混血のカレコレとLost evolution 作:Ks5118
キリトside
ある日のこと、スマホが鳴った。画面に表示される番号は知った顔──関西弁の懐かしい声が耳に飛び込む。
『おぉ、キリトはんお久しゅうに、ゲデやで』
「……お前から連絡が来るなんて珍しいな」
『そないな事言わんと聞いてや。裏の筋から情報を手に入れてな。オタクの住む街に、上半身に歯車みたいなん付けた連中が向かってるらしい』
「……歯車? 何の話だ?」
『説明したら長なるけど、要はお前らに危険が迫っとるっちゅうことや』
胸の奥がざわつく。直感的に、ただ事じゃないことが分かる。
「……わかった。で、俺がどう動けばいい?」
『オタクの力が増してることはワイも承知や。でもな、あの子達のことも考えとるやろ? それも理解してるで』
「そこまでだ、ゲデ。確かに俺は完全態に近づきつつあるが、そのことをアイツらに伝えるわけにはいかない」
『そないな事言われても、ワイにゃ何も言えへんやんけ』
「……すまんな。でもこの件は絶対に誰にも言うな」
『しゃーないな。せやけど、戻ったら何か奢るってことでええか?』
「それでいい。向かってきてる奴らは俺が片付ける」
『わかったで。ほな、さいなら』
「あぁ」
電話を切った後、俺は正月にカゲチヨに言われた通りの金額を銀行に振り込み、手紙を残して店を出た。渓谷に罠を仕掛ける準備をしながら、俺は小さく呟く。
「たくっ、この前相当数消したと思ったんだがな」
背後から声がかかる。
「お疲れ、作業は進んだか?」
振り返るとオーナーが立っていた。
「まぁ、ぼちぼちだ。それで、どうして俺の場所が分かった?」
「お前と同じく裏情報を調べたんだよ」
「なるほど。で、どうして来たんだ?」
「心配になったんだよ。お前なら大丈夫だと思うけどな」
「……安心しろ。あいつらは俺が片付ける」
「それを聞けただけでも安心だ……じゃあ先に帰る。必ず帰れよ」
「あぁ。ヒサメ達にも伝えてくれ」
「ん? 何を?」
「必ず帰る。だから安心して待っていてくれ、と伝えてくれ」
「っ……あぁ、伝えておく」
オーナーを見送った後、再び渓谷の罠を確認する。遠くから大量の足音が響き渡る。バイカイザーとヘルブロス、その中央にはブラッドプライムローグがいた。
[ブラッドの野郎、ハザードトリガーやグレートクローズドラゴン、何処で手に入れやがった……]
俺は頭の中で戦況を計算しながら、最後尾の敵が罠に入るのを待つ。すべてが揃った瞬間、スイッチを押した。
──ドォォンッ!!
両側の崖が崩れ、大量の敵が押し潰される。
「これで終わればいいんだがな」
瓦礫から半分ほどの敵が這い出してくる。
「まぁ、半分は片付いたからいいか」
俺はロストエボルドライバーとラグナロクトリガー、ヒュドラロストロードボトル、ライダーロードボトルを取り出し、腰にベルトを装着した。
『Ragnarok ON』
ベルトにボトルを装填する。
『Hydra』
『Ryder System』
『Over the Lost Evolution』
ベルトのレバーを回すと、変身曲が流れ出す。
『♪ 〜〜〜♪ 〜〜〜』
『♪ 〜♪ 〜』
『Are You Ready?』
「変身っ!」
俺を中心に歯車が展開し、一瞬で弾けて仮面ライダーロスト〈ラグナロクフォーム〉になった。
『Ragnarok〜! Ragnarok〜! Lost Ragnarok〜!』
『ガァーハッハッハッハッハッハァ!』
周囲に振動が走り、瓦礫が舞い上がる。
「フェーズ5……これが最後の戦いだ」
俺は叫び、敵に向かって飛び込む。
『Ready Go!』『Ragnaro Tex Finish!』『Ciao』
一撃で周囲の瓦礫と敵を飲み込み、消滅させる。残った敵は恐怖に凍り付く。
「な、なんでだ……!?」「一撃で……!」
ブラッドプライムローグは一瞥し、冷たく言い放つ。
「金や権力に集まる雑兵か……」
俺は軽く答える。
「悪人だからいいが、あまりポンポン殺すなよ」
「それを言うなら、貴様も数百人消しただろう」
「それはそうだ。だが、お前に寄って変質した奴らだ」
ブラッドプライムローグは笑い出す。
「お前なら簡単に治療できただろう?」
「まぁ、できなくはない。だが短命になっただろうな」
「やはりお前はブラッド族の王族だ……気に入ったもの以外はどうでもいい。そういう奴らだよな」
「何でそこまで怒る?」
「俺は、兄弟の喧嘩で両親を失った子供だ」
「あぁ、確かにブラッド星で喧嘩したが民間人は──」
「ふざけるな!」
ブラッドプライムローグは叫び、周囲の敵を巻き込みながら突進してくる。渓谷の壁に衝突し、岩が飛び散る。
俺は間合いを詰めながら、歯車の回転を加速させる。
『Ragnaro Tex Finish!』
光と影が渦巻き、敵の衝撃を受け止めつつ、全力で蹴りを叩き込む。
ブラッドプライムローグの体が吹き飛び、岩壁に叩きつけられ、崩落する瓦礫の中から再び立ち上がる。
「ク、クフフ……やはりお前は……!」
その笑い声に、俺は息を整え、冷静に次の攻撃の準備をする。
──次の瞬間、渓谷全体が光で包まれる。
