ベルがアポロン・ファミリアへ吶喊を援護するのは、ファミリアの為に魔剣を打つ事を決意したヴェルフ=クロッゾ、通常の魔術師が放つ魔法よりも強大な魔剣の一撃がアポロン・ファミリアに向けて放たれる。
先手を取れた事で勢いに乗ったベルはそのままアポロン・ファミリアの軍勢に突っ込み、持ち前の敏捷を最大限に活かして撹乱しながら相手冒険者を一人ずつ倒していく。
早くも混戦状態となった戦場、自ら敵派閥の陽動役を担ってくれたベルの負担を、少しでも軽くさせる為、助っ人であるリューと新しくヘスティア・ファミリアの眷族となったリリルカと命が確実にアポロン側の冒険者達を叩いていく。
「ベル様、調子良さそうですね」
「先日までの彼とは明らかに違う。凄い成長速度です」
離れた所で派手に暴れるベルに命は驚愕し、リリルカは安堵する。圧倒的不利な戦力差であるにも関わらず、拮抗以上に戦って見せるベル。体術の技術も底上げされているし、何より二人の一級冒険者によって鍛えられたベルはLv2の域を早くも抜け出せそうになっている。普通に考えれば異常な迄の成長の早さだ。
「成長速度と言えば、貴方の成長速度も異常ですね」
「貴女は……」
囲んできた冒険者達を蹴散らしながら二人に合流したのは、豊穣の女主人の所で働く給人と知られるリュー=リオンだった。
「貴女もこの間まではLv1だったと聞いています。サポーターとして生きてきた貴方が、どうしていきなりLv3に?」
それは尋問の様な問い詰めではなく、純粋に疑問に思っての質問だった。今朝方ギルドから発表されたリリルカ=アーデの異常なランクアップ、これまでLv1だった者が2を飛ばして3に至るなど、普通に考えれば有り得ない話だ。
しかしリューはそれを追及したりはしない、他人を詮索する資格は自分には無いし、そもそも今は戦いの最中だ。囲みながら襲い掛かる冒険者達を捌いて、ふと思った事をつい口に出してしまった事にリューが反省していると。
「その、言葉にするのは難しくて端的に言うと……まぁ、ちょっと地獄を見てきたとしか言えないですね」
返されるとは思ってなかった返事にリューは一瞬キョトンとなる。見ると、何かを思い出したのかリリルカの表情から感情が消えていた。静かに、淡々と冒険者達を処理していくリリルカ、その手際はとても鮮やかで、いっそ機械的でもあった。そんなリリルカにリューはちょっぴり引いた。
一体彼女の身に何が起こったのか、気になるところではあるが、今はそんな事を気にする場合ではない。絶え間なく襲ってくる冒険者達をまとめて一掃するべく、リューは戦いながら魔法の詠唱を開始する。
「そう言えば、あの御仁の姿がさっきから見ていないが、本当に大丈夫なのか?」
命が語るあの御仁とは蒼のカリスマと名乗る仮面の男、自分達の味方であると豪語しておきながら、今の所活躍している様子は微塵も見えない事に彼女の中の懐疑心が膨らんでいく。
素顔を隠し名前を偽る。凡そ信頼に足り得る要素が一つもない蒼のカリスマに命はこのままで良いのか迷う。本当にあの男を仲間として認めて良いのか、一体自分達が戦っている間に彼は何をしているのか。
「あぁ、多分命様が考えている様な事は絶対に無いので安心してください」
「アーデ殿?」
そんな命の疑問の心を両断するかの如く言い切るリリルカ、まるで彼がどういう人物か知っているかのような口振りに命の動きが止まる。
「あの人は多分、リリ達に見せ場を譲っているのだと思います」
「み、見せ場?」
それは命が思っていたモノとは確かに違っていた。“見せ場”だと、自分達が今必死に戦っている様子を見せ場としてあの仮面の男は見ていると。その言い方はまるで、いつでもこの戦争を終わらせる事が出来る様な、そんな風に聞こえてしまう。
