『G』の異世界漂流日記   作:アゴン

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バレンタイン。まさかのカレン実装。
いやー、楽しみっす。


その30 第二特異点

 

 

 

 連合軍首都、その拠点から虹色の光が目撃されたのはブーディカがローマ軍兵士達を連れて一時撤退をしたのとほぼ同時だった。荒々しくも神々しいその光りは半壊していた砦を蹂躙し、地球の重力を越えて空の彼方へと消えていく。

 

今のは紛れもなく対城宝具の威力を秘めていた。あれだけの魔力を放出出来るサーヴァントは味方にはいない筈、当然ネロも。

 

唯一可能性があるとするならば修司位だが、果たして彼に彼処までの芸当が出来るだろうか。本音を言えば今すぐにでも応援に駆け付けてやりたい所だが、生憎と状況がそれを許してはくれない。

 

あの気持ち悪い肉の柱が出てきてから、妙に死霊系やら魔物の出現率が高い。今は自分達でも対処できるがいずれ総量は軍隊規模で膨れ上がってくるだろう。そうなれば間違いなく、この特異点はより破滅を加速させる。

 

 全てはあの砦の内部での出来事がこの事態を引き起こしているに違いない。いっそのことローマ軍の連中なんてほっとけばいいなんて思ったりもするが……。

 

「でも、任されちゃったからね。やるしかないかぁ!」

 

修司にこの場を、何よりローマ軍の皆を任せたと頼まれた以上、その選択肢は彼女の中から消えている。年下の男から頼られた以上、お姉さんとしては頑張らない訳にはいかないのだ。

 

(ここは任されたからさ、そっちも頑張りなよ)

 

恐らく、砦の内部での戦いは佳境を迎えているのだろう。正念場を前にしている筈の修司にブーディカは健闘を祈りつつ、沸いて出てくるスケルトンの群れを蹴散らすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「開幕からブッ放してくるとはな。やってくれるじゃないか。おいエミヤ、生きてるか?」

 

「どうにか、と言った所だが。修司、お前の方こそ無事か? 今の光、逸らしたのはお前の仕業だろう」

 

 崩れた瓦礫の中から修司とエミヤが現れる。あの光の中で共に五体満足でいられたのは修司が咄嗟に片腕で弾いたからだ。そのお陰でマシュ達はマスターである立香とネロを守る事に集中でき、エリザベート達も自身の身を守る事が出来たのだ。

 

その甲斐あって放たれた虹色の光はローマの大地に直撃する事なく、空の彼方へと消えていったのである。

 

だが、代償はゼロではない。対城宝具という巨大なエネルギーの奔流を片手で弾いた事で修司の腕からは血が噴き出していて、自慢の胴着が綺麗に上半身の右半分が吹き飛んでしまっている。致し方ないと修司は残りの上半身部分を破り、慣れた手付きで傷口に宛がい止血を行う。

 

そして弾いた右腕を適当に動かすと骨に異常がないことも確認できた。大丈夫みたいだ。そう口にする修司にエミヤは少しばかり引いた面持ちで溜め息を吐く。

 

「やれやれ、あれだけの魔力の奔流を受けて皮一枚抉れただけとは筋金入りだな。なんだ、お前の主食はボンドだったりするのかね?」

 

「いやそれどこの異星人の話? ていうか、何故に素直に人の心配出来ないかねこの皮肉屋は」

 

「だったら心配される位の可愛気を見せたらどうかな? 尤も、その様子だとそれもいらない世話のようだがね────来るぞ」

 

 瞬間、修司とエミヤの間を褐色の少女が斬り込んで来た。その踏み込みの速さから繰り出される剣閃は凄まじい。ただ一振りを見ただけだがそれでも目の前の少女が並のサーヴァントでないことは容易に理解できた。

 

ならば、この瞬間に片を付けるまで。集中力と気力を高めた修司がエミヤと共に連携で仕掛けようとするが……。

 

「────」

 

「なっ!?」

 

「チィッ!」

 

 あろうことか、少女の剣筋が突然伸びた。無軌道に描き、そして奮われる剣戟はまさに鞭。初めて目にする剣の軌道に思わず修司は驚きの声を上げた。

 

