混血のカレコレとLost evolution 作:Ks5118
「ふざけるなぁ!」
その声が渓谷に轟く。ブラッドプライムローグは周囲のバイカイザー達を巻き込みながら俺に向かって突進してくる。俺は瞬時に横に逸れ、左腕を掴んだまま地面に叩きつけ、拘束する。
「俺はキルバスやエボルトと喧嘩したことはあるが、ブラッド星で戦ったことはない!」
「そうだろう。だが、俺の親が死んだのは名もない星でのことだ!」
「名もない星……?」
その言葉に、数百年前の記憶がフラッシュバックする。
──数百年前、名もない星──
『いい加減にしろよっ! 愚弟どもっ!』
『ハッハァ! そんなに怒んなよ、兄ちゃん。別に良いだろ?』
『そうだぞ、俺達は兄貴の保持している星だとは知らなかったんだから』
エボルトとキルバスは、ロストルが育てていた星々を勝手に喰らい尽くしていた。怒りに燃えるロストルは、名もない星に二人を連れて行き、戦いを挑む。
『それで、はいそうですかって言えるわけねぇだろうがぁっ!』
『ヤベェ、こりゃあ本気だぁ』
『俺は巻き込まれたくはないな』
ロストルの攻撃を避けたエボルトは距離を取り、瞬間移動で逃げる。
『っ! 待てぇ、エボルトッ!』
『Ciao』
『くっ、たく、あの野郎……』
『それじゃあ、俺も』
キルバスも逃げようとしたが、ロストルが肩を掴み防ぐ。
『ハッ、ハハッ』
『一辺死んで来いっ!』
《Ragnarok Tex Over Finish!》
《Ciao!》
『グワァ────ーッ!』
必殺技の余波で、キルバスは銀河系の外へ吹き飛ばされる。名もない星は何もなく、ただ消滅した。
──現代、渓谷──
「ま、まさかっ! あの時に居たのか⁈」
俺は、あの時戦っていた星にブラッド族がいたことを思い出す。
[何やってんだよ、ロストル]
ブラッドは俺の拘束から抜け出し、距離を取る。
「そうだ、俺はあの時、お前達のせいで親を失ったブラッド族だ! さらには、お前達のせいでブラッド星は滅んでしまった! 俺はお前達の王族を許せなくなった。だから一度、パンドラボックスを手にして、別の地球でブラッド星を復活させようとした。だが、エボルトにより負けた。ならば……王がいないこの地球でやろうとした時、お前が現れた。お前を倒してパネルを奪おうとしたが、全ての刺客は倒され、俺自身が出た。しかしお前は俺を忘れ、憐れみやがった。それが許せなかった。だから手下を引き連れ、お前と家族を殺しに来たのに、この始末だ!」
その怒りに満ちた告白と共に、ブラッドは殴りかかる。俺は攻撃を交わし、隙を窺う。
「お父さんっ!」
声が渓谷に響く。街に戻ったはずのオーナーと、カゲチヨ、ヒサメ、シディ、カンナ、フィーアが捕まっており、ボティスには風魔の首輪が巻かれていた。
「何やってんだお前ら? どうしてここに⁈」
「だって……お父さんがどこかに行くかと思って」
「すまない、私は止めたのだが」
「おやっさん! 何で俺たちを置いていったんだ!」
「お前達が居たら、コイツらの人質になる。それにここから先は、俺の戦う場所のことだ」
「そんなの関係ないよっ!」
「そうだよ! アーシ達だって強くなったんだから!」
「今捕まっているだろ」
「……あまり責めてやるな」
俺は仲間達の顔を見る。恐怖と緊張、でも確かな意志が瞳に宿っている。
ヒサメ達を逃す
「今だ、逃げろ!」
ヒサメは抗うが、俺は彼女に手を添えて押しながら言う。
「俺を信じろ、必ず戻る」
カゲチヨがヒサメを抱え、シディやカンナたちも仲間を守りながら街の方へ駆け出す。砂塵を巻き上げ、渓谷の縁を越えていく。
俺の視線は彼らを追いながら、覚悟を決める。家族、仲間、世界──守るべきもののため、全力で立ち向かう。
「ここから先は、行かせねぇぞ」
胸のロストパンドラパネル(黒)に、初期から持つ12本のロードボトルを装着する。ボトルがパネルに装着されると、紫色のエネルギーがパネル内で反応し、全身を駆け巡る。
『Over Over the Ragnarok Evolution!』
『〜〜〜♪ 〜〜〜♪』
『Ready GO!』
『Fever Flow!』
「フェーズファイナル」
パネルに付いたロードボトルの力が融合し、紫の光が渓谷に渦巻く。頭部の角、肩の蛇頭装甲、足首の装甲が現れ、全身がエボルト怪人態(最終形態)に似た姿に変化する。
「家族を人質にしてしまったせいで、ハザードレベルが上がったか」
「そうだな、これで俺のハザードレベルは10だ。俺の家族に手を出したんだ、さぁ終焉を始めようか」
ブラッドは俺の前に立ちはだかり、拳を握りしめる。その瞳には復讐だけでなく、ブラッド族を復活させようという熱意が渦巻いていた。
「今のお前を倒せば、俺はブラッド族の王になれる! エボルトやキルバスより強いお前を殺せば!」
「そんな簡単じゃねぇんだがな」
「だが、お前を倒せば、エボルトやキルバスより強いと言う事だろう」
「そうだが、今のお前じゃエボルトはともかく、俺やキルバスには勝てねぇぞ」
「ダマレェ──ーッ!」