「あの人にはリリ達に対する悪意はありませんよ。あるのは底無しの善意だけ、……まぁ、だから怖いんですけどね」
最後だけ小声だったから聞こえなかった。ただ疲れた様に笑うリリルカに命はこれ以上その事を詮索するのはしなかった。これ以上突付けば自分も唯では済まないような、そんな気がして……。
「そんなわけであの人に関する心配事は無いとだけ言っておきます。それよりも私達は私達で、ベル様のお役に立てる事だけを考えましょう」
そう言ってリリルカは命の背後から寄ってきた冒険者に向けて飛び蹴りを放つ。動きを止めてしまったが為に敵に囲まれつつあった。
『ルミノス・ウィンド!!』
遠くで風の矢が冒険者達を蹂躙し、包囲網の一部が瓦解する。この隙を逃す手はないと、二人は並走しながら戦場を駆け巡った。
◇
「ほぅ、あれが並行詠唱ですか。中々凄いことをしますね、彼女も」
アポロンがいる居城とは対になる城の上層階で、戦場を見下ろしていた仮面の男蒼のカリスマは感心した様に呟く。
並行詠唱とは魔法を覚えた冒険者が技量によって行使する技術、魔法を詠唱する冒険者はその間膨大な魔力をその身に宿らせている為に動きづらく、また失敗すれば魔力爆発という悲惨な結果を生み出してしまう危険性を常に孕んでいる。
そんな詠唱の最中行われる高速戦闘、謂わば爆弾を抱えながら戦闘をするような状態。それでも容易く行えてしまうリューに蒼のカリスマは心の底から感心していた。
「き、君は行かないのかい?」
そんな仮面の男の横でハラハラと眷族達を眺めていたヘスティアが訊ねる。何故君は此処にいるのだと、助けに来てくれたのでは無いのかと、そう暗に聞いてくる女神ヘスティアに蒼のカリスマは一瞥すると、すぐにまた興味を失った様に視線をベル達のいる戦場に向ける。
応えるつもりは無いのだろうか、そう思えるほどの時間が過ぎた時、蒼のカリスマから言葉が漏れる。
「言われなくても、彼等の事は私が責任を以て守りますよ。こう見えて一度交わした約束はなるべく守るよう心掛けていますので」
「そ、そうなんだ。うん、有り難う」
「…………」
ヘスティアの礼の言葉にも仮面の男は少しも耳を貸そうとしない。明らかな拒絶した対応、シュウジ以上の神に対する塩対応にヘスティアは無性に泣きたくなった。
「あ、あの………どうして君は今回ワザワザ僕達を助けようと思ったんだい?」
「理由は彼等と合流する際に説明しましたが?」
「あ、うん。そうだったね」
「…………」
(か、会話が続かねぇぇぇぇ!!)
戦場で戦うベル達の事も気になるが、隣で立つ仮面の男の存在感にも気になって仕方がない。というか、この男はどうやってアポロン・ファミリアの眷族達を倒すつもりでいるのか、今だって自分の眷族であるベル達が死物狂いで戦って拮抗を維持しているが、それがいつまで続くか分からない。
アポロン・ファミリアの眷族は100人以上で対するヘスティア・ファミリアの戦力は蒼のカリスマ含めて経ったの6人、その差は以前として埋めがたいモノだ。上位の冒険者であるリューも並行詠唱という切り札を用いて凌いでいるが、彼女の体力にも限りがある。
そんなアポロン・ファミリアの軍勢に果たして彼一人でどうにかなるのだろうか、名前を偽り素性を明かそうとしない彼が、一体どうやって戦うと言うのか。
そんな事を考えている内に草原の大地から爆発音が轟いた。またヴェルフが魔剣を使ったのだろうか? いや、違う。
(まさか、アポロン・ファミリアにも魔剣が!?)
