『G』の異世界漂流日記   作:アゴン

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今回は少しグダってます。

申し訳ない。


その7 特異点F

 

 

 

 ────気が付けば、オルガマリーは炎の街中に一人取り残されていた。彼女の頭にあるのは突然すぎる事態にただただ疑問符を浮かべるのみ、何が起きたのか、何があったのか、混乱する思考の中で何が原因でこのような事態に陥っているのか理解できないでいると、ガラッと近くで瓦礫の崩れる音がした。

 

物陰から現れたのは一体の骸骨。亡霊の類いであるそれは明確な憎悪となってオルガマリーに襲い掛かった。

 

いきなりの強襲に戸惑いながらもオルガマリーはこれを応戦する。憤り、突然の理不尽に呪いながら自身の体に肉体強化の魔術を施して、迎撃用の魔術を使いながら炎に包まれる街中をひた走る。

 

 その途中、川沿いのある場所へ出た。開けた所だ。亡霊共は撒けた様で姿を見せないし、これで漸く一段落出来る。これ迄の経緯をまとめようと近くのベンチに腰かけようとした時、それは現れた。

 

「───おや? まだ生きている人間がいたのですか」

 

「さ、サーヴァント!?」

 

頭上から聞こえてきた声に視線を向ければ、其処には手に鎌を持った長髪の女が、舌舐めずりをしながら街灯から此方を見下ろしている。最悪なことに、オルガマリーが訪れたのは開けた安全な場所ではなく、猛獣が支配する狩場だった。

 

自分から最悪な展開へと足を踏み入れたことに激しく後悔しながらも、今は逃げることだけに専念しようとオルガマリーは再び走る。

 

 だが、相手は現代に於いて人外の力を持つサーヴァント、一介の魔術師でしかない自分が満足な準備なく撃退することは不可能に近い。同様に逃げることも儘ならない以上、オルガマリーがサーヴァントの鎌に狩られるのは時間の問題だった。

 

「誰か、誰かいないの!? レフ、レフ! 助けてよぉ!」

 

すぐ後ろにまで迫る死にオルガマリーは叫び声を上げる。その叫びにサーヴァントは喜悦に顔を歪め───。

 

「オラァ!」

 

「ぶぷ!?」

 

 突然の死角からの攻撃にサーヴァントの意識は暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「し、修司………どうして、貴方がここに?」

 

「さてな、それは俺が知りたい所だが………どうやらまだ安心していい状況ではないようだ」

 

 蹴り飛ばされ、瓦礫の中へと沈んでいくのと同時に一人の男がオルガマリーの眼前に降り立った。

 

白河修司。Aチームの一人でその並外れた膂力と不思議な力で自身を含めた魔術師達に認めさせた問題児。そんな彼が何故か上半身が裸のままで自分の前に立ってサーヴァントが吹き飛んだ瓦礫の中を油断なく睨み付けている。

 

肌を露にしている所為か、普段よりも大きく見えるその背中も相まって頼もしさを感じたオルガマリーは安堵するが、すぐに首を横に振って修司に問い詰める。

 

「あ、貴方! 今まで一体何処にいたの!? 此方がどれだけ心配したと思ってるの!? ていうか、どうして上半身が裸なのよ!?」

 

「そうは言ってもなぁ、俺も今一つ頭が付いてきてないんだよ。気付いたら空の上にいたし、下を見れば所長が追われてたからさ急いで駆け抜けたわけ、裸なのは……知らん。此処に来たらこうなってた」

 

「そんな、レイシフトの定着予定地点までズレてるの? シミュレーションでは完璧だったのに!」

 

「ま、訓練と実戦じゃ勝手が違うんだろ。今回を糧に次回からは改善していこうぜ。………それよりもアイツ、まだやるみたいだぜ?」

 

 謂われて向き直れば、瓦礫の中からサーヴァントの女が鎌を杖がわりにして立ち上がる。再び前に出てくる恐怖にオルガマリーは身をすくませるが、修司が前に出る事によってオルガマリーの恐怖は自然と薄れていく。

 

「他の皆が何処にいるのかも分からない状態だ。時間を掛ける訳にもいかねぇ、所長。良いよな?」

 

