混血のカレコレとLost evolution 作:Ks5118
キリトside
大食い大会から一か月が経った頃、俺はクリスと一緒に街中を歩いていた。街はすっかりハロウィン仕様で、オレンジ色のカボチャランタンや紫の旗が風に揺れ、子どもたちは楽しそうに仮装して走り回る。大人たちも商店街の装飾で忙しそうだ。見ているだけで、なんだか心が浮き立つ。
「そういえば、もうすぐハロウィンか……ハロウィン用のメニュー、考えないとな」
と呟くと、クリスが喉を鳴らして体を擦り寄せてくる。思わず頭を撫でながら、俺は商店街の方に足を向けた。
商店街に入ると、突然の鐘の音と共に大勢の人々が一斉に声を上げる。
『カララランッ! カララランッ!』
「おめでとうございまぁーす! 貴方はこの商店街に来られた一万人目のお客様でーす!」
周囲の人々が笑顔で拍手し、驚いた俺は後ずさる。
「いきなり何だ……一万人目? えっ?」
人混みの中から一人の男性がスッと前に出た。
「わたくし、この商店街の会長を務めております、ミヤジマと申します」
丁寧な口調と落ち着いた佇まいに、俺は思わず会釈する。
「あぁっ……親切にどうも。俺はキリト。この先にある喫茶店、AGIΩをやらせてもらっています」
会長は微笑んだまま言った。
「いえいえ、まさか挨拶を返されるとは思いませんでした」
ほっと息をつき、肩の力が抜ける。会長はゆっくりとチケットを差し出した。
「改めまして、ようこそ。貴方はこの商店街に来られた一万人目のお客様です。心ばかりのプレゼントを用意いたしました」
手に取ると、そこには【おいでませっ! ドキドキッ! ミレディーホテルッ!】と大きく書かれた宿泊チケットがある。
「何ですか、これは?」
「こちらは京都にあるホテルの宿泊チケットでございます」
正直なところ少し眉をひそめた。
[なんか胡散臭ェーな……]
だが、せっかくの機会だ。楽しむつもりで受け取ることにした。
そのままAGIΩに戻ると、ヒサメが飛びついてきた。
「ヒサメェーっ! 帰ったぞぉー! あとチケットもらって来たぞ」
手渡すと、ヒサメは目を輝かせて叫ぶ。
「うわぁーっ! これって今人気のホテルだよね⁉」
「すっごーい! どこで手に入れたの?」
「凄いですね。さすが父様です」
[何が流石なんだ……]と思いながらも、ボティスも興味津々でチケットを覗き込んでいる。
「ほぉー、八人まで行けるみたいじゃの」
ボティスは落ち着いた声で、相変わらずの口調で言った。
ヒサメはすぐに提案する。
「それじゃあ、みんなで行こうよ!」
だが、俺は電話をかけようとするヒサメの手を制した。
「ちょっと待て。このホテル、なんか嫌な予感がする。少し調べてから誘おうぜ」
ヒサメは納得して電話を止めた。
調べてみると、ホテルには少し奇妙な悪評がある。
〈オーナーがうざい〉〈オーナーがイタズラしてくる〉〈従業員が弟や妹に「私がお姉ちゃんよ」と言う〉……などなど。
[このホテルに泊まるのやめようかな……]
だが、ヒサメ達の楽しみにしている姿を思い出し、心を決めた。
[とりあえず、うざいことしてきたら法的手段に出よう]
翌日、AGIΩで宿泊予定を伝えると、ヒサメ達は声を揃えて喜んだ。
「ヤッタァ──────ーッ!」
「ヨッシャァ──────ーッ!」
ボティスも満面の笑みだ。
「うむっ! 楽しみじゃ!」
午後、ハロウィンの装飾が施されたホテルに到着する。入口を通ると、勢いよく飛び出してきたのは支配人のミレディ・ライセン。
「おいでませぇ──っ! ドキドキッ! ワクワクッ! 豪華ホテル! ミレディーホテルへぇ──っ!」
そのテンションの高さに、俺は思わず固まる。声が大きく、周囲の客も一瞬息を呑む。
ミレディの熱烈な挨拶に押されながら、班長のオスカー・オルクスが現れ、冷静に対応する。
「ご当選いただいた、キリト様御一行で間違いありませんか?」
俺は頷く。
「あぁ、俺がキリトだ。ところで、あの支配人は大丈夫なのか?」
どうやら気絶しているらしく、頭にたんこぶを作っている。オスカーは平然とした表情で言った。
「このままで構いません。お客様のお部屋までご案内いたします」
部屋に入ると、豪華な装飾に目を見張る。
「おぉぉ──────ーっ! スッゲェ──ーッ!」
カゲチヨは興奮し、シディは冷静に観察している。俺は自分の荷物を整理しながら注意を促す。
「お前達も、早く荷物整理しろ。あと一時間したら昼食だから」
一時間後、玄関からノック。ヒサメが声をかけてきた。
