混血のカレコレとLost evolution 作:Ks5118
旅行から帰って数日後。
キリトの家のポストに、一通の封筒が入っていた。
やたらと装飾が多く、無駄にキラキラしている。
(……なんだこれ)
嫌な予感しかしないまま、封を切る。
中には手紙とチケット。
チケットの文字を見た瞬間、キリトの表情がわずかに歪んだ。
「ミレディーホテル」
(……またかよ)
手紙を開く。
《ワクドキ! おいでませ! ミレディーホテルッ!》
この時点で閉じたくなった。
《あはっ! お久しぶりぃ〜っ! この前、来てくれてありがとおぉ〜! 君たちって何でも屋なんだってぇ〜? もしそうなら、私達の依頼、受けてよ〜! お礼は〜、ミレディちゃんのあつ〜いキッ》
──グシャッ。
キリトは無言で手紙を握り潰した。
(最後まで読む必要はないな)
すぐにカゲチヨへ連絡を入れる。
「依頼だ」
「マジっすか……またあのホテルっすか?」
「ああ」
「この前行ったばっかじゃないですか」
(それは俺も思ってる)
「仕事だ。行くぞ」
ヒサメたちにも話すと、案の定全員ついてくることになった。
(……まぁ、そうなるよな)
京都、ミレディーホテル。
中に入ると──
支配人が土下座していた。
「いやぁ〜! 本当にすみませんでしたぁ〜!」
(……帰るか)
一瞬、本気でそう思う。
事情説明。
昔ヤンチャしていたこと。
敵に場所がバレたこと。
襲撃される可能性。
報酬。
スイートルーム。
アーティファクト。
情報。
カンナが即食いつく。
「え、スイートルーム? ジャグジーある?」
「ありますよぉ〜!」
「じゃあやる。アーシそれ目的でもいいレベルなんだけど」
(軽いな……)
キリトはため息を一つ。
「……受ける」
その瞬間、支配人が飛びかかる。
──バキッ。
アイアンクロー。
「イダダダダダッ!!!」
(やっぱ帰りたいな……)
そして──問題の話。
「……それで、その襲撃者は?」
支配人が妙な顔をする。
「その組織なんですがぁ……昔、俺が壊滅させたまったんだよなぁ……あ、あははは」
「……は?」
(俺が潰した?)
説明を聞いた瞬間、記憶が繋がる。
(……あぁ、あれか)
「俺が潰した組織の残党だ」
カンナがすぐ反応。
「え、ちょっと待ってアーシ初耳なんだけど。一人でってマジ?」
「ああ」
「いやサラッと言うなって!」
だが──
結果的に、その襲撃は来なかった。
理由は単純。
キリトが“元を完全に潰しすぎていた”からだ。
残党は存在していたが、統率も力もなく、襲撃どころではなかった。
数時間後。
ロビー。
カンナがソファに寝転がりながら言う。
「……来なくね?」
フィーアが静かに答える。
「来ませんね」
カゲチヨが腕を組む。
「これ……もう終わってるんじゃないっすか?」
ヒサメがキリトを見る。
「お父さん……」
キリトは外を見たまま答えた。
「……来ないな」
(完全に潰しすぎたか)
支配人が慌ててやってくる。
「えぇ〜っとぉ……そのぉ……来ないみたいでぇ……」
「そうか」
「で、でもぉ! 依頼は依頼なのでぇ!」
キリトは小さく息を吐いた。
(まぁいいか)
その後。
完全に──オフになった。
スイートルーム。
カンナがドアを開けた瞬間、テンションが爆発する。
「うわっ、広っ!? やばっ! アーシここ住めるんだけど!」
ベッドにダイブ。
「ふわっ!? 何これ柔らかっ!」
ヒサメは苦笑。
「カンナちゃん、はしゃぎすぎ……」
フィーアは静かに部屋を見回す。
「……確かに、すごいですね」
ジャグジー。
「うわぁぁぁぁ! マジであるじゃん!」
カンナが即飛び込もうとする。
「ちょっと待て」
キリトが止める。
「風呂くらい順番守れ」
「え〜ケチ〜」
レストラン。
豪華な料理が並ぶ。
「……これは、すごいな」
カゲチヨが素直に感心する。
「でしょぉ〜?」と支配人。
「うまっ! これうまっ!」
カンナはすでに食べている。
「アーシこれ一生食えるんだけど」
夜。
それぞれがくつろぐ中。
キリトは窓際に立っていた。
外の夜景を見ながら、静かに思う。
(……まぁ、こういうのも悪くないか)
戦いはなかった。
だが──
平和だった。
それだけで十分だった。
数日後。
ホテルを後にする一行。
支配人が手を振る。
「また来てねぇ〜!」
キリトは振り返らずに言う。
「依頼がまともならな」
カンナが笑う。
「いや普通にまた来たいんだけどアーシ」
こうして。
戦いのない依頼は終わった。
京都、ミレディーホテル。
依頼として訪れたはずの場所は、結果として──
「ただの高級ホテル滞在」になっていた。
ロビー。
豪華なシャンデリアが光を反射し、磨き上げられた床が景色を映している。
そんな中、カンナは遠慮なくソファに寝転がっていた。
「……ねぇ、やっぱ来なくね?」
気の抜けた声。
フィーアが静かに紅茶を口に運びながら答える。
「ええ、現時点では気配すらありません」
カゲチヨが腕を組んで苦笑する。
「これ、完全におやっさんがやりすぎたパターンっすね」
少し離れた場所で外を見ていたキリトは、短く答えた。
「……その可能性は高い」
(完全に潰したつもりだったが……ここまでとはな)
ヒサメが近づいてくる。
「お父さん、大丈夫?」
「ああ。問題ない」