「───えぇ、頼んだわよ」

 

それはオルガマリーからの直々の命令だった。サーヴァントという超常的な存在を時間を掛けずに瞬殺せよ、そんな通常の魔術師ならば即座に逃げ出す条件を前に。

 

「了解した」

 

修司は二の句も告げずに了承した。

 

「私を瞬殺? 面白い事を言いますね。なら先ずは………その思い上がりから砕いてあげま───」

 

 それ以上、サーヴァントが語ることはなかった。体勢を整え、構えて、修司へと肉薄しようとする───よりも遥かに速く、サーヴァントの懐には既に修司が潜り込んでいたからだ。

 

「言った筈だぞ。時間は掛けられないと」

 

知覚すら出来なかった。サーヴァントの視線は修司の動きを終始見逃さなかったし、全ての挙動に対して過敏なほどに反応しかけていた。僅かでも動きを見せればすぐにその首を刈り取る為に、牙を磨いて研ぎ澄ましていたのに………。

 

「七孔噴血────悪いが、死ね」

 

衝撃がサーヴァントの体を貫いた。霊核を砕き、背後にあるタワーマンションが衝撃で拳の形に凹む。問答無用で放った絶死の一撃にサーヴァントは最期の言葉すら残さずに消滅していく……。

 

「取り敢えずこんな所か」

 

「取り敢えずって………貴方、一体今何をしたの?」

 

「ん? ああ、唯の震脚を応用した歩法だよ。ほら、今の奴って長物を獲物にしていただろう? リーチのある相手には接近戦こそが有効だろ? だから実際にそれをやったまでさ」

 

 サラリとなんて事ないように語る修司だが、それは違うとオルガマリーは内心で断じる。人は魔術無しで転移染みた動きなんて出来ないし、第一サーヴァントに対して唯の人間が接近戦を挑むこと自体が有り得ない事なのだ。

 

「兎に角今はここから離れて他に誰かいないか探そう。通信機は………俺の方は壊れてるな。て言うか消し飛んでやがる。礼装の事といい、どうなっているんだ?」

 

「て言うか、何で上半身だけなのよ」

 

何処までもツッコミ要素満載の修司に正直オルガマリーは小一時間程問い詰めたくなったが、今はそんな事をしている場合ではない。兎に角ここから離れ、他に誰かカルデアの人間がいないか探索しようとした時、その雄叫びは聞こえてきた。

 

「◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️ッ!!!」

 

「ヒッ、な、何よ今のは!?」

 

「今の声、まさか………」

 

 声のした方へ向き直れば、砂塵を巻き上げ、骸骨達を蹴散らしながら一体の黒い巨人が此方に向かって迫ってきている。

 

その圧倒的な迄の威圧感にオルガマリーは萎縮する。このまま此処で迎え撃てば彼女にまで被害が及ぶ可能性がある。周囲に他の敵対者がいないことを確認した修司はオルガマリーに許可を取り、一瞬だけその場から離れる事にした。

 

そう、一瞬だ。オルガマリーからすれば瞬きの合間に起きた不可視の行動。ピシュンッと独特な音と共にかき消えた修司、その場には陥没した地面だけを残して疾走し、修司は黒い巨人との距離を瞬く間に縮めていく。

 

「やっぱり、あの時のアイツだったか。しかし、何て様だよ。あのギリシャの大英雄がどうしたらこんな不様を晒すことになるんだ?」

 

 接敵し、最初に口にしたのは失望の声だった。此方が近付いてきたのに向こうはまるで気付いた様子はない。修司の知り得る彼ならば此方が近づく前にそこいらの標識や車を的確に投げ付けて此方の動きを妨害してくるのに、今の彼にはその様な暴虐性がまるで感じられない。

 

動きも単調、漸く此方に気付いた時は既に修司は巨人の懐の中にいた。巨人は手に持った得物で斬りかかるが………遅すぎる。

 

「俺に出来るのは、今のアンタを終わらせてやる事だけだ。………次に逢うことが会ったら、その時は勝負しようぜ」

 

