『G』の異世界漂流日記   作:アゴン

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今回、遂にグランゾンが出ます。
ちょっぴりだけですが。




その7

β月Y日

 

 ラウラちゃんの過激な高校デビューから数日、自分が額に受けた傷は癒え、万全の状態となった。そして、タッグトーナメントを間近に控えた今日、遂に簪ちゃんの打鉄弐式が完成した。

 

自分も少し手助けをしたとはいえ、自分の力で成し遂げた専用機の完成を前に簪ちゃんは目に涙を浮かべてまで喜んでいた。

 

勿論、自分もこれには大いに喜んだ。これまで何度も挫折し、苦しい思いをしてきた簪ちゃんが漸くそれらから解放されたのだ。これまで簪ちゃんは姉を見返す為の土台すら無いと嘆いていたが、これで晴れて一歩前進したというのだから。

 

後はタッグトーナメントまで試験運用と調整を繰り返し、丹念に仕上げるのみ。完成した打鉄弐式に乗って空を舞う彼女の姿は……とても眩しく見えた。織斑先生も整備室から出て来て明るい表情となった簪ちゃんを見て、どこか嬉しそうに笑っていた。

 

 因みに、自分がした手助けというのは大きく分けて三つ。打鉄弐式の安全性の向上と、運動性能の改善、並びに火力の向上だった。

 

まずは打鉄弐式の最大武装である“山嵐”複数の敵をロックするマルチロックオン・システムを搭載した武装なのだが、これは比較的簡単にクリア出来た。グランゾンに蓄積されたZEXISの戦闘データにはフリーダムの他にマルチロックオン・システムを搭載した機体が幾つも存在している。

 

例えばアルト君やオズマさん達の乗るバルキリー、YFシリーズもミサイル発射の際には目視による多数ロックを掛けている。他にもヘビーアームズ改のフルオープンアタックのモーションパターンも参考にしたし、その気になれば前面に対して大きな制圧力を誇る事になる。

 

他にも背中に搭載された二門の荷電粒子砲“春雷”も連射機能だけでなく、収束や圧縮も可能なので火力面もアップさせている。

 

欲を言えば背中の荷電粒子砲はダブルエックスのツインサテライトにしたかったのだが……流石に今の自分には短期間で造れないのでボツとなった。

 

そもそも、サテライトキャノンは月にマイクロウェーブの発生装置を設置しないといけないから、どちらにしても無理な代物だが……いや、エネルギー供給をGNドライブに置き換えればいける……のか? まぁそれはさておいて。

 

最後は近接戦闘の武装“夢現”これは対複合装甲用に開発された武装で、造型は薙刀とされている。複合装甲に対して有効な攻撃手段とされなければいけない為、超振動により切断能力を上げなければならないのだが、当然ZEXISにはこれに関するデータも存在している。

 

“エクシア”破界事変の頃に刹那君が搭乗していたガンダムで、メイン武装たるGNソードは対ガンダム戦を想定したモノで、その切れ味は折り紙付きであり、再世戦争の時も発展武装としてダブルオーに搭載されていた。

 

これにより火力面の問題は解消されたが、安全性が向上した訳ではない。この頃はまだ時間的猶予も残されていたので用務員の仕事がお休みの合間は外出届けを出して自分はある所に出張っていた。

 

そのある場所というのが──宇宙。地球から一時離れ、自分はグランゾンと共に宇宙へと出掛けていた。

 

流石に人に見られては拙いので、ワームホールで一気に跳躍した自分は地球から最も近いとされる惑星、火星へと赴いた。

 

簪ちゃんの安全性を高めるに必要な素材は地球では手に入らないので、ワザワザ宇宙へと赴いたのだが……いやー、これを開発したコロニーの博士達は紛れもなく天才だね。以前ZEXISでガンダムの整備の時に調べてなかったらとてもじゃないけど精製は不可能だったよ。

 

 打鉄弐式の安全と防御面を底上げに使用した素材、その名も“ガンダニュウム合金”宇宙環境でしか精製出来ない特殊合金。トレーズさんの駆ったトールギスⅡにも使用されたこの宇宙合金は宇宙という特殊環境でしか精製できず、尚且つ重力変化によって造られるので製造するのは容易ではない。

 

