『G』の異世界漂流日記   作:アゴン

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今年も夏イベの復刻が来ましたね。

BBちゃん? あぁ、うちの星四ルーラーにサンドバッグにされたり、マットに沈められたり、クリスマスプレゼントという名のコロニー落としに巻き込まれてましたけど?


BBちゃんマジ面白──もとい不敏。


その26

 

 

 

「やぁぁぁっ!!」

 

振り抜かれた旗、その圧倒的な膂力で奮われる棒術は押し寄せる骸骨たちを一瞬にして粉砕していく。ルーラーとして顕現されたジャンヌ=ダルク、裁定者として他サーヴァントよりも上を行く彼女のステータスはキャスターが繰り出す骸骨の軍団を全くモノともしなかった。

 

鎧袖一触、数の暴力を以て足止めしている内に次の策を画策していたキャスターだが、これではそれもままならない。衛宮士郎というお荷物に襲わせて多少なりとも行動を遅らせてはいるが……彼女を完全に止める事は出来ない。

 

「無駄ですキャスター、冬木市に張り巡された人々の魔力供給が断たれた今、貴方の力で私を仕留めることは敵いません」

 

挑発紛いの言葉、しかしそれはどうしようもなく事実だった。神明裁決による令呪発動、これによりこれ迄魔力の源にしていたキャスターは供給源である冬木の人々との繋がりを完全に断たれ、彼女の魔力の源は自前の物のみとなってしまっている。

 

魔術を大々的に行える供給源も失くなり、白兵戦に乏しいキャスターではルーラーであるジャンヌに勝てる道理はない。故にキャスターに残されている策は魔術による逃走位しか残されてはいない。

 

───しかし。

 

「剰り、人を侮るものでは無いわよ? ルーラー!」

 

キャスターにはそれでもまだ戦えるだけの余力は残されていた。確かに供給源は断たれ、令呪の力も加味されて今後街の人々から魔力を奪う事は出来ないだろう。

 

しかし、それ以上にキャスターには人々から魂という魔力を来れでもかと溜め込んでいた。死なせない程度にまでギリギリに溜め込んだ魔力量、その総量は並みのサーヴァントならば四、五体を使役できる程。

 

それだけの魔力量を誇り、且つその魔力を使いこなせるだけの腕を持つキャスターならば、魔法の真似事にまで至るのに然程苦労はない。

 

「………流石は神代の魔術師、空中浮遊程度何て事ありませんか」

 

「さて、大きな口を叩いたのだから……まさか逃げる何て事はしないでしょうねぇ? 尤も───」

 

空高く舞い上がり、広げられたキャスターのマントに浮かぶのは解読難解な幾何学模様、それは全て魔術を詠唱無しで行う特殊術式。

 

その模様が虹色に輝いた時、キャスターの周囲には幾つもの魔法陣が浮かび上がって………。

 

「逃がすつもりは此方に毛頭ないのよ!」

 

「くっ!」

 

魔法陣から放たれた閃光は二人に向けて降り注がれていく。放たれた破壊の光、魔力の奔流を前にジャンヌは士郎の前に立ち、旗を盾代わりに押し寄せる魔力の波を防ぐ。

 

柳洞寺の地を抉り、蹂躙していく。それでも魔術に対する対魔力を規格外(EX)という絶対的な耐久力を誇るジャンヌには、キャスターの魔術は僅かな損傷も与えられなかった。

 

背後にいる士郎も同様に無傷、それが面白くないのかフードの下に隠れて表情自体はハッキリと認識出来ていないが、その口元からは悔しそうに歯を食い縛る様子が見てとれた。

 

大元の魔力の供給源は断たれ、自慢の魔術も通じない。しかしキャスターはそれでも逃亡を図ろうとせず、未だジャンヌを睨み付けている。

 

「───業腹ですが認めましょう。ルーラー、私では貴女には敵わない。どうかしら? 街の人間は解放されたことだし、今回は見逃してもらえないかしら」

 

「な、何を言って………!?」

 

「裁定者である彼女の役割はあくまで聖杯戦争が正しく行われる為(・・・・・・・)の審判役に過ぎない。問題が解消された以上、私に拘る道理はない筈だと思うのだけど?」

 

「っ!?」

 

キャスターの言葉に士郎は言葉を失くしてジャンヌを見やるが、彼女の口から否定の言葉は出てこない。その沈黙はキャスターの言っていることを肯定している様で、士郎は自身の奥にある何かがギシリと悲鳴をあげた音を聞いた気がした。

 