あの日、聖杯戦争の存在を知る切欠となった相手、嘗ての大英雄を悼みながら修司は拳を奮い。先の鎌の女と同様に黒い巨人を一撃の下に消滅させるのだった。

 

 そして、最早追求する気力も失くなったオルガマリーに改めて合流し、辺りを調査しようと探索を始めた時、意外な人物達と合流する事になった。

 

「藤丸立香にマシュ!? どうしてアナタ達がかここに!? それに、マシュのその姿は一体………」

 

時折現れる骸骨達を適当に蹴散らしながら進むこと数分、市街地だった所に差し掛かった二人が待ったいたのは、大きな盾を携えて鎧を身に纏ったマシュ=キリエライトと、オルガマリーが追い出した筈の藤丸立香、そして小動物のフォウがいて……。

 

「………アンタは」

 

「ん? なんだ兄ちゃん、俺の事を知ってんのかい?」

 

杖を手にし、魔術師と何処か似ている格好をした嘗ての槍兵が其処にいた。

 

修司が目の前のサーヴァントらしき男を知っている。オルガマリーがその事に追求しようとした時、藤丸の手首に巻き付けられた通信機から音が鳴ると、其処からホログラム(立体映像)が表示され、その向こうには涙目のDr.ロマンが映し出されていた。

 

『しょ、所長! ご無事だったんですね! それにそっちは修司君もいる! よ、良かったぁ~! 二人とも無事だったんですねー!』

 

「ロマン? どうして貴方が所長の椅子に? レフは? レフはどうしたの!?」

 

Dr.ロマンがオルガマリーと修司の生存に喜んでいたのも束の間、自分の次に権限のある筈のレフ=ライノールが出てこない事に疑問に思ったオルガマリーが追求する。

 

何故今彼が座っているのかは定かではない。重要なのはこの場面で何故レフが出てこないのか、未だにレフへの依存から抜け出せないでいるオルガマリーに修司が複雑そうに見詰めていると……。

 

『マシュ、藤丸君、修司君、そして所長、どうか心して聞いて欲しい。僕達のカルデアは現在………崩壊の危機に瀕している』

 

Dr.ロマンから絶望的な報せが届いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────それから暫く歩いて、今はとある高校の教室で藤丸達を休ませ、現在修司は一人見張りを兼ねての巡回をしていた。

 

頭に浮かぶのは先のDr.ロマンから告げられた報告、それはその場にいる誰もが絶望の底に突き落とすには充分な威力を秘めていた。

 

カルデアの魔術師47名、並びにスタッフの大多数が謎の爆発事故により重症、危篤状態となっていると言う事、特に魔術師側の被害は甚大でどれだけ治療に専念しても僅か数名しか助からないという事実。

 

カルデアは機能の八割を失っている。残されたスタッフでは出来る事に限りがあると、Dr.ロマンは平静を保ちながら報告する。

 

そこから現在のカルデアは非常に危うい状態であると理解したオルガマリーは勢いのまま魔術師達の凍結保存の命令を下した。コフィンには有事の際人命を可能な限り延命させる為にその様な機能が搭載されていることは分かっていたが、まさかここで使うとは思っていなかった為に修司もマシュも彼女の英断に感心していた。本人はそんな大勢の命なんか背負えないと否定していた。

 

 現在カルデアは残された人員でレイシフトの修理、カルデアス、シバの現状維持に勤めている。其処までの指示を妥当のものと判断し、レイシフト修理を最優先と改めて命令を下すオルガマリーはその間この街、命名特異点Fの調査を行う事になった。

 

それ以降の通信はリソースの無駄という事で、一時通信を中断、Dr.ロマンからの気を付けてという言葉を最後に通信を閉じ、今度は藤丸立香とマシュの事について説明される事になった。

 

どうやらDr.ロマンの言う爆発とやらで中央管制室はメチャクチャになり、藤丸とDr.ロマンが駆け付けた頃には炎に包まれていたのだとか。その惨状に怯えながらマシュを探していると、瓦礫に挟まれ、血を流す彼女を発見。

 