その為にグランゾンを駆り出し、宇宙に出張ってきた訳だが……いやー疲れた。試しに火星の鉱石で精製を開始したのだけれど、これがもう滅茶シンドイ。ちょっとでも出力を間違えれば簡単に圧壊してしまうし、かといって下手に抑えてしまえば合金は合金の素材として成り立たない出来損ないになってしまう。

 

データや精製方法は分かっているのに、完成までに至る道のりがかなり遠い。しかも太陽の電磁波の影響も常にチェックしながら作業をしなければいけないので精神的にもキツいものがある。

 

本当なら余裕があれば一夏君の分まで造っておこうかなと思っていたが……流石に時間が無くてそこまで用意する余裕がなかった。

 

けれど、丸一日費やしただけあってガンダニュウム合金は会心の出来映えとなった。軽く、それでいて耐久力も高いガンダニュウム合金は打鉄弐式のコアに適合し、更に出力の向上も確認できた。

 

この合金のお陰で出力も安定し、打鉄弐式に搭載された全武装も問題なく使用出来るようになり、強く、速く、堅い、三拍子揃った機体が完成した。

 

あくまでIS基準に設定してある為、出力は抑えているけれど、それでも現時点でISとしての性能はこの時点で他の第三世代の機体性能を大きく上回る出来映えだ。それにリミッターを外し、ISとしての本領を発揮すれば単独で大気圏を突破、突入が可能となる。ガンダニュウム合金の性能も十二分に発揮され、出力も更に向上し、安定する。

 

その際には全身装甲の開発も視野に入れなければならないのだが……まぁ、今は横に置いてもいいだろう。

 

ともあれ、これで打鉄弐式は完成した。近い内に自分のプレゼントも完成するし、その頃には簪ちゃんも自分の機体に馴れ始める事だろう。

 

簪ちゃんは自分に感謝をしていたが、自分はそれを丁重に断った。自分がした事は簪ちゃんの手助けをし、少しばかり後押しをしただけだ。実際システムの殆どは簪ちゃんが組み上げたもので、自分はそこに不具合が出た時、横から口を出した程度だ。

 

ガンダニュウム合金に関しては……まぁ、自分がはっちゃけた結果なのでノーカンの方向で。

 

兎も角、これで下地は出来た。後は簪ちゃん自身の問題だ。お姉さんを越える為にヒーローになるのか、お姉さんに負けてヒーローに憧れるだけなのか、それはこれからの彼女次第だ。

 

尤も、それは彼女の表情を見れば一目瞭然なのだが……一夏君といい、簪ちゃんといい、若い子は一皮剥けるのが早く、そして頼もしい。

 

彼らの取り巻く環境は未だに大変だが、それでも頑張って欲しいと思う。

 

 あぁ、でももう少しISを弄ってみたかったなぁ。グランゾンに蓄積されたZEXISのデータを見ていると、男の子の心がムズムズするぜぃ。

 

ツインバスターとかサドンインパクトとか、GNドライブとかくっつけてみたかったなぁ。

 

 GNドライブは無理か。あれ木星でないと精製できないし。流石に散歩気分で行ける距離じゃない。ネオになれば楽に行けるけど……いや、やっぱりやめておこう。

 

あれってトロポジカルディフェクトとか、色々条件が揃ってないと造れない代物だし、まだそこまで細かな作業は自分には出来ない。

 

 

 

β月T日

 

 例の問題児、ラウラちゃんがまたもやらかしてしまった。

 

今日の放課後、その日最後の仕事としてアリーナの清掃をしていると、鈴音ちゃんとセシリアちゃんがラウラちゃんにボコボコにされている所に遭遇してしまった。

 

二対一という不利の状況の中でああも圧倒的に立ち回れるその技量は見事なものだが、それにしても彼女はやりすぎた。鈴音ちゃんとセシリアちゃんのISはボロボロになり、シールドエネルギーがゼロになってもラウラちゃんは二人に攻撃を加え続けた。

 

このままでは絶対防御もその機能を停止し、最悪命の危険性が出てくる。すぐさま戦闘を中止させようと呼び掛けたが……それよりも早く、一夏君がアリーナの遮断フィールドを破り、ラウラちゃんの所へ突貫していった。

 

彼にとって二人は大事な友人であり、ISについて教えてくれる師匠の様なものだ。そんな二人が傷つけられ、命の危機にまで及ぶとあっては、流石に黙っていられなかったのだろう。

 