………いや、本来ならもっと早く気付くべきだった。ルーラー、裁定者、聖杯戦争における審判役、聖杯側が用意した緊急装置でその役割は混迷していく聖杯戦争を正しく運営していく者。

 

そう、結局の所彼女もまた聖杯戦争の───ひいては魔術側の人間だ。聖杯戦争に於ける無関係な一般人を巻き込まないと言うスタンスも神秘を秘匿する為のモノであり、それは決して無関係な人間を守る為ではない。

 

無関係な人間を守る為ではなく、魔術を秘匿する為の安全装置。それがルーラーとして召喚されたサーヴァントの本質なのだとキャスターは言う。

 

そして、ジャンヌもまたその事を自覚していた、自分は無関係な無辜な人間を巻き込まない為と口にしても所詮は聖杯戦争が用意した駒の一つに過ぎないという事を、どんなに綺麗事を並べた所でキャスターの言う通り、聖杯戦争を続けさせる為の舞台装置でしか無いことはジャンヌも重々承知している。

 

───けれど。

 

「………確かに、貴女の言う通りです。キャスター、私は裁定者の立場ではありますが所詮は聖杯の導きによって召喚されたサーヴァントの一騎、審判役と銘打ってもあくまでそれは聖杯戦争の運営に携わる者というだけ、私と言う存在は聖杯戦争を正しく行うための安全装置、聖杯戦争を止める為の存在ではありません」

 

彼女の瞼に焼き付いているのは理不尽と不条理を前に傷だらけになりながらも吼える一人の青年がいて、その姿は嘗てフランスの為に立ち上がった自分と何処と無く似ていて……。

 

「───ですが、それでも私は貴女を見逃すつもりはありません。キャスター、貴女は此処で倒れなさい!」

 

そんな彼と肩を並ぶに恥ずかしくない自分で在る為に、ジャンヌは裁定者(ルーラー)としてではなく、人を守る英霊としてこの戦争に参加することを決意した。

 

「ルーラー!」

 

「………正気? 貴女はあくまで聖杯が喚んだ安全装置、ただの装置でしかない貴女が聖杯戦争に介入すると言うの?」

 

「確かに私はその為に喚ばれたサーヴァントです。ですがその範疇は全て私自身に委ねられています。仮に此処で私が聖杯戦争に参加する事を宣誓しても誰も気には止めないでしょう」

 

「呆れた。嘗ては聖女と呼ばれた女がここまで強情だったとは……流石に予想外だわ」

 

聖杯戦争の安全装置、しかしその解釈はジャンヌ自身に委ねられている。聖杯に懸ける望みがない故に召喚された聖女、しかしその強引な解釈にはキャスターも予想できなかったのか、フードの奥で呆れに満ちた溜め息を溢す。

 

しかし、その口元はすぐに喜悦に歪むのを士郎は見逃さなかった。ジャンヌはキャスターを逃がすつもりはない、なのに何故嗤っていられるのか、何か奥の手を隠しているのではと、それとなくジャンヌに伝えようとするが……。

 

「なら、其処にいる小僧共々消えなさい!」

 

視界一杯に広がる光に士郎の言葉は阻まれる。押し寄せる熱気と衝撃、その熱量から人一人など簡単に消し炭にできる偉力を秘めていることは素人魔術師の士郎にも容易く理解できた。

 

しかし、その魔力を受けてもジャンヌの鉄壁とも言える守りを抜くことは出来ない。このままキャスターの魔力が切れるまで耐えきるか、それとも何か手立てを考えるべきか、魔力の閃光を受けながらも思案するジャンヌが次に目にしたのは───。

 

「これで、終わりよ!」

 

短剣を片手にジャンヌの間合へ踏み込むキャスターの姿だった。

 

(キャスターが白兵戦を!?)

 

迸る魔力の光線を盾に突っ込んで来るキャスターに最初こそは驚いたが、先にも述べた通り大半のキャスターは接近戦を得意とはしていない。旗を独特の棒術で振り回し、骸骨兵士を軒並み吹き飛ばすジャンヌに対してキャスターの特攻紛いの攻撃は一見悪手にしか見えなかった。

 

しかし、士郎の見解は異なっていた。キャスターの手にしている短剣、それの真価を見た士郎は二人の戦いに巻き込まれるのを覚悟の上で叫ぶ。

 

「ダメだルーラー! その剣に触れちゃ───」

 

だがもう遅い。士郎の叫びよりも早くキャスターの短剣はルーラーの胸元に突き立てられ───。

 

「な、なに!? きゃぁぁぁぁっ!?」

 

