前作主人公の幽霊に憑かれました 〜前作主要キャラ達の脳を知らずに焼いてしまいます〜 作:どきどきわくわくすけ
ブラン先生から話を聞いた。
先程話していたセシル・マクレーガン、もといセシルさんと大体話は同じであったが、私を陥れようとしていたアリアの寮室から闇魔術の残穢がべったりとついた呪物が見つかったため一発アウト。
その場で通報し、現在憲兵から事情聴取を受けているそうだ。
闇魔術の残穢がどういうものか全く分からないが、白魔術師曰く
金庫にしまい、徹底的に匂いを漏れ出ないようにしていたものの、私(シロウさん)が「金庫を調べるように」と言ったことで見つかったようだ。
そして現在。
ブラン先生の話を一通り聞き、私は医務室のベッドの上でポツンと一人横になっていた。
今日一日は寮に戻らず、医務室で横になってなさいとキャロル先生に言われたからだ。
日はとっぷりと沈み、辺りは薄暗い。
窓から差し込む月明かりの光がベッドのシーツを白く照らした。
その時、幽霊のシロウさんがふわりとベッドの傍らに現れる。
『よ!体調は悪くないか?俺が無理矢理憑依したから、どっかおかしくなってねえと良いが………』
どこか心配そうなシロウさんに上体を起こしながら首を振る。
彼には聞かなければならないことがいっぱいある。
決闘裁判でどのように立ち回ったのかとか、色々。
でもそれ以前にシロウさんに言わなければならないことがあった。
「シロウさん」
『ん?』
「私のこと、助けてくれてありがとうございました。シロウさんのおかげで決闘裁判にも勝つことができたし、冤罪も晴らすことができました。
………でも、どうしてそこまでして助けてくれたんですか?」
友人であるセシルさんの歪んだ姿をこれ以上見たくなかったのかもしれない。
けれどそれを含めて、シロウさんには世話になりすぎている。
もし何か理由があるとしたら聞きたいと思い、尋ねてみた。
するとシロウさんは肩をすくめる。
『……………別に、そこまで言われる程大したことはしてねえよ。ただ俺のことを見える奴が現れたんだ。多少手だって貸したくなるだろうよ』
そんなものなのだろうか。
けれど、困っている人がいたら手を貸さずにはいられない。
その性質はあまりに優しくて、こういう人が物語の主人公になるんだと納得した。
するとシロウさんが私に尋ねてくる。
『もう平気か?辛いことはないか?』
「? はい、大丈夫です」
『そうか。なら良かった』
そう言って微笑む姿が、何だか前世の兄と重なってしまう。
兄もいつも、そうやって幼い私に聞いてくれた。
辛いことはないか。困っていることはないか、と。
あまりの懐かしさに胸が締め付けられる。
そして気を抜けば泣いてしまいそうになるのを耐え、誤魔化すように話を変えた。
「何か私にお礼ができることはありませんか?」
『お礼?いや、いーよ。好きでやっただけだし』
「でも………」
『いいから、いいから。それよりも俺、決闘裁判で本当に好き勝手やっちゃったから、むしろ謝りたくてさ』
「?」
そんなシロウさんの言葉に首を傾げる。
そして彼は至極気まずそうに、決闘裁判での振舞いを話し出した。
人格の変容。
セシルさんの横っ面を殴り飛ばしたこと。
そして、アリア・ローゼマリーの部屋の金庫に呪物があるのをピタリと当てたこと。
それらを全てシロウさんが話し終わった時「明日から私、どうやって学院生活を送ろうかな………」と気が遠くなってしまったのは内緒だ。