MGS3で猛威を振るったシャゴホッドが、キヴォトスに現れます。
…誇らしげにそう言うのは、ゲヘナの温泉開発部部長、鬼怒川カスミ。
「やったぁー!すごーーい!!」
カスミを持ち上げる彼女は、部員の下倉メグ。
彼女たちはレッドウィンター近郊の土地で温泉開発をしていた。が…
「にしても変な物が出たな!」
「これ、は……戦車?」
「砲塔ないけど戦車なのコレ?」
「部長、これ風紀委員会に連絡した方が…」
「ひとまず先生に連絡だ!風紀委員会はその後!!風紀委員長には会いたくないからな!!」
「お、しかもドリルがあるじゃないか!もしかすると掘削機なんじゃないかこの車輌?」
「これは我々に『使ってくれ』と言っているようなものだ!是非使わせてもらうぞ!」
「だが一応、全員この戦車から離れてくれ!」
「あーー。仕事終わりぃ〜。」
「最近ヒナ達に会ってないしなぁ…」
「ちょうど時間あるしゲヘナにでも…」
ポロン♪
「?モモトークかな?」
「…カスミから?」
『ハーッハッハッハ!先生!スゴいモノを掘り当てたぞ!!』
あ、また何かやったな?温泉開発部。
カスミの背後にあるのは、少々変わった形状をした車輌。
透き通った世界に似合わない、枯葉のような色の迷彩に赤い星の入った、ミサイルポッドを背負う、冷たい印象の車輌。
「え?」
先生はその正体を知っていた。
「
再び、温泉開発部side
「部長!あの戦車、どうしますか?」
「これは風紀委員長にバレるのも時間の問題…」
「全員、撤退!!!」
温泉開発部はシャベルやらドリルやらをいそいそと仕舞い、帰り支度を始める。
「あれ…?」
「あの戦車動いてない?」
「え?」
「部長?」
「あれ…戦車?」
「ん!?」
ギイィィィィ…
「あの戦車、腕が!?」
「全員、車に戻れ!!」
ブォォォォォ…
「部長!?何でそんな余裕そうなんですか!?」
「ハーッハッハッハ!あの戦車、全然動かないではないか?」
シャゴホッドは近くにあった大木を、腕の如きドリルででいとも容易くなぎ倒した。
「ひっ」
機体前部の銃が、銃身相応のけたたましい音と光を放つ。
次の瞬間、戦車がカスミの乗る車の方を見た。
「ひえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!(例の顔)」
prrrr…
「はい、こちらシャーレです。」ガチャ
「先生、緊急事態です。」
電話をかけたのは連邦生徒会長代行のリンだ。
「先生、レッドウィンター近郊の地域で『戦車』が出ました。」
「…『戦車』?」
「そうです。少し変わったデザインの。」
「それについては知ってるよ。誰のせいかも…」ボソ
「何かおっしゃいましたか?」
「いや何も。それより、それは今どこに?」
「ゲヘナ自治区に向かっています。」
「…すぐ向かうよ。」
「ひぇぇぇぇぇ!!!」
「部長ぉぉぉ!!!」
「火炎放射が効かないよぉ!!??」
「…なんだあいつは?」
「アコちゃん、あれが?」
「ええ。例の『戦車』です。」
「アコ、状況は?」
「(まさか……雷帝の遺産?)」
無線でイオリ達に指示を出すアコ、そして出撃準備をするヒナの元に、1人の生徒会が駆け寄ってくる。
「空崎ヒナァ!」
「(ゲッ…万魔殿のタヌキ…)」
「あの戦車は…まさか…」
「雷帝の遺産…の可能性がある。」
「やはりか!」
「でも、1つ引っ掛かることがあるの。」
「今までの遺産とは全く違う兵器だってこと。」
「ああ、あの見た目か?」
「あの人型に近い構造、砲身がないという特徴…」
「そして、先生からの情報も含めて。」
「今はあくまで『可能性がある』止まりよ。」
「むぅ…しかし脅威なのには変わりない。」
「ええ。今から迎撃するわ。」
「先生、あれについて説明をお願いします。」
「うん。あれの名前は
「あれは核弾頭を積んでいる。」
「核…というと…」
「核兵器。外の世界では史上最悪の兵器として知られている。生物、植物、あらゆる物を消し去る物。」
「あの兵器は、それを超遠距離まで発射できる。」
「…!?」
「先生は、なぜそこまでのことを知って…?」
「…あれはね、本来存在しないはずなんだ。」
「だって…」
「
「こちら第7部隊!弾薬切れのため撤退!」
ヒナが車から飛び降り、シャゴホッドに近づく。
「…行くわ。」
シャゴホッドがいるのは市街地。ビル街をなぎ倒している。
「鉄の怪物がぁ!」ダァンダァン
「ヒナ委員長!」
ヒナの目の前に迫った"腕"を、軽やかな動きで避ける。
「!全員こいつの射線から外れて!」
ギュオオォォォォ!!!