突如、山門を吹き飛ばして襲ってくる凄まじい突風に煽られ、キャスターの身体は錐揉み回転をしながら空高く強制的に舞い上がる。

 

突き抜けた突風はキャスターを吹き飛ばしただけには留まらず、その先にある柳洞寺の本堂の半分を粉砕し、辺りを蹂躙していく。

 

「い、今のは!?」

 

「まさか、修司君!?」

 

まるで巨大トラックに轢かれた様に空高く舞うキャスター、ギュルギュルと畝りを上げて回転しながら舞い上がる彼女に唖然としながらも二人は突風のあった方へ視線を向けると……。

 

「ジャンヌさん、士郎、無事か!?」

 

上半身を露にした血塗れ姿の修司が山門の方から二人の所へ走りよってきた。

 

「修司く───」

 

「修司お前、ボロボロじゃないか!」

 

友人の痛ましい姿に士郎は無意識にジャンヌの言葉を遮って心配の声を上げる。

 

「ハハハ、まぁな。流石に簡単な相手じゃなかったけど……何とかなったよ。傷の方も大した事じゃない。派手に見えるけどどれも浅いし、血も止まってるからさ」

 

「そういう問題じゃないだろう! 早く手当てをしないと……!」

 

「あぁ、それはあとで頼む。でも今は……」

 

士郎から一旦視線を外し、柳洞寺の方へ視線を向ける。其処には物理的に平衡感覚を狂わせられたキャスターがプルプルと身体を奮わせながら立ち上がろうとしていた。先程の突風が余程堪えたのか、体勢を整えながらも彼女の身体はフラフラと揺らめいている。

 

 

 

「ば、バカな。お前はアサシンが相手にしていた筈、なのに何故生きている!?」

 

「何故も何も、俺はこうして生きて此処に立っている。お前も歴戦の英霊だったのなら、それだけで色々察せるんじゃないのか?」

 

キャスターの怒声の問い掛けを修司は至って平静に応えるがそれの意味を理解した途端、士郎、ジャンヌ、キャスターの三人は目を見開いて言葉を失っていた。

 

現代の魔術師 では、サーヴァントには敵わない。令呪という縛りとマスターと使い魔という主従関係であっても、戦いに於いて現代の魔術師ではサーヴァントに勝てないというのは常識であり、不可能とされてきた。

 

しかし、その常識を目の前の少年は覆した。傷だらけになりながらも五体満足で、マスターでもなければ魔術師ですらない唯の人間がその運命(常識)を覆したのだ。

 

「バカな、唯の人間がサーヴァントに勝てるわけ───」

 

信じられない。神代の英霊であるキャスターにとって神秘の力は絶対、魔術の力が如何に強力か熟知しているが故に、修司の成し遂げた偉業が信じられずにいた。

 

しかし、どんなに疑っても目の前の男が消える訳ではない。全身が傷だらけになってもそれでもまだ戦える余力がありそうだし、何よりそろそろセイバーが合流してきても可笑しくない時間帯だ。

 

冬木市の人々からの魔力供給も途絶え、相手が更に増えてしまえば今まで魔力を溜め込んでいたキャスターでも手に終えなくなる。故に彼女は即座に自身の逃亡を画策しようと───。

 

「気を付けてください修司君、彼女はコルキスの王女メディア。魔術師としての実力は神代クラスの実力者、迂闊に近付くのは危険です」

 

「こ、コルキスの王女? それってまさか───魔女っ子メディアちゃん!?

 

盛大にスッ転んだ。

 

「ブフッ!」

 

友人からのまさかの一言に吹き出す士郎、ジャンヌも思いもしない修司の台詞に意を突かれ吹き出しそうになるが、聖女としての鋼メンタルでどうにか堪える。

 

当の本人たるキャスターは先程とは違う意味でプルプルしていた。

 

「し、修司君? 魔女っ子メディアちゃんとは一体?」

 

「一昔に流行ったテレビアニメだよ、王様………俺の保護者が戯れといって作ったアニメ制作会社による作品何だけど、見た目と内容のエグさによるギャップとの面白さに当時は深夜枠な番組だったのにも関わらず結構な人気作だったんだ」

 

「………あ、あー、なんかそんなアニメが昔あったなぁ、藤ねえが嵌まってた気がする」

 

当時の事を思い出しながらそんな事を話し出す二人、まさかアニメにも出てきた有名な英霊が冬木に顕れた事に死闘の後なのに少なからずテンションが上がる修司だが、目の前のフードを被った女性を見て不思議そうに首を傾げている。