「マジか、伸縮自在な剣って初めて見たぞ。エミヤ、一応聞いておくがあれは蛇腹剣の類いでは───」

 

「ないな。あの剣にその様な機構はない。文字通り鞭、彼女自身も言っていただろう。自分は神の鞭であると」

 

破壊の大王、レフ=ライノールは彼女をそう呼ぶが、少女の目は此方を映していながら自分達を見てはいない。そんな彼女は自身を神の鞭と呼んだ。より正確には自分達がそう呼んでいるらしいが……いずれにせよ、厄介な相手であることは間違いない。

 

「話し合いは出来そうにない、か。なぁエミヤ、一応聞くがお前の宝具は今すぐ使えたりは───」

 

「無理だな。マスターの令呪をもう一度使って畳み掛けるのも手だが……む?」

 

「なんだ? 気配が………増えてる?」

 

エミヤと修司が目の前の少女をどう制するか簡潔に話し合う中、ふと違和感を覚えた。辺りの空気が急激に濃くなるような、もしくは重くなるような雰囲気。すると次の瞬間、大地を震わせるような地響きが起こる。何事かと思い立香が外を見ると無数のエネミーが一つの馬車に向かって雪崩れ込む様に向かっている。

 

その異様な光景に誰もが戸惑っていると、ロマニから通信が入ってきた。

 

『た、大変だ! 連合首都を中心に膨大な数のエネミー反応があった! その全てが首都ローマに向かって進軍中! まさか、これもそこのサーヴァントが引き起こしているのか!?』

 

「なんと、それはまことか!?」

 

「どうやら間違いないようだ。どのエネミーも皆一つの場所に向かって進軍している。奴等の向かう方角は………皇帝である君が一番よく分かっているのではないかね?」

 

「っ!」

 

 エミヤの問いにネロは愕然となった。魑魅魍魎が向かっているのは紛れもなく首都ローマ、彼処には多くのローマの民が住んでいる。

 

既にエネミーの群れの総量は連合軍を大きく上回り、ローマ軍を呑み込む勢いだ。このままでは兵士達は勿論ローマの民達も蹂躙されかねない。

 

「────」

 

そんな全員が外の光景に唖然としていた時、アルテラは跳躍し、エネミーの群れの中へと消えていく。咄嗟にエミヤが弓矢で狙い打つも伸縮自在な剣によって防がれてしまう。

 

瞬間的、エネミー達から力が溢れ出した。アルテラには聖杯を吸収した恩恵がある為、その影響か死霊も魔物も分け隔てなく活性化し、その勢いは一気に加速する。その様相はまるで死の軍隊である。

 

『今、解析及び計算結果が出た! あのエネミー群が首都ローマに辿り着くまで約10分! 先導しているのはフンヌの戦士アルテラ! 彼女を倒さない限りあの群れが止まることはない! もし失敗すれば………ローマは、人理復元は成されないぞ!』

 

焦りながらも的確な情報を提供するロマニと、解析してくれたカルデアスタッフは流石の仕事ぶりと言えた。状況は最悪、しかしそれを防ぐ手立てはある。そして何より………。

 

「させるものか。余のローマを、余の民達を、余の愛を、あの様な者共に消されてなるものか!」

 

ローマの薔薇は、未だ華やかに咲き誇っている。その瞳には鮮やかな炎が燃え滾っている。

 

始祖ロムルスは言った。人は永遠であると、故に世界は永遠でなければならない。人間という種を信じ、そしてそのバトンは皇帝ネロに託されている。ならば、自分こそは諦めてはいけないと、薔薇の皇帝は立香達に向き直る。

 

「藤丸立香、マシュ、そして白河修司と英霊達よ! 余のローマ(世界)を救うためにどうか今一度その力を貸して欲しい!」

 

「勿論だよ!」

 

「で、ですが既に対象サーヴァントのアルテラは見失っています。探すにもこのエネミーの群れの中では………」

 

「あ、それなら多分大丈夫だよ。大体の位置は気配で分かるから。ていうかあの褐色少女、普通に先頭を走ってるな」

 

「ドクター!?」

 

