『G』の異世界漂流日記   作:アゴン

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IS編の後日談その1です。


後日談 その1

 

 

 

 

 

 

 

 

───ドイツ。首都ベルリンから離れた郊外、雑木林が生い茂る人気のない場所で複数の影が蠢くように疾走していた。

 

時刻は既に真夜中の時間帯、不気味な程に静まり返った林の中蛇行しながら走る影の動きはさながら獣の如く俊敏で、その統一された動きは熟練された軍人のソレだった。

 

「そろそろ情報にあった目的地の場所だ。今回の任務について再確認を始めるぞ」

 

複数の影の中から飛び抜けた一人の少年が耳につけたアイコンを通し、周囲に散った部下達に連絡を通す。

 

「任務内容は目標地点の座標にいるターゲットからISの情報を得ること、それが叶わない場合はターゲットの身柄を拘束、この場合ターゲットの身柄の確保が最優先で手段は問わない。また、それすらも叶わず、また情報が他へ漏洩される危険性が考慮された場合───」

 

「標的、白河修司を────抹殺せよ」

 

淡々と、機械的に任務内容を口にする少年の眼は薄暗く、濁っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

五年前、嘗ての俺には人並みの幸せを満喫していた時間があった。父と母、そして妹に囲われての生活。穏やかな時間、決して裕福な家庭とは言えなかったが、俺には嘗て幸せだったと言える時期があった。

 

しかし、そんな穏やかで暖かな日々も長くは続かなかった。“IS” 極東の島国出身のとある女博士が生み出したという新たな兵器が現れてから、この世界はおかしくなった。混乱する世情、覆る世論の価値観、書き換えられる新しい常識は全て国を巻き込み、大きな波紋となって広がった。

 

波打つ波紋は大国を揺るがし、大国の近隣諸国は大きな力を持つ国の力を借りないとその存在すら維持できない状態にまで陥ってしまっていた。

 

ISという嘗てない波紋に揺れ動く世界。俺達の住まう国もその例に溢れず、動乱の時代に突入した。ISという従来の兵器とは何もかもが違うその力は中東にある一つの小国を二つに引き裂き、内戦という最悪の事態を引き起こしてしまった。

 

ISを受け入れるか否か、良くも悪くも古い俺の国、頭の堅い連中によって引き起こされた人災は父と母を殺し、そして妹を死の淵へと叩き落とした。

 

そこから先は地獄だった。運悪く生き残った俺の様な子供は軍に強制的に入隊させられ、俺は兵士…………いや、兵器として“調整”される事になった。

 

人を殺す手段を叩き込まれる日々、拒絶すれば反逆罪として処刑され、見せしめとして公に晒される。その恐怖に俺達は抗うのを止め、生き延びる為に淡々と人を殺す機械になるように自ら追い詰めた。

 

人としての矜持を捨て、畜生となった俺達はその後も地獄のような訓練に耐えてきた。時には生き残った子供同士で殺し合いをさせられたが、その時も人としての感情を削ぎ落とす事でどうにか潜り抜ける事が出来た。

 

訓練が終えた後も過酷な任務を強制的に課せられ、捨て駒として扱われる日々、死ぬかと思った事もある。任務の過酷さに心が折れ、裏切りを目論んだ者の排除を任された時もある。助けてくれと命乞いをする者の心臓を貫いた事もある。

 

心がすり減っていく様な日々、しかしそれでも俺が正気を保っていられるのは偏に妹のお陰だった。妹という生きる目的があるために、俺は人を捨てておきながら人でいられる事が出来た。妹がいたから、俺はISを憎むこともなく、今を生きることに執着出来ているんだ。

 

けど、先週から妹の容態は急変という報せが届いた。内戦により感染症を患った妹は満足な治療も受けられずに今も汚いベッドの上で苦しんでいる。

 

このままでは妹が死ぬ。妹を助けるには最新の設備が整った病院と医者が必要だ。その為には多額の金が必要になる。その金を手にいれる為に俺は今回の作戦に自ら志願し、俺と似たような境遇を持つ連中の隊長に任命される事になった。

 

「…………彼処か」

 

指示された目的地に辿り着くと、其処にはただの廃墟があった。端から見れば今にも崩れそうな唯の廃墟、恐る恐る廃墟の中を覗いてみても朽ちた建物の姿があるだけ。

 