手を繋いで欲しいという彼女の想いに応え、既に手遅れな状態にあったマシュの傍にいようと思った時、レイシフトが行われ、気付けばこの特異点Fに辿り着き、マシュ=キリエライトはデミ・サーヴァントとして覚醒していた。

 

そして髑髏のエネミーを掃討している内にキャスターと名乗る男に出会い、取り敢えず行動を共にしようという所で修司とオルガマリーが合流してきたという。

 

 その後も何故藤丸立香とマシュが契約しているのかとか、その事に憤るオルガマリーを宥めたり、この特異点の異常性やキャスターからの事情を聞いたりするのだが、其処までクールなキャラでいたキャスターが途中で出てきた修司の話題になると目を点にしたのが印象的だった。

 

その後、藤丸立香の戦いに対する心持ちや、マシュにはキャスターによる宝具のレクチャーなどのイベントが合ったりするが、修司は基本的に見守るだけだった。

 

そして現在、穂群原という学校で漸く落ち着いて休める場所に辿り着いた一行は、空いている部屋に適当に陣取り、暫しの休息をとっていた。

 

虫の声すら聞こえない夜、学校の屋上から炎に呑まれる街をただ静かに修司は見つめていた。

 

「────これが、聖杯戦争のなれの果てかよ」

 

 そう吐き捨て、拳を強く握る修司の目には怒りの色が濃く滲み出ていた。嘗ての地獄を想起させる光景に加え、通信で聞かされたDr.ロマンの報告。再起不能となった魔術師達の名簿の中にはAチーム全員の名前もあり、最後にペペとの会話を思い出した修司は悔しさと悲しさ、何より怒りでどうにかなりそうだった。

 

───だけど、何時までも後悔ばかりしてはいられない。マシュも藤丸も戦いには未だに不馴れな状態だ。オルガマリーも表向きは気丈に振る舞っているが、それもいつまで続くか分からない以上、年齢的に一番踏ん張らなければならないのは自分だ。

 

(気持ちを切り替えろ、白河修司。ここで彼女達に怪我なんて負わせたら、それこそAチーム()に笑われるだろうが)

 

気持ちを変えて己を鼓舞する。そうする事で自身の落ち着きを取り戻した修司は握りしめていた拳を緩めて深く息を吐く。

 

「よう、その様子だと頭は冷えたみたいだな」

 

すると其所へキャスターが音もなく現れる。その口振りから自分の心境に察していたらしい彼に気恥ずかしく思いながらも修司は彼に礼を口にする。

 

「その、ありがとう。正直言ってアンタが一緒にいてくれて助かったよ。きっと俺だけじゃあ、あの娘達をあんな風に助ける事は出来なかった」

 

「いいって事よ。話に聞くと、お前さん魔術師じゃないみたいだし? 宝具の使い方なんて当人の心の問題だ。あの嬢ちゃんはまだちゃんと使いこなせてはいないが、当面はアレで充分だろ」

 

「あぁ、マスター………藤丸ちゃんを守るには盾となるサーヴァントが必要だ。そう言う意味では彼女達の相性は良い、と思う。問題は藤丸ちゃんだが……」

 

「マスターの方の嬢ちゃんはついこの前までただの一般人だったんだろ? なら、その辺りはおいおい自覚させていくしかねぇさね。下手に強要するとあっという間に潰れちまうぞ?」

 

「だな、その事を肝に銘じながら、俺は俺のやるべき事を全うするよ」

 

「分かってんじゃねぇか。こりゃ、本当にお節介だったみたいだな」

 

「そうでもないさ、こういう状況でアンタみたいな剽軽な奴は結構需要があるんだぜ?」

 

「悪かったな軽そうで」

 

 ケッと鼻息飛ばすキャスターに自然と笑みを溢れ、それで自分が如何に今まで張り詰めていたのかを思い知る。彼女達だけじゃなく、然り気無く自分にまで気に掛けてくれるキャスターの兄貴分振りに修司は内心感謝し、それから暫く男二人の談笑は続く。

 

「っと、そうだ。ほれ、取り敢えずおまえさんはそれを着とけ。フェルグスの叔父貴じゃあるまいし、年頃の娘を前に何時までも裸でいるわけにもいくまいよ」

 

