『G』の異世界漂流日記   作:アゴン

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使用していた携帯が不具合を生じた為、投稿が遅れてしまいました。

申し訳ありません。

そしてスパクロΩとマブラヴが近々コラボするみたいなので現在スパクロΩをプレイ中。

名前はシュウジで始めたら三周年記念ガシャでネオグラ出た。これは偶然なのだろうか(汗)?





その16

 

 

 

嗤う。己の前に立つ紫髪の青年、シュウジ=シラカワが放つ微かな怒気を孕んだ視線を一身に受けておきながら、それでも闘争の女神カーリーは愉快そうにその口角を吊り上げる。

 

「呵呵呵、まさかこのタイミングで主が出てくるとはのぅ? それほどまでにロキ・ファミリアが大事か?」

 

「まさか、かの眷族達は部外者に守られる程弱くもないし、如何なる苦境にも立ち向かえる勇気と知恵が備わっている。俺がここへ来たのは厄介事に首を突っ込んだ俺自身へのケジメだ」

 

「フフフ、見込み通り難儀な性分しておるのぅ。まぁ、だからこそあのエルフの小娘を態々衆目を集めるこの場所に晒していたのじゃがな」

 

女神カーリーの一言にシュウジの目は細く鋭くなっていく。剥き出しの刃の様な眼光、ベートやキレたティオネよりも深く怒りに満ちた彼の眼に女神の隣で踞るレフィーヤは怖気を覚えた。

 

なんて冷たい眼をするのか、人には勿論間違っても神に向けるべき物ではない……不遜というには余りにも度が過ぎる態度、レフィーヤが予感を感じていた通り、シュウジは女神カーリーに対して殺意を抱いていた。

 

何せ、この女神は自分という人間を呼び出す為にレフィーヤという少女を利用したのだ。当然其処にはロキ・ファミリアの眷族であるヒリュテ姉妹を誘い込む意味も含まれているだろうが、己の欲望の為に躊躇なく他者を利用する女神。そこにシュウジは吐き気を催す邪悪さを感じ取った。

 

命を弄ぶ神、それはシュウジにとって最も許せぬ存在だ。身勝手な話かも知れない、彼のこれ迄の過去を知らぬ者からすればシュウジの怒りは見当違いにも思える。

 

しかし、それでもシュウジは怒りを覚えずにはいられない。己の欲求の為に自分の眷族(子供)達を殺し合わせる。成る程、確かにヒリュテ姉妹はアマゾネスでアマゾネスは戦闘種族と呼ばれる人種だ。戦えば戦う程に強さを増し、その強さにアマゾネス達は喜びを覚える。

 

強さを得ることに悦楽を感じるアマゾネス、そう言う意味ではカーリーという女神はアマゾネスにとって理想的な神かも知れない。だが、悲観の笑みを浮かべるティオナと涙を浮かべるバーチェを見て、闘争(それ)が全てではないという事は遠巻きから見ていたシュウジでも理解できた。

 

「あぁ、そうだよな。神も人も生きているんだ。違っていて、異なっているのは当たり前なんだ」

 

故に、シュウジはお節介をする事に決めた。レフィーヤという少女を救出する為に、ティオナの気持ちに報いる為に、シュウジは自分がしている事が望まれていない事だとしても、己自身の意思に従い余計なお世話をする事に決めた。

 

一度だけ、これまでこの世界に来て自身が行ってきた事を思い返し、反省するように目を伏せる。その仕草に意図を見出だせず対するカーリーは何がしたいのか理解できないでいた。すると目を開け改めてシュウジは女神を睨み付ける。

 

一瞬、カーリーは全身が包み込むような悪寒に襲われた。目の前の男の殺意が増した? いや、男の様子は先程とは違い寧ろ柔らかい雰囲気に変わっている。殺意もなく、怒気も然程は感じられないのに、何故かカーリーにはそれがとても信じられなく思えていた。

 

殺意も怒りも薄いのに凄味だけが増している。まるで超越存在(自分達)よりも強大な何かに睨み付けられている様な……。

 