『此方でも観測したよぉ! 修司君の言う通りアルテラは現在群れの先頭を爆走中! 前の特異点もそうだけど修司君の策敵能力高過ぎない!?』

 

「いや、あれだけデカイ気配をしてりゃ何処にいても分かるだろ。そっちは諸々観測してるんだから遅れるのは仕方ないと思うし」

 

「───お前はいい加減、自分に関する諸々に気付いた方がいいな」

 

「?」

 

 修司の妙に高い策敵能力にロマニは涙目になるが、そもそもカルデア側の主な役割はサポート全般であって策敵だけが仕事ではない。立香達の周囲の魔力係数やら情報伝達もこなさなくてはならないのだから、そう落ち込む必要はないと修司は語るが、それが余計にロマニの心を抉る事になるとは気付かない。

 

そんな修司をエミヤは呆れながら指摘するが、本人は理解している様子はない。追及してもいいが、今はそんな事をしている場合ではない。目的が定まったのなら次は役割と行動を決める時だ。

 

「と、そんなことは今はどうでもいい。修司、これからどうする?」

 

「勿論、追撃だ。そしてその手段は既に確立させている。マシュちゃん、ちょっと俺の拳に乗ってくれる?」

 

「え? こ、拳にですか?」

 

反芻しながらマシュは修司の握り拳を注視する。サーヴァントのバランス能力なら問題ないだろと頷く修司にエミヤと荊軻はこれから起きることに予想出来たのか、それぞれ対称的な笑みと苦笑いを浮かべており、フォウは悲しげな鳴き声と共に顔を手で覆っている。器用な獣だ。

 

そして、言われるがまま修司の拳にマシュが乗る。人一人乗せているのに全くぶれる事のない腕力、改めて修司の身体能力に驚嘆しているのも束の間。

 

「よし、それじゃあマシュちゃん。これからアルテラに向けて振り抜くから、タイミングを狙って宝具を展開してみて、多分それだけで奴の足を止められる筈だから!」

 

「は、はい! ───え?」

 

勢いよく返事をしたものの、何だかとんでもないことを言われた気がする。聞き間違いかと思いマシュは聞き返そうとするが………既に遅かった。

 

「それじゃあ───いっけぇぇぇッ!!

 

「ひゃぁぁぁぁぁっ!?」

 

「ま、マシュゥゥゥゥッ!?」

 

振り抜かれた拳はマシュを空の彼方まで瞬く間に吹き飛ばしていく。その光景に立香は目が飛び出すほどの驚きを顕にするが、既に事態は次の段階に移行している。

 

いきなり過ぎる展開に立香が文句の一つでも修司に言おうとした時、既に本人の姿はそこにはなかった。マシュを吹き飛ばした位置よりも更に後ろ、見慣れた前傾姿勢────クラウチングスタートの格好で其処にいた。

 

瞬間、いやな予感を感じた立香は腹筋に力を込めた。カルデアにて賢者ケイローンの指示を受け、ひたすら行ってきた筋肉トレーニング。最近妙に筋肉が付き始めた事に乙女心は複雑な反応をするようになった───その筋肉に藤丸立香は力を込め、同時に魔力による強化を施した。

 

「んじゃ、こっちもいくぞ。エミヤ、後は宜しく!」

 

「あぁ、露払いは任された。精々暴れてこい。マスター」

 

「な、なに?」

 

「なに、奴もバカではない。加減は勿論するだろうが、まぁ………頑張ってくれ」

 

普段、カルデアでは厳しい表情の多いエミヤがここでまさかの慈愛に満ちた目線を投げてくる。そんな彼の表情を目の当たりにした立香は、やはり自分の予感は間違いでないことを思い知る。

 

 そして次の瞬間、藤丸立香は風になった。恐らくはスタートダッシュを切った修司が立香と皇帝ネロをその両腕に抱え、勢い乗せて跳躍したのだろう。

 

瞬く間に砦は小さくなっていく。とんでもない速度で背景が進んでいくが、礼装のお陰かそこまで衝撃はキツくない。だが、腹部に走った衝撃が立香とネロの胃袋を強制的に押し上げてしまい……。

 

「「オロロロロ……!」」

 