「委員長!奴が逃げます!?」
ドゴォッ!
「
「先生、間もなく現場に到着します。」
「分かった。シャゴホッドの状態は?」
「ほぼ無傷です。」
「…うーん。」
「装甲にはほとんどの攻撃が通らないからね…」
「ミサイルを試してみよう。」
「───また機銃です!」
「!?こいつビルを倒して───!」
「先生!戦車が建設中のビルを倒して攻撃したそうです!」
「(あれって有人操縦の機体だよな?でも一体誰が…)」
『(無線)ミサイル、発射します!』
「先生、ドアから離れてください!」
ドゴッ、ドゴッ、ドゴゴゴゴ!
「効かないか…」
「とりあえず、あいつに関する知ってる限りの情報は回したよ。」
「対象、シャゴホッド!第2戦車隊…打ち方、始め!」
「イロハ、情報が入った。あの装甲に戦車砲は効き目が薄いらしい。」
「では…」
「先生、そちらは?」
「今上空から確認してる。この先は山岳地帯だね。」
『こちら天雨アコです。その先には鉄橋がありますね。』
『その鉄橋ごとあいつを落とすっていうのは?』
「…おとりを用意すれば可能かと。」
『よし、それでいこう。アコ、共有お願い。』
『はい。』
…まずいな。ここで突破されると市街地に突っ込むぞ。
確か…正攻法では鉄橋落としは失敗するし…
『シャゴホッド、加速しています!』
『時速60,70,80…120km!』
「クロノス情報部です!現在、ゲヘナ自治区境界で謎の戦車が攻撃をしています!」
「もっと寄せて!」
「あの戦車には、キヴォトスには存在しない兵器が搭載されているというっ!?」
「ローターが!?」
クロノスのヘリはシャゴホッドに殴られてしまった。
「ぎゃああぁぁぁ!………」
『鉄橋、突破されました!』
「ぐっ…もうこうなったら…!」
あんなスピードを出されたら追いつけない。
何かヘリより早くて、小回りの効く乗り物が欲しいけど……
『後方より未確認車両!先生っ!!』
「なっ!?」
目の前に現れたのは、サイドカーの着いた、盗難車と思われるバイク。そして、
「あなた様ーー!!!」
孤坂ワカモ。百鬼夜行連合学院を停学になっている、七囚人の1人。
「あなた様、ご無事ですか?」
「うん。ありがとう。」
「お、お怪我は…?」ポロポロ
「あー!泣かないでワカモ!大丈夫だから!」
「ご無事で…よかったです…」グスン
「心配ありがとね。でもどうやってここに?」
「情報収集をしておりましたら、中継にあなた様が映っていまして…」
「いてもたってもいられず、
「そっか。…バイクは後で返そうね。」
「ねえ、ワカモ?」
「何でしょうか?」
「ちょっとお願いがあるんだけど…」
(ワカモに作戦説明中…)
「リンちゃん、ここはお願い!」
「…はい。」
「じゃあ、行くよ!ワカモ!」
「攻撃は任せてくださいまし!」
ギリギリ目が開けられるまで姿勢を落とし、正反対にバイクは唸りを上げる。
「あなた様!」
ワカモが風紀委員の車両の残骸をロケットランチャーで吹き飛ばす。
「ありがとう!」
「こちら第1部隊!対象の真上に到着!」
『そこから機銃で攻撃をしてください!』
「了解しましたぁ!」ガガガガガガ
「弱点が分かったぞ!接合部だ!接合部狙え!」
