『G』の異世界漂流日記   作:アゴン

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やっちゃったZE☆


その34

M月α日

 

 一夏君の白式を整備して早三日、あれから時間があれば一夏君の様子を見に行っているが、白式は特に問題なく稼働している。

 

ただ一夏君が言うには反応速度がこれまでとは桁違いに速くなっていると戸惑っているらしく、馴れるのに時間が掛かりそうだと愚痴をこぼしていた。けれど一夏君もIS学園で学んだり鍛えたりしているから適応能力は高く、白式の反応速度に徐々に対応している。

 

鈴音ちゃんやセシリアちゃんといった専用機持ちの子達に対しても勝ち星を増やしてきているし、この分だと白式に搭載されたサイコフレームの発現も近い内に見られる事だろう。

 

箒ちゃんも臨海学校が終わってから紅椿での訓練に余念がないし、剣道の腕前も更に磨きが掛かっているようで、近い将来生身の戦闘では楯無さんに迫るのではないかと囁かれている。

 

簪ちゃんに至ってはいつの間にかお姉さんと仲直りしたのか、楯無ちゃんと時折模擬戦をしているのを目にしている。未だに勝つことは出来ていないけれど、偶に良い感じに追い詰める所があるので、これからもその調子で頑張って欲しいものである。

 

 いやー、やっぱり学生が頑張っている姿を見ていると励みになるよね。なんというか元気が貰えるっていうのかな? 最近じゃあアリーナで用務員の仕事をしながら観戦しているとついつい見入ってしまう時があるんだよね。

 

一夏君達から元気を分けて貰えた事で用務員の仕事を早めに終わらせ、今日は作業の途中だったオーライザーの制作作業を行う事にした。

 

オーライザーは蒼鴉のツインドライヴシステムとアリカちゃんのISコアの連動率を安定させる為の制御装置みたいなモノ、常に各システムのバランスを調節しながら造り上げなければいけないので作業中は凄まじく神経を使う為、終わった後はいつも疲弊しており、必ず10分以上の休憩を挟んでいる。

 

ソレスタルビーイングのイアンさんもこんな過酷な作業をしてきたのだと思うと、やはり多元世界の技術者の人達は凄いと思い知らされる。

 

けれど、オートマトン達やアリカちゃん達の協力もあってどうにか完成に近付く事が出来た。後は蒼鴉と連結させて実際にトランザムとISコアを同調させ、調整と調節を繰り返すだけ。

 

漸く見えてきた一つのゴール。けれど同時に大事な場面である為、より一層気を引き締めて行こうと思う。

 

 

 

M月(*´ω`*)日

 

 オーライザーの制作作業もいよいよ大詰め、明日に蒼鴉との連結稼働試験を控えた今日、意外な人物がIS学園に訪れてきた。

 

ロジャー=アルベルト。ドイツの首相さんで何でも自分に用があるといってお忍びでIS学園にやってきたのだ。

 

国家元首のいきなりの登場に当然学園の生徒達も驚いていたが、織斑先生を初めとした先生達が上手く対応してくれたお陰で、あまり騒ぎになることはなかった。あの様子だと事前にお忍びで来る事を知っていたのだろう。修学旅行も近いのに……ホント、お疲れ様です。

 

ロジャーさんもお忍びで来たという事もあって情報管理は徹底しており、ロジャーさんがここに来ていることは一部の人間以外知られていないそうなのだ。といっても、護衛の一人も連れてこないのは流石に拙いのでISを扱える女性を二人ほど私服姿で連れてきているらしい。

 

その内の一人がラウラちゃんの部隊にいるクラリッサさん。黒兎隊の副隊長を務める彼女はラウラちゃんと同様に凜とした佇まいでロジャーの側に控えていた。

 

 その後、ロジャーさんが学園内を一通り回った後に自分の借りている整備室に訪れると、いきなりお礼を言われてしまった。

 

何でも自分の送った例の資料が決定打となり、ドイツに巣くっていた膿の多くが一掃されたのだという。今までは内政の編成作業に追われていて碌に礼を言うことは無かったが、先日それが終わり、新たな議員連盟を構築出来たのだという。ひとまずの決着も終え、一日だけ時間を作る事が出来たロジャーさんは自分に礼を直接言いたい為にワザワザ日本のIS学園に訪れたのだという。

 