竦み、後退るカーリーを他所にシュウジはバーチェとティオナに懐から取り出した万能薬(エリクサー)を振り掛ける。

 

「そら、これで大分動けるようになった筈だ。余計な手出しをした詫びに後の始末は俺が片付けておく、向こうにいる君達の姉妹も俺が送っておくから君達は早く離れると良い」

 

「え? あ、ありがとう、ございます?」

 

突然現れていきなり場の空気を支配し、一方的に傷を癒していく。死を目前に覚悟を決めていただけに今のティオナの気持ちは困惑に満ちていた。

 

目の前の青年は余計な介入に申し訳ないと語るが、それ以上に状況に頭が追い付けないティオナはただ傷を癒してくれた事に感謝するだけだった。

 

「あ、あぁ、あぁぁぁ………」

 

「バーチェ?」

 

一方、バーチェの方は頬を赤く染めて潤んだ瞳でシュウジを見ている。あ、これアカン奴だとティオナは悟るが、彼女の静止が間に合う筈もなく、バーチェはその目をハートに変えてシュウジに飛び掛かる。

 

「見つけた、見つけた、見つけた見つけたミツケタ、私の───シュウジ!」

 

アマゾネスの本能、強い雌はより強い雄を求める。カーリーに指摘され、自らの恋心に目覚めたバーチェはこれ迄培ってきた理性と自制の心を振り切ってシュウジに抱き着かんとする────が、しかし。

 

「俺にはもう心に決めた人がいる。もう決して叶う事はない恋路だが、それでもこの想いを忘れる事は出来ない。───だから、君の気持ちには応えられない。………ゴメンな」

 

バーチェの顎下が僅かにブレると、彼女の体はまるで糸が切れた人形の様に崩れ落ちる。何が起きたのか分からない、しかし体は言うことが聞かず、まるで石の様に固まってしまっている。

 

Lv6のアマゾネス。Lvだけを見るならばロキ・ファミリアの団長であるフィンや大幹部のガレスに匹敵する彼女が、何もできずに倒される。その事実に気が付くのにレフィーヤは凡そ10秒程の時間を消費した。

 

しかし、そんな事実などバーチェには関係なかった。初めて恋心を抱いた相手には既に心に決めた人がいるという。正面からバッサリと切り捨てられたバーチェは動けない体のまま、地に伏したまま終わった己の恋に涙する。

 

何だか悪いことをした。アマゾネスという種族を触り程度しか知らないシュウジは涙を流して泣きじゃくるバーチェに後ろめたさを覚える。アマゾネスは他種族の男性に対して少し惚れやすい気質があるというのは知っていたが、自分の何処にそんな要素があるのか分からないシュウジは、どうすればいいのかとあたふたしている。

 

何だか締まらない光景だが、シュウジが動揺している姿はすぐに終わりを迎える。何かを察したシュウジがもう一隻の船の方へ視線を向け、それに合わせるようにバーチェを除いた面々もそちらへと目線を向ける。

 

見れば、バーチェの双子の姉であるアルガナがティオネによって倒されている場面だった。Lv5がLv6を上回る。その劇的瞬間を目の当たりにしたカーリーは感嘆の声を漏らす。

 

「どうやら、向こうも終わったみたいだな。じゃあ、此方もそろそろ幕引きに差し掛かるとしよう。レフィーヤちゃん、そしてティオナちゃん、これから其処にいる神を除いた君達全員を陸地に戻す。最初は混乱するかもしれないが、どうか落ち着いて自分の派閥に合流して欲しい」

 

「へ?」

 

「い、いきなり何を言っ───」

 

何を言っている。それは誰もが思う疑問だった。既にこの船は河を下り始めており、陸地からは遠く離れてしまっている。万全な状態であるヒリュテ姉妹ならば脱出は容易いが、ティオナは兎も角ティオネはアルガナと死闘を演じた為に満身創痍となっている。

 

一体どうやってここから抜け出すというのか、倒れる姉と牢獄に囲われ身動きの取れないレフィーヤ、どちらから救えば良いのか一瞬だけ迷うティオナが、血の海に沈む姉を優先させてレフィーヤに一言ゴメンと口にし、姉のいるもう一隻の船に向かって跳躍した瞬間────。