 悲しきかな、ローマの大地に二人の吐瀉物が飛来し、進軍するエネミーに直撃するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────それは破壊の具現。破壊の体現、この世の全てを破壊すると言う一種の概念的機構であった。破壊の大王アルテラ、またはアッティラ。フン族の戦士として知られ、大帝国を築き上げた西方世界の支配者であり、ローマを滅ぼした遠因となった人物。レフが最期に召喚した彼女は確かにローマを滅ぼすに足る力を秘めていた。

 

そして、その時は遂に来た。進軍を開始して彼女の視界は遂に栄光のローマを捉えた。自分は破壊の化身、故に壊す。壊し、壊して、粉砕する。それが自分の存在の証明なのだと、疑いすらしない彼女はその剣先を街に向ける。

 

 するとその時、違和感を感じた。空の彼方から何かが飛来してくる音、不思議に思い振り向けば、其処には大きな盾が既にアルテラの眼前にまで迫ってきていた。

 

疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)!!」

 

───曰く、硬さとは強さである。マシュ・キリエライトの体に眠るサーヴァントの正体は未だ修司には分かっていないが、その性質が守護に特化しているモノであることは何となく理解している。

 

それによりその防御力は生半可なサーヴァントの攻撃では通る事はなく、また貫かれる事はない。そんな防御力を一転させて即興で思い付いたのが投擲である。マシュの防御力は鉄壁、ならばその鉄壁を利用しての投擲。なんという逆転の発想、そんなんだからボッチなのである。

 

 当然、アルテラは剣で以てこれを防ぐ。彼女の手にしているのは軍神の剣、彼女の逸話を下に手にすることになった神マルスの剣。防ぐのは容易い、容易いが───予想よりも遥かに重かった。

 

遥か連合首都から投擲されたマシュは、現代における弾道ミサイルと化していた。道中はその勢いの凄まじさに何度も泣きそうになり、実際泣いた。カルデアに戻ったら皆に言い付けてやると子供っぽい仕返しを考えつつ、半ばやけくそに解放した彼女の宝具は無表情だったアルテラの顔を焦りに歪めるほどの凶悪な威力になっていた。

 

「私……は、破壊の大王! 敗北は……ありえ、ない!」

 

 一瞬の攻防、制したのは───アルテラだった。圧し負ける自分の体に聖杯からの力を借りて補助した彼女は強引にマシュと盾を弾き飛ばした。

 

自分の勝ちだ。そう確信したアルテラが次に目にしたのは───マシュを追って飛来する修司だった。

 

「なっ!? ふ、フォトン───」

 

「遅い!!」

 

よもやマシュだけでなく、人間である筈の修司までが飛来してきた事にアルテラは驚きを隠せなかった。否、気付くべきだった。目の前の人間はただの人間でないことに……仮にもこの男は自分の初撃を避けた男なのだから。

 

 咄嗟に剣を構え、宝具を展開しようとするも───遅い。飛来するマシュだけが自分に対する最後の対抗策だと思い込んでいたアルテラは……。

 

「エクス────カリバー!!」

 

自身の……文字通り宝である剣ごとその霊核を光輝く手刀にて両断されるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────ふぅ、終わったぁ。どうにか間に合ったみたいだな」

 

 咄嗟に思い付いた電撃作戦、通用するかは五分五分だったが、結果的に見れば最上のモノとなっている。もし自分の一撃が浅かったら止めにネロが追撃をしてもらおうと思っていたが、まさかの結果に修司は満足そうに頷いた。エネミー達も進軍を止めているし、この選択は間違いでなかったと安堵するが……。

 

「あぁ、剣が。私の………マルスの剣が。ごめんなさい。不甲斐ない私で……ごめんなさい」

 

しくしくと涙を流して泣きじゃくるアルテラに修司は物凄い罪悪感を感じていた。いや、だって仕方ないやん。あの時はこうする事が最善だと思ったし、て言うかそもそもこの少女はレフに召喚された切り札、即ち敵だったのだ。

 

仕方ないこと、そう思っても心に突き刺さる痛みは中々抜けきらない。マシュも立香もネロも涙目で睨んでくるし、心なしか消え行く死霊系のエネミーからも責めるような視線を向けられている気がする。

