『G』の異世界漂流日記   作:アゴン

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天獄篇PV第2弾遂に登場!

発売まで一ヶ月を切り、楽しみも増してきた今日この頃。
早くノノたんに会いたいハスハス




その15

アルゼナル近海、国際救助艦隊旗艦エンペラージュリオ1世。艦隊の中央部分に位置する巨大強襲揚陸艦のブリッジ、そこには神聖ミスルギ皇国の皇帝、ジュリオ=斑鳩=ミスルギが愉悦な笑みを見せて目の前に浮かぶ孤島アルゼナルを見つめていた。

 

「フフフ、漸くこの時が来たか。目障りなノーマ達を駆逐するこの時が。待ってろよアンジュリーゼ、もうすぐお前の首を落としてやるからな」

 

皇国で起こったアンジュリーゼの処刑失敗の事件。これによりミスルギ皇国の皇族達の威厳はますます地の底へと転落し、世界に対する発言力を失ってしまった。何とかしなくてはと内心焦るジュリオは、とある会議において自身の汚名を返上できる切っ掛けを得ることになる。

 

“今の世界を壊し、新しい世界を創造する” 自ら憧れるエンブリヲの言葉に感銘を受けた彼はそこで行われていた国家間の会議に自らその先兵になると名乗りを上げる。

 

今の世界を壊す。それは即ちノーマ達の存在を抹消する事だと信じて疑わないジュリオはすぐさまアルゼナルに向かう為の艦隊を編成する。選りすぐりの人員と艦、無数の無人機を搭載したこの艦隊に死角はない。今すぐにでも消してやりたい衝動を抑えながらアルゼナルの反応を見ていた時。

 

「アルゼナル、応答ありません」

 

「対空兵器の起動を確認しました!」

 

「ふん、野蛮な猿共め、此方が平和的に解決してやろうと言うのに……愚かな事を」

 

そう口にするジュリオの表情は先よりも深く、そして歪んでいた。アンジュリーゼと蒼のカリスマ、二つの存在に己の自尊心を深く抉られている彼の目には最早自身の汚名を返上する為の手柄しか映っていない。

 

哀れな。彼の隣に控えるリザーディアは自らの目的の為に利用してきたとはいえ、自ら貶めている事にも気付いていないジュリオに憐れみの視線を送っていた。

 

そんな彼女の視線にも気付かず、ジュリオは艦隊に命じる。人類に対して反逆行為を行うノーマ達を粛正せよ、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「も、申し訳ありませんカリスマ様! 私、何とお詫びを申したらいいのか……!!」

 

「いえ、アレは仕方のない事です。モモカさんに非はありませんよ」

 

 アルゼナル食堂、ノーマ達が食事を摂取する際に使われる開けた空間。エンブリヲがいなくなった事で静まり返っていた空間にアンジュの筆頭侍女であるモモカの咽び泣く声が響く。

 

そんな彼女に非はないと自分なりのフォローを口にする蒼のカリスマことシュウジは現在ヒルダの手によって応急処置を受けていた。

 

「これで、一応止血は出来たけど、あんま無茶な事すんなよ。アタシの応急処置は所詮治療班の真似事だ。あのエンブリヲって化け物とやり合った時の様な滅茶苦茶な動きするとあっという間に傷が開くからな」

 

「えぇ、心得ていますよ。ありがとうございますヒルダさん。治療してくれて感謝します」

 

意識を失ったモモカによって負傷したシュウジ、幸い咄嗟に“内臓上げ”という秘技を用いて臓器の損傷は回避した為、致命傷は受けていない。唯一問題だった出血もヒルダの手によって食い止められた為、シュウジの生命活動には何の支障ももたらされていない。

 

しかし、それでもやられた事に変わりない。まだ年端のいかない少女の意識を奪うエンブリヲのやり方に憤りを感じるシュウジだが、今は怒りに身を任せる時ではない。自分の治療が済んだ事で今まで黙っていたアンジュが口を開いた。

 

「ねぇ、そろそろ教えてくれない? あのいけ好かないナルシストの事、何の目的でここに乗り込んで来たの? それに、一体モモカに何をしたっていうのよ!」

 