投げ渡されたのは一着のローブ、ボロボロでふとした拍子に破れそうだが、確かに裸でいるよりはマシだと思いキャスターの気配りに素直に甘えることにした。

 

「一応、俺のルーンを施してある。多少頑丈になる程度だが、お前さんにはそれでも充分だろ」

 

「あぁ、助かるよ。サンキューな」

 

「野郎の礼なんざいらねぇよ。んじゃ、そろそろお前さんも休みな。後の見張りは俺が引き受けるからよ」

 

「………待ってくれキャスター、何度もアンタに頼むのは図々しいとは思うが、どうか聞いて欲しい」

 

 踵を返すキャスターに修司が頼みがあると呼び止める。修司が人の厚意に甘えて無遠慮に頼み事をしてくる人間には思えなかっただけに不思議に思ったキャスターは振り返る。

 

「頼みねぇ? そりゃあ内容次第によるが?」

 

「これから向かう場所、そこに待っている二体のサーヴァントの相手は……俺に譲って欲しい」

 

「………マジで言ってんのかお前さん」

 

 修司の口から聞かされる頼みの内容にキャスターは目を見開いて驚きを露にしている。確かに修司がライダーとバーサーカーを倒したことには素直に驚いた。しかし、ライダーは()に落ちかけていたし、狂戦士に至ってはただの獣に成り果てていた。どちらも今のキャスターでも充分に相手取れるし、キャスターの認識ではあくまで修司は人間の範疇として強い部類程度にしか見ていない。

 

そんな彼が残ったサーヴァントの二体を相手取ると豪語しているのだ。即ちセイバーとアーチャー、召喚されたサーヴァントの中でも選りすぐりの厄介者達をこの男は倒すと宣っている。

 

一瞬、キャスターは修司が自分の実力を過信した愚者かと思ったが………違う。彼の表情を見る限り、とても相手を侮っている風には見えなかった。寧ろ、最大限に警戒している様にも見える。

 

 そう言えば、この男は最初に自分を見たときにおかしな反応を見せた。まるで自分の事を予め知っていたかのような反応、ただの知り合いにあったとかそういう話ではない。今の自分とは異なる自分の事を知っている(・・・・・・・・・・・・・・・・・)。あの時の修司の反応はそういう類いのものだ。

 

「────その前に一つ聞かせてくれや。兄ちゃん、テメェは一体、何処の誰なんだ?」

 

まさか、と思いながらもキャスターは修司に訊ねる。この質問に答えれば残る二人のサーヴァントの相手も譲ってやるし、これ迄の借りも返してやる。そう付け加えるキャスターに修司はまぁいいかと一人納得する。

 

「そうだな。別に隠す事でもないし………あ、でも所長達には黙っていてくれよ。下手に言って混乱させるのもイヤだからさ」

 

「あぁ、その点については心配するな。約束しよう」

 

深く頷いて了承するキャスターに修司もまた頷く。

 

「………俺は、聖杯戦争を知っている。尤も、この世界とは色々と違っていたから、ハッキリと確信したわけではないけどな」

 

「成る程、今の台詞で理解したぜ兄ちゃん。お前さん、越えてきたんだな? 世界の境界を!」

 

「あぁ、俺はこの世界とは別の世界、だけどこの時と時代を同じくする聖杯戦争に乱入した事がある」

 

 真っ直ぐに見据えてそう口にする修司にキャスターは諸々を察して………爆笑した。

 

 

 

 

 

 






おまけ

(………そう言えば、どうして彼は無事だったんだろ? 所長と一緒で奇跡的に爆発から逃れられたのかな?)

(いや、でも彼のコフィンには焼け落ちた通信機と千切れた礼装があったとスタッフから連絡があった。それはつまり、彼もあの爆発を受けた事になる)

(………え? じゃあなに? 彼、あの大爆発をモロに受けて、それであんな感じなの? 上半身が裸で、少し焼き目が付いただけ?)

「いや………ま、まさかね」





次回、特異点F その3


某◼️◼️王の◼️がテンティリス!されるまで後………。



それでは次回もまた見てボッチノシ

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