混血のカレコレとLost evolution   作:Ks5118

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No.32.5 雪山での戦闘〈戦闘編〉《修正版》

 カゲチヨたちとの無線を終えたキリトは、素早く『ロストヒュドラ』の姿に変身した。冷たい風が雪の樹間を吹き抜け、耳を突き刺すような冷気が肌を走る。だがキリトの心は冷静そのものだった。救助対象が待つ山奥までの距離は長く、時間の猶予は少ない。

 

 遠くから低く重い声が響いた。

 

『ゴガァ────────ーッ!』

 

 瞬時に状況を把握したキリトは、腰のロストビルダーを取り出す。

 

 [ヤベェな、急がないと]

 

 雪に覆われた木々の間を縫いながら進む。足元の雪は深く、時折ずっぽりと踏み込むが、それでも一歩一歩慎重に前進する。木々の隙間から、巨大な影が視界に現れた。カゲチヨたちを狙うビックフットだ。今にも彼らに襲いかかろうとしている。

 

 キリトは腰のドライバーを取り出した。

 

『Lost Hydra』

 

『ガァ──ハッハッハッハッハァ!』

 

 ヒュドラロストロードボトルを引き抜き、フォーミュラロードボトルを装填。レバーを回すと、ドライバーから音楽が鳴り始める。

 

『formula』

 

『Ryder System』

 

『Creation』

 

『♪ 〜〜♪ 〜〜』

 

『♪ 〜♪ 〜』

 

 音楽と共に、ドライバーから白い剣と銃が合体した武器が現れた。

 

『Lost Blade Gannar!』

 

 武器を手に、キリトは雪の斜面を駆ける。鳴き声の方向へ向かうと、ビックフットがカゲチヨたち四人に襲いかかろうとしていた。即座に狙いを定め、剣銃一体型の武器で腕を撃つ。

 

『バキュッ──────ーンッ!』

 

 光と衝撃でビックフットは手を押さえ、こちらを見つめる。キリトは無線で指示を飛ばした。

 

「カゲチヨ、森の奥に救助者がいるかもしれない。すぐに向かって救ってこい!」

 

 カゲチヨたちは指示に従い森の奥へ駆け出す。ビックフットはそれに気づき、四人の行く手を阻もうとする。キリトは声を上げた。

 

「お前の相手は俺だっ!」

 

 蹴りでビックフットを転倒させ、注意を自分に引きつける。獣は立ち上がり、振りかぶって拳を振り下ろす。キリトはそれを身をかわしつつ、ナックルガードで殴り返す。雪の上で短いが激しい殴り合いが続いた。

 

『ゴカァッ!』

 

 突然、獣が叫び倒れる。背中には銃弾が貫通していた。キリトは視線を斜面に向ける。ライフルを持った人物が複数、ビックフットに銃口を向けていた。

 

「お前たち、何者だ?」

 

 返答もなく、再び発射される弾丸。キリトは直感で弾道を読み、獣の前に立ちはだかる。

 

 [この程度のライフルなら避けるまでもない]

 

 雪煙を蹴散らしながら距離を詰めると、敵がリロードを始めた隙に、一気に間合いを詰める。数発が装甲に当たるが痛みはなく、瞬く間に敵の前に立った。

 

「ば、化け物っ!」

 

 ナイフを振りかざす敵も、キリトの装甲には歯が立たない。右手にはキングクラブロードボトルを装填。レバーを回すと、音楽が鳴り、右腕が紫色の蟹の手に変形する。

 

『Lost Crab Pinch!』

 

 敵は恐怖におののき、後退する。蟹の爪を振り下ろし、ライフルを切り裂く。敵は恐怖のあまり気絶した。キリトは素早く縛り上げ、ビックフットの傷を取り除く。獣はゆっくりと目を覚し、森の奥へと戻っていく。

 

 洞穴に進むと、救助対象の女性とビックフットの子供が抱きついていた。女性は震えながらも安堵の表情を見せる。

 

「この子たちは、近頃ハンターや密猟者に狩られているの」

 

 キリトはうなずき、カゲチヨたちに指示を出す。

 

「知り合いに雪山で暮らしている者がいる。安全に案内しよう」

 

 カゲチヨたちは目を丸くし、驚きの声を上げる。

 

「うっわぁお! なんだおやっさんかぁ、てかなんでその獣も連れてきたんだよっ!」

 

「戦っている途中で密猟者に出会った。撃たれたから縛り、その後敵意がないことに気づき怪我を治したらここに連れてきた」

 

 変身を解除し、キリトは救助対象と獣を安全に扱いながら慎重に山を下る。スノーボードを紛失していた女性には、自身のスノーボードを渡す。残る獣は木の皮で作った簡易ソリで背負い、安全に降下した。

 

 雪の中、カゲチヨは何度も振り返りキリトを見つめるが、キリトは気にせず前に進む。途中、氷の崖や滑りやすい斜面もあり、彼の視線は常に周囲を警戒していた。

 

 降りた先では、女性と子供たちをホテルに送り届け、ビックフットたちはキリトの知人が住む山奥に移された。そこで安全に暮らすこととなり、時折面会に訪れることで生存を確認できる体制が整った。

 

 キリトは一息つき、雪山を見渡す。冷たい空気に包まれ、白銀の景色が目に眩しい。仲間たちの無事、命を守りきった充実感が胸に広がる。

 

 [この山も、守るべき場所のひとつだ]

 

 視線の先、吹雪の中で生き物たちは静かに息づいていた。自然の厳しさと優しさ、命の尊さを改めて思い知る瞬間だった。キリトは深呼吸をし、仲間たちの無事を確かめながら、ゆっくりと山を下っていった。

 

 雪の結晶が頬に触れる。彼は軽く笑いながら、心の中で呟く。

 

「次にこんなことがあっても、俺たちなら大丈夫だ」

 

 山の静寂の中で、仲間たちと自然の調和を感じるキリトの背中には、強さと優しさ、そして守るべきものへの覚悟が滲んでいた。

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