瞬間、ヘスティアの懸念が的中したかの様に次々と魔剣の光が草原の大地を蹂躙した。凍てつく氷、吹き荒ぶ風、燃え滾る炎、炸裂する爆発、アポロン・ファミリアから放たれる無数の魔剣の力が放たれ、ベル達を圧倒していく。
「ベル君!」
ここからでも見える白髪の少年、自身の最初の眷族であるベルが、魔剣に吹き飛ばされている。傷だらけの体、血は流れ、息も絶え絶えな彼にヘスティアから悲痛な声が溢れた。自分の眷族なのになにもしてやれない、そんな無力感に襲われていた女神ヘスティアに。
「おい、幾つか質問しても良いか?」
隣にいた仮面の男から声を掛けられる。その口調とは先程までとは別人の様に荒っぽく、しかし視線は未だベル=クラネル達の方へ向いていて、女神であるヘスティアを見ようとしない。
神々を軽視しているどころではない。憎み、蔑んでいるとすら思える仮面の男の態度だが、しかしヘスティアはそれを追及する余裕はなかった。
「お前は、神々は、どうして地上に降りてきた? モンスター達に蹂躙される人間達を哀れに思ってか? それとも己の欲求を満たすためか?」
それは、たぶんどちらもそうなのだろう。千年もの昔、神々は地上に降りてきた。モンスター相手に必死に戦う
打算があった。野心もあった。人間達を駒として扱い、玩具の様に弄んできた。でも、その中でも共に生き、一緒に笑って泣いて、その上で生きていくと決めた神々がいるのもまた事実で。
だから………。
「僕は、僕達は、惹かれたんだ。人間に、君達に、絶望を前にしても抗い輝く人の子に」
「…………」
「確かに僕達神々は勝手な奴が多い。というか殆どそうだろう。僕もそんな彼等と似たようなモノだったし、現在進行形で眷族の子達に迷惑を掛けている」
「そうだな」
「でも、そんな彼等に報いたい。支えて上げたい、力になってあげたい! 一生懸命に頑張るあの子を、目標に向かって必死になっている彼を、僕は助けたいと思っている。この気持ちも、嘘じゃないんだ!」
「だからお願いだ。君の力を貸して欲しい。僕の為じゃなくていい、彼の、ベル=クラネルとその仲間達の為に、どうかその力を………!」
そう言ってヘスティアは深々と頭を下げた。自分の為ではなく、眷族の為に助けて欲しい。必死の訴えだった。そんな彼女に対し……。
「………ここで拒否すればそれこそ
「っ! あ、ありがとう! 本当にありがとう!」
「礼を言われる筋合いはない。お前も言った筈だ。彼等の為に助けて欲しいと」
「それでも、だよ!」
目尻に涙を浮かべて満面の笑みでそう返すヘスティアに仮面の男からチッと舌打ちをする。やりにくい、そう聞こえないように小声を漏らした蒼のカリスマは右手を前に出すと、そこから一瞬だけワームホールを展開させる。
「そろそろ交代だな」
瞬間、蒼のカリスマの姿は掻き消え、まるで入れ違うかのようにベル達が現れる。何が起きたのか分からないでいるベル達、呆然としている彼等を余所にまさかと思いヘスティアが草原の方へ視線を向けると。
アポロン・ファミリアの軍勢に向けて仮面の男が呑気に闊歩していた。
◇
「………何者だ」
ヒュアキントスは現在この上なく苛立ち、そして憤りを覚えていた。彼が敬愛する太陽の神アポロンの慈悲をはね除け、無下にするベル=クラネルとその仲間達を漸く制裁を下せると思っていたから。
確かに、ベル=クラネルは強くなっていた。一週間前に彼等の本拠地を焼いて追い詰めた時に比べれるとまるで別人の様になっていた。他の仲間達も想定していたより強大で、魔剣の一族であるクロッゾとサポーターでしかなかった筈の小人族の女がLv3になっていた事も含めて、全て此方の想定を大きく上回っていた。
だが、戦争とは数である。幾ら
これが攻城戦、もしくは一騎討ちだったならば結果は変わっていただろう。いや、一騎討ちならばきっとヒュアキントスは負けていた。そう思わせる程、ベル=クラネルは強くなっていた。
故に、だからこそ許せない。それだけの強さを彼の………太陽神アポロンの為に尽くさないのか、ヘスティアという女神に拘るベル=クラネルの思考がヒュアキントスには理解できなかった。
自分を押し退けてアポロンに愛されておきながら、それでも抗うベルにヒュアキントスは苛立って致し方がなかった。だから、今回の戦争が殲滅戦と聞いたときは喜びと嬉しさでどうにかなりそうだった。
あの忌ま忌ましい兎の小僧を、アポロン様の愛を受けようとするベル=クラネルを合法的に痛め付ける事が出来る。痛めて傷付け追い詰めて、何故自分が【
(つくづく、ヘスティア・ファミリアは私を苛立たせてくれる!)