そう言いながらも、視線は外のまま。
(違和感は……ないな)
敵の気配も、異常もない。
ただ──平和だった。
数時間後。
完全に緊張感は消えていた。
スイートルーム。
ドアが開いた瞬間、カンナのテンションが爆発する。
「うわっ、広っっ!? なにこれ、ホテルってレベルじゃなくない!?」
走り回る。
「ちょ、見て! このソファふかっ!」
そのままダイブ。
「やば、沈むんだけどこれ! アーシここ住めるわ普通に!」
ヒサメが苦笑する。
「カンナちゃん、はしゃぎすぎだよ……」
フィーアは静かに部屋を見回していた。
「……落ち着いた空間ですね。嫌いではありません」
カゲチヨは天井を見上げる。
「いやマジで高級っすねここ……」
キリトは一歩遅れて部屋に入る。
全体を一瞥。
(……確かに、悪くない)
ジャグジー。
カンナはすでに浴室の前にいた。
「ねぇこれ絶対入るやつでしょ」
扉を開ける。
「うわぁぁぁ! マジであるじゃん!」
テンションがさらに上がる。
「アーシ一番乗りでいい?」
「ダメだ」
即答。
「え〜なんで?」
「順番だ」
カンナは頬を膨らませる。
「ケチ〜」
(こういうところは子供だな)
夕食。
ホテルのレストラン。
料理が運ばれてくるたびに、全員の視線が集まる。
カゲチヨが一口食べて、固まる。
「……うま」
ヒサメも目を見開く。
「これ……すごいね」
カンナはすでに食べ続けていた。
「いやこれヤバいって! アーシこれ無限に食える!」
次々と皿を空にしていく。
フィーアは静かに頷く。
「確かに……質が高いですね」
支配人がどこからか現れる。
「どうですかぁ〜? 自慢の料理なんですよぉ〜!」
キリトは一口食べて、短く答える。
「……悪くない」
それだけだったが、支配人は満足そうに笑った。
夜。
それぞれが部屋でくつろぐ中。
キリトは一人、窓際に立っていた。
夜景が広がる。
静かな街。
(……本当に、何も起きないな)
依頼として来た。
だが戦いはない。
緊張もない。
ただの──休息。
(……たまには、こういうのもいいか)
その時。
背後から声。
「お父さん」
ヒサメだった。
「どうした」
「……無理してない?」
キリトは少しだけ間を置いた。
(無理、か)
「していない」
短く答える。
ヒサメは少しだけ安心したように微笑んだ。
翌日。
ロビー。
カンナはジュースを飲みながら言う。
「いや〜、完全に旅行じゃんこれ」
カゲチヨが笑う。
「依頼とは何だったのか、っすね」
フィーアが静かに言う。
「ですが……平和なのは良いことです」
キリトはそれを聞きながら、外を見た。
(……ああ)
数日後。
チェックアウト。
支配人が大きく手を振る。
「また来てねぇ〜!」
キリトは振り返らずに言う。
「依頼がまともならな」
カンナが笑いながら続く。
「いや普通にまた来るわアーシ!」
こうして。
戦いのない依頼は終わった。
だが──
その時間は確かに、彼らにとって意味のあるものだった。
(……次は、どうなるか)
??? side
壊れた工場跡。
鉄骨は歪み、壁は崩れ落ち、かつての面影はない。
だが、その奥──
広い空間には、異様なほどの人数が集まっていた。
ざわめき。
低く、不気味な熱気。
その中心。
祭壇の上へ、一人の男がゆっくりと歩み出る。
その腰には、エボラドライバー。
手に握られているのは──ハザードトリガー。
男はそれを見つめ、わずかに笑った。
『さぁ、実験を始めよぉ』
次の瞬間。
親指でボタンを押し込む。
『Hazard.ON!』
乾いた機械音が空間に響く。
そのまま──
ハザードトリガーをドライバーへ装着。
『カチャカチャカチャ』
続けて取り出されるボトル。
グレートコブラエボルボトル。
振る。
内部の液体が禍々しく揺れる。
それをグレートクローズドラゴンへ装填。
さらにドライバーへ。
空気が一変する。
『Great Cross-Z Dragon』
『Super Evol Match!』
『ドンテンカン! ドンテンカン!』
『ガタガタ! ゴットン! ズッタンズタン! ガタガタ! ゴットン! ズッタンズタン!』
『Are You Ready? Over flow』
『Wake up CROSS-Z! Get GREAT DRAGON! An Control switch! Black hazard! ヤベェーイ! ブラブラブラブラブゥラァ!』
爆発的なエネルギー。
黒と紅が渦巻き、煙が噴き上がる。
その中心から現れたのは──
仮面ライダー ブラッドプライムローグ。
ゆっくりと両手を広げる。
まるで世界を支配するかのように。
『変身完了……さて』
一歩踏み出す。
『パネルを頂きに参りましょうか。ねぇ、皆さん?』
「「「「「うおぉぉぉ──────ーっ!!!」」」」」
群衆が一斉にネビュラスチームガンを構える。
『Gear Engine』
『Gear Remocon』
『Funky Match! Fever!』
『Perfect!』
煙が包み込む。
そして現れる──
バイカイザー。
ヘルブロス。
無数の軍勢。
男はそれを見下ろし、静かに告げた。
『それでは──』
腕を上げる。
『進軍開始!』
重い足音。
一斉に動き出す軍勢。
その進行方向はただ一つ。
──キリトの住む街。