怒りを滲ませた表情で問い詰めてくるアンジュにシュウジは素直に答えた。最早奴はノーマやサラマンディーネ達だけの敵ではない。多くの人にエンブリヲに関する情報を共有して貰う意味も含めて、シュウジは三人に事情を説明した。

 

「アンジュさんの言うナルシスト、恐らく……いや、間違いなく奴こそがエンブリヲと呼ばれる存在です。目的は私を、より正確に言えばグランゾンを狙った行動かと思われます」

 

「アイツが、エンブリヲ!?」

 

「この世界を造り、ノーマを追いやった張本人!」

 

「しかも、奴は恐らく時間や空間といった事象に干渉出来る力を有している。そしてこれは推測ですが、奴はマナを扱える全ての人間を支配下に置けるのだと私は考えます」

 

「っ!?」

 

「そんな、嘘でしょう?」

 

「残念ながら、ほぼ間違いないでしょう。事実、彼女が私を背後から刺した時、彼女に意識や意志を感じる事はありませんでしたので」

 

シュウジの口から出てくる最後の言葉にアンジュとモモカは驚愕に目を見開く。特にモモカに至っては誰とも知らない人間に好き勝手操られ、人を刺してしまった事に酷く怯えてしまっている。

 

しかもエンブリヲのあの様子ではいつどんな時でも人間達を操れると言った風な態度を取っていた。恐らくはそれも事実なのだろう。またいつ操られるか分からないモモカは自分の意識が他人によって乗っ取られる恐怖に苛まれてしまう。

 

「アンジュリーゼ様、私、私は……」

 

「大丈夫よモモカ、アナタは私が守るから」

 

怯えた様子で自身を抱き留めるモモカにアンジュが抱き包む。自分の侍女は私が守る。そう自分に言い聞かせるアンジュと彼女の温もりに包まれて少しばかり安心した表情を見せるモモカ、抱き合う二人に何か思う所があるのか、シュウジは一瞬思案すると、脳内で再びある仮説を立てた。

 

「……モモカさん。怯えさせてしまった所申し訳ありませんが、今は何ともないのですか?」

 

「え? あ、はい。アンジュリーゼ様のお陰で……何とか落ち着きました」

 

「ノーマ……成る程、となると何故エンブリヲがノーマを隔離しようとしたのか、少しばかり理解できますね」

 

「おい、何一人で納得してんだよ。なにか知ってんなら教えろよ」

 

一体何に気付いたのか、一人でうんうんと唸るシュウジにヒルダが問いただす。

 

「あぁ、いえ。そんな難しい話ではありません。モモカさんの言うとおり、今彼女が正気を保っていられるのは他ならぬアンジュさんのお陰という事ですよ」

 

「あ、あぁ?」

 

「マナという高度情報ネットワークによって構築された社会。そのマナは人の思考……つまりは脳にまで干渉を受け、他者と意志疎通し、物を浮かせたり、情報を共有し合ったりしている。ここまでは知っていますね?」

 

「え、えぇ……」

 

「そしてあのエンブリヲにはそのマナを全て扱える術を持っている。彼の手によってノーマは絶対の悪として刷り込み……つまり、意識への意図的な介入が出来るという事、これらを使い奴はこの世界の人間達を自分の言う事に絶対服従な人形に仕立てあげたのです」

 

「そんな……そんな事って」

 

「それが本当なら、マジで洒落にならないクソ野郎だな」

 

あくまでこれらはシュウジの憶測による推論でしかない。だが、実際にモモカが操られた所を見たアンジュとヒルダとしては信じたくなくても受け入れるしかない現実だった。

 

「ですが、そんな奴にも誤算が生じた。それが……」

 

「私、ノーマって事ね」

 

「そう。マナを拒絶し、マナを破壊してしまうアナタ達の存在はエンブリヲにとっても予想外だった。マナによる思考ネットワークを介しての支配が出来ない以上、奴にとっては不都合な存在。故にノーマは反社会の化け物とか色々尾鰭を付けてアナタ達を外界から隔離し、ドラゴン達と闘わせる先兵に仕立て上げた」

 