しかし俺は確信を持てた。ここにヤツが、白河修司がいる。これまで培ってきた戦いの勘に従い、俺は俺以外の奴を一人選び、残りの三人を周囲の警戒に当たらせ廃墟のなかへ突入した。

 

中はやはり覗いた時と同じ、特に変わった様子は無かった。朽ちたリビング、ひび割れた壁、何度見てもそこは人の気配のない廃屋でしかなかった。

 

だが、俺には分かる。恐ろしく巧妙に作られているが、これは只のフェイク。本来の姿を隠すための隠れ蓑でしかないことを。以前、似たような任務で敵対組織のカモフラージュを見抜いた時と同じだ。壁伝いに手を置いて、白河修司なる男の心理を読み取りながらその場所へ向かって歩くと…………。

 

「ここか」

 

手の感触から伝わってくる感覚、それが他のものとは違うと感じ取った俺は、コンコンとノックする要領で壁を叩き、そして発見する。

 

極めて精巧に作られた一枚の壁、どう見ても汚れにしか思えないその部分に手を翳すと、かちりと音がなり、壁だった所は開かれ、その中から地下へと続く階段が姿を現した。

 

随分大掛かりな仕掛けだと嘆息しつつ、これから待ち受ける罠の事を考えると軽く鬱になりそうだ。これだけの仕掛けを施した男、恐らくはこの先でも相当な規模の罠が待ち受けているに違いない。随伴する部下に突入の意を示すと、俺達は階段を降りていった。

 

──────おかしい。長く続く階段を降りて人工的に作られたとされる通路を歩きながら、俺は今の状況を不信に思っていた。

 

静かすぎる。本来なら侵入者である自分達を亡きものにしようと様々な迎撃システムが自分達に襲い掛かる筈だ。なのに、ここにはそれらしきモノは一つとして存在しない。

 

…………いや、あるにはあった。正直奇抜し過ぎて罠と判断しにくいモノが、一つだけ。ゆっくりと横にある壁に視線を向けると。

 

“修司の部屋は此処から500メートル真っ直ぐ進んだ後右だよ。迷わないように気を付けて(はぁと)”

 

可愛らしい少女の絵がプリントされた張り紙を見て、俺はここから先進むかどうか本気で迷った。

 

これは、新手の心理攻撃なのだろうか? にこにーと微笑んでいる少女の絵を見て俺はどうすればよいか本当に迷った。振り返ると部下の方も混乱しているらしく、張り紙を見て目を点にしている。

 

…………十中八九罠、なのだろう。しかし、この張り紙に書かれている様にこの通路は非常に入り組んでおり、一度迷えば永遠とさ迷うことになりそうな程に混沌としている。

 

成る程、どうやら俺達は既に虎の口の中に入っている様だ。となれば進むしか無いだろう。妹の治療費を稼ぐためにも俺の中には撤退の二文字はなかった。

 

非常に不本意だが、この張り紙の指示に従うしかない。警戒を最大限にしながら通路を進んでいくと…………。

 

“この先を300進んだ先、今度は左だよ。ここまで来たら後少し、頑張れ♪”

 

先程とは違う金髪の少女がチアリーダーの格好をしているプリントだった。…………何だろう。何故侵入している筈の自分達が労いを受けているのだろう。

 

精神的に疲弊を感じながら再び歩き出す。張り紙の指示に従い、次の場所に続くと。

 

“ここまでよく頑張ったね。目的の修司の部屋はこの先真っ直ぐ進んだ先にあるよ!”

 

最後に描かれたプリントにはファイトだよ!と、応援してくる男の絵がプリントされてあった。…………恐らくは白河修司の姿を模したものなのだろう。

 

 

「そこは女の子にしとけよ」

 

思わず口に出てしまったが、後ろに控える部下も似たような心境なのかウンザリした表情をしている。何だか凄く疲れたが、この先に目標であるヤツがいる事に自然と緊張感が高まる。相手はISの生みの親、篠ノ之束の後継者と言われる人物だ。油断は禁物だろう。

 

俺達は気持ちを切り換え、脚に力を込めて一気に通路を駆け抜けていく。張り紙の指示した先には目的の場所と思われる扉があった。

 

