『G』の異世界漂流日記   作:アゴン

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今回に限りあるキャラクターが著しく崩壊しています。

このような事は今回だけ(多分)ですので、どうかご了承ください。



その2

 

 

α月※日

 

 王様の命令に従い、カルデアなる施設に向かおうとすぐに行動に移した自分は、先ずは自宅で簡単な荷物を纏めることから始めた。

 

カルデアという施設がどういう所かは分からないが、王様から渡された資料によるとどうやら一度イギリスに向かって飛行機を乗り継ぐ必要があるみたいなので、取り敢えず必要最低限のモノだけを用意する事にした。主に下着関係で。連絡用の携帯も持ち込み、メモ帳と筆記用具、あと簡易トイレと非常食を幾つか………まぁ、大体こんなモノだろう。

 

昔だったらもっと少ないのだが、これから向かうのは魔術師が運営する施設だ。向こうも自分の事は知ってそうだし、嫌がらせをされた時の対処法も今の内に考えた方がいいだろう。まぁ、自分は殴る事しか出来ないんだけどね!

 

 しかし、魔術師かぁ。こんなにも魔術というモノに触れるのは聖杯戦争以来か。あれから数年、まだまだ未熟な自分だけれど、それでもあの頃よりは遥かに強くなったと思う。“気”の扱いも上達したお陰で“あの技”に対する耐久力もだいぶ底上げされた。今の自分なら大抵の異常事態(イレギュラー)に対応出来る………筈、だといいなぁ。尤も、聖杯戦争の終盤の大空洞で見せたあの状態には未だなれないのが残念ではあるけれど。

 

 兎に角、非常に不本意な話だが、あの聖杯戦争を経て自分は結構強くなれた。けれど、それは別に自分に限った話ではない。士郎や遠坂、慎二だってあの経験を経てそれぞれ自分なりの成長を遂げている。

 

 士郎はなんか固有結界?ていう凄い便利な魔術を扱えるようになった。あの結界内ではどれだけ暴れても外に被害を出さずに済むらしいし、お陰で士郎と手合わせするときはいつもあの便利空間のお世話になっている。投影魔術とやらの腕前もだいぶ上がって来たみたいだし、この間も自分の攻撃を花弁の盾みたいなものを出して防いだり受け流したりしていた。

 

ただ、一度だけの攻撃で砕かれる盾っていうのは正直どうかと思ったが、まぁ士郎の魔術は剣を作ることに特化しているみたいだし、盾を出すのは相性とかで苦手なのだと思う。得意分野だけでなく、苦手なものまで克服しようとするその姿勢は素直に好感が持てる。

 

なんて言うと士郎に絶妙に微妙な顔をされた。何故?

 

そんな士郎も今は世界を渡り歩くボランティア団体の一員として働いている。確かに世界は未だ争いの絶えない所があるし、その戦争を拡大させようとする奴等も少なからずいる。しかし、そんな奴等は近い内にあらゆる手段で黙らせる予定だし、その子供達の保護支援も直に完遂される。

 

士郎は士郎で皆と一緒に困難を乗り越える事を覚えたみたいだし、後見人の藤村先生も海外で頑張ってる士郎に満足そうにしていた。ただ一つアイツに不満があるとするならば、未だに桜ちゃんとくっついていないことだ。それどころか最近では遠坂とばかり一緒にいることが多い気がする。

 

正直、色々追求したいことはあるが、今は控えておこう。帰ったら思う存分追求して桜ちゃんとくっつけさせてやる。あの子を幸せに出来るのはアイツくらいしかいないんだから。

 

─────閑話休題。

 

 ともあれ、ここ数年で自分達は自分達なりの成長を果たすことができた。士郎も遠坂も、自分も慎二も、これからも成長するし努力を重ね続けていくことだろう。いつかまた皆が揃った時、その時は同窓会を開いてもいいかもしれない。

 

そんな訳で、そろそろ飛行機の時間だ。走っていけば余裕な時間だが、社会人である自分は十分前行動を心構えている。ジャンヌさんやあのロリっ子に関してはまた後日書き連ねる事にしよう。

 

 

 

α月β日

 

 ………船酔い。もとい、飛行機酔いをした。おかしいなぁ、これまで自分はこう言う乗り物に酔った事はないんだけど?