「……つまり、幾らエンブリヲがモモカを操ろうとしても私が側にいる限り、モモカはあのナルシストの言いなりにはならないって事ね」

 

「多分、そうなのでしょう。その証拠に彼女はアナタに触れた途端正気を取り戻しました。より綿密に言えば頭に触れた時、マナとの接続が一時的に途切れた事によりエンブリヲの支配から逃れたのだと思います」

 

「じゃ、じゃあ私、アンジュリーゼ様のお側にいても大丈夫なのですね!?」

 

「けれど、常にモモカさんの頭にアンジュさんが触れている訳にもいかないでしょう。その辺は次にエンブリヲと見える間での課題として、今はこれからどうするか考える事から始めましょう」

 

 今、ノーマ管理委員会と名乗る組織が艦隊を率いてすぐそこまで来ている。何故このタイミングで来るのかは不明だが、去り際のエンブリヲの様子を察するにどうやらただ救助しにきたという訳ではないのだろう。

 

嫌な予感がする。エンブリヲが第二劇の幕を上げるという言葉も気になるし、意外と奴との再戦は近いかもしれない。

 

「お、おい。まだ動いちゃダメだっ───!?」

 

立ち上がろうとするシュウジにヒルダが待ったを掛けた瞬間、爆発音がアルゼナル全体に響いたと同時に衝撃がシュウジ達を襲った。突然の攻撃に驚く彼等は駆け足で食堂のテラスへ出ると、そこには空を覆う程のミサイル群が艦隊から放たれる様子が目に入って来た。

 

救助艦隊と言っておきながらの攻撃、連中からの初撃によって殺されるノーマ達、人間達からの理不尽な攻撃によりアルゼナルの屋外の大地は瞬く間に燃やされてしまう。

 

 その光景を目の当たりにしたシュウジは嘗てのリモネシアを思い出す。何の理由もなく、ただ自分をおびき寄せる為にリモネシアを焼いた連邦軍、あの日の出来事と被ってしまうアルゼナルの状況にシュウジは仮面の奥で歯を食いしばる。

 

「二人とも、モモカさんを連れて今すぐここから離れて下さい。彼等の相手は……私がします」

 

「ちょ、おい。一人でアイツ等と戦う気かよ」

 

「その方が色々都合が良いのですよ。私の愛機は多対一に特化した殲滅型、中途半端に編成を組もうものなら、最悪互いの足を引っ張る事になります。……それに、連中の目的は恐らくノーマの殲滅にあります。今頃は突入部隊が水中からアルゼナルに攻めようとしていると思われます」

 こういう手合いの奴らは外からだけでなく内側からも攻めてくる。武装した突入部隊がノーマの殲滅の為に動いているのだとしたら、まずは自衛の手段の無い子供達を狙う筈、つくづく苛つく連中だと内心で零しながらも、シュウジは平静を装ってアンジュ達に指示を出す。

 

「アンジュさんとヒルダさんは自分の部隊の人達と合流次第アルゼナル内に侵入してくる部隊の迎撃、モモカさんは出来るだけアンジュさんから離れないようにして下さい」

 

「……そう、ね。悔しいけど今はそれしかないみたいね」

 

「アンジュリーゼ様……」

 

本来なら自分も好き勝手やってくれたエンブリヲに報復してやりたい所だが、モモカという大切な従者が事実上の人質として取られている以上無理する事は出来ない。渋々といった表情で納得するアンジュに対し、ヒルダは彼の提案を断った。

 

「アタシは行くよ。創造主だがなんだか知らないが、アイツの所為でアタシ等はノーマなんて呼ばれて蔑まれて来たんだ。あのナルシストの顔面に拳を入れてやらなきゃ気が済まないよ」

 

瞳に憎悪の炎をたぎらせるヒルダ、自分の境遇の元凶が全てエンブリヲにあると知って感情を振り切らせているのだろう。

 

ノーマを差別対象とさせ、人間の社会から追放、最愛の母と無理矢理に決別させられ、その母からもノーマというだけで拒絶された。居場所も信じていたモノも、皆全て一人の男の都合によって奪われた。

 