 

 ────やがて、エネミーの群れは消えていく。崩れるように、最初からいなかったように消える魔物の群れ、そして同時にアルテラもまた光となって消えていく。残されるのは今回の特異点の元凶、その発端となった聖杯だけとなった。

 

これにて一件落着。と、言いたい所だが。

 

「おのれ、修司、おのれ白河修司! 余の活躍を根刮ぎ奪うだけでなく、余をまさかの吐瀉物皇帝にしおってからにぃ! そこいらの暗殺者より質が悪いぞ!!」

 

「前々から思ってたんだけどさぁ、修司さんって道徳的にオッケーだったら何してもいいって考えている時ない? 例えば今、とか」

 

「ドクター、私理解しました。これが、理不尽に対する怒り! という奴なんですね!」

 

特異点が修復されようとしているのに、尚も立ち上る怒りの炎。ワナワナと震える乙女達に修司はやっべと息を呑む。

 

どうすれば許される。どうすれば機嫌を直して貰える? 僅かな時間、考えに考え抜いた修復が最後に編み出したのは────。

 

「ご、ごめーんにゃ♪」

 

 テヘペロである。素直に土下座でもすればいいものを、この男よりにもよって怒れる乙女にビビって最悪の選択を選びやがったのである。

 

故に───。

 

「「くたばれ、この理不尽バカ!!」」

 

「ギャーッ!?」

 

『うーん、これは擁護出来ないなぁ』

 

フォウフォウ(やれやれだぜ)

 

 ネロと立香の二人から今日一番のドロップキックを食らうことになり、マシュからはポカポカと叩かれるハメになった。

 

そんな訳で、今回の特異点もハチャメチャに終わった立香達はネロに別れを告げ、万雷の喝采を受けながらカルデアへと帰還するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────定礎復元───

 

 

 

 

 

 

 




戦いは、いつだって悲しいものである。



次回からまた暫く日記形式に戻ります。

その時もしかしたら………場合によっては彼女もでるかも?

期待せずにお待ちください。

それでは次回もまた見てボッチノシ




修司の知人or友人その5

間桐慎二。

修司の親友の一人。嘗ては魔術師に憧れて聖杯戦争では何度も修司の前に敵として立ち塞がったが、自身の魔術師としての才能の無さと修司の言葉によって当時は惜しみながらも魔術師への道を諦めた。

だが、その後修司の活躍を目の当たりにした事で彼の中の魔術への絶対的信頼は薄くなり、高校卒業する頃には魔術に対するコンプレックスは完全に払拭されている。

大学へ進学後、修司のつてを使って大企業で有名な通称“U.L.K.”へ就職。数年の下積み時代を送り大学卒業と同時に役職へ昇格される。持ち前の才能を充分に活かして活躍し、時たま修司のミスをフォローしたりするなど有用性は凄まじく、人を使うのも上手い為、英雄王からも重宝されている。

以前、修司の力に嫉妬を覚えた数人の魔術師が言い掛かり同然の因縁を付けて慎二を一度誘拐しているが、瞬時にそれを察知した修司が魔術師供を殲滅。その魔術師達が時計塔に所属している事から訴えてやろうと修司だが、時計塔に側は関与を否定。

「そいつらは時計塔から排斥したから知らね」

的な事を言われてブチキレた修司がグランゾンに乗り込みロンドンへ向かおうとするのだが、遠坂と士郎と慎二、三人の必死な説得によって止められる。

曰く、世界のバランスが大きく崩れる。とされているが、それでも納得がいかない修司は王の許可を得て秘密裏に慎二誘拐を唆した魔術師の黒幕を特定。物理的に制裁を完了させる。

時計塔側は理不尽に攻撃をした修司に抗議したが、黒幕だった魔術師も時計塔から追放されていたので、修司はそれを逆手に魔術師達を煽り倒した。

そんな修司に振り回されながらも、そんな日々をまんざらでもない様子で間桐慎二は今日も奮闘する。

「魔術? ハッ、そんなモノは知らないね。時代はMSだよMS。シンジ、行きまーす!」

尚、現在の夢はMSに乗って宇宙を翔ぶことである。






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