混血のカレコレとLost evolution 作:Ks5118
キリトside
雪山に出発するため、私は班を分けることにした。カゲチヨ、ヒサメ、シディ、ボティスの班と、カンナ、フィーア、ヨーメイ、そして大家さんの班に分かれる。無線で状況を連絡しつつ、それぞれの役割を明確にするためだ。
「それじゃあ、さっきも言った通りだが、俺を除いて二つの班に分かれる。遭難者を見つけ次第、信号弾を打って知らせろ。それ以外は無線で状況を報告すること」
雪山の冷たい風が吹き付け、粉雪が頬に当たる。空気は澄んでいて、雪の匂いと混ざり合った凍てつく匂いが鼻腔を突く。
「それじゃあ行くぞ」
私はホテルを後にして、山に入った。白銀の世界は美しいが、同時に不気味さもある。木々の影、深い雪に埋もれた地形……全てが視覚的情報として脳に刻まれる。
1時間ほど経過した頃、無線が振動した。カゲチヨ班からの連絡だ。
『こちら、カゲチヨ班。救助者は未だ見つからず、さらに奥に進む予定です。おやっさん、許可ください』
私は応答する。
「こちらキリト、こちらも救助者はまだ確認できていない。奥に進む。無茶はするな」
『了解です。おやっさんも気をつけて』
無線は切れ、再び静寂が山を包む。冷たい風だけが耳に響き、雪が足元でキュッと鳴る。
次にカンナ班から連絡が入る。
『こちらカンナ班、要救助者は未発見です』
「こちらキリト、了解。カゲチヨ班も未発見。俺も奥に向かう」
フィーアは無線を通して慎重に答える。
『相談して決めます。父様、無理はしないでください』
無線を切り、胸ポケットにしまう。私は心の中で呟いた。[この山は甘くない、慎重に行こう]
山の奥へ進むと、雪面に異様な痕跡が見えた。スキー板が、リフトの降り口からは考えられない場所に置かれている。しかも、上がった跡はない。
[なぜここにスキー板がある? ]
考えを巡らせていると、上の森から『ガサッガサッ』と音がする。構えた瞬間、白い狐が現れ、私の存在を確認して立ち止まる。腰のポーチから干し肉を取り出し投げると、狐は慎重に近づき、咥えて森へ戻った。
救助者のスキー板のそばには、大きな爪痕が木に刻まれている。異常を感じ、私はすぐに無線を取り出す。
「こちらキリト、全員、今どこにいる? 状況を報告せよ」
カンナ班はホテルから出発したばかりで、まだ到着していないとのこと。通信が不安定な中、私はカゲチヨ班に連絡を試みるが、ノイズしか返ってこない。
[これは……妨害電波か? ]
森の奥から『ゴガァ────────ッ?!』という鳴き声が響く。白い毛皮の獣が二足歩行で迫ってくる。慌てて各自スノーボードを手に取り、雪を蹴散らしながら下山を開始する。
後方からも同じ鳴き声が追いかけてくる。私は内心で何度も[やばい……]と呟く。だが冷静に観察すると、獣は腕を押さえ、動きが鈍っている。銃口と剣を持ったおやっさんが、森の奥からゆっくり近づいてきたのだ。
「カゲチヨ、森の奥に救助者がいるかもしれない、急いで向かえ!」
おやっさんの指示に従い、私たちはスノボを脱ぎ、獣を避けながら森の奥へ走る。洞穴を発見すると、中には獣の子どもと救助者が抱きついていた。脈を確認すると生存しており、ほっと胸を撫で下ろす。
「ひぇっ! 誰ですかっ⁉︎」
「カレコレ屋だ、ホテルの依頼で救助に来た」
女性は安心した顔を見せ、獣の子どもも抱きかかえるように指示する。おやっさんは武器を持ったまま、獣を安全に運搬して洞穴を出る。
[やっぱり、おやっさんは半端ないな……]
森の雪道を越え、全員が無事にホテルへ戻るまで、緊張と達成感が入り混じった時間が続く。雪山の危険は計り知れないが、チームワークと経験、そしておやっさんの存在が私たちを守ってくれることを改めて実感した。
カゲチヨside out
ヒサメside