彼女の抱いている憎しみの強さは自分では到底推し量れない。けれど、彼女の境遇を知る者としてシュウジは彼女に思い留まって欲しい為に敢えて彼女の行動に口を挟んだ。

 

「……ヒルダちゃん。君のその感情は正しい。君のその考えはきっと間違ってはいない。けどさ、今の君には何もないという訳じゃないんだろ?」

 

「な、何がだよ」

 

「ロザリーちゃんとクリスちゃん……だっけ? あの二人は友達なんだろ? だったら、今は彼女達の為にすぐにでも駆けつけてあげるべきなんじゃないかな」

 

「っ!」

 

シュウジの口から聞かされる友達という言葉、11年も昔にアルゼナルに連れてこられ、過酷な環境の中で出来た友達。

 

最初は……いや、つい最近まで友達と思っていなかった。いつかここから飛び出す為の手段の一つとしてしか見ていなかった彼女達、だが、母から拒絶され、アルゼナルに戻り、反省房のなかでうずくまっていた自分に二人は声を掛けてくれた。

 

当然、二人とも自分の事を裏切り者だと思っていた事だろう。けれど、目の前の男から言われた事を思い出し、思い切って事情を話してみたら……。

 

『そっか、お母さんに会いたかったのか。……なら仕方ねぇよな』

 

ロザリーからそう言われた時、思わず目を見開いた。裏切り者である自分を仕方ないと言って許してくれた彼女にこの時のヒルダは信じられなかった。

 

『ロザリー、それ、本気で言ってるの? この女は私達を裏切ったんだよ!』

 

『けどさ、それは別にアタシ等の事が嫌いだからって訳じゃないんだろ? アタシには親なんてのがいないから分からないけどヒルダにはそれがあった。それだけの理由でここから飛び出しちまう位の気持ちがずっとコイツの中にはあったんだ』

 

だから仕方ないと、利用されていた事も理解した上で少し寂しそうに笑うロザリーを見て、ヒルダは思った。二度と彼女達を裏切る様な事はしないと。その後もクリスとの仲を取り持ってくれたロザリーに心の内で精一杯の感謝の言葉が溢れ出した。

 

普段は何も考えていないバカな女、誰かに寄生して媚び売っておかないと生きていけない小心者。と、そんな風に自分がロザリーの事を分かっていた様にロザリーもまた自分の事を分かっていてくれた。

 

それがどんなに嬉しい事なのか、ノーマとして差別され続けてきた彼女が中で得たものはこれまでのどんなモノよりも儚く、尊い。

 

その事を思い出したヒルダは、アンジュ同様渋った表情でシュウジの指示を受け入れた。

 

「……分かったよ。言うとおりにする」

 

「ん、ありがとう。……気を付けてね」

 

「うっさい。てか、頭撫でんな」

 

いつの間にかヒルダの頭に乗せられていた掌、ゴツゴツしながらも暖かい温もりに浸っていた事を今更知ったヒルダは頬を朱に染めながらシュウジの手を払いのける。

 

「じゃ、アタシ等行くから、アンタも精々気を付けなさいよ。ほら、痛姫とメイド、行くわよ」

 

「……ねぇ、ヒルダ。アンタってもしかしてマザコンだけじゃなくてブラコンの気もあったの?」

 

「あぁ!? いきなり喧嘩売ってんのかテメェ!?」

 

「お、お二人とも落ち着いて~!」

 

 ギャーギャーと騒ぎ立てながら食堂を後にする三人、そんな彼女達を見送って少しばかり落ち着いたシュウジは再びテラスへと戻り、相変わらず攻撃を続けている艦隊をにらみつけ──。

 

「────こい、グランゾン」

 

重力の底に眠る己が愛機を呼び寄せるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「各艦ピレスロイドを射出、メイルライダーの確保に移ります」

 

「いいか、第一目標はヴィルキス第二目標はアンジュリーゼ、そこの所間違えるなよ」

 

ノーマの掃討作戦を開始して五分、自身の名を冠した旗艦のブリッジでジュリオ皇帝はほくそ笑む。忌々しいノーマを大手を振って殲滅出来る切っ掛けを喜びに震え、苦渋を舐めさせた実の妹に復讐出来る口実を得られた事に歓喜していた。

