混血のカレコレとLost evolution 作:Ks5118
No.2 フェーズ2と初の対面〈修正版〉
その日、キリトは知り合いであるリサイクルショップのオーナーの店に来ていた。最近オーナーが始めたばかりの店で、今日はその開店祝いとして二人でささやかな祝いをしていたのだ。
店の奥のテーブルには軽い料理と酒、そしてコーヒーが並んでいる。
「いやぁ、店を始めるのもなかなか大変だな」
オーナーが苦笑しながらコップを置いた。
「だろうな。俺も最初は客なんて全然来なかったぞ」
キリトもコーヒーを飲みながら笑う。
「それでもここまで店を続けてるんだから大したもんだ」
「まぁ料理作るの好きだしな。それに店ってのは落ち着く」
そんな穏やかな時間だった。
その時、キリトのスマホが震えた。
画面を見ると、近所の知り合いからのメッセージだった。
『おいキリト! お前の店、火事になってるぞ!』
「……は?」
キリトの顔から笑みが消えた。
「どうした?」
オーナーが聞く。
キリトはスマホを見せた。
「……俺の店が燃えてるらしい」
「なんだと!?」
二人はすぐに外へ飛び出した。
キリトは全速力で走り、自分の喫茶店【AGIΩ】へ向かう。そして辿り着いた瞬間、目に飛び込んできた光景に足が止まった。
店は激しく炎に包まれていた。
「……ふざけんな」
炎の向こうに数人の男が立っていた。その中心に赤髪の男がいる。
「やっと帰ってきたか」
赤髪が笑う。
キリトはゆっくり歩み寄る。
「……人の店に何してくれてんだ」
「ただの焼却処分だ」
赤髪は平然と言った。
その瞬間──
「おぉらっ!!」
キリトの拳が赤髪の顔面に叩き込まれた。
ドゴォッ!!
「ぐぁ……やはり化け物だな」
殴られた頬を押さえながら赤髪が吐き捨てる。
「人の店燃やしといて何言ってんだこの野郎」
キリトは睨み返した。
「ふん、人外に何をやろうが構わんだろう」
「人外って、戸籍上は人間なんだがな。それになぜ俺が人外だって分かるんだよ」
赤髪は鼻で笑う。
「そんなもの、匂いで分かる」
「犬かテメェ」
「人外に言われたくない」
キリトは舌打ちした。
「というか、なぜ俺の店を燃やした!」
「お前の持つ技術は我々が持つにふさわしいからだ」
「いや取ったとしても使えないからな。しかも全部俺用に調整しているし」
キリトはポケットからボトルを取り出す。
「だから返してもらうぞ」
ヒュドラロードボトルをドライバーに装填する。
『Hydra』
『Ryder system』
『Creation!』
『♪ 〜〜〜♪ 〜〜〜』
『ロストスチームガン』
『ロストスチームブレード』
「こんなふうになっ!」
その瞬間、トッププレデターが持っていた銃とブレードが一瞬でキリトの手元へ戻った。
「それにこいつは、お前らが持つには過ぎた力だ」
キリトの声が低くなる。
「それをどんな手を使ってでも手に入れようものなら──」
一歩踏み出す。
「ここで確実に皆殺しにする」
赤髪は笑った。
「今まで本気じゃなかったとでも言う口ぶりだな」
「その通りだ」
キリトは藍色のボトルを取り出す。
「今の姿は全盛期に似せた姿で汎用性が高い形態だ。だが今から見せる姿は全盛期より弱いが、変身できる形態で一番パワーがある姿だ」
ドライバーへ装填する。
『Drake』
『Ryder system』
『Lost evolution』
『♪ 〜〜〜♪ 〜〜〜』
『♪ 〜♪ 〜』
『Are You Ready?』
「フェーズアップ!」
『Drake〜! Drake〜! Lost Drake〜!』
『ガァーハッハッハッハッハッハァ!』
「フェーズ2、完了」
赤髪が腕を組む。
「それがパワーがある姿か?」
「あぁ」
キリトは拳を握る。
「格闘も得意だが、この姿専用の武器もある」
ドレイクロードボトルを再び装填する。
『Drake』
『Ryder system』
『Creation!』
『♪ 〜〜〜♪ 〜〜〜』
『ロストクローザー』
赤髪が笑う。
「その剣が専用武器か? 俺たちの体はそんな剣程度で斬れねぇのになぁ」
キリトは一言だけ言った。
「んじゃ、死ね」
キリトはそう言うとヒュドラロストロードボトルをロストクローザーに装填し、レバーを三回引いてトリガーを押した。
『ヒュドラ』
『ヒッパーレ! ヒッパーレ! ヒッパーレ!』
『メガロストスラッシュ!』
次の瞬間、紫黒のエネルギーを纏った巨大な斬撃が一直線に走った。
ズバァァァッ!!
