『G』の異世界漂流日記   作:アゴン

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今年のGWはひたすらウマぴょいする日々だった。




その58 第四特異点

 

 

 霧に包まれ、魔の都と化したロンドン。人に仇なす殺戮の魑魅魍魎が蠢き、ロンドンの人々を恐怖に沈めた怪物の都。

 

そんな霧の中で一人の少女が走り出す。病に喘ぐ妹を助けたいが為、両親の反対を押し切って薬を求めて少女は霧に包まれたロンドンの街を走る。

 

幸いな事に、薬局の店主は心優しい人間だった。戸を叩いて音を鳴らす自分に咎める事なく、快く薬を提供してくれた店主に少女は首がもげそうな程に何度も頭を下げ、来たとき同様急ぎ足で掛けていった。

 

 最近、ロンドンでは奇妙な出来事が起きている。一度は霧に覆われたロンドンが突然晴れたり、空に向かって大きな光の柱が出現したりと、奇っ怪な現象が立て続けに起きている。

 

父と母は更なる異常の前触れかと案じていたが、少女は不思議と安心感を覚えた。まるで誰かがこの霧を何とかする為に起きた出来事であると、そう思えてならなかった。

 

そんな光景に恐怖ですくんでいた自分の足が前に動いた。病弱で、病に苦しんでいる妹を何とかしたいと思い、立ち上がる程度には力が宿った。

 

けれど、そんな少女が霧に覆われた今のロンドンの街を出歩くには……想像以上に過酷だった。高密度の魔力を帯びた霧は人体に対して有毒でしかなく、比較的薄い所を通るにしてもそこは人を殺す事に特化した自動人形やホムンクルスが跋扈していて、少女一人が切り抜けるにはあまりにも無謀だった。

 

 背後から此方に向かって近付いてくる足音が聞こえてくる。人の足音ではない、機械的で無機質な音、自動人形の足音に少女は自分の命の危機の到来を明確に感じ取った。

 

心臓の鼓動の音が跳ね上げ、これ迄霧を吸い込まないように気をつけていた口を咄嗟に開いてしまう。吸い込んでしまった魔力の霧は一瞬とはいえ、少女の肺を蝕むのに充分なモノだった。

 

咳き込み、走る体力を根刮ぎ奪われた少女は遂に地面へ倒れ込む。硬い石の地面が少女の体を強く打った。

 

片手で薬を抱き、残された手で口許を塞ぐも肺を蝕む痛みは消えない。咳き込む痛みと苦しみで意識が朦朧とする少女に機械仕掛けの殺戮者が囲いだす。

 

あぁ、自分はここで死ぬのか。幼いながらも自分の最期を悟った少女が家で待つ両親と病で苦しむ妹に心でごめんなさいと呟いた瞬間。

 

ふと、何か音が聞こえてきた。自動人形達ではない、何か回転する音、空気を裂く様な音が少女の耳に届き。

 

「受けるがいい、我が新生した剛腕を。ターボスマッシャーパンチ!

 

 閉じ行く視界の中で少女が最後に目にしたのは………大きい鉄の巨人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせ、あの女の子は無事に送り届けたよ」

 

 ロンドンの住宅街、そこで倒れていた少女を自宅まで送り届けた修司はロンドン橋周辺で待機していた立香達と合流し、少女の無事を報告した。

 

「貴様にしては少し遅かったな。なんだ、また余計なお節介でもしていたか?」

 

「余計なお節介って程でもないさ、あの子の家にもう一人病気で苦しんでいた子がいてさ、咳で大分体力が落ちていたから俺の気を分けて来たんだ」

 

『修司君の力って、病気にも効くの!?』

 

「いえ、この場合は修司殿の言う通り、単に体力を回復しただけなのでしょう。彼の力が病まで治してしまえたら、それこそ医療技術が崩壊してしまいますからな」

 

 自動人形達を退け、少女を抱えて彼女の家へと運んだ修司は霧と病によってそれぞれ弱っていた姉妹へ自身の気を分け与え、回復させてきた。

 