鬼気迫る勢いで切りかかる一夏君だが、ラウラちゃんのISに搭載された特殊機能によって防がれる。その後はシャルル君の手助けもあってセシリアちゃんと鈴音ちゃんは大事なく、ラウラちゃんの方も駆けつけた織斑先生によって止められ、互いにタッグトーナメント戦までアリーナの使用を禁じた事によってその場は一応の幕を引く事になった。

 

織斑先生はアリーナのフィールドを破った一夏君に何らかの罰を負わせようとしていたが、自分が事情を話す事で何とか納得してもらい、一夏君へのペナルティーは無いものとしてくれた。

 

それよりも注意をしなくてはならないのはラウラちゃんだ。どんな理由があれ、二人の生徒を命に危機に瀕するまで追い詰めたのはどう考えてもやりすぎだ。元教え子だろうとなんだろうと、そのあたりはしっかりケジメを付けなくてはならないと思う。と、気が付いたらそんな事を口にしていた。

 

……今にして思えば、流石にあれは言い過ぎたよなぁ。幾らその場に居合わせた人間の一人とはいえ、明らかに用務員の役割から逸脱した言い方だったから、言い放った瞬間クビを覚悟したものだ。

 

幸い織斑先生は自分の発言に驚きはしたものの、その後は自分の言い分を快く受け入れ、ラウラちゃんに厳しく言っておくと言ってくれた。

 

十蔵さんからもあの織斑先生に文句を言いきった事を賞賛してくれたが……自分としては冷や汗ものだった為、あまり喜ぶ事は出来なかった。

 

それにしてもラウラちゃんか……この分だと次のタッグトーナメント戦でも一波乱ありそうだな。

 

因みに、今回のアリーナの使用禁止で一番割を食ったのは簪ちゃんだった。アリーナが使えないことにむくれる彼女を宥めるのに苦労したと追記しておく。

 

 

 

β月J日

 

 今日は、一夏君と織斑先生に恥ずかしい所を見せてしまった。以前言っていた自分を鍛え直すと言っていた自分は、早朝……まだ朝日が昇っていない時間帯で学園の近くにある海岸にまで足を運んでいた。

 

そこで行った鍛錬法は……錬気、つまりは気を練り上げて肉体の調子を整えるモノだ。詳しい説明は省いて簡単に説明すると、特殊な呼吸方法で体の新陳代謝を上げ、体の調子を整えながら内側から鍛えていくというもの。

 

これは外気の空気を感じて適度に行う必要がある為、その時の自分は上半身裸で海岸に立っていた。

 

端から見れば波打ち際の砂浜に立っている男が上半身裸でコーハーと息を吐いているのである。

 

……うん、バリバリ不審者だね。もし警察の人に見つかったら職質確実な光景である。尤も、知り合いに見つかれば恥ずかしいでは済まない気持ちになるのだけれどね。

 

そして、そんな恥ずかしい思いをこの日体験する事になる。アリーナが使用禁止となった事でタッグトーナメント戦までISを使う事がなくなり、仕方がないので体を鍛えようと走り込んでいた一夏君と遭遇し、気分転換と称して同じくジャージ姿の織斑先生と出会してしまった。

 

もうね、その時は恥ずかしさと申し訳なさとでイッパイイッパイだったよ。端から見たら怪しさ全開な事をしている自分と傷だらけの小汚い体を見せる事になって、本当に参ったよ。

 

一夏君も織斑先生も引いてたし……そりゃ引くよね、自分の体、明らかに剣で斬られた様な傷跡が二つもあるし、腹には銃痕まであるのだ。二人の反応は当然とも言えるだろう。

 

その場は何とか体裁を取りつつ明日のタッグトーナメント戦の話を少しだけ触れて終わりにしたが……変な風に思われていないだろうか。それだけが心配である。

 

気を使わせたかもしれないし、一夏君へのガンタニュウム合金のプレゼント、真面目に考えてもいいかもしれない。

 

 

 

 




Qもうお前がIS造れよ

Aグヌヌで涙目な兎ちゃんをご所望かい?

Q主人公の目は某達人達の様に光るの?

A特定の条件を満たせば光ります。

ヒントつ“緑髪の魔女による禁忌の一言”

Q主人公ってどんな体型してるの?

A強いて言うなら某哲学する柔術家、そこに色々傷が入った状態。

次回はいよいよタッグトーナメント!

ラウラちゃんはどうなるのか、シャルルちゃんは主人公にバレてる事に気付いているのか!?
サクサクと進んで行こうと思います。

次回もまた見てボッチノシ
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