 

やっぱあれかな? イギリスに来たときに少し摘まんだフィッシュ&チップスが不味かったのかな。味は其処まで悪くなかったけど、安易に安いものを選んだのが駄目だったのかなぁ? 自分、食べ物には結構耐性ある方だと思ってたんだけど。

 

今は大分落ち着いたから日記を書けているけど………なんか、空港の様子が違う気がする。さっきカレンダーを見たら2015年って表示されてたし、なんか前来たときよりも内装が違っているし、俺、疲れてんのかな?

 

 いかんいかん。しっかりしなくては、こんな様では王様の命令も果たせるどころの話ではない。深呼吸をして繰り返して落ち着きを取り戻した自分は、資料にある案内人の人を探す事にした。

 

 

 

 

────探し人は直ぐに見付かった。老人で明らかに魔術師って感じの人だったけれど、普通に話をしてて面白い感じのお爺さんだった。

 

なんでもこのゼルレッチお爺さんはアルさんの後見人の人で、アルさんから色々と自分の事について話を聞いていたらしい。アルさんかぁ、あの人も中々忙しそうであまり顔を合わせていないんだよなぁ。今度会ったら自分の相棒の手に乗せて上げたいし、王様にも紹介しておきたかった。

 

今頃、何処にいるんだろうなぁ。なんて溢していると、今度会ったら伝えておくとゼルレッチお爺さんが賑やかに言ってくれた。いい人だ。やっぱ魔術師にもマトモな人っているんだなぁ。時計塔の魔術師って、なんか選民思想の強い奴が多いし、酷い時はDQNみたいな奴もいるみたいだし。

 

皆、ゼルレッチお爺さんみたいな気さくな人だったらいいのにと愚痴ったら、盛大に笑われてしまった。反省。

 

そんなこんなで乗り継ぎの所に来た自分は現在目隠しを手渡されている。なんでもカルデアのある場所は極秘の場所に設立されているらしく、目隠しは情報漏洩対策の一環だそうだ。

 

自分も会社に属しているから、情報の大事さは理解しているつもりだ。魔術師から手渡される代物に若干の抵抗はあるが、まぁゼルレッチさんも悪いことはしないと約束してくれたし、心持ちだけはしっかりするようにして、取り敢えず従うことにした。

 

 ………でも、ごめんな。自分、目隠しされてても自分が何処にいるのか、何処に向かっているのか、大抵解っちゃうんだ。

 

 

 

α月Ω日

 

 はい。そう言う訳でカルデアにやった来ました。来た最初の感想は………なんというか、清潔?

 

施設に入るまで目隠しされていたから外観は確認できていないからモニター越しでしか見ていないんだけど、なんか結構近未来的。うちの会社で作った最新鋭の設備並みに整った環境になっていました。

 

魔術師が取り仕切る施設だって言うからもっとこう、ジメジメとしたイヤな空気が渦巻く所を想像してた。なんかごめんなさい。

 

最初、カルデアに入った自分が耳にしたのは機械的な声だった。恐らくは自分が何者か、確認していたのだろう。しかし驚いた。塩基配列とか生体認識とか一瞬で解析するなんて魔術というのは結構便利なものなのかもしれない。

 

まぁ、まだまだ甘い所はあるみたいだけどな。自分を人だとちゃんと認識出来ていないのはちょっぴり減点だ。いや、別に負け惜しみじゃないからね?

 

なにが『ヒトゲノム………ヒト? ヒトとは一体……うごご』だ。ちゃんと人だわ! それ以外のなんだというのだ! お陰で後から来たスタッフから色々言われたり、此処まで送り届けてくれたゼルレッチさんに笑われたりしてホントに散々だった。

 

 ともあれ、無事にカルデアまで辿り着いた自分はゼルレッチさんに別れを済ませて本当の意味でこの施設に入居する事となった。お爺さんと別れる際に誰と喋ってたの? とスタッフの人から聞かれたけど、まぁあのゼルレッチさんは王様が認めるだけあって凄腕の魔術師っぽいし、他の人に見つかる前に姿を消すくらい造作も無いんだろう。

 

そこから施設の案内人の人に付いていって数分、カルデアと言うのは随分と大規模な施設なんだなと呑気に感心していると、所長室なる部屋へと通された。

 