と言っても、あくまで修司が施したのは体力の回復と治癒促進だけ、修司の気は他者に与えると傷口を癒したり体力を回復させたり、魔力に汚染された体を浄化させる程度だが、サーヴァントに与える時程強い効力があるわけではない。精々が止血したり失った体力を少しばかり回復させる程度、大きな怪我や病気を治せる力はなく、どれだけ分け与えた所で欠損した手足を元通りにする事は出来ない。

 

仙人が使うとされる仙術に似ているとアンデルセンは推測するが、修司の使っているのはそれの下位互換なのかもしれない。

 

「シェイクスピアの言う通り、俺が出来るのは些細な事だけだ。情けない話だが、後はあの姉妹次第だ」

 

「それだけ出来りゃ上々だろ。姉の方だって本来なら彼処で死んでたんだ。それをねじ曲げてやっただけでも儲けモンだろうよ」

 

「そこの猪騎士に賛同する訳ではないが、俺も概ね賛成だ。そもそもあの子供を放っておいた親にも責任がある。子が彼処まで根性を見せたなら今度は親が踏ん張る番だろうよ」

 

 モードレッドとアンデルセンから彼等なりの激励を受け、修司はこれ以上彼女達を気にかけるのを止めた。これ以上修司があの姉妹に出来るとこはない、あったとしてもそれはこの特異点を早々に終わらせる事こそが修司達に求められる解決策だ。

 

「はい。じゃあこの話はおしまい! 後はあの子達自身に任せるとして、私達は私達に出来ることをしよう!」

 

「ですね。それとMr.バベッジ、新しいお体の調子は如何ですか?」

 

「ウム、多少違和感は覚えるが概ね問題はない。起動するに問題はなく、駆動の為の妨げにもならない」

 

マシュが見上げた先にいるのは五メートルは優に超える巨人、武骨且つ重厚なその姿はまさにスーパーロボットのそれだ。所々バリッた要素に加え、膝に当たる部分にはドリルが備えられている。どこぞの魔神皇帝と勇者王を足したそのフォルムにカルデアスタッフの男性一同(特にムニエル)はスタンディングオベーションをする程に喝采を上げている。

 

「このロンドンでは停止したヘルタースケルターが腐るほど手に入るからな。素材には困らなかったよ、動力も魔力だからこの霧を吸い込む形で回収すれば実質エネルギー問題は無いも同然だし、そこだけ気を付ければ後は大した問題じゃなかったよ」

 

「口で言うほど簡単な問題じゃないのだがなぁ、何故私の近くにいる奴はどいつもこいつも………」

 

「だ、大丈夫ですかエルメロイ先生」

 

「因みにコンセプトは《僕らの蒸気王!》だ。割りと自信作なんだぜ?」

 

さらりと科学と魔術の融合をやってのけた修司にエルメロイを含めた常識あるカルデアの面々は頭を抱えた。

 

「貴殿には感謝しなければならんな。私をアングルボダから解放してくれただけでなく、この様な新たな手足まで授けてくれた」

 

「礼ならダ・ヴィンチちゃんに言ってくれ、あの人の助言もあって此処まで上手くできたんだ。そうでなきゃ、もっと時間が掛かったと思うからさ」

 

修司の手によって文字通り改造されたチャールズ=バベッジ、新たな機能が搭載された手足に加え、自分をこれ迄縛ってきたアングルボダから解放された事で彼の意識は完全に自分のものへ取り戻している。確かにアングルボダなる蒸気機関の介入部分を指摘したのはダ・ヴィンチという万能の天才だが、それを見つけて即座に対応してやり遂げる修司もまた天才的だった。

 

本人に自覚が無いようだが、この白河修司という男は機械に対して恐ろしい程の知識を持っている。自分の腕に取り付けた技術の数々等を本人は大したものではないと語っているが、幾らヘルタースケルターが自分の宝具から生み出されたモノとはいえ、ここまで応用的に利用されるのはバベッジ本人も考えてなかった。

 

しかも工具もなしにである。多少エルメロイ達キャスター組から魔術の手を借りたとは言え、基本的に修司は素手だけで自身の改修を行っている。拾ってきたヘルタースケルターを紙屑のように素手で引き裂く様は蒸気機械である自分が寒気を覚えるほどに凄まじかった。