先手必勝、そう自身に言い聞かせ、扉を施されているだろうセキリュティごと手榴弾で爆破させた俺は部下と共に破壊された扉の先に侵入し、その先にいる人物に向けて拳銃を突き付ける。

 

「…………シュウジ=シラカワだな」

 

自分の口とは思えない冷たく、機械的な声が出てくる。同時に心が冷えていく。

 

任務の内容は標的の確保、もしくは抹殺。前者は彼の者の技術力を祖国繁栄の為に、後者はこれ以上ドイツに甘い汁を吸わせない為に。

 

自分の利益にならないものはどんな手段を用いてもこれを抹消する。恐ろしく合理的でそして吐き気のする祖国のやり方。

 

だが、そこに個人の感情は介在しない。自分はただ与えられた任務を遂行するのみ。

 

軈て煙りは晴れ、視界が晴れていく。未だ動かない人影に拳銃の引鉄が引き絞られていくと。

 

「随分と乱暴な来客もいたものですね。そんなに慌てなくても御用があれば対応しますのに……」

 

其処には白衣を纏った稀代の天才、広々とした部屋の中央で白河修司が佇んでいた。拳銃を突き付けられているにも関わらず、変わらず笑顔を浮かべ余裕の態度でいる修司。

 

流石トラブルの絶えないIS学園に所属していただけあって胆が据わっている。ある意味予想通りの反応に俺は銃口を奴に向けたまま訊ねた。

 

「Mr.シラカワ、祖国の技術発展の為に我々と来てもらおう」

 

「お断りします」

 

俺の言葉に間髪を容れずに断る奴に合わせ、此方も部下と同時に引鉄を引き絞る。打ち下ろされる撃鉄と吐き出される薬莢、そして撃ち出された銃弾は寸分違わずに奴の眉間と心臓に向かって直進していく。

 

これで自分の任務は達成される。そう思った時、甲高い音が響き渡り、同時に俺と部下の側に何かが当たり、抉れる様な衝撃が伝わってきた。

 

何かと思い視線を向けると、そこには今しがた俺が撃った筈の二つの銃弾が深々と床にめり込んでいた。まさかと思い奴の方へ視線を向ければ、両手で中指を弾いた仕草をしている白河修司がニコニコと、悪戯を成功させた子供の様に笑っている。

 

その姿に俺は戦慄を覚えた。唯の一技術者でしか過ぎない人間が、デコピン一つで銃弾を弾くなんて…………デタラメも良いところである。

 

部下も同じ思いなのか青褪めた表情で目を大きく見開いている。…………化け物だ。目の前の白河修司という男に対する認識を改めた時、背後から複数の気配が近付いてくるのを感じた。

 

振り向けば迷彩服を着用した少年少女達が物々しい雰囲気を纏わせながら部屋へ押し入ってくる。皆マスクを被っているから顔は確認できないが、その体形から察するに俺と同年代、或いは少し下という子供ばかりの集団で、その彼等の腕には外で待機させていた筈の部下達が抱えられていた。

 

「白河先生、外で仲間だと思われる連中の身柄、確保しました」

 

「ご苦労様。と、言いたい所ですが…………ダメじゃないか、そんな危ない事をしちゃ」

 

「ご、ごめんなさい」

 

まとめ役の子供を嗜める修司、するとソイツはマスクを外し、シュウジに向かって頭を下げている。

 

その際に目にしたソイツの顔を見て俺は驚愕に目を見開いた。金髪の長い髪、血の様な眼をしたソイツは確か金色の闇と裏社会に名を轟かせている暗殺のプロ、そんな大物が何故此処にいて且つ奴に従っているのだろうか?