なんともまぁ律儀な人だよな。自分は通信越しで済ませようと考えていたのにワザワザ自分の所に来るなんて……けれど、そんな人だからこそドイツでの支持率が高いのだろう。ロジャーさんから言い渡されるお礼の言葉を自分は素直に受け取る事にした。

 

……まぁ、元々は自分がドイツのネットワークにハッキングを掛けたのが原因な訳だから気持ちとしては少し複雑なんだよね。後悔はしてないけど。

 

その後、色々談笑した自分はロジャーさんにあるお願いをする事にした。内容はラウラちゃんの専用機であるシュヴァルツェア・レーゲンに搭載された停止結界についてだ。

 

あの機能は宇宙活動だけでなく様々な地形と状況に対応できる応用力が秘められている。あの技術の一端を自分にも是非扱わせて欲しいというモノ。

 

以前にも記したがシュヴァルツェア・レーゲンはドイツの専用機だ。幾らラウラちゃんから許可を頂いてもそれはラウラちゃんが許せる範囲の事であって自分が何でもしていいという訳ではない。もし自分がAIC搭載型を自作してドイツにとってそれが良くないモノだと判断すれば、許可を出したラウラちゃんに全責任を背負わせる事になるのだ。

 

だからドイツの国家元首であるロジャーさん自ら許可を頂きたいのだが、今回ロジャーさんは非公式としてIS学園に来ている為、あまりそういった確約は出来ないとの事。流石にいきなりは無理かと思われたが、ロジャーさんは明日自分が行う蒼鴉の試験運転を見学し、その出来映えを見たら約束しようと言ってきた。

 

ロジャーさんはIS……というよりメカ的なモノに目がなく、整備室に置かれた蒼鴉を見て蒼鴉の動く姿が見てみたいと言ってきたのだ。

 

まぁ、トランザム使用の前にまずは蒼鴉には準備運動もさせたかったし、調度良いタイミングと言えた。とは言え、蒼鴉はまだ完成されていない機体なので記録に残る様な行為だけはしないで欲しいと注意し、ロジャーさんの話を受ける事にした。

 

しかし、ロジャーさんも中々話の分かる人だ。蒼鴉の武装の一つである牙鐵を見てああも目を輝かせるとは……やはり、ロマン武装は世界の境界線を越えて全男子の憧れなのだなとシミジミ思うじぶんだった。

 

 さぁ、明日はいよいよ蒼鴉とオーライザーの試験運用だ。気合いを入れて頑張るとしよう。

 

 

 

M月((((;゜Д゜))))日

 

 一言で言うなら、今日の蒼鴉とオーライザーとの連結稼働試験は成功した。それはもう大成功と呼べる程に。

 

ロジャーさんや織斑先生、クラリッサさんといった護衛の人を含めて行われた今回の実験、特に怪我人等は出ずアリカちゃん、アミカちゃんと言った電子の方でもこれといった変化はなく、試験は順調に進み、順調に終了した。

 

オーライザーを介してのISコア、並びにツインドライヴシステムもコレと言った拒絶反応もせず、アリカちゃんとアミカちゃんが上手くツインドライヴと合わせてくれたお陰で、実験自体は頗るよかった。

 

ただ……ね、ツインドライヴとオーライザーによって齎されたGN粒子が予想以上に多く噴出され、学園が一時オレンジ色の光に包まれちゃったんだよね。

 

特にそれらしい問題は起こらなかったが、突然学園が光に包まれた事により生徒達は軽いパニックになり、授業は一時中断、色んな先生方に迷惑を掛ける事になってしまった。

 

その後はGN粒子の影響で全校生徒に体調不良を訴える人はいないか調査を行う事にして、今回の実験は終了。ロジャーさんも凄いモノが見れたと終始ハイテンションのままドイツに帰国、色々騒がしい日となってしまった。

 

全校生徒に関しては近い内に身体測定が行われるのでその時についでに調べるよう織斑先生から言い渡された。今回の実験で多くの人達に迷惑を掛けた事になってしまったが、実験自体は大成功という事で今は納得する事にしよう。

 

後は細かい調整を何回か行い、テスト運行するだけである。取り敢えず今日はアミカちゃんとアリカちゃんにお疲れ様の言葉を送り、今日はこれで終了することにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、修司の自作IS蒼鴉。それが本当のお披露目を迎えた時、世界はまたもや大きく揺れ動く事になる。

 

 

 

 




そろそろ修学旅行編。次回は多分兎さん側の話になるかも。
そして今回も諸事情により返信が出来ません。
誠に申し訳ありません。

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