 

本人はこれを手先が器用だからと特に誇っている様子はないが、明らかに器用という範疇を超えている。黙々と作業を行っている修司にバベッジは説明を求めたが、返ってくるのは楽しみにしていろという言葉のみ。されるがままだったバベッジとしては完成までの合間気が気でなかった。

 

 結果として、自我は取り戻したし、ヴィクターの娘とも話が出来た。バベッジにとって最上の結果ではあるが、心なしか素直に認めるのはやや抵抗があった。

 

「───白河修司、改めて貴殿に礼を言おう。貴殿の助力のお陰で私は私を取り戻す事が出来た」

 

「………コンピューターの父に言われると、流石に照れるな」

 

「それはそれとして、今後貴殿は色々と学んだ方がいいな。特に倫理観辺りを」

 

「え?」

 

しかし、それはそれとしてバベッジは修司に苦言を呈した。もっと周りを見てくれと、もっと周囲の事を察しろと。自分の起こした行動とその結果による影響をもっと鑑みた方がいい。と、示唆したつもりなのだが。

 

「あー、やっぱりヘルタースケルターを目の前で解体するのはちょっと不味かったかな? 悪かったよ、でも状況も状況だ。そこら辺は目を瞑ってくれると助かる」

 

「う、うむ……」

 

(分かってねぇな)

 

(絶対分かってないだろコイツ)

 

(そう言うことじゃないんですがなぁ)

 

(反省はするんだよなぁ)

 

 本当は理解して欲しいところは別にあるが、それでも素直に謝罪してくる修司にバベッジは何も言えなくなった。そもそも自分はサーヴァントで本来であれば倒される運命にあった存在、それをこうして生き延び、修司という現代人のお陰で新たな体と力を得る事が出来た。

 

幾ら人理に刻まれたサーヴァントと言えど、良心もあれば罪悪感もある。修司に対して大きな恩のあるバベッジがそれ以上彼に強く物言いする事は出来なかった。

 

「さて、そろそろ目的の場所だ。バベッジさん、合ってますよね?」

 

「あ、あぁ。間違いない。そこの地下鉄への入り口を降りてその先にアングルボダのある更なる地下へ続く空洞がある」

 

 バベッジが指差す地下鉄へ続く階段、その先に今回の特異点の元凶があると知ったカルデア一行はジキルとフランをアパルメントに置いて第四特異点最後の戦いに向かおうとしていたのである。

 

これで今回の特異点を終わらせる。体に力を入れていざ決戦の地へ向かおうとしていたその時、白衣の錬金術師が一行の前に立ち塞がった。

 

「やはり来たか。マキリ計画の首謀者の一人、“P”とやら」

 

「はい。改めて名乗りましょう。我が名はヴァン=ホーエンハイム=パラケルスス。人理に仇なし、人類に敵対した錬金術師。貴方達を屠る者です」

 

「ほう? 口上が上手いじゃねぇか優男。だったら、望み通りにその首をはねてやるよ」

 

 これ迄姿を消していた“P”の登場にバベッジの言う敵の本拠地が間違いないことであると一行は確信する。出てきたなら好都合だと剣を握る手に力を強めてモードレッドが前に出ようとした時。

 

「待たれよ反逆の騎士、ここは私に任せて欲しい。貴公はこの先に待つ今回の首謀者の討伐を頼みたい」

 

「んじゃ、俺も残るよ。バベッジさんの体を改造した手前、俺にはそれを間近で見届ける義務がある。マキリの野郎をブチのめせないのは残念だが、それはモードレッドに譲るよ」

 

「あぁ? ったく、しょうがねぇな。なら、ここは任せたぞ」

 

バベッジと修司が残ると言い出し、立香達に元凶への対処を頼み込む。マシュも立香もこれ迄の戦いで成長しているし、ロマニ達カルデアのスタッフもサポートしてくれる。

 

先の特異点を経て自分達は確実に強くなっている。力も、繋がりも、心の持ちようも。だから修司も託せる。元凶であるマキリを倒しこの特異点を収束してくれる事を。

 

「分かった。行こう皆!」

 

