『G』の異世界漂流日記   作:アゴン

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主人公、やっちまうの巻。


その16

 

 

J月@日

 

 夏休みも終わり、新学期に入って数日。高校初の長期休暇を体験した事によりここ数日は夏休み気分だった生徒達も織斑先生の指導の下修正され、学園内は夏休み前と同じいつも通りの雰囲気を取り戻していた。

 

そういう自分はというと、夏休み前と変わらず用務員として仕事に精を出し、日々IS学園に貢献している。花壇の整備やアリーナの点検、各教室の見回りや学園内のゴミ拾いなどを繰り返して行っている。

 

端から見れば当たり障りの無い詰まらない仕事だと思われるが、これが意外とそうでもない。花壇の整備をしていると花や植物の知識も豊富になってくるし、土に紛れて珍しい昆虫も見つけたりする。時には吐き気を催す害虫が出てきたりもするが……その時は無心となって駆除をしている。

 

他にもアリーナの整備をしている時、放課後は他の生徒達もこのアリーナを使用して日夜IS操縦の訓練に励んでいるから、自分にとってアリーナ整備は連日特等室で観戦している様なモノ、ただでISの試合を見ているのだから、アリーナの整備位どうって事無い。

 

……こんな事をいうと、十蔵さんから苦笑いで叱られるんだけどね。仕事に差し支えしない程度にしてくれって。勿論そのつもりだし、大抵は仕事を終わらせて観戦しているので、そこらに辺に抜かりはない。

 

ゴミ拾いに至っては……まぁ、特に語る事はないので割愛しよう。普通に埃とかゴミを拾って捨てるだけだし。……まぁ、時折外から工作員(粗大ゴミ)が夜中に紛れ込んで来る時があるけれど、あれって何なんだろ? 一応その時は後ろから不意打ちして気絶させてからワームホールで太平洋のど真ん中にポイしてるけど……アレ? これ立派な環境破壊じゃね? もしかして俺、やっちゃった?

 

 ……まぁともあれ、そんな訳で自分もこの学園で用務員として日々を満喫している。二学期には学園祭とか色々なイベントが目白押しだし、今年の一年生には修学旅行が控えている。

 

修学旅行には流石に同行出来ないだろうが、学園祭の時は手の足りないクラスに自分達用務員がある程度手伝いをする事になっている為、自分的にはそちらの方が楽しみである。

 

自分が高校の頃は大した出し物が出来ず悔しい思いをしたから、これを機にリベンジをしたいと思う。そう意気込んでいると……何故か簪ちゃんから釘をさされてしまった。

 

解せぬ。……そもそも、簪ちゃんは自分の何に対して自重しろと言うのだろうか? そこら辺がいまいち分からない。

 

 

 

J月V日

 

 最近、例の生徒会長が一夏君にちょっかいを出しているようだ。簪ちゃんの話によるとどうやら一夏君のIS指導者として生徒会長自ら動く事になり、一夏君を鍛えるらしいのだ。しかも本人の承諾もなしに勝手に決めたという。

 

何とも強引な話だと思うが、一夏君の立場を考えれば強ち間違いな話ではないのも事実。一夏君はこの世界で唯一の男性IS適性者だ。織斑先生(ブリュンヒルデ)の弟という事も相まって、その価値は絶大。人道から外れた者ならばISの解明の為、どんな手を尽くしても手に入れたい“代物”に見えるだろう。

 

卒業後も一夏君の安全は完全に無事だと言う事は保証できない。その為に白式という専用機を与えられたのだが、如何せん一夏君はほんの数ヶ月前までISの事は全く知らないド素人だ。

 

それでも彼の成長は著しいのだが、どうやら生徒会長としては物足りないらしい。あまり強引な手段を取らないといいのだが、この学園には何人か曲者がいるからなぁ、前の二年の薫子ちゃんも強引なインタビューもしていたし……自分よりも彼女達の方が自重すべきではないだろうか。

 

織斑先生も生徒会長には手を焼いているらしいし、もし一夏君が本気で嫌がる様なのであれば自分も何らかの手立てを考えた方がいいのかもしれない。

 

 ……ところで、簪ちゃんっていつからお姉ちゃんと仲直り出来たのだろうか? そんな疑問に対し、生徒会の先輩から聞いたとあっけらかんと答えた。

 

相変わらずお姉さんの事になると態度が変わるが……まぁ、此方の方は時間が何とかしてくれるだろう。

 

………なるよね?