 

他にもマスクを外していく子供達、その全員が以前の任務で殺し合いをしてきた強敵揃いの連中だった。人体改造を施された者、遺伝子操作で人工的に産み出された者、何れもマトモな出自をしていない人間社会の闇の部分によって生み出された者達。そんな奴等が何故揃いも揃って此処にいるのか。

 

混乱する思考、高鳴る心音、自分の命運はこれ迄かと近付いてくる奴の足音にいよいよ覚悟を決めた時、奴は俺の横を素通りし、金色の闇達の所へ向かっていった。

 

「ほら、その子達を下ろして君達も帰りなさい。特にヤミちゃん、君の所には今日お母さんが来る予定でしょ? 早く顔を出してあげなさい」

 

「で、でも…………」

 

「私なら大丈夫さ、彼等と少し話をするだけ。君の時と同じさ」

 

そう言って金色の闇の頭を優しく撫でた後、奴等はペコリと頭を残して部屋を後にした。

 

今、この場にいるのは俺達と奴のみ、しかし奴は俺達を拘束する処か武器すら奪わず、それどころか拘束されていた他の部下達の縄もほどいていく。

 

呆然としている俺達、そんな事お構いなしにシュウジは俺達の前に立ち。

 

「さて、色々君達には訊きたい事があるが、まず最初に訊ねておこう」

 

一体何を聴くつもりなのか。緊張する俺達を前に奴は手を差し出し…………。

 

「私と…………友達にならないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?月?日

 

ヤッハロー! 皆元気ー? 俺? メチャメチャ元気ー!

 

…………久し振りの日記に思わずテンションが上がってしまった。しかし、文字で感情表現しないと今一ヤル気を出せないとか、何だか最近変な癖が付いてきたな、俺。

 

まぁそれは兎も角。現在ドイツの国境付近、ロジャー氏のご厚意で地下基地を建設することを許された自分は宇宙航空艦作成に励む毎日を送っている。

 

思いきっての長期休職、当時は十蔵さんに怒られるかもと思ったのだけど、思いの外アッサリと休職届けは受諾された。織斑先生も頑張れと応援してきたし、山田先生からは満面の笑顔で見送られたりもした。

 

そんな経緯があって地元の人であるラウラちゃんと共にやってきたドイツ。最初は土堀から始まったこの作業、ロジャー氏に要請してもらい受けたスコップを片手に一通りの深さを掘った自分は再びオートマトンを作成し、皆と共に作業に取り掛かった。

 

以前造り上げたタンポポ達(娘達)のデータを基に造った今回のオートマトンはとても働き者で自分が別件で離れている合間も休みなしで働いてくれている。

 

そんな彼等のお陰で出来た新しい基地、そこで改めて宇宙航空艦の作成に手を出したのだが…………如何せん、手が足りない。航空艦の基盤となるモノは幸いグランゾンのデータベースに残されているから資料という点では事足りる。

 

だが、今回自分が手を出そうとしているのは人類の方舟とも言える宇宙航空艦だ。人手が足りなくて完成には至らないとあっては土地を貸してくれたロジャー氏に対して申し訳ない。

 

本音を言えば何人かISの技術者に依頼を出したかったのだけれど、日々ISの研究に勤しんでいるドイツの技術者の手を借りようとするのは如何なものかと思いこれを諦め、じゃあISの知識に詳しい者、即ちIS操縦者である人達に協力をと思い再びドイツ政府に依頼した。

 

が、これも先の技術者と似たような内容で却下になっている。…………まぁ、仕方ないよね。その国にとっては国防の要とも言えるIS操縦者を貸して欲しいとか、流石に通る筈もなかった。

 

唯でさえロジャー氏には色々貸しがある。これ以上彼に負担を掛けまいと思い、ドイツの話を受け入れた。

 

しかしそれが原因で唯一協力的だったラウラちゃんは自分の手伝いと自身の仕事に疲弊し、倒れてしまった。本人は大丈夫と言っていたが、年頃の女の子にこれ以上無理をさせる訳にも行かず、ラウラちゃんは暫くの間病院で療養してもらう事にした。

 

積極的に手伝ってくれたラウラちゃんがいなくなり、本格的に人手不足に頭を悩ませた頃、ある情報がドイツ政府の情報局から俺の耳に入ってきた。

 

何でも近隣諸国、特に中東方面では最近自分を手にいれようと色々画策しているらしいのだ。何とも、こんなしがない技術者一人にご苦労な事だと思いながらも自分はある画期的な提案を思い付く。

 

名付けて、“手が足りないなら他から手を貸してもらう作戦”その名の通り、自分を狙いを付けている国に対してワザと情報を流し、自分の所に来てもらうという内容である。

 

IS関連の技術は別に流れても構わない。寧ろ男女平等にISを扱える様にするにはそれくらい広まってくれないと実現できない可能性が最近出てきた為、自分としては技術を取りに来てもらうのはウェルカムなのである。来てくれる代わりに此方の手伝いをしてくれるというのなら自分としては別に構わない。