「了解です! 修司さんもどうかお気をつけて」

 

「我輩も当然お供しますぞ。因みにアンデルセン殿は如何いたします?」

 

「分かりきった事を聞くな。誰がわざわざ暴走機構(やらかし)の側にいたいものかよ。俺は喩えどんなことがあろうとも、猪騎士に寄生してやるさ!」

 

「本当に質が悪いなお前ら!?」

 

「失敬な! 一番質が悪いのは修司殿でありましょう!?」

 

「そうだそうだ! 俺達はまだマシな部類だぞ」

 

「あれ? なんで俺がディスられてるの?」

 

決戦の前だというのに和気藹々とした雰囲気のまま的本拠地へ乗り込む立香達を見送り、改めて修司とバベッジは“P”改めパラケルススへ向き直る。

 

「良いですね。仲良き事はそれだけで美しいものです。あぁ、願わくば私もその輝きに肖りたかった」

 

「………分からねぇな。どうして其処まで人類に共感できているお前がワザワザ俺達と敵対する道を選ぶ。お前の言っている言葉に嘘はない、だからこそ気になる。お前はどうして其処までして人理焼却の黒幕に加担する」

 

「…………」

 

 騒ぎながら地下へと攻めいる立香達を微笑ましいと語るパラケルスス、そんな彼に修司は微かな違和感を感じた。確かにこの男はこの特異点に於いて人類と敵対する道を選んだ。切り裂きジャックやメフィストの様な危険なサーヴァント、他にもホムンクルスや自動人形、そしてヘルタースケルターといった人を殺すシステムを霧と同じくロンドンの街を覆い尽くした。

 

彼の行いは悪逆そのもの、そこにどんな背景や事情があろうとも修司は許すつもりはない。ただ、何となく気になったのだ。パラケルススという錬金術師は悪逆を成しながらも人の営みを肯定する器の広さがある。そんな彼が 人理焼却に加担するほど人類に恨みを持っているとは到底思えなかったからだ。

 

「答えられないか?」

 

「………そうですね。こればかりは相対した者でなければ分かりません。理由はどうあれ、私達は頷いた。頷いてしまったのです。彼の王に」

 

「王だと?」

 

パラケルススの口から溢れた『王』という単語に修司は眉を寄せて心当たりのある人物を探し当てようとする。騎士王や征服王は論外として英雄王ことギルガメッシュ王も今は心強いカルデアの味方であることから除外、どれだけ悩んでも出てこない黒幕にヤキモキしていると、周囲に相当な数のホムンクルスが囲んでいた事に気付く。

 

「修司、考えるのは其処までにしよう。既に戦いは奴のペースとなっている」

 

「どうやら、その様だな」

 

周囲を埋め尽くすほどの数だというのに二人に焦りの様子はない。何故なら二人は既に物量の差を覆すほどの戦闘能力を有しているからだ。

 

「俺が本丸を狙う。バベッジさんは他の奴等を頼んだ」

 

「承知した!」

 

 瞬間、バベッジの体から蒸気が噴出し、ギュボォンと赤いモノアイが光り出す。

 

「穿て必中───ドリルニー!

 

蒸気の力で膝に着いたドリルを回転させ、ホムンクルスの群れを粉砕していく。その圧巻的な光景に修司は満足そうに親指を立てた。

 

「さて、それじゃあこっちも始めるか。立香ちゃん達に負けないよう、俺も頑張らないとなぁ!」

 

修司も負けじと白い炎を纏う。自分の相手は稀代の錬金術師パラケルスス、油断はしないと気持ちを固め、修司は彼を守るホムンクルスの群れに突貫していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────まぁ、こんなものだよな」

 

 そして、戦いは呆気ないほどに直ぐに終わった。ホムンクルスも自動人形も、修司にとって敵になり得る事はなく、並のサーヴァントが正面から彼に打ち克てる事など有り得なかった。

 

既にパラケルススは胸元を拳の形で大きく抉られている。霊核が砕かれた彼にこれ以上の現界に耐えられる道理はなく、マキリ計画の首謀者の一人は自身の持つ魔術の全てが修司の拳の前に破れ去っていった。

 