「お父さ〜ん、カゲェ、シディ、そろそろお昼ご飯だから一緒に行こ〜!」
俺たちは笑顔で返事をして広間へ向かう。
昼食の前に正面ステージで支配人ミレディの挨拶が始まる。
「みぃんなぁ〜〜っ! この度は、我がホテルにお泊まりいただきありがとうございまぁ〜す!」
料理が出てくると、俺はその完成度の高さに感嘆する。
「あぁ、さすが高級ホテル、料理のレベルも高いな」
ミレディは得意げに説明する。
「ふふーん! そりゃーウチの料理はそんじょそこらのと一緒にされちゃ困るなぁ〜! ウチの料理には従業員の地元の食材を使っているから、愛情がこもっているんだよ!」
俺は小さく頷く。クリスも足元で尻尾を振り、心地よい空気が広がる。
[やっぱり、来てよかった……]
キリトside out
ヒサメside
今日はお父さんと一緒に街を歩いていた。街中はハロウィンの装飾で彩られ、オレンジ色のランタンや紫の旗が風に揺れる。子どもたちは魔女やカボチャの仮装をして走り回り、通りのあちこちから楽しそうな声が聞こえてくる。私は自然と笑みがこぼれ、胸の奥がわくわくと跳ねるのを感じた。
「ヒサメェーっ! 帰ったぞぉー! あとチケットもらって来たぞ」
AGIΩに戻ったお父さんが差し出したのは、鮮やかな色のチケット。派手な文字で「おいでませっ! ドキドキッ! ミレディーホテルッ!」と書かれている。私は目を丸くして手に取ると、胸が一気に高鳴った。
「うわぁーっ! これって今人気のホテルだよね⁉」
思わず声を上げる。カゲやヨーメイちゃん、ボティスも目を輝かせてチケットを覗き込む。
「すっごーい! どこで手に入れたの?」
「凄いですね。さすがお父さんです」
[……何が流石なんだろう]と思いながらも、嬉しさで自然と顔がほころぶ。ボティスは落ち着いた表情でチケットを眺めている。
「ほぉー、八人まで行けるみたいじゃの」
ボティスは静かに確認する。落ち着いた口調が逆に安心感を与えてくれる。
「それじゃあ、みんなで行こうよ!」
私の提案に、お父さんは少し考えながら手を止めた。
「ちょっと待て。このホテル、なんか嫌な予感がする。少し調べてから誘おうぜ」
納得して電話をかけるのをやめる私たち。少しの不安はあるけれど、楽しみの方がずっと大きい。
翌日、ついにホテルに向かう。ハロウィンの装飾が施された外観は、まるで絵本の世界のように華やかで、思わず息を呑む。入口に近づくと、勢いよく飛び出してきたのは支配人のミレディ・ライセン。
「おいでませぇ──っ! ドキドキッ! ワクワクッ! 豪華ホテル! ミレディーホテルへぇ──っ!」
その声とテンションの高さに、私は思わず目を見開いた。耳元で叫ばれるような大声、全身からあふれるエネルギー。少し怖いくらいの勢いだ。
班長のオスカー・オルクスさんが冷静に現れた。
「ご当選いただいた、キリト様御一行で間違いありませんか?」
お父さんが頷くと、オスカーさんは礼儀正しく案内してくれる。
部屋に入ると、豪華な内装に目を見張る。壁には金色の装飾が施され、シャンデリアが光を反射してきらきらと輝く。ソファやカーテン、テーブルクロスに至るまで、細部に高級感があふれていた。
「おぉぉ──────ーっ! すっごい……本当に豪華!」
思わず声が出る。カゲは興奮して周囲を見回し、シディさんは冷静に細部を観察している。私はその光景を見て、胸がいっぱいになる。
荷物を整理するお父さんの声が聞こえた。
「お前達も、早く荷物整理しろ。あと一時間したら昼食だから」
私は慌てて自分の荷物をまとめる。ボティスも静かに整理を始める。ヨーメイちゃんも嬉しそうに手早く荷物を片付けている。
一時間後、玄関からノック。
「お父さ〜ん、カゲ、シディさん、そろそろお昼ご飯だから一緒に行こ〜!」
声に誘われて広間に向かう。そこにはすでに昼食の準備が整っており、案内された席に座ると胸が高鳴った。
正面ステージで支配人ミレディが登場した。
「みぃんなぁ〜〜っ! この度は、我がホテルにお泊まりいただきありがとうございまぁ〜す!」
そのテンションの高さに、私は思わず笑ってしまった。笑いながらも、ちょっと圧倒されている自分に気づく。
料理が出てくると、目を輝かせながら箸を手に取った。
「わぁ……すごい……どれも美味しそう……」
ミレディは満面の笑みで説明する。
「ふふーん! そりゃーウチの料理はそんじょそこらのと一緒にされちゃ困るなぁ〜! 何故かって? ウチの料理には私たち従業員の地元での食材を使っているから、愛情がこもっているんだよっ!」