 

それに、自分の技術でその国の、国民の人達の生活の糧に繋がるのならそんなに悪い気はしない。それに自分の技術を以て、更なる発見とか成し遂げてくれるのなら、此方としても張り合いが出てくるというものだ。

 

 

そんな訳で上記の事をロジャー氏に伝えると、何故か『君は実にクレイジーだな!』と大笑いされた。笑われるのは不本意だが怒らせて折角の案を却下されるよりはマシかと思い口には出さなかった。

 

そしてドイツ政府協力の下で他国の侵入者達の誘導を始めた。一体どんな人達が来るのだろうかと気分は面接官な俺は次に訪れる侵入者達を待った。

 

けど、待っていたのは自分とは全く違う現実だった。情報に煽られてやってくる侵入者、それら全てが年端もいかない子供だった時は流石の自分も驚きを隠せなかった。時には真っ先に襲ってくる子もいたが…………まぁ、それはそれで体が鈍らない程度に相手をしたから別に良い。

 

で、その後子供達の相手を終えた自分は事情を訊ねた。内容は…………まぁ、その国らしい厄介な問題を抱えたモノばかりで、それ自体は多元世界の頃から聞き慣れたモノだった。

 

任務を失敗した事により国に戻る事もできない子供達、そんな彼等を事の発端である自分が責任を取る形でどうにかする事にした。

 

有り体に言えば…………教育である。今まで軍事的能力しか養って来なかった子供達を本当の意味で独り立ち出来る様に、自分は彼らに一通りの教育を施す事にした。

 

といっても、教えるのは精々語学力や家庭科程度で後は適当に遊んだりするだけなんだけどね。俺教育免許なんてもってないし。

 

幸い侵入してきた子は皆賢くて素直な良い子ばかりで、特に問題らしい問題は起きなかったから、此方としては有り難かったけどね。中には自分の手伝いをしたいと積極的な子もいるし、自分のやってる事に興味を持った子なんかは子供ながら理解し、これが結構役立ったりしている。

 

少し予定と異なったがお陰で艦の製作は順調、やはり子供というのは凄い可能性を持っているんだと改めて思った。これならいつか国に帰っても大丈夫だなと思ったが、子供達は何故か帰りたくないと言い張ってしまっている。

 

まぁ、その国で受けた仕打ちの事を考えれば解らなくもないが、問題はそんな彼等の今後だ。幾ら任務失敗で死亡者扱いを受けても、彼等がその後狙われる可能性は全く無いとは言えない。

 

ここまで関わった以上何とかしてやるのが引き受けた俺なりの責任の取り方…………なのだと思う。ロジャー氏にも相談したが、やはり自分で考えるべきだと言われてしまう。その際に出来ることがあれば協力するという確約も得られたからいいが…………。

 

そんな風に悩んでいた時、つまり今日やって来た侵入者の子供達によって俺の腹は決まった。子供達を教育し、且つ安全を保証され、そして自分の研究に役立てる場所。

 

その名もIS学園、日本に続く第二のIS学園の設立計画書を今日、IS委員会に提出した。

 

これからまた忙しくなるぞ。多忙になる日々に不安を覚えると同時に高揚感を覚える俺だった。

 

 

 

 

PS.

 

今回侵入してきた子供達、その隊長の妹は後日自分の研究所に連れてきて即GN粒子に漬からせました。

 

擬似ではなく本物の太陽炉、その力は既にマドカちゃんで立証済み。軍事的ではなく医療からその存在を知らしめる事にしたGN粒子。イオリアさんが聞いたら怒るかな?

 

まぁ、その時は彼女の笑顔に免じて許してもらおう。流石のイオリアさんも幼女の笑顔を前では怒ることは出来ないだろうから。

 

ですから、どうか化けて出てこないでね。

 




今回出てきたヤミちゃん。もしかしたら今後ちょくちょく出てくるかもしれません。
この作品に出てくる彼女は母親である彼女と共に日々を穏やかに過ごしております。

Q.基地の拡張にどれくらい掛かったの?
A.基地製作を月、火星で経験して“しまった”為、一月も掛かっておりません。

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