「今度は俺からですね」
俺が最初に話す番だった塵
ーーーースクラップーーーー
「あれはまだ九州にいた頃の話です、当時スープラに乗っていて解体屋巡りをよくしてましたね、先輩と」
俺は先輩の方を見た、
「あ~そっだったな、彼処にあの車があったとか毎週見て回っていたな」
先輩が懐かしそうに思い出していた。
「ん…て事はあの話か」
「はい」
先輩はあの時の事を思い出したようで黙った。
「何時もの様に先輩と解体屋に行った時の話です、バイト先の人から其処の解体屋にR32のGT−Rが有ると聞いて、アルミが欲しかった俺と先輩が解体屋に向かったんだ…まぁ目当ての車はすぐに見つかったたんだけど、それは解体の山の一番上に積まれ解体するには勿体ない位の状態だった…見える範囲では」
俺は一呼吸置くと、
「解体屋の人に声を掛けたんだ、あのRのアルミ欲しいんですが、売ってもらえますかって…そしたら即答で断りたんだ…あれはどんな小さな物も売れないって」
俺は一旦話を止めるとビールに口をつけた。
「何で売れないのかも説明されたんだ、実際に裏側つまり助手席側を見せてくれたんだ…ドアに…それは見事に何かが突き刺さった様な穴が空いていたんだ…死亡事故の車だったんだ…解体屋の人の話では死亡事故を起こした車はどんなに人気車であっても何も部品は売らずに解体もせずに屑鉄として潰すそうだ…」
俺が此処まで話すと、
「ねぇ、潰すって?」
先輩の奥さんが聞いてきた。
「こういう事」
俺はビールの空き缶を握りつぶした。
「あぁそういう事」
「俺達がバイトしていた解体屋もそうだったよな…偶に社長からこれ解体しないでいいから、そのまま屑鉄屋に持っていけって言われたことあったよな」
俺もその時の事を思い出した。
「大抵が屋根が潰れているとか、前回りが…でしたよね」
俺の生々しい事故車の話に妻もうぇ…という顔をしていた。
「曰く付きを売って…あとから文句や霊的な何かが起きないようにって云う予防だな…」
こうして俺からの話が終わった。
「あの時は結構面白かったよな…毎週解体屋回って、色々な掘り出し物探しで…」
「確か、先輩がランボルギーのハンドルを見つけたのもその頃でしたよね」
「そうだな…」
俺と先輩が懐かしんでいると、先輩の奥さんがとある疑問を口にした。
「ねぇ…ランボルギーのハンドルって、今の車につけてるわよね?事故車からじゃないわよね?」
先輩の奥さんの疑問ももっともだ。
「大丈夫、あれはエンジン不動車で入ったやつからだから」
先輩の説明に、
「それならいいけど…」
奥さんは少し安心した様子だった。