そこに待っていたのは銀髪の女の子、オルガマリー=アニムスフィアだった。当初、カルデアの統率者はマリスビリーという男性だったのではないのかと疑問視したが、なんか深い事情がありそうだったので口にするのは止めておいた。

 

向こうも自分に何か違和感を感じていたみたいだけど……頭を振って姿勢を正した。

 

 そして、そこでオルガマリーちゃんから一通り話を聞いたのだが、二年後の2017年に人類が滅びるからその時に備えて力を貸せ、というものだった。

 

………いやね。もうね、この時点で思考が停止したわ。二年後?  2017年? 今って200X年じゃなかったの? 人類が滅びる? 頭に浮かぶのは疑問ばかり、呆然とする俺をオルガマリーちゃんは怪しんでいたが、取り敢えずここはグッと堪えて話を聞くことに集中した。

 

端的に言えば、近い内に人類が滅びるからこのカルデアでのレイシフトなるタイムマシンで時間を逆行し、原因となる特異点を修復をするとか、そんな話だった。取り敢えず体面だけは何とか平静を保てた俺は了解したと頷いておいた。

 

そんな自分の態度に何か気に障ったのか、オルガマリーちゃんは終始自分を睨み付け、その後、聞き捨てならない事を口にした。

 

『余裕そうね? 流石は英雄王の臣下ね。この程度の試練はなんて事ないわけか』

 

『でも、幾らあなたが凄くてもここはカルデア、魔術師である私達には逆立ちしたって敵わないんだから!』

 

『ちょっと、聞いてるの!? 宇宙開発技術部門統括様!?』

 

 その役職名はまだ自分のモノではない。今の自分は会社での生活に馴れる為、下請けや現場で働く人達の気持ちを理解できるよう謂わば社会の修行時代の真っ只中にいる。

 

その役割は今から数年後、俺が真に王様から認めてもらった暁に用意されている重要な責任のある役者だ。今はまだ自分には荷が重いと敬遠もしていた役職名、シドゥリさんも知らないそれを何故彼女が知っているのか、愕然としながらも問い詰める自分にオルガマリーちゃんはしどろもどろになりながら続けた。

 

『な、何よ。貴方の事なんてそこら辺の子供だって知っているわよ! 魔術も知らない素人が聖杯戦争じゃないにも関わらず独学でサーヴァントを召喚し、英雄王を呼び出した稀代の怪物! 魔術世界に於いて貴方を知らない奴はいないわよ!』

 

 『何よこれ! 自慢のつもり!?』 そう吐き捨てる彼女に俺は何も言えなくなった。その後は用意された部屋で待機する事になり、今はある程度落ち着きを取り戻したので取り敢えずこれ迄得た情報を纏めることにした。

 

1.ここは2015年。自分がいた時代とはX年も後の世界。イギリスの空港で見たカレンダーは間違いじゃなかった。

 

2.ここでは自分は宇宙開発技術部門統括となっている自分のいた頃はそんな役職をまだ拝命していない。今の自分はまだ、ただの平社員の筈だ。

 

3.自分が聖杯戦争関係無しに王様を召喚している。聖杯の有無など関係無しにサーヴァントを召喚出来るのかは不明だが、ここでは自分が王様を召喚したとされている。

 

 以上の事から推測すると、非常に信じられないことだが………自分は恐らく、並行世界に渡ってしまったようだ。

 

しかもただの並行世界じゃない。未来の並行世界だ。最初こそは何かのドッキリか魔術師達の質の悪い精神攻撃の類いかと考えたが、何度考えてもこの結論が一番しっくりとしてしまうのだ。

 

確かに自分は魔術師とは折り合いが悪い。いっそ敬遠してるし、なんなら嫌悪すらしている。だからこれは魔術師の仕業だと断じたい所だが、生憎とそうはならなかった。

 

この施設にはネットワークも完備しているので少し調べたのだが、どうもオルガマリーちゃんが言っている事に嘘はなく、検索して映し出された画像には今よりも少しばかり成長した自分自身がいたからだ。その傍らには見慣れた黄金の王の姿も確認されている。

 

世間では自分の後見人という情報しか載せられていないから、恐らく一般の人には王様が本物のウルクの英雄王だとは知られていないのだろ。その点は元いた世界と同じだ。

 