私たちはお父さんたちと別れて、カンナちゃん、フィーアちゃん、ヨーメイさん、そして大家さんの班として山を進んでいた。
初めは雪山の白銀の世界に興奮していたけど、だんだんと深くなる雪と冷たい風に、ヨーメイさんが少し疲れてきているのが分かる。
「ヨーメイさん、大丈夫ですか?」
「ふぅ……ちょっと……寒さが……足に来てます……」
フィーアちゃんが優しく肩に手を置き、ヨーメイさんを気遣う。私はその様子を見ながら、皆で慎重に進む必要があると感じた。
「一旦、どうしますか……?」
フィーアちゃんが相談してくる。冷静で的確な判断をしてくれるから、自然と皆が耳を傾ける。
「ヨーメイさんには無理させたくないから、一度ホテルに戻るのがいいかも」
大家さんも同意する。雪山は見た目以上に危険で、無理をさせてしまえば遭難のリスクもある。
「そうですね。じゃあ、私たちは一度戻りましょう」
フィーアちゃんの判断に、私は頷く。カンナちゃんも私も、彼女の判断に従うことにした。
ホテルに戻る途中、雪を踏みしめる音と、木々に積もった雪が崩れる音だけが響く。視界は白銀の世界、冷たい空気が肺に染み渡る。
ヨーメイさんは肩を少し縮め、雪の冷たさに身を震わせながらも、周りを観察して慎重に歩いている。
「もう少しでホテルですよ」
私は小声でヨーメイさんに話しかける。彼女は小さく頷き、ホッとした表情を浮かべる。
ホテルに戻ると、暖かい空気が体を包み込む。皆、雪山の冷たさと緊張から解放され、少し安堵した表情になる。
フィーアちゃんは、雪の影響で顔色が少し青白くなっているヨーメイさんを見て、すぐに毛布を手渡す。
「これで少し温まってください、ヨーメイさん」
「ありがとうございます……」
ヨーメイさんはお礼を言い、毛布にくるまる。彼女の震えが少しずつ収まるのを見て、私も安心する。
その後、無線でお父さんに状況を報告する。
「こちらカンナ班、フィーア。救助者はまだ見つかっていません」
お父さんからの返答は冷静だ。
『こちらキリト、了解。カゲチヨ達も未発見。無理はするな』
「父様、私たちは一度ホテルに戻りました」
フィーアちゃんが状況を説明する。無線を切った後、私たちは部屋に座り、暖かい飲み物を手に取りながら雪山での出来事を振り返る。
「いやぁ、やっぱり雪山は簡単じゃないね……」
カンナちゃんが小さくため息をつく。私も頷く。見るからに疲れているけど、冒険のワクワク感もまだ残っている。
「でも、救助活動に参加できてよかったと思います」
フィーアちゃんの言葉に、私は少し励まされる。危険だけど、誰かを助けるために動くことの意味を、雪山で強く感じたのだ。
しばらく休んで暖を取った後、私たちは改めて作戦会議をする。
「ヨーメイさんの体力を考えると、もう少し準備してから再度捜索する方が良いですね」
フィーアちゃんが提案する。皆が納得し、次の行動に備える。
「その間に装備を確認して、無線や信号弾も再点検しておこう」
大家さんが指示を出す。私たちは雪で濡れた手袋や装備を整理し、準備を整えていく。
「次はきっと見つけられるよ」
私は心の中で、自分自身に言い聞かせる。雪山の危険はまだ終わっていないが、私たちは仲間と協力して前に進む力を持っている。
暖かい部屋で準備を整えながら、私は改めて思う。
雪山の美しさは息をのむほどだが、それ以上に危険が潜んでいる。でも、仲間と一緒なら、どんな困難も乗り越えられる。
「次は必ず救助するんだ」
私の決意は固い。雪山の白銀の世界が、私たちの勇気をさらに引き出している。
ヒサメside out
キリトside
ホテルで一旦休息を取った女子班。ヨーメイさんの体力を回復させた後、私たちは再度捜索に向かう準備を整えた。雪山の白銀の世界は美しいが、同時に凶暴な自然の顔も見せる。冷たい風が頬を叩き、遠くの木々が雪を落とす音が鋭く響く。