 

「…………あ、あれ?」

 

ティオナ達は陸地に立っていた。

 

混乱─────処の話ではない。この瞬間ティオナは思考が完全に停止した。今自分は姉を助け出す為に船に向かって跳躍した筈、なのに何故自分は今陸地に立っているのか。

 

「てぃ、ティオナさん?」

 

「レフィーヤ? え? どうして?」

 

隣を見ればそこには地に座るレフィーヤが酷く戸惑った様子で自分を見上げている。きっと自分も同じ顔をしているのだろう。そして彼女の側には傷だらけで動けなくなっているティオネとアルガナ、そして泣きじゃくるバーチェがいる。

 

混沌とする空気、遠くからは同じファミリアの仲間達の声が聞こえてきた為、ティオナは混乱する思考をどうにか落ち着かせ、一先ず一連の出来事は忘れる事にしてレフィーヤと共に三人の手当てに勤しむのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「成る程、お主だったのか」

 

今はもう自分達以外誰もいなくなった船の上でカーリーは一人嗤う。

 

眼前にいるのは正真正銘の【魔なる者】。仮面を張り付け、白の外套を身に纏うその人物にカーリーは愉快そうに笑みを浮かべる。

 

「惜しいのう、もっと早くお主に気付いていれば、より濃密な闘争を楽しめたと言うのに」

 

女神は嘲笑う。惜しかったと、もっと闘争を楽しみたかったと、達観の感情を隠しもせず、座する玉座に凭れて空を仰ぎ見る。

 

「で? 妾も消すのか? 貴様が消したアポロンの様に、この妾を地上からも天界からも。やれやれ、人の子はいつの間にここまで恐ろしくなったのやら」

 

「………一つ、聞かせろ」

 

「ん?」

 

「何で、お前はアマゾネス達を戦わせようとする。聞いた話だとテルスキュラなる国では延々とアマゾネス達を殺し合わせているみたいだが、何故そこまでする。あの子達はお前の眷族、子供なんだろ?」

 

「何を言うのかと思えば、存外退屈な男じゃの。そんなもの、妾が見たいからに決まっているだろうが、親しい者達が殺し合う。親も子も、姉妹も、敵ならば殺し、自らを高め合う。闘争と殺戮、その果てにある未知を永遠に知りたいが故に」

 

「────そうかよ」

 

押し黙り、沈黙するシュウジ改め蒼のカリスマにカーリーは失望し、溜め息を溢した。神を消滅させたと言うからどんな怪物かと思えば、これでは単なる甘いお人好しではないか。

 

自分が求めていたモノとは違う。蒼のカリスマに小さくはない失望を覚えたカーリーが、殺るならさっさとしろと目の前の【魔なる者】に挑発も含めて急かそうとした時。

 

「────いいだろう。そんなに見たいなら見せてやる」

 

「なに?」

 

「起きろ───グランゾン」

 

瞬間、カーリーの足元から孔が穿たれ、そこから巨大な手が出現する。硬く、大きく、そして得体の知れない手、それがカーリーを逃がさんと掴み取ると孔の奥からソレは現れた。

 

「な、なん、なんなのだ、これはぁ!?」

 

「案内人だよ。今回に限ってはな 」

 

「!?」

 

「女神カーリー、永遠の闘争と殺戮を望む者よ。喜べ、貴様の願いは漸く叶うぞ」

 

迷宮都市の港街、自然豊かなこの地に於いて一柱の魔神が顕現した。

 

 

 

 

 

 




Q,街はどうなっちゃうの!?

A,人的被害、及び建築物の損壊は一切ありませんのでご安心下さい。
但し精神的被害は被るかも?

相変わらず閃の軌跡は面白い。進める度にボッチとの絡みを妄想します。
ボッチならリィン君をどう導くのか、クロスベルには介入するのか、そもそもどのタイミングで軌跡世界に訪れるのか。

ただひとつ言えるのは、百日戦争には介入させてはいけないという事。
物語が始まる前に終わってしまいそうで(笑)


それでは次回もまた見てボッチノシ

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