その言葉に、私は心がじんわり温かくなるのを感じる。料理の味も格別で、口に入れるたびに素材の香りや味の深さに感動する。クリスも足元で尻尾を振りながら見守っている。
周囲の仲間たちも楽しそうに料理を味わっている。カゲは豪快に食べ、シディさんは上品に食べながら会話を楽しむ。ボティスはのんびりと箸を運び、穏やかな笑みを浮かべている。ヨーメイちゃんも嬉しそうに料理を味わう。
[やっぱり、来てよかった……]
私は心の中でそう呟き、料理と仲間たち、そしてミレディの圧倒的なテンションが混ざり合った非日常の時間に浸った。
ヒサメside out
ボティスside
ワシは今日もお前らと一緒に街を歩いておった。ハロウィンの装飾で街は色鮮やかで、子どもたちは魔女やカボチャの仮装をして走り回り、通りは活気に満ちておった。ワシは別段目立たぬように歩きながらも、内心ではこの賑わいを楽しんでおったのじゃ。
「ほぉ、そろそろハロウィンか……またキリトたちが忙しくなるのぉ」
ワシの横をすり抜けるクリスを軽く撫でながら、商店街を進む。すると、突然周囲がざわつき、大きな音と共に声が響いた。
『カララランッ! カララランッ!』
「おめでとうございまぁーす! 貴方はこの商店街に来られた一万人目のお客様でーす!」
ワシは眉をひそめる。
[何事じゃ……一万人目……? ]
群衆の中から会長のミヤジマが現れ、丁寧に名乗る。キリトが挨拶する様子を横目で見つつ、ワシは静かに観察する。
「ほぉ……京都のホテルのチケットとな。面白そうじゃの」
キリトが手に取ったチケットをワシもちらりと確認する。
【おいでませっ! ドキドキッ! ミレディーホテルッ!】
[……胡散臭い名前じゃが、まあ、行って損はあるまい]
AGIΩに戻ると、キリトがヒサメたちにチケットを渡す。ヒサメは目を輝かせ、ヨーメイも興味津々で覗き込む。カゲも何やら興奮している様子じゃ。
「ほぉ、八人まで行けるのか……ふむ、皆で行くとなれば楽しみじゃのぉ」
ワシは静かに言う。ヒサメが「みんなで行こう」と提案すると、キリトが一度立ち止まり、ホテルの評判を調べるよう指示する。
[まあ、ワシも同行するだけじゃから、別に構わんのじゃが……悪評とはいえ、何があるか確認しておくのは無駄ではないのぉ]
翌日、いよいよホテルに到着。ハロウィンの装飾が施され、外観から既に華やかである。ワシは入口に近づくと、いきなり飛び出してきた支配人ミレディに圧倒される。
「おいでませぇ──っ! ドキドキッ! ワクワクッ! 豪華ホテル! ミレディーホテルへぇ──っ!」
[む……元気過ぎるのぉ……]
ミレディの大声に押されながら、オスカー・オルクスさんが現れ、我々を案内する。ワシは静かに部屋の中を確認しつつ、他の者たちの様子を見ておった。カゲは興奮して部屋中を見回し、ヨーメイは感心している。キリトは荷物の整理を始めている。
部屋の豪華さに、ワシも内心で少し感嘆した。壁の金色の装飾、シャンデリア、調度品の全てが非日常を感じさせる。
「ふむ……これは確かに贅沢な部屋じゃの」
荷物を整理し終えた頃、玄関からヒサメが呼びに来る。昼食の時間じゃ。
「お父さん、カゲ、シディ、そろそろ昼食だから一緒に行こ〜!」
広間に向かうと、既に準備が整っており、席に着く。ワシは周囲を眺めながら、静かに食事を楽しむ心の準備をしておった。
正面ステージにミレディが現れ、元気いっぱいに挨拶する。
「みぃんなぁ〜〜っ! この度は、我がホテルにお泊まりいただきありがとうございまぁ〜す!」
そのテンションの高さに、ワシは少し目を細める。ワシは常に落ち着いておるゆえ、少々騒がしさを感じるが、見守るだけで十分じゃ。
料理が出てくると、ワシは静かに箸を取り、味わいながら確認する。味や食感、香りを一つ一つ確かめるのがワシの流儀じゃ。
「……ふむ、これは悪くない。素材の味がしっかりしておるのぉ」
周囲を見ると、カゲは豪快に食べ、ヨーメイも楽しそうに口に運ぶ。キリトはさすがに高級ホテルとあって慎重に味わっている様子。ヒサメも満足そうだ。
「フフ……ワシもこの程度なら文句はあるまい」
ミレディが満面の笑みで料理を説明する。
「ふふーん! ウチの料理には地元の食材を使っているから、愛情がこもっているんだよっ!」
[む……なるほどのぉ。確かに料理には工夫が感じられるのぉ]
ワシは静かに頷き、心の中で思う。こうして非日常の時間を楽しむのも悪くないのじゃ。
ボティスside out