 

 

 

J月D日

 

 今日は嬉しい事があったので報告させて頂く。先日言ったISの技術資格の話、あれ以降話題に出す必要はないと思い、これまで書いてこなかったが、記念という事で書かせて貰う。

 

夏休みの前日からコツコツと続けていた資格試験、用務員の仕事と箒ちゃんの特訓の合間の僅かな時間で行ってきたこの試験、ここまで至るのに長く険しい道のりだったが、遂に、合格という形で幕を降ろす事となった。

 

いやー、良かったよ。一応全ての問題に対して答える事は出来たけど、ケアレスミスが無いか不安で仕方がなかったんだよね。こういう緊張感って高校の受験の時以来だから、受ける方は半端なく緊張するんだよね。

 

 ここIS学園では生徒もこういった試験資格を受けられるシステムを導入しており、在学中に幾つもの資格を受けられるのだとか。

 

卒業後、生徒達が就職活動する際に有利になるよう学園が取り計らった制度らしいが、まさか用務員である自分まで受けられるとは思わなかった。この事を教えてくれた十蔵さんには本当に頭が上がらない。

 

因みに、自分が取った資格は“総合IS管理資格”簡単に言えばISの整備、点検、制作、運営、その他諸々とISに関する全ての資格を一つにまとめたのがこの資格だ。

 

他にも整備だけのものとか、点検だけのものとか、項目毎に複数に分けられた資格があるのだが、この資格があればIS委員会からコアの所有優先権が進呈されるとあったので、ホイホイとこの資格を選んでしまったのだ。

 

その為に試験は連日行われ、思わぬ事態に内心焦ってしまったのだが、結果として一発合格出来たので良かった事にする。織斑先生や山田先生、十蔵さんも自分の合格に喜んでくれたし、自分的には万々歳の一日である。

 

ともあれ、これで晴れて自分もIS制作者の一員だ。今すぐ政府からコアを貰える訳ではないので、焦らず自分の想像するISを模索していこうと思う。

 

題して“ぼくがかんがえたさいきょうのあいえす”計画。バカっぽく聞こえるが、実際その通りの内容なので計画の全容は心の内にしまっておく事にする。

 

……時々、シャルロットちゃん達専用機持ちの子達のISを弄ってみたい衝動に襲われるが、ここはグッと我慢する。流石に勝手に余所のISに手を出したら国家間の問題になるからね。そこら辺はキチンと考えないと。

 

あぁ、でも早く作りたいなぁ、自分だけのIS。ここ最近自分がISを作る光景を夢に見る。ゲッターロボを作った早乙女博士、GN粒子を生み出したイオリア博士、他にも兜博士といった多元世界の博士達はこう言った気持ちを抱いたりしてたのだろうか? だとしたら、天才というのは意外と単純に出来ているのかもしれない。

 

もしかしたら、シュウ博士も……そう思うと、何だか博士達の事が少し身近に感じるような気がする。

 

 ……所で、どうして山田先生はあんなひきつった笑みを浮かべていたのだろうか? 織斑先生や十蔵さんも何だかぎこちない感じだったし、もしかしてどこか体調が悪かったのかな? だとしたら申し訳ない事をした。今度改めてお見舞いを兼ねてお礼しにいこうかな。

 

 




QISの資格ってユーキ○ン感覚で取れるの?
A取れません

Q因みに、その総合IS管理資格を持ってる人って世界にどれくらいいるの?
A五人もいません。

Qどうしてやまだせんせいたちはぐあいがわるかったの?
Aそれもしらかわしゅうじってやつのしわざだからさ。


次回も、また見てボッチノシ

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