俺はドライバーを握りしめ、目を閉じる。
「ここで……全て終わらせる」
目を開けると、瓦礫の影から再び敵が迫る。
「……来い」
その声と共に、俺は渾身の蹴りを放つ。
──炸裂する衝撃波。敵は吹き飛び、渓谷は静寂に包まれる。
俺は深く息を吐き、夜空に浮かぶ歯車の残像を見つめる。
──これで、少なくとも奴らの大軍は片付けた。
キリトside out
ヒサメside
「ただいまぁ〜、お父さぁ〜ん? どこぉ〜? あれ、いつもならすぐ返事してくれるのに?」
ヒサメは家のドアを開けると、いつもなら「ただいま」と声をかければすぐに返事を返してくれるお父さんの声が聞こえないことに気づいた。リビングの机の上には、一通の手紙が置かれている。文字は間違いなくお父さんのもので、丁寧に書かれているのに、どこか急を要するような印象を漂わせていた。ヒサメは小さく息を吸い、震える指で手紙を手に取る。
封を切ると、中には簡潔ながらも切迫した文章が書かれていた。自分たちへの伝言と、お父さんがこれから向かう任務に関する情報。表向きは落ち着いているが、文面の端々に潜む緊張感がヒサメの胸を締め付ける。思わず手紙を握りしめる。心臓の鼓動が早まる。
「……カゲ、これ、知らない?」
ヒサメは急いでカレコレ屋に駆け込み、カゲに手紙を差し出した。カゲは驚き、すぐにおやっさんに電話をかけようとする。しかし何度かけても応答はなく、苛立ちと不安が表情ににじむ。
「……もしかしたら、手紙の通りで帰れないのかもな」
カゲの言葉に、ヒサメの胸がぎゅっと締め付けられる。
「そんなっ! アーシ達もすぐ行かないと!」
カンナの声に促され、ヒサメたちは動こうとした。しかし、ボティスが静かに口を開いた。
「言った所で無駄じゃと思うがのぉ」
ヒサメは振り返り、問い返す。
「どういう意味だ?」
「お主らが行った所で、彼奴の相手をしている者たちを倒すことなどできぬと伝えてある」
「そんなの、やってみなくちゃわからない!」
「そうだよっ! 私たちだって……!」
「だが、相手になれるのは、彼奴と同等の力を持つ者だけだ」
ボティスの言葉は重く、ヒサメの心に深く突き刺さる。知らず知らずのうちに、自分たちの力を過信していたのかもしれない。カゲもまた、固く顔をこわばらせている。ボティスの視線は真剣で、なぜ自分たちを止めるのかをはっきり示していた。
「お主達が強くなっていることは知っておる。だが、彼奴は宇宙すら超える存在。お主達が傷つくのは見たくない」
その言葉にヒサメは胸を締め付けられた。焦りと悔しさ、そして恐怖が入り混じり、涙が目の奥に浮かぶ。しかし、ここで耐えることこそがお父さんへの信頼であり、今できる最善の行動であることも理解していた。
「……わかった、信じる。お父さんを信じよう」
ヒサメは深く頷き、行動を一旦止めることに決めた。手紙を胸に抱き、祈るように目を閉じる。お父さんが無事であることを信じ、今は待つしかないのだ。
それでも、胸の奥には焦燥が残る。お父さんは、きっと自分たちが駆けつけることを望んでいない。その思いが、ヒサメに少しだけ冷静さをもたらす。だからこそ、自分たちを止めたのだ。
「……行かないといけない時が来ても、準備は怠らないようにしよう」
ヒサメは手紙を胸に抱き、父の意思を信じる決意を新たにする。自分たちにできることは、ここで待つことだけだ。無力感と不安が交錯する中、心を落ち着け、父の帰りを信じる。
時間が過ぎるごとに、心の中の不安が少しずつ膨れ上がる。窓の外を見つめるヒサメの目には、戦場の景色が頭に浮かぶ。お父さんが一人で敵を相手にしている姿、瓦礫の中で立ち向かう姿。ヒサメは拳を握り、何度も祈った。
「お父さん、どうか無事でいて」
焦燥が渦巻き、心が押し潰されそうになる中、ヒサメは深呼吸を繰り返す。カゲが隣でそっと手を握る。その手の温もりに少しだけ安心を覚えるが、心配は消えない。二人は言葉を交わさず、無言のまま祈り続ける。
時折、風が強く吹き、木々がざわめく。まるで渓谷の向こうで戦うお父さんが「大丈夫だ」と告げているかのように感じられた。ヒサメは手紙をぎゅっと握りしめ、心の奥でお父さんの安全を願った。
部屋の光が徐々に変わり、夕暮れが近づく。ヒサメの心拍は少し落ち着くが、依然として不安は消えない。心の奥で、小さな希望を抱きながら、焦燥と不安を押し込める。
「帰ってきてほしい、無事に……」
手紙を胸に抱きしめ、ヒサメは何度もそう呟く。今できることは、ただ待つこと。信じること。祈ること。そして、戻ってきたお父さんと再会するために、ここで耐えること。
夜が深まるにつれ、ヒサメは窓の外をじっと見つめ、渓谷の向こうで戦うお父さんの無事を心の中で確かめる。目に涙を浮かべながらも、決してその瞳から希望を消さず、必ず帰ってきてくれることを信じ続けた。
ヒサメside out
こんにちは、今回の作品は如何でしたか?後半のブラッドプライムローグは、少しキャラ崩壊しましたが流してください。話を書いていくうちにキャラを見失いました。まぁ、後少しのカレコレシリーズ、楽しんでください。