なんと二人は猫になってしまった。ヒサは青い瞳のロシアンブルー、カンナは赤い瞳のソマリ。

 

 オーナーは頭を抱え、俺たちは唖然。

 

「効果は一週間くらいらしい……」

 

 そこへおやっさん登場。フィーアが「後は任せます」と薬を飲もうとした瞬間、オーナーの一言で止まる。

 

「それを飲んだら、お前の部屋にある特別って書かれた箱をみんなの前で開くぞ」

 

 ピタリと止まるフィーア。おやっさんはヨーメイをオーナーに渡し、ヒサとカンナを抱えて帰宅。

 

 猫になった二人はおやっさんの足に体を擦り付け、まるで「許してにゃん」と言わんばかり。

 

 フィーアは羨ましそうにため息をつき、俺はひたすら「やれやれ……」と頭を抱えるのであった。

 

 カゲチヨside out

 

 ヒサメside

 

「にゃぁん……え、えっ!? な、なんで私が……猫になってるの!?」

 

 鏡を見て青い瞳の小さなロシアンブルーになった自分を確認して、俺はもう絶叫寸前だった。いや、正確には“猫ヒサメ”が絶叫していた。

 

「ぎゃああああ! カ、カンナちゃんも猫!? うそでしょ!?」

 

 赤い瞳のソマリになったカンナも目をまん丸にして、テーブルの上を飛び回っている。

 

「おやっさん……お願い、これどうにかしてぇっ!」

 

 おやっさんは猫たちを見下ろしながらため息をつく。

 

「遅かったか……まぁ仕方あるまい」

 

 俺は思わず膝に飛びつき、足にスリスリしてしまう。ヒサメ猫の本能が、抱っこされたい欲を爆発させていたのだ。

 

「にゃ、にゃんで私まで……! ヨーメイ、あんたのせいよね!?」

 

 ヨーメイは部屋の隅でひょろっと手を挙げるだけ。

 

「わ、私は……だって……間違えただけで……」

 

 言い訳が猫語で聞こえたら、説得力ゼロである。

 

 フィーアも手に薬を持って飲もうとして、俺は必死で止める。

 

「やめろやめろっ! お前までなったら収拾つかん!」

 

「……ふぅ、助かったにゃ……」

 

 こうして俺たち猫組は、オーナーに抱えられて安全な場所へと運ばれていった。

 

 ヒサメside out

 

 カンナside

 

「くぅぅ……赤い瞳って、ちょっと可愛いかも……いや、でもお父さんに見られたらどうしよう……!」

 

 ソマリ猫になった自分を見て、恥ずかしさと困惑で小さく唸るカンナ。

 

「ヒサメ、落ち着いて……って、猫になっても落ち着けるわけないか!」

 

 小さく猫パンチを繰り出すカンナ。ヒサメ猫も応戦して、二匹の小さな戦いが始まる。

 

 そこへおやっさんが来て、二匹を抱き上げる。

 

「しょうがないなぁ……一週間くらいだ。仕方ない、面倒見るぞ」

 

「う、うぅ……おやっさん、お願いします! 早く元に戻してください!」

 

 カンナは必死で頭をすり寄せるが、猫の手ではもう何もできない。

 

「ねぇ……でもこれ、少しだけ……可愛いかも……にゃん……」

 

 思わず呟いてしまうカンナ。ヒサメも小さく「にゃ……」と同意して、二匹は一瞬だけ安心する。

 

 しかしその安心もつかの間、オーナーが横から冷静に言った。

 

「お前ら、猫になったからって調子に乗るなよ。今からしっかり一週間の猫ライフを楽しむんだぞ」

 

「うぅ……楽しむって……どうやって楽しむの……?」

 

 二匹は小さく鳴きながら、オーナーに抱えられて喫茶店に戻る。

 

「やれやれ……一週間、猫のままか……」

 

 カンナside out

 

 喫茶店での猫ライフside

 

 猫になったヒサメとカンナを抱えて、俺たちは喫茶店に戻った。

 

「ふぅ……この抱っこ、意外と重い……」

 

 オーナーはため息をつきながら、猫二匹をテーブルに置く。

 

 ヒサメはまず周囲を見回し、テーブルの上にあるコーヒーカップを前足でちょいちょい。

 

「な、なにしてるの!? それは私のコーヒーじゃないっ!」

 

 カンナはというと、ソマリ猫特有の好奇心丸出しで、店内の植物に突進。

 

「や、やめてカンナ! そのサボテンは危ないっ!」

 

 しかし二匹の猫はそんな注意など耳に入らず、店内を自由に駆け回る。

 

「にゃーっ! 捕まえたにゃーっ!」

 

 ヒサメが小さな尻尾を振りながらカンナを追いかけ、カンナも負けじと反撃。

 

「やめてぇ! ヒサメ、踏まないでぇ!」

 

 俺とオーナーはそれを追いかけながら、滑稽な追いかけっこに巻き込まれる。

 

「お、お客様、危ないですから……!」

 

 店の常連客も目を丸くして見ていた。まさか喫茶店が猫の遊び場になるとは思わなかったらしい。

 

 その日の午後、フィーアも現れた。手には「これを飲もうとしてた薬」を握っている。

 

「ふふ、後は任せますって……あぁっ! やっぱり飲んじゃダメだったのね!」

 

 俺は思わず飛びかかり、手を押さえる。

 

「もうっ! 誰も増やすなって言ってるだろ!」

 

 しかし猫二匹のドタバタに気を取られて、フィーアは笑いをこらえるのに必死だ。

 

「くっ……可愛い……でもやっぱり危ない……」

 

 その後、ヨーメイもやってきたが、オーナーに速攻で捕まり、「骨は拾ってやるからな」と脅されていた。

 

 一週間の猫ライフは、朝の餌やりから始まり、昼の店内巡回、夜の膝の上でのくつろぎタイムまで、完全にドタバタ劇場と化した。

 

 ヒサメは店のカウンターの上を歩き回り、コーヒー豆の香りに顔を擦り付ける。

 

「やめてぇっ! その豆、今日は使うんだっ!」

 

 カンナは観葉植物を倒し、皿をひっくり返し、時折ソマリ特有の高いジャンプで天井近くまで飛ぶ。

 

「もう、カンナ……人間の頃より動き回るなぁ……」

 

 俺は猫二匹に翻弄されながら、オーナーと二人で掃除に追われる日々。

 

 それでも時折、二匹が肩に飛び乗り、膝の上でゴロゴロする瞬間だけは、まるで癒しタイム。

 

「……こういうのも、悪くないかも……」

 

 俺は思わず微笑む。しかしその直後、ヒサメがコーヒーカップに前足を突っ込み、カンナがクリームソーダをひっくり返す。

 

「ぎゃあああああ! やめろーっ!」

 

 こうして一週間、猫たちは店を占拠しつつ、俺たちは掃除と騒動に追われる毎日を過ごした。

 

 そしてついに一週間後、薬の効果が切れる時間。

 

 ヒサメとカンナは、人間の姿に戻った。

 

「ふぅ……やっと人間に戻れた……」

 

「猫ライフ……意外と……楽しかった……かも?」

 

 二人は少し恥ずかしそうに、でも満足げに笑った。

 

 俺はオーナーを見て、心の中でつぶやく。

 

「……次は絶対、ヨーメイを放置しない……」

 

 オーナーも頷き、静かに笑った。

 

 こうして、喫茶店の一週間は、猫のドタバタ劇と笑いに包まれて幕を閉じたのだった。

 

 喫茶店猫ライフside out

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