取り巻きの二人は反応する間もなく体を斬り裂かれ、そのまま消し飛んだ。赤髪も回避しきれず、右肩から先を斬り飛ばされる。
ドサッ……
地面に落ちた腕から鮮血が噴き出した。
赤髪は自分の肩を押さえながら、信じられないという顔でキリトを見る。
「今……何をした?」
「あん?」
キリトは肩をすくめる。
「必殺技を放っただけだが?」
その言葉を聞いた赤髪の表情が歪む。
「やはりお前は化け物だ……」
そう言いながらゆっくり後退する。
「だが今の俺では倒せそうにない。ここは引かせてもらう」
「逃がすわけねぇだろうがっ!」
キリトは地面を蹴り、一瞬で距離を詰めてロストクローザーを振り下ろした。
しかしその瞬間──
赤髪の体が突然、霧のように広がった。
シュゥゥゥゥ……
まるで身体そのものが霧へ変わったかのように、赤髪の姿は空気へ溶けるように霧散していく。
キリトの斬撃は空を切った。
霧は風に流れるように散り、完全に姿を消す。
キリトは舌打ちした。
「……あいつ、人間じゃなくて吸血鬼だったのか」
燃え続ける店を振り返る。
炎はすでに屋根まで広がっていた。
「散々人のことを化け物って言いやがって……」
キリトは溜息をつく。
「お前もバケモンじゃねぇか」
しばらく炎を見つめたあと頭を掻いた。
「たくっ……喫茶店は再建しなきゃな」
焼け落ちていく看板を見る。
「それまでどこに住むかな……」
しばらく考えた後、ポケットからスマホを取り出した。
「そうだ」
電話を掛ける。
『プルルルルル……ガチャ』
「どうした? こんな時間に」
オーナーの声が聞こえる。
「悪いんだけどさ」
キリトは燃える店を見ながら言う。
「お前の持ってるマンション、何日か泊まらせてくれないか?」
オーナーのマンションに泊まるようになってから、一週間ほどが過ぎていた。喫茶店【AGIΩ】は放火によって完全に焼け落ちてしまい、再建にはまだ時間がかかる。それでもキリトは特に落ち込む様子もなく、オーナーの好意でマンションに居候する生活を送っていた。
朝になるとキッチンに立ち、手際よく朝食を作る。それがここ最近の毎日の流れになっていた。
「お前、本当に料理上手いな」
テーブルに座りながらオーナーが言う。
「店やってるからな」
キリトはフライパンを洗いながら軽く答えた。
「それにしても放火か……警察には言ったのか?」
「言ってない」
キリトはコーヒーを一口飲む。
「どうせ捕まらないしな」
オーナーは呆れたように息を吐いた。
「お前、何か隠してるだろ」
「まぁな」
キリトは少し笑った。
「そのうち片付ける」
それから数日後の夜。
キリトは人里離れた森の中を歩いていた。
月明かりだけが木々の間から差し込み、周囲は静まり返っている。普通の人間ならこんな場所を夜に歩こうとは思わないだろう。
だがキリトにとっては関係なかった。
「この辺りのはずだな」
そう呟きながら歩き続ける。
[裏世界のコネを使って一週間……ようやく見つけたか]
やがて木々の奥に人工物が見えてきた。
森の中に隠れるように建てられたコンクリートの施設。
看板もなく、外から見ればただの廃施設にしか見えない。
だがキリトは足を止め、鼻を鳴らした。
[……やっぱりだな]
空気に混ざる微かな匂い。
[異宙生命体のDNAの匂いか]
キリトは目を細める。
[異宙のDNAを人間に入れて生体兵器を作る実験施設……胸糞悪いな]
しばらく施設を見つめる。
そして小さく呟いた。
「とりあえず潰すか」
キリトはドライバーを腰へ装着する。
『LostHydra〜!』
紫黒の蒸気が噴き上がり、装甲が体を覆っていく。
仮面ライダーロスト──ヒュドラ形態。
「さぁ、滅びを始めますか」
キリトはガルーダロードボトルを取り出した。
ドライバーへ装填する。
『Garuda』
『Ryder system』
『Creation!』
『ガルーガトリンガー』
紫黒の蒸気の中から巨大なガトリング砲が出現する。
キリトはそれを軽々と持ち上げた。
「追加で」
ヒュドラロードボトルを装填する。
『Hydra』
『Ryder system』
『Creation!』
『ロストスチームガン』
もう一丁の銃が出現する。
キリトは両手に銃を構えた。
「今回は二丁銃でやるか」
そして施設の扉の前へ歩く。
「それじゃお邪魔しまーす」
次の瞬間。
ドォォン!!