 それから暫くして調べていたが、やはりオルガマリーちゃんのいう通りだった。何もかもが彼女の言った通りで、何一つ間違ってはいなかった。ここの施設には自分のような魔術師でない人間も多少なりともいるらしい、後日改めて話を聞いてハッキリした時はこの疑問が決定的なモノに変わる事だろう。

 

………いや、もうなっている。これだけ完備された施設なのだから、その技術力の高さからこれが未来による科学技術も導入されていると思えば納得がいく。

 

 問題は、どうして自分は未来の並行世界に跳ばされる事になったのだろう。いや、恐らく王様はこうなる事も予見した上で自分をこのカルデアに送り出したのかも知れない。そうなると、あのゼルレッチさんも王様とグルだったのかと思うと、何だか色々と辻褄が合う気がする。

 

そう言えば、乗り物酔いになった時も懐にお守り代わりにと閉まっておいた万華鏡が一瞬光った気がするし、万華鏡を手渡してきた時も王様はそれっぽいこと言ってた気がする。………うわ、こうして改めて思い返すと色々と伏線があったんじゃん!

 

………こうして文字として感情を書き殴れるのは色々と助かるな。お陰で考えも纏まったし、気持ちも前向きになった。それに、俺は王様から言われた筈だ。如何なる時も自分のするべき事を見失わず、己に出来ることを全力で尽くせと。

 

未来の並行世界に跳ばされるという嘗てない状況に少しナーバスになったが、こうなったら逆に気持ちも固まったというもの、取り敢えず今後の自分の方針は決まった。未来に待つ脅威とやらを打ち克つ為に頑張るぞー!

 

 

 

α月Γ日

 

 今日は色々あった。朝起きて備え付けのシャワーを浴びて、持ってきておいた服に袖を通すと、オルガマリーちゃんから呼び出しを受けた。丁度良いから昨日について謝っておこうと思い急ぎ足で所長室に向かうと、其処には数人の男女が待っていた。

 

何でも彼等はAチームと呼ばれるここカルデアの精鋭で、今日は彼等との顔合わせらしい。何でワザワザ自分なのだろうと疑問に思っていると、オルガマリーちゃんから説明がされた。

 

なんと、自分もこのAチームとやらに配属される事になったらしいのだ。理由は不明だが、オルガマリーちゃんが言うには自分ならAチームでも上手くやっていけるから、だとか。そういう割には不服そうな顔していたけど……まぁ、今はいいか。

 

取り敢えず自己紹介を受けると、カドック君はやや暗そうな印象な男子でオフェリアちゃんは眼帯を付けている所以外見た目は普通な女の子、ぺぺさんは……うん、いい人っぽい。

 

そして芥ヒナコさん。嘗ての知り合いがカルデアにいたことに驚いたが、この世界では初対面の筈なのでその平静を装いつつ彼女の自己紹介の時は黙っていた。ただ、向こうは何やら落ち着かない様子だったので、もしかしたらこの世界でも自分の事は知っているかもしれない。

 

そして次のデイビット君とベリル君なのだが………この二人は良く分からなかったデイビット君は純粋に寡黙な人っぽいけど、ベリル君は………うん。表面上は軟派な人かなと思うけど所々皮肉屋みたいな所があるし、時折殺気の様なモノを見せる時がある。

 

彼を見て此処にいるのが全員凄腕の魔術なのだと思い知る。今は共に戦う仲間だから気にしないけど、もしかしたら彼にだけは簡単に背中を見せてはいけないのかも知れない。

 

そして最後にキリシュタリア君だが、彼の第一印象はザ・魔術師でザ・貴族みたいな印象だった。凄い派手な衣装だし、金髪で髪長い。生まれる時代を間違えたんじゃないかっていう位気品ある人物だった。

 

 名乗られたから名乗り返し、その後は親睦を深めようと自分達はラウンジへ向かった。本当はオルガマリーちゃんに謝りたかったが、今日も機嫌が悪そうだったので後日に改めることにした。

 

その後、ラウンジにて改めて自己紹介をした後、ぺぺさんから色々と質問攻めにあった。一体どんな仕事をしているのか、何を趣味にしているのか、今後宇宙開発はどうなるのか、それっぽいことを矢継ぎ早に捲し立てられた。

 

 何て言うか、気を遣ってくれているなぁと思った。最初はなんだこのカマ野郎と思ったけど、今は素直に土下座出来そうな位にいい人なぺぺさん。取り敢えず仕事関係は秘匿義務があるとやんわりと断り、趣味やこれからの活動については自分の願望もあった為、結構話した。