 

他のノーマもついでとばかりに皆殺しにする。目の前で焼かれるアルゼナルを前にジュリオは一切の罪悪感を感じないまま、妹だったアンジュリーゼの捕縛の結果を待つ。

 

直情的な妹だ。すぐに我慢できずに出てくるだろうとたかをくくった時、ブリッジのオペレーターから不穏な報せが届く。

 

「レーダーに高エネルギー反応あり! ……なんだこの大きさは、パラメイルの比じゃないぞ!」

 

「………何だと?」

 

上空か開かれる黒い空間、シンギュラーポイントとは違う穿たれた空間から現れるのは深く禍々しい蒼き魔神だった。

 

天空から現れる蒼き魔神、人の形を模した巨大なソレを前に艦隊は一瞬静かになる。あまりにも異質な存在の登場に艦隊の全体に動揺が広がっていく。このままでは拙いと判断したジュリオは既に危機を察して艦から逃げ延びたリィザに気付かず、魔神に向けて攻撃を命じる。

 

「な、何をしている! さっさとアレを撃ち落とさないか!」

 

「しかし陛下、あの機体にはこれまでのデータに記載されていません。ここは一度下がり体勢を整えた方が……」

 

「たかが一機に何を臆しているか! 既に賽は投げられたのだぞ!」

 

そう、ジュリオ皇帝が言うように既に賽は投げられた。新たに世界を創り直す。その大望を叶える為に自ら先兵になるよう決意した彼に最早後退の文字はない。もしここで退いてしまったら、皇室の威厳は地に落ち、皇族である自分に民衆は付いてこなくなる。

 

己の名誉の回復の為に発動させた今回の作戦、たかがイレギュラーが一機増えた所で止める訳にはいかなかった。

 

「良いから撃て! 撃って撃って撃ちまくってあの機体ごとアルゼナルを撃ち落とせ! ピレスロイドも向かわせろ!」

 

「りょ、了解しました」

 

追い詰められたジュリオの剣幕に圧され、艦隊の一斉砲撃の指示が各艦に伝達される。その旨が伝わった艦隊はたった一機の魔神に向け、全てのミサイル、弾幕を放つ。

 

向けられるミサイルの雨、面となって押し寄せる弾丸、更には四方から無数のピレスロイドが魔神に向かってくる。嘗て無い波状攻撃、逃げ場を失った魔神にジュリオが歪んだ笑みを浮かべた時。

 

『ワームスマッシャー』

 

瞬間、魔神に向けて放たれたそれら全てが閃光の槍によって刺し貫かれた。爆発するミサイル、爆発によって巻き込まれる弾丸、空を縦横無尽に掛けていたピレスロイドの全てが一瞬にして撃破される。

 

その有り様にジュリオだけでなくアルゼナルにいるサラマンディーネやジル、全員が唖然となっていた。

 

静まり返る戦場、再び沈黙が蔓延し始めた時、宙に佇んでいた魔神が動き出す。

 

『この武器は空間と時間、全てを歪曲し、破壊する。───さぁ、覚悟はできたか?』

 

“ディストリオン……ブレイク!”

 

開かれた魔神から放たれる一筋の閃光、それが幾重にも重なったワームホールを通過した時、光は極大のレーザーとなって艦隊を貫く。

 

魔神の放ったその一撃は空と海、更には地表すら抉り取り、艦隊を呑み込み消し飛ばしてしまった。

 

神聖ミスルギ皇国ジュリオ1世。世界に己の力と権力を示すはずだった男は断末魔の叫びすらあげられずに光へと呑まれ。

 

艦隊のあった場所に巨大な光の柱が天を貫いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まさか主人公を気遣った反応が一件もない事に私自身笑いが止まりません。
コレがボッチの定めか……。

前書きでも書きましたが天獄篇のPV2を見て少しばかりテンションが高くってしまい、本編の方に少し書いてみようかと思っています。


PS
ロザリーって個人的に好きなキャラですので、今回少しばかり贔屓してるかもです。
PSのPS
リザーディアさんは巻き込まれておりません。精々尻尾に焦げ目が付いた位ですのでご安心を

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