その咆哮と共にブラッドは突進してきた。俺はすぐにレバーを回す。胸のパネルにロードボトルを装着した力を解放する。
『Ready GO!』
『Ragnarok Tex Finish!』
『Ciao!』
必殺技の衝撃が渓谷に響き、ブラッドの体を吹き飛ばす。紫の光が散り、砂塵と岩が空中に舞う。
「ちく……しょう、お前……さえ……居な……ければ、グワァ────ーッ!」
〈チュドォ────ーンッ! 〉
ブラッドの体が爆散し、渓谷に静寂が戻る。しかし、その瞬間、残存していたバイカイザーやヘルブロス達が動き出す。
「逃す訳、ねぇだろうがぁ!」
俺は空間転移を使い、残った敵たちの間に立つ。バイカイザーやヘルブロスが逃げようとした瞬間、蹴りや投げ技で道を塞ぐ。渓谷の岩壁に当たる衝撃が、さらに砂塵を巻き上げる。
その混戦の中、突然、大量の敵が吹き飛ぶ。
「すまん、遅ぉなった」
死神ゲデとサトウ、スズキが姿を現す。
「な、何でお前らがここに?」
「あ? んなもん、仲間を助けに来たからだが?」
「いやだって……私たち、サトウ君達と余り会わないし……」
「アーシもかなり迷惑かけたし……」
「俺も不甲斐なく思います……」
「そんなの気にしなくて良いって」
「俺達は、お前達を救いたくなっただけだ」
スズキの言葉に少しだけ渓谷に温かさが戻る。ボティスがゲデを見て尋ねる。
「それに、お主はゲデとか言うたな、何故お主まで?」
「ん? あぁ、俺かてキリトちゃんの友人やで。友達が困ってはったら助けるのが当然やろ、それにな」
ゲデは息を整え、刀を敵たちに向ける。
「俺は、アンさんらの殺しも請け負ってんのや」
その衝撃的な言葉に、俺は思わず息を飲む。
「それは……どういう事だ?」
「キリトちゃんが相手してった奴さんは、本来ならとぉに死んでおる存在なんや」
「それって……」
「せや、地獄の閻魔様もカンカンやで」
その言葉により、俺は以前戦ったバイカイザー達が弱く感じた理由に気付く。
[そうか……前より弱く感じたのは、俺自身のハザードレベルが上がったからだと思っていたが、奴ら自身がリビングデッドになっていたからだったのか……]
俺は両手で押さえるバイカイザーとヘルブロスを吹き飛ばし、カゲチヨ達を捕まえている敵たちに必殺技を叩き込む。
『Ready GO!』
『Ragnarok Tex Finish!』
『Ciao!』
「グワァ────ーッ!」
「今のうちに逃げろ!」
ヒサメは反抗する。
「嫌だよ、逃げるならお父さんも……」
しかしボティスが首筋を叩き気絶させる。
カゲチヨが俺に叫ぶ。
「必ず帰って来てくださいね。俺たちだっておやっさんの事、好きなんですから!」
その言葉に胸を熱くしながら、俺は彼らを渓谷の縁まで導き、無事に街へと逃がす。
「ここから先は、行かせねぇぞ」
俺は再び戦闘態勢に入り、ブラッドや残った敵たちに向かって立ちはだかる。胸のパネルにロードボトルを装着し、力を解放する。紫の光が渓谷全体を包み込み、戦場は再び狂気の渦に染まる。
残ったバイカイザーやヘルブロス達は、恐怖と混乱の中で後ずさる。砂塵に包まれ、紫色の光がまだ渓谷に残る。
「クソッ……くそったれぇ!」
「お前……絶対に許さねぇ……!」
「こんな……こんな……バカな……!」
口々に悪態を吐きながら、彼らは必死に逃げようとする。しかし渓谷の岩壁に囲まれ、自由な退路はほとんどない。
俺は瞬間移動で彼らの前に立ち、紫のオーラを纏いながら声を上げる。
「逃がす訳ねぇだろうがぁ!」
バイカイザー達は恐怖と怒りの入り混じった叫び声をあげる。
「うわあああああ!」
「殺してやる……!」
「この野郎……ぶっ潰す!」
しかし、俺の攻撃は止まらない。蹴り、肘打ち、肩で押し飛ばす。逃げようとした者は次々と岩壁や地面に叩きつけられる。衝撃で砂塵が舞い上がり、渓谷全体が戦場のように荒れる。
「グワァ────ッ!」
吹き飛ばされたヘルブロスが岩に激突し、口からも「ぐああっ!」と呻き声を漏らす。その隙を突いて、俺は両手で衝撃波を生み、渓谷の左右に吹き飛ばす。
「くっ……くそっ……あいつ……!」
「許さん……絶対に……!」
逃げながらも口から悪態を吐くバイカイザーやヘルブロス。だが、俺はそのすべてを潰す勢いで間合いを詰める。瞬間移動で背後に回り、蹴り上げ、肩で押し、投げ飛ばす。
『Ready GO!』
『Ragnarok Tex Finish!』
『Ciao!』
紫のエネルギー波が放たれ、悪態を吐きながら逃げようとした者たちを巻き込み、渓谷全体に吹き飛ばす。空中で回転し、岩壁や地面に叩きつけられる彼らの叫びは、砂塵の渦に消される。
「この野郎……くそっ……!」
「お前……絶対……ぶっ潰す……!」
口から悪態を吐きながらも、残存する敵たちは逃げ切れず、次々と倒れていく。渓谷に残るのは、俺の紫のオーラと、粉塵に沈む彼らの呻き声だけだった。
俺は荒れた渓谷の中央に立ち、深く息をつく。残党はもはや戦う力も残していない。
「……これで残党は片付いたか」
砂塵が徐々に落ち着き、紫色の光も消えかかる中、俺は次に進むべき戦場を見据えた。