 

「………でも、やっぱ創作モノなんだよなぁ。魔女っ子メディアちゃんの方は年若い女の子だけど、あのキャスターはなんと言うか───うん、違うな」

 

特に見た目の若さとか。とは決して口にはしない。喩え女性に対する機微の疎い修司でもそれを口にしたらどうなるか位は理解している。ただ、幾ら誤魔化しても既に手遅れなのは間違いなくて。

 

「ぶっ殺す」

 

自分の最も触れたくなかった部分を盛大に踏み抜いた修司に対して燃え上がるほどの殺意を抱くのは当然の帰結であった。

 

「あ、あれ? もしかして俺、やっちゃった?」

 

「修司君、私ちょっとガッカリしてます」

 

ジト目で睨んでくるジャンヌに修司は見ないように流しつつ、殺意と共に魔力を漲らせるキャスターに拳を構える。

 

このまま第二ラウンド突入か? ジャンヌも旗を握り締め、士郎もいつでも動けるように身構えていると。

 

「士郎、無事ですか!?」

 

漸く到着した騎士の少女が崩壊した山門を通って現れた。

 

「……チッ、セイバーが到着した以上、ここに留まるのは危険ね。ここは撤退させて貰うわ」

 

「逃げるのですかキャスター!」

 

「当然、戦力的撤退は兵法の基本。バーサーカーの様な脳筋とは違うのよ!」

 

「負けると分かれば即座に撤退、この潔さ………やっぱり魔女っ子メディアちゃんなのか?」

 

「修司君、ちょっと黙って」

 

セイバー、ルーラー、そしてサーヴァントを退ける規格外の一般人こと白河修司。この三人を前に正面から戦うほどキャスターは愚かではない。形勢が覆られぬなら、即座に撤退を選ぶキャスターだが。

 

「───そこの小坊主、白河修司と言ったわね?」

 

「え? あ、はい」

 

「アンタだけは絶対に許さない! 私を辱しめた屈辱、いつか絶対に倍にして返してやるんだから!」

 

目尻に涙を浮かばせながらそう吐き捨て、空を舞い上がって夜空に溶ける様に姿を消すキャスター、その必死な剣幕から追撃すら躊躇したセイバーは修司達に向かって訊ねる。

 

「い、一体、何があったのです?」

 

「い、いやーハハハ」

 

「嘗てのミーハー精神が疼いたと言いますか」

 

まさかキャスターが涙を浮かべる程の屈辱を受けるとは思いもしなかった修司と士郎はセイバーの問いに苦笑いで答えるしかなかった。

 

魔女っメディアちゃん、嘗ての自身の伝説がテレビアニメとして新たに作られていると知ったときのキャスターの心労は計り知れない。敵同士であるにも関わらず、ジャンヌは少し彼女に同情した。

 

「う、ぐ、あたたた。急に身体に痛みが」

 

「緊張が解けた影響でしょう。今日は此処までにして一度引きましょう」

 

「そうだな。修司、俺の家に寄ってけ。先ずは傷の手当てをしないと」

 

「あぁ、悪い。迷惑を懸けるな」

 

「バカ、其処はお互い様だろう。………俺も、助かったよ、ありがとな」

 

「そ、それなら私が彼を担ぎましょう。正直状況はあまり理解出来ていませんが、シュウジが一番危険を犯した事は何となく理解出来ます。と言うかさせて下さい、このまま傍観を続けたら私は役立たずのレッテルが張られてしまう」

 

アサシンは退け、キャスターは逃げた。士郎も助けたし、冬木に住まう人々もキャスターによる呪縛から解放された。端目から見ても充分すぎる戦果だ。修司の怪我を治すため柳洞寺を後にしようとする修司達だが……。

 

「っ!」

 

ふと、背中に悪寒を感じた。振り返っても其処に何か在るわけでもないのだが、何故か修司はそれが嫌な予感に思えた。

 

「修司、どうした?」

 

「い、いや何でもない。急に寒気がしたもんだから………」

 

「そりゃその格好なら寒気もするだろうさ! セイバー、ルーラー、早く行こう。俺の家で修司の手当てしないと」

 

「了解です。さ、シュウジ、私の背中に乗って下さい。大丈夫、貴方の安全は私が保証します」

 

「自分より背の低い女子におんぶしてもらうとか、背徳感と罪悪感がヤバイのですが?」

 

「なら私にします?」

 

「……し、士郎」

 

「諦めてくれ」

 

上半身裸である今の自分では寒気を感じるのも当然かと納得し、気の所為だと自分の中で流すことにした。

 