扉を蹴り破った。
森の静寂を破る衝撃音が響き渡る。
施設の内部へ入ると、警報が鳴り始めた。
だがキリトは気にせず歩き続ける。
しばらく進むと、透明なガラスの部屋が並ぶ場所へ出た。
その中には──
子供達が倒れていた。
「……やっぱりか」
キリトは小さく呟く。
その時だった。
通路の奥から足音が聞こえる。
人間の足音が四つ。
そしてもう一つ──
重く低い獣の足音。キリトはゆっくり銃を構えた。やがて通路の角から白衣の男が姿を現す。白衣の男は角の生えた少女──氷電の首筋に刃を押し当てたまま、キリトを睨みつけていた。隣ではマンティコアが低く唸り声を上げている。
キリトはその様子を見ながら、腰の装備ホルダーから三本のロードボトルを取り出した。ドレイク、ガルーダ、雷獣。それを少女達へ渡すことはせず、そのまま足元の地面へ転がす。
カラン……カラン……
乾いた音が施設の床に響く。
「……何のつもりだ?」
白衣の男が眉をひそめる。
キリトは肩をすくめた。
「その銃を使うにはボトルも必要だからな」
白衣の男は少し考えたあと怒鳴りつける。
「おら、炎海! 戦麟! そこにある銃を取って来い! じゃないと氷電が死ぬ事になるぞ!」
二人の少女は震えながら歩き出す。そして男はさらに命令する。
「戦麟、お前はボトルも拾え」
戦麟は恐る恐る床に転がっているボトルへ手を伸ばし、ガルーダロードボトルを拾い上げた。
その瞬間──
ボトルが反応した。
ゴォォォォォッ!!
紫黒のエネルギーが噴き出し、戦麟の身体を包み込む。
「きゃああああああ!!」
身体を包むエネルギーが渦を巻き、輪郭が歪む。光が弾けた瞬間、そこに立っていたのは翼を持つ怪人だった。
ガルーダロードスマッシュ。
「なっ……何だこれは!!」
白衣の男が目を見開く。
その隙をキリトは見逃さない。
足元の二本のボトルを同時に蹴り上げた。
カンッ!!
雷獣ロードボトルとドレイクロードボトルが一直線に飛ぶ。
雷獣ロードボトルは氷電へ。
ドレイクロードボトルは炎海へ。
ドンッ!!
二人の身体に同時にボトルが当たる。
直後、ボトルが作動した。
ゴォォォォォッ!!
二人の身体も紫黒のエネルギーに包み込まれる。
「きゃあああああっ!!」
「うああああああっ!!」
渦巻くエネルギーが人の姿を塗り替えていく。
そして光が弾けた時──
そこに立っていたのは三体の怪人だった。
電撃を纏う獣型怪人──雷獣ロードスマッシュ。
竜のような姿の怪人──ドレイクロードスマッシュ。
そして翼を広げた怪鳥型怪人──ガルーダロードスマッシュ。
白衣の男は怒り狂う。
「な……なんという事をしてくれたんだ!! 彼女達は正規品だったんだぞ!!」
キリトは冷たい目で男を見る。
「最初から化け物にするつもりだった連中が何言ってんだ」
白衣の男は顔を歪めた。
「こうなったら……行けマンティコア!!」
マンティコアが咆哮しキリトへ飛びかかる。
だがその瞬間、キリトは床に置いていたロストスチームガンを拾い上げ、ヒュドラロードボトルを装填する。
『Hydra』
『Ryder system』
『Creation!』
『ロストスチームブレード』
さらにロストスチームブレードを呼び出し、前後に分割して銃へ接続する。
ロストスチームライフル。
そこへフェンリルロードボトルを装填する。
キリトは迷わず引き金を引いた。
『ロストスチームツインブレイク』
紫黒のエネルギーが噴き出す。
次の瞬間、二体の幻獣が現れた。
三つ首のヒュドラ。
巨大な狼フェンリル。
二体の幻影はマンティコアへ襲い掛かる。
ドォォォォォン!!
マンティコアの巨体は壁へ叩きつけられ、そのまま動かなくなった。
それを見た白衣の男の顔から血の気が引く。
「ば、馬鹿な……マンティコアが……」
男は後ずさり、踵を返す。
「くそっ……覚えていろ!!」
白衣の男はそのまま施設の奥へ逃げていった。
その直後、残された三体のロードスマッシュが暴れ始める。雷獣ロードスマッシュが電撃を放ち、ドレイクロードスマッシュが突進し、ガルーダロードスマッシュが上空から急降下する。
キリトは動いた。
雷獣を蹴り飛ばし、ドレイクを殴り飛ばし、ガルーダを掴んで他のロードスマッシュへ叩きつける。
ドゴォォォン!!
三体の怪人は床へ転がる。
キリトは静かに呟いた。
「今、楽にしてやるからな」
ドライバーのレバーを回す。
『ready Go』
その瞬間、赤紫のエネルギーが脚へ集中する。
キリトは跳び上がった。
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
蹴りが三体のロードスマッシュへ叩き込まれる。
『LostTex Finish』
次の瞬間、三体の怪人の身体が赤紫の光に包まれる。
ドォォォォォン!!
巨大な爆発が起こる。そして爆発の中心から音声が響く。
『Ciao』
煙が晴れると、そこには倒れている氷電、炎海、戦麟の三人の少女の姿があった。キリトは、気絶する三人の少女を抱えてその施設を後にした。