「おはようございます、今日も早いですね」
とある食品工業の倉庫でのごく普通の1日の始まりだった…その日までは。
「オーライ…オーライ…」
倉庫の荷捌きに大型トレーラーがバックで駐車しようとしていた、
「オーラ…ストップ」
誘導員の声が停止を告げた。
「これが今日の積み込みリストね」
出荷担当から運転手が積載リストを受け取ると、倉庫内の荷出し作業員へと渡した、
「確かに」
荷出し作業員がフォークリフトで指示された荷物をドライバーの指示する順番で倉庫から出すとトレーラーに積載していった。
「積載終わりました」
作業員からの報告でドライバーは積載リストと現物を確認し頷くと、
「今日もありがとう、じゃ」
トレーラーはそのまま目的地に向かって発車した。
「次は2時間後か…」
荷出し作業員はフォークリフトを所定の位置に戻そうと倉庫内を走行していた。
「アレおかしいな?あいつの姿が見えない??」
アイツとは同じ荷出し作業員なのだが、棚からパレットに指示された物を集めて来る係りだ。
「先に休憩したのか?」
荷出し作業員はそんな事を考えながらフォークリフトを所定の位置に停めるとバッテリーを充電した。
「おつかれ…アイツ居ないな?アイツ誰か知らないか?」
荷出し作業員は休憩室にいた同僚に聞いて回ったが、誰一人見てないと答えた。
「お~い緊急の出荷だ、これ頼む」
倉庫担当が緊急案件を持って来た為に休憩を切り上げると、其々の担当へと作業員達は散っていった、
「うわ~誰が救急車を」
倉庫内の一番奥へと向かった作業員が悲鳴と救急車を要請してきた。
「何があった!」
責任者が駆けつけると…其処には崩れた荷物の下敷きになったアイツの姿があった…。
「こりゃやばいぞ…おいすぐ消防と社長に連絡を!」
それからすぐに救急車は到着したが、その場で死亡が確認された。
「いったい何が…」
遅れてやって来た社長を始め幹部社員が警察に色々と聞かれていた、勿論俺達もだ。
「皆聞いてくれアイツが死んだ理由だが、荷崩れした製品の下敷きとなった事が直接の死因だそうだ、なので対策として原則二人一組で荷出し作業に当たって欲しい」
社長が色々と対策を立てたようだった。
ーーーーそれから数日後ーーーー
「おはよう…今日もはや…!!」
朝早出の作業員が顔面蒼白になりながら事務所に駆け込んできた。
「アイツ死んだんだよな!なのにアイツが…!」
その場にいた作業員達が一斉に倉庫内へと走り出した。
「誰かの見間違いじゃないのか?」
そんな事を言いながら…。
「ほら…あそこに!」
早出作業員が指差した先には…青白い顔をしたアイツが佇んでいた。
「で…で…でたぁ!」
全員が事務所に逃げ込んだ。
「見間違いじゃ…」
「まさか…そんな訳…」
「顔は確かにアイツだったよな?」
作業員達がガタガタと震えていると、社長がやって来た。
「何があった?」
俺達は口々にさっき見たことを報告した。
「ははは、見間違いじゃないのか」
そう言うと社長は一人で確認しに行った。
そして数分後…社長も顔面蒼白になりながら戻ってきた。
「アイツが…アイツが…!」
そう言うと社長はすぐに地元の神社に電話しはじめた、お祓いをする為に。
それが功を奏したのか、それ以来アイツを見ることはなくなった。
だが誰かが規則を無視した作業をしようとすると、現れては作業を中断させた。
そんな事が続き今ではアイツは倉庫の守り神的な存在となっていた。