その整った端整な顔を憤怒に染めてヒュアキントスは悠然と歩み寄ってくる仮面の男を睨み付ける。
「此方の被害は?」
「ぜ、全体の4割近くが戦闘不能に追い詰められましたが、皆まだ戦えます。魔剣の数も十分です」
しかし、そこは一つの派閥を任された人間。冷静さを装い団の損害を確認する所は伊達に団長を勤めてはいなかった。
「た、ただカサンドラの奴が仕切りに逃げろと言って聞きません」
「構うな、妄言を垂れ流す女の言葉など聞くに値しない」
戦争遊戯開始と同時に早々に倒されたカサンドラは戦場の邪魔になると今頃はこの舞台の隅で転がされているだろう、予知夢という不確かなモノにすがり、哀れな女というのがヒュアキントスによるカサンドラという少女の評価である。
聞くに値しないと断じ、ヒュアキントスは一歩前に出る。歩くのを止めてただ此方を見据えるだけの仮面の男にヒュアキントスは乱暴な口調で問い詰める。
「何者だ貴様、いや。確か蒼のカリスマ等というふざけた奴が参加していたな。貴様がそうか?」
「はい。ご紹介に預かりました蒼のカリスマ、満を持して登場させて戴きました」
いっそ白々しい程の紳士的な振る舞い、口調は明るく、それでいて不遜な態度の仮面の男にヒュアキントスの怒りのボルテージは更に上昇していく。
「ベル=クラネル達を何処に隠した?」
「彼等は随分と頑張ってくれたので、今は彼方の城で休ませて戴いております。彼等を倒したくば、先ずは私を片付けてから進むのが宜しいでしょう」
親指で背後の城を指す蒼のカリスマ、未だ多くの軍勢を有するアポロン・ファミリアを前に大胆にも宣戦布告をする彼にアポロン・ファミリアから多くの笑い声が響いてくる。
これだけの数を相手に尚平然としていられる豪胆さは認めよう、しかしそれは剰りにも愚かな話だ。現実を正しく認識できていない、そうとしか思えない仮面の男の言動にアポロン側の冒険者達から嘲笑と罵倒の声が溢れてくる。
「ほう? ならば調度良い。すぐに貴様を下し、早々に奴等を女神諸とも粉砕しよう。これは殲滅戦、奴等の主神を誤って傷付けても誰も責めはしないだろう」
それは、ヒュアキントスの遠回しな神殺しの発言だった。彼は女神ヘスティアを殺すつもりでいる。アポロンの求愛を無下にし、あまつさえ敵対している彼女はヒュアキントスにとって許されざる存在だ。
しかし、そんなヒュアキントスの殺気を受けて尚、仮面の男に怯んだ様子はない。その仮面を引き剥がして化けの皮を這い出やろうと全軍に突撃を指示しようとした時。
「あぁ、その前に一つだけお訊ねしても良いですか? 時間は掛けませんので」
「…………何だ?」
「いやなに、最後に皆さんには投降をオススメしておこうかと思いまして、もし投降をしていただければ、私が皆様に危害を加えるとこはないと約束しまし────」
仮面の男の言葉を最後まで聞く前に、ヒュアキントスは魔剣を放った。聞くに耐えない妄言、現実はおろか自分達すら見えていない狂言。下らない時間を浪費した。あらゆる蔑みを込めて魔剣の炎に包まれた蒼のカリスマを見て。
「これが返答だ下郎。太陽の神の威光をその身に受けて死ね」
アポロン・ファミリアの団員達から更に罵倒の声が上がる。無様、みっともない、無知蒙昧、ありとあらゆる罵声が飛び交うなか。
「────そうか、了承した」
その声はやたら耳に響いてきた。戦場が静まり返った。バカな、そんな筈はない。魔剣の力をマトモに受けて、無事でいられる筈がない。ヒュアキントスをふくめたアポロン・ファミリアの全員が動揺する一方、消えていく煙の中でソイツは佇んでいる。