 

ただ、途中でカドック君から振られた『アンタは一体何が出来る』という質問に答えてからは、場が一転して白けてしまった。カドック君からは溜め息吐かれて呆れられたし、ベリル君は皮肉気味に笑われた。デイビット君とオフェリアちゃんは興味ないのか退席し、フォローしてくれたぺぺさんも若干引いていた。ヒナコさん? 自己紹介した後そそくさと自室に戻っていきましたが? 唯一最後まで話しを聞いてくれたのはキリシュタリア君だけだよ畜生。

 

 最初の自己紹介に大コケしてしまった自分もまた大人しく自室に帰る事にした。今日は顔合わせという事でさほど予定はなく、暇だからカルデア内を彷徨いていると、一匹の珍しい小動物を見かけた。

 

フォウと可愛らしい鳴き声を発するその小動物は此方を見るとチベットスナギツネみたいな顔をし、自分も一瞬驚いた。しかしすぐに元の可愛らしい顔付きになると、その場にジッと見つめてくる。もしかして触ってもいいのかもと思い近付けば、コロンと寝っ転がりお腹を見せてくる。

 

触ってみればフカフカで暖かい感触、ここへ来て初めて体験する小動物の感触を一通り堪能し、その後はそのまま部屋へと戻ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーあ、しくったなぁ」

 

 自室に戻り一人ごちる修司は備え付けのベッドに横たわり、天井を見ながら先程の自分とAチームのやり取りを思い返す。

 

別に自分が嘘を吐いた訳ではないが、彼等にはそうは思われなかったらしい。カドックからは『ふざけてるならとっととこの件から降りろ』と怒られ、ベリルからは『流石は、有名人はユーモアも違う』と皮肉を込められて一蹴された。デイビットは特に何も言わず、オフェリアも何か語ることは無かったが、最後に見せた彼女の目は失意と呆れに満ちていた。

 

芥ヒナコについては結局一言も言葉を交わさないまま終わってしまった。唯一の癒しだったペペロンチーノは気にしないでとフォローしたくれたが、修司の心はいたく凹んでしまった。

 

 部屋に戻る際に出会った小動物に幾分か癒してもらったが、それでも心の凹みはそう簡単に治りはしない。

 

(どうしよう王様、俺、早速凹みそうだよぉ)

 

知らぬわたわけ! 何て王の罵倒が聞こえた気がして仕方なくやる気を取り戻そうとベッドから起き上がり………ふと、部屋の外から人の気配が感じた。

 

誰だろう? 不思議に思う修司が立ち上がると同時に呼び出しの時とは違う音が鳴る。どうやらこれがインターホンの音のようだ。

 

不思議に思いながらも扉を開けると、そこには………。

 

「ごきげんよう。白河修司、さっきぶりだが君に聞きたいことがある」

 

「えっと………キリシュタリア………君?」

 

「先程聞いた君の話。実に興味深い、是非続きを聞かせてはくれないか?」

 

その口振り、その口調、その振る舞い。その全てが凛としており、その風格はまさに勝利者のソレ。

 

 

────しかし。

 

 

 

 《掴もうぜ! ドラゴン⚪ール!》というロゴの入ったTシャツを着て目をこれでもかと輝かせているその姿はどうしようもなく彼のキャラを崩壊させていて。

 

その手にはガンプラの箱が幾つか抱えられていた。

 

………いや、なにしてんねんお前。

 

 

 

 

 

 




キリシュタリアファンの皆様すみません。
自分の中の彼の印象がこうなってしまったので、このような形となってしまいました。

次回からは格好いいキリシュタリア様を掛けるように(可能な限り)努力しますので、どうかご理解の方宜しくお願いします。



Q.どうしてボッチがAチームなの?
A.宝石翁の根回し。




Q.ボッチと士郎って、どれくらい差があるの?

A.

エミヤ「────ついてこれるか?」

士郎「ついてこれるか───じゃねぇ! テメェの方こそ、ついてきやがれ!」

ボッチ「お前らまだそこにいんのかよ。早くこっち来いよー!」

エミヤ&士郎「(´·ω·`)」

大体こんな感じです。


それでは次回もまた見てボッチノシ

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