「流石にあのヘラクレス程ではなかったか。まぁ、出てきたら出てきたで困るけどな。流石にあんなのが出てきたら街が更地になっちまう」

 

周囲のホムンクルスも片付け、静けさを取り戻したロンドンの街。バベッジの方も無事であることを確認し、あとは地下にいる立香達だけ。

 

先程から起きている地下からの振動の事もある、急いで自分も追い掛けよう。地下への出入り口の守りをバベッジに任せ、修司も急いで立香達に合流しようとした時。

 

地下から凄まじい程の雷が顕れる。出入り口を吹き飛ばし、周囲に撒き散らす雷の奔流に修司は驚き腕を交差させる。

 

何が起きた。吹き飛んだ地下鉄への入り口が吹き飛ばされ、空洞と化した地下への出入り口。警戒しながら見据える修司の前に現れたのは電雷を纏う一人の偉丈夫だった。

 

「おっと、済まないな。少しばかり加減が出来ないようだ」

 

「………誰だ。アンタは」

 

「人に名を訊ねる時は先ず自分から、等と言うが。私はそうは思わない。何故ならわたしは───ニコラ=テスラなのだから!

 

「っ!?」

 

 ニコラ=テスラ。そう名乗る偉丈夫のサーヴァントに修司は衝撃を受けた。彼の名前が事実だとするならば、彼は修司にとってあの発明王と並んで尊敬して止まない人物なのだから。

 

電磁の碩学者が目の前にいる。本当なら此処で頭を垂れてでも教えを乞いたい所だが、今の自分にはやるべき事がある。心の底から沸き上がる欲求に堪えながら、修司は手を握り締めて拳に変える。

 

「俺の名は白河修司。ニコラさん、アンタは此処へ来る途中マスターの女の子を見掛けなかったか?」

 

「ふむ。赤みの帯びた髪の少女の事かね? 彼女なら見たともさ。あぁしかし勘違いはしないでくれ。確かに私は連中の手によって召喚され、“そうあるべき”に生み出された存在だが、最低限の人道は弁えている。意味もなく乙女を傷付ける事はしないさ」

 

恐らく、マキリが狙っていたサーヴァントはこの電磁の碩学者だったのだろう。彼の体から迸る電流は凄まじく、今も地面を焼いている。

 

しかし、迸る電流と異なりその人格は何処までも尊大で、それでいて紳士的だった。自分が人類の敵対者に召喚されたというのに、ニコラ=テスラはそれを受け入れ、倒されるべき悪だという事も認識している。

 

言葉を交わしたのは僅か、それでも分かってしまう器の大きさ。修司はそんな彼の尊大さに敬意を抱き、最大の礼儀として全力で戦うことを決めた。

 

「………行くぞ、電磁の碩学者。アンタを止めてこの特異点を終わらせてやる!」

 

「ほう! さっきの騎士は赤雷を操るが、君は赤い炎を纏うのか! 素晴らしい! やはり人類とは可能性に満ちているのだな!」

 

 まるで子供のようにはしゃぐ偉大な碩学者に修司は笑みを溢し、電雷迸る人類の先達者に拳を見舞うのだった。

 

ぶつかる電雷と赤い炎、その背後には────。

 

「えっと、私、出番あるんですかね? これ」

 

とある狐の良妻賢母(自称)が、物陰に隠れて様子を見ていた。

 

 

 

 

 




Q.僕らの蒸気王って?

A.説明しよう! 蒸気王とはコアとなるバベッジを中心にウイングガオー、ターボガオー、ドリルガオーの支援機と合体した時に誕生した新たな鋼の勇者である!

本来なら空間湾曲するドライバーや物質を光りに変えるハンマーも作りたかったが、時間が押していたために断念。

その代わりに多数の武装を内蔵しており、その内の一つに胸部から蒸気の熱を利用して放つブレストバーンが搭載されているぞ!

額の部分にあるJの文字が付いた宝石は特に意味のない飾りである! 見栄えも大事だよね!

そのバリッとしたフォルムにフランもメロメロだ!(嘘)

やったぜ!



次回、黒幕。

それでは次回もまた見てボッチノシ



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