「皆、準備はいいか?」
私は全員に声をかける。
「はい、行けます!」
カンナちゃんとフィーアちゃんは力強く頷く。
ヨーメイさんも小さく頷き、決意を固めている。大家さんもスノーブーツをきちんと締め、冷静な表情だ。
再び山に入ると、足跡やスキー板の痕跡を辿りながら進む。途中、雪に埋もれた枝や倒木を避けながら、私は無線でカゲチヨ班と連絡を取る。
「こちらキリト、全班の状況を報告せよ」
カゲチヨからは、獣の存在と救助者の痕跡が報告される。無線の途切れ途切れの声に、緊張がさらに高まる。
[この山には、単純な遭難者だけじゃない……何か大きな力が潜んでいる]
私の胸は高鳴り、同時に冷静さを保とうとする。雪山での戦いは、身体だけでなく精神も試される。
森の奥深く、私たちはついに異変の源を見つけた。白い毛皮の獣が二足歩行で立ち、獰猛な目でこちらを睨んでいる。子どもと思われる獣は、母親の背後で怯えている様子だ。
「カゲチヨ班、発見した。女子班は安全な距離を保て」
私は無線を握り、指示を出す。カンナちゃんとフィーアちゃんはヨーメイさんを守りながら、慎重に後退する。
獣が一歩踏み出す。雪が軋む音、冷たい風に混じって鋭い低鳴りが響く。危険は目の前にある。私は腰のポーチから干し肉を取り出すと、獣に向けて投げ、注意を逸らす。獣は一瞬立ち止まり、匂いを嗅ぐ。
「よし、今だ!」
私は変身装置『Lost Hydra』を起動する。白と赤の光が周囲を照らし、剣と銃が合体した武器『Lost Blade Gannar』が手に現れる。心の奥の緊張が、一気に戦闘意識に変わる。
私は獣を誘導しつつ、森の奥に向かう。救助者の痕跡を追いながら、女子班の安全を確認する。カゲチヨ班も現場に到着し、獣を押さえつつ救助者を保護する。
洞穴の中には、女性の救助者と獣の子どもが抱きついている。救助者は恐怖で震えているが、私たちの姿を見て少し落ち着いた表情になる。
「大丈夫です、私たちがここに来た」
私は穏やかに声をかけ、救助者に手を差し伸べる。女性は手を取り、子どもも抱えて少しずつ洞穴の外へ出る。
獣は警戒心を解きつつも、母親と子どもが離れると唸る。私はおやっさん(キリト)に目配せをし、合図を送る。彼は剣と銃を構えつつ、獣を安全に誘導する。
「行くぞ、皆!」
私は女子班に指示を出し、救助者と獣を安全な場所まで運ぶ。雪を蹴散らし、滑りやすい斜面を慎重に進む。
途中、雪が深く足を取る。ヨーメイさんは少しよろめくが、フィーアちゃんとカンナちゃんが支え、無事に前進できる。大家さんも冷静に周囲を警戒しながら、全員の安全を確認している。
森を抜け、開けた場所に出ると、ホテルの位置が見える。救助者は安堵の表情を浮かべ、獣の母子も安心して雪に足をつける。私は無線を取り出し、全班の状況を確認する。
「全員無事か? 女子班、問題ないな?」
「はい、無事です。救助者も安全です」
フィーアちゃんの声に、心底安堵する。
「よし、これで一件落着だ」
私は胸の緊張を解き、剣と銃を収納する。雪山の白銀に包まれた世界は、再び静けさを取り戻した。
ホテルに戻る道中、女子班の皆は少し疲れた表情をしているが、どこか誇らしげでもある。ヨーメイさんも少し顔色が戻り、子どもたちや救助者が安全なことに安心している様子だ。
「おやっさん、さすがです……」
カンナちゃんが小さな声で呟く。
「半端ねぇ……」
私も思わず口にする。キリトの冷静で的確な行動が、私たち全員を守ってくれた。
雪山の危険を体感した一日だったが、チームワークと冷静な判断で無事に救助を終えることができた。銀世界の中、私たちは達成感とともに帰路につく。雪の匂い、足元の感触、冷たい風……全てが記憶に刻まれ、心の奥で冒険心を呼び覚ましていた。
キリトside out