「ならば此方ももう容赦はしない。───では、終わりにしようか」
瞬間、世界が凍り付いた。
「収束されたマイクロブラックホールには、特殊な解が存在する」
それは詠唱だった。男が言葉の一つを重ねるに連れて、周囲の空間は捻れ、大気は歪み、天の理すら覆い隠していく。
燦々とした太陽は暗雲に呑み込まれ、戦場は暗闇に包まれていく。ただ事ではない事態を前に、アポロン・ファミリアは言葉を失っている。
そしてその余波はその戦場に留まらずオラリオ全体に広がっていく。突発的な暴風、大地を揺るがす地震、雷は迸り、あらゆる天災が迷宮都市を覆っていく。
そして、その中心にいる蒼のカリスマの胸元に一つの黒い球体が精製される。それを目の当たりにした時、アポロン・ファミリアの団員達から笑みが消えた。
「剥き出しの特異点は、時空そのものを蝕むのだ」
「そ、総員魔剣を放て! あの男に詠唱させるな! あの球体を射たせるなァァァァぁっ!!」
ヒュアキントスの冒険者としての本能が最大の警報を鳴らす。あれを完成させてはならないと、形振り構わず彼は団員達に命令を下す。
その命令に異を唱える者はいなかった。彼等も分かっているのだ。いや、正確には何が起こるかは予想も出来ていない。彼等が全力で一人の男を殺しに掛かろうとするのはただ己が生き残りたいという生存本能に従っての事だった。
全員が魔剣を向ける。雷、氷、風、炎、あらゆる属性の力が一人の男を倒すためにその力を放っていく。
「何人も、重力崩壊からは逃れられん」
重力の渦が形となって荒れ狂う。ただそれだけで降り注がれる魔剣の雨を消し飛ばす。悪夢としか思えない光景に、ヒュアキントス達の表情は凍り付く。
恐怖だ。目の前にあるのはあらゆる災厄を詰め込んだ魔の星だ。具現化した絶望を前に団員達は逃げ出そうとするが………既に遅い。蒼のカリスマが唱えた一節の通り、何人たりとも重力崩壊から逃れる術はない、既に賽は投げられたのだ。
黒いそれが掲げられた時、球体は急激に膨れ上がり、衝撃が戦場を蹂躙した。
「事象の地平に消え去るがいい」
「や、止めろ。止めて………」
それは、誰の懇願だったか。ヒュアキントスの降伏の声か、それとも誰かの命乞いか。はたまた遠巻きで見ていた太陽神の怯えた声だったのか、それはもう定かではない。
「ブラックホールクラスター、発射!」
黒い球体が大地を抉りながら包み込む、地を、空を、アポロン・ファミリアを、彼等の主神がいる居城すらも呑み込んで、黒い球体は天に昇る。
時間の流れが緩やかになった気がした。まるでこの惨状を全ての神々に見せ付ける様に、黒い球体は徐々に圧縮されていき……。
瞬間、オラリオは白に塗り潰された。
「最初から決まっていた事だ」
音と光で覆われる中、世界と神々は思い知る。蒼のカリスマという魔人の存在を、この日を境に彼等は畏れるようになる。
【魔なる者】、それは娯楽に飢えた神々に恐怖を抱かせた怪物の、最初の二つ名だった。
アポロン、言葉を発する間もなく退場。
カサンドラ&ダフネちゃん、生存決定! 衝撃で酷い目にあったかもだけど、生きているなら大丈夫だよね!(白目)
Q.今回の話、グランゾン出てこなかったけど?
A.はい、今回グランゾンは出てきておりません。
つまりは生身です。
Q.ソーマ・ファミリアはボッチがBHC撃てること知ってたの?
A.勿論知りません(ニッコリ
そう言えば、ソードオラトリアでは殺戮と闘争を好む女神様がいましたよね?
ゲッペラー「ほう?」
ZERO「ほほう?」
それでは次回もまた見てボッチノシ