「あっ、士郎。そこの階段に俺の上着が落ちてるから悪いけど取ってくれ」

 

「分かった」

 

「それとセイバーさん、 大丈夫? 俺重くない?」

 

「平気です。寧ろ此れくらいしかする事のないのが情けなく思うくらいです。まさかアサシンを倒すとは、私は貴方を見くびっていた様です」

 

そんなやり取りをしながら柳洞寺を後にする四人、夜の冬木を走っていく。

 

 

 

 

「修司め、よもやキャスターを逃がすとはな。詰めが甘い奴よ。……まぁ良い。アサシンは倒した様だし“歪み”方も確認できた。今はそれで良しとしておこう」

 

その遥か上空、黄金の船に乗った英雄王はその口振りとは裏腹にその表情は上機嫌なモノだった。

 

「我が后の背中に跨がる無礼も……まぁ許そう。かの騎士王の背に乗ったとあれば、奴にとっても自慢の一つになるだろうよ」

 

「───王よ、戯れも程々に」

 

その後ろで彼が信を置く側近が戒めの言葉を送る。かの英雄王に小言を口にするのは死に値する無礼、しかし当の英雄王はその臣下の言葉すら笑って受け入れて……。

 

「フハハハ、確かに少し口が回ったわ。しかしこれも王による余興よ、笑って流せよシドゥリ」

 

「───しかし驚きです。まさか本当に修司様がかの英霊を相手に勝利を納めるとは……王の慧眼を疑うわけではありませんが、それにしても剰りにも」

 

「度が過ぎていると? 違うなシドゥリ、奴の飛躍は此処で終わるのではない。寧ろ逆よ、奴の成長───否、【シンカ】は此処より始まるのだ」

 

「シンカ……ですか?」

 

シンカ。進化ではなく、全く別の意味合いとして聞こえてくるその言葉にシドゥリは不思議そうに首を傾げる。

 

「然り、奴のシンカ…それが一体世界に何を齎すのか、今から楽しみで仕方がないわ。フハハハ、フハハハハハ!!」

 

冬木の遥か高い夜の空にて黄金の王の笑い声が響いていく。

 

 

 

 




Q.AUOはいつ出てくるの?

A.そろそろ出てくるかも。具体的にはまだ秘密(笑)

Q.セイバーはアサシンを見てないの?

A.セイバー「わ、私が来る頃には既に何もありませんでした(震え声)」




if修司のいるカルデアWithマイルーム。

キャスター(メディア)の場合。

「白河修司ねぇ? 彼、私と面識あるみたいだけど、私はそんな記憶がないから対応に困るのよねぇ」

「なんか、私を見る度に申し訳なく合掌してくるし、ホント何なのかしら?」

「……何よ黒髭、私に何か用? え?サイン? 何でいきなり?」

「はぁ、 これに書けばいいの? ………魔女っ子メディアちゃん!? な、なによこれーー!?」



BBの場合。

「はぁーい! 皆大好きBBちゃんですよー! さて、今回は私の分身であるリップやメルトにフルボッコされた白河修司さんにお話を聞きに来ておりますー!」

「さてさて白河さーん、女の子に無駄に泣かされた気分はどうですかー? 悔しかったですかー? 悔しかったでちゅかー? 可哀想にー、そんな白河さんにはBBちゃんからの弄られる権利を贈呈しまーす! 拒否権はありませーん♪」

「……ちょっとー、流石に無視は無いんじゃないですか? あんまり調子に乗ってると、自慢の魔神さんをハックしちゃいますよー?」

「…………え? そうやって相手にマウント取らないと会話一つ出来ないのか? ですって? その癖一度でも逆転されるとあわてふためくのはなんなんだ? ですか?」

「な、中々調子に乗ってくれちゃってますね? 良いですよ、ならお望み道理にして───その癖格下相手に少しでも言い負かされると向きになるところが三下っぽい? 黒幕気取りたいなら、モリアーティ教授に弟子入りしてこい?」

「あ、ごめーん、基本的に人間を見下しているスーパーAIちゃん(笑)には出来ないねー。 ゴメンネゴメンネーですってェェェェ?」

「う、うわぁぁぁぁん! 女の子相手に正論で虐めるなんて鬼畜! 鬼! 悪魔!! 白河さんの正論のDV男ーー!」





「……あ、今回は泣き崩れてない」

「でも何か凄い罪悪感を感じてそうな顔してるんだけど………」

「基本的に人が良いからな修司さん」



それでは次回もまた見てボッチノシ

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