ガガガガガガ…
「あれは?」
「何だろう…?行政官、あのバイクについて何か…」
『あれは先生です。増援に来てくださったようですね。』
「了解。あのバイクを援護するぞ!」
「見えてきた!」
「あなた様、無線です!」
『シャーレの先生、あいつの弱点は接合部です!』
「分かった!ありがとう!」
そう言い切る数コンマ前に、ワカモはロケットランチャーを放つ。今は一刻を争う事態なのだから、さすがの判断だ。
「■■■■■■■!!!」
シャゴホッドの後部が吹き飛び、こちらに飛んでくる。
「危ないっ!!!」
「っ!?!?」
「…ありがとうワカモ。」
「いえ…ご無事で何よりです。」
『先生、対象、まだ動きます!』
あの壊れ具合だし、速度も出ないっぽいし…
「降りて戦うよ。」
「はい!」
「ここで…決着をつけるっ!」
『先生!我々も援護します!』
「それじゃ、私たちは攻撃を、君たちは銃撃でこいつをおびき寄せて!」
『了解しました!』
凄まじい音が上から聞こえる。この銃撃なら、シャゴホッドも気を引かれるだろう。
「右腕狙って!」
「はい!」
想定通りシャゴホッドは蛇行し始める。右腕は猛烈に火花を散らす。
「次は左!」
『うおおおおおおおお!!!』
タイミングがよかったのか、ワカモの弾でシャゴホッドの動きが止まると同時に、機銃が機体背面を貫いた。
『命中です!背面に風穴空けてやりましたよ!!』
「ナイスフォロー!」
『第1部隊、弾切れのため撤退します!』
「お疲れ様!あとはこっちで!」
「ワカモ、トドメをお願い。」
「…ワカモ、行ってきます!」
ワカモはサイドカーを蹴り、飛び上がる。
そのままシャゴホッドの正面へ回り込み、最後の1発をお見舞いした。
「ワカモ!逃げるよ!」
「はいっ!運転、お願いいたししますっ!」
数秒後、シャゴホッドはバチバチと音を立てて爆散したのだった。
「…無事で何よりだよ。」
その後は大変だった。
シャーレに戻ると、今回の事件関連の書類が山になってたし。
連邦生徒会の会見が開かれて、シノンたちがリンちゃんに詰め寄ったり。
結局、核弾頭は連邦生徒会急いでが回収し、私の指示のもと処分されたことでキヴォトスは守られた。
…原因になった温泉開発部は、制裁を喰らいそうだったのを私が何と収めることに成功した。カスミは例の顔で泣いてた。それはもう…すっごい青ざめた顔で。
もうあんな物絶対掘り起こさないでね。みんな。
そして、私の予想通りというか、シャゴホッドは雷帝の遺産ではなかったらしい。
まあ、外の世界の物のはずだし、色々イレギュラーだもん。そもそもキヴォトスに核なんてないはずなんだから。
最後に、最大の謎だった『誰が操縦してたのか』
「ヒナ、それで、話って?」
「この間の件よ。」
「あの戦車が有人型だったことは…知ってるみたいね。」
「うん。で、結局誰が?」
「それなんだけど、」
「…誰も乗ってなかったの。」
※シャゴホッドが古い機体なのに強いのは、核を警戒されていてあまり強い攻撃をされていないからです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。