【現在書き溜め中】新入生「私がティーパーティーに入った理由……ですか?」   作:胸痛

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サンの見た目は全話に追記した情報を元に自由に考えてください。
追記、物語の結末が完全に定まったのでタグに『下江コハル』を追加しました。



全ては出世のためです。

「さて、前回のテストで赤点を取ったバカ様方。本日は心地よい日差しの降る大変な勉強日和でございますね。」

 

「さっ…サンちゃん…!いきなりそんな事……!!」

 

「あっ失礼しました。モモフレンズのライブを観に行くというくだらない理由で学校をサボった挙句ここに入る事になった阿慈谷様は馬鹿ではなく阿呆でしたね。申し訳ありません。訂正します。」

 

「あうう……」

 

「負けちゃダメだヒフミ!部長としての意地を見せて!」

 

 部長の責務を全うしようとしたヒフミだったが、図星を突かれ気後れしてしまう。

 

「うーむ……」

 

 その様を見たサンはしばし考えるような素振りを見せる。

 

「バカ様方が私の足を引かず、そしてなによりここにいる全員が手早く合格する為。阿呆……いえ、阿慈谷様に変わり、この場の指揮は私が取りましょう。」

 

「え……?え………?えぇ!?」

 

 突然のトンデモ発言により気どころか遂に身体すらもどんどんと後ろへ下がっていってしまうヒフミ。彼女の困惑を意に介さずサンは続ける。

 

「ご安心ください阿慈谷様。あなたは『補修授業部の部長』という汚名を私の代わりに受けてくださればそれで良いのです。後は私にお任せください。」

 

「さて、私の指揮の下でサボろう等とは考えないことです。放課後のスケジュールは全て管理します。しかしこれは全て皆様の為でもあります故、ご了承くださいませ。」

 

「……あらあら♡『全てを管理する』だなんて……もしかしたら私達はサンちゃんにあんな事やこんな事までも『管理』されてしまうのでしょうか♡」

 

「あ、あんな事って……」

 

「それはもちろん■■■■や■―――」

 

「うわあぁぁぁ!!!!なっ何言ってんのよ!!エッチなのはダメって言ってるでしょ!!」

 

「下江コハル!!私語は慎め!!」

 

「なんで私だけ!?」

 

「サ、サン!!」

 

 先生はこれ以上場を乱さない為その原因に声をかける。

 

「はっ……先生様、いかがなさいましたか。」

 

「………とりあえず、補修授業を始めようか。」

 

「承知しました。先生様のご指示に従いましょう。」

 

■□□□□

 

「さて、授業はここまでで後は自習……なんだけど……」

 

 先生はゆっくりと窓側最後列の席へと目を向ける。

 

「うーん…むにゃむにゃ…ナギサ様の……バナナ…」

 

「気持ちよさそうに寝ていますね♡」

 

 そこにはなんと先程までのやる気は何処へやら、サンが日差しに当てられ心地よさそうに寝息をたてていた。

 

「作戦の場で寝るとは……いや、そうできるほどの余裕……といったところか。」

 

「そうかな……」

 

「お、起きてください!!」

 

「はっ……申し訳ございません。授業の内容があんまりにも退屈でつまらないものあった為、寝てしまいました。」

 

「………ヒフミ、私は暫くの間泣くから後はよろしく。」

 

「先生!?負けないでください!!」

 

「阿慈谷様、先生はご傷心であらせられます。素直に休んで頂くのが吉かと。」

 

「アンタのせいでしょ!?」

 

「なんだと、訂正しろ下江コハル。私はただ事実を述べただけであって―――」

 

「あら、遂に先生が泣いてしまいましたね。」

 

 教室から離れた先生が帰って来たのはそれから二十分も後だった。「私が慰安に当たりましょう」とサンも出ていったが、帰ってきた先生の顔が心なしか更にどんよりとしたものになっていたような気がした。

 

■■□□□

 

「えー……コホン。まず、皆様がこの補修授業部に入る要因、それ即ち『勉強不足』です。」

 

 やっと始まった自習。その場で早速サンが方針を語りだす。何故彼女が指揮をしているのかを一部が考える中。1人が手を挙げた。

 

「……それは当たり前ではないのか?」

 

「その通り。流石ですね白州様。しかし、同時にそう簡単な事でもないのです。」

 

 アズサの質問にピクリとだけ口角を上げつつサンは語りだす。

 

「勉強とは『時間』だけが大切ではありません。何処を理解していないのか、どこまで理解しているのか。それらを正確に判断し一つ一つ積み重ねなければ成績など上がるはずもありません。」

 

「よって、この『補修授業部』として勉強の『時間』を。私とシャーレの先生様によってその『質』の向上を目指します。」

 

「だが私は2年生、サンは1年生だろう。コハルはエリートと言ったし……」

 

「そ、そうよ!私は正義実現委員会のエリートなんだから!そもそも、こうなっちゃったのも2年生のテストを受けたからで……」

 

 サンは自信満々に話すコハルを見下ろす。

 

「あ、え、えーっと…うぅ……」

 

 そのギラリと光りながらも凍りつくような目つきに捉えられたコハルは怖気づき、それ以上発言できなかった。

 

 ぼうと一息ついた後、サンはアズサの質問に答える。

 

「そこはご安心ください。私は3年生までの授業範囲が頭に入っています。教えることは充分可能です。」

 

「おお……!それは頼もしいな。」

 

「これも全て出世の為です。」

 

「では、なぜか遅くなってしまいましたが自習を始めましょう。」

 

■■■□□

 

「(正直、始めは少し不安だったけれど……)」

 教室全体に目をやる

 

 

「コハルちゃん。そこの選択肢は……」

 

「え!?えーっと……こ、これでしょ!?た、たまたま間違えただけなんだから!!」

 

 

 

「阿慈谷様。それだと文章の結びに問題がありますね。」

 

「あっ!確かにそうです!ありがとうございます!」

 

「阿慈谷様は成績的には問題ない筈ですので、こうしたミスを少しずつ消していきましょう。」

 

 

 

「白州様。それでは田中君が時速150キロで走ることになってしまいます。何処かで計算が……ここです。」

 

「なるほど、感謝する。」

 

「白州様は覚えが早いですね。これなら思ったよりも早く段階を進められそうです。」

 

「アズサちゃん。そこ、実はもっと簡単に計算することができるんですよ。」

 

「本当か!?ぜひ教えてくれ!」

 

「はい。ここを……」

 

「おお…!確かに答えを求められた!」

 

「そこは私も知りませんでした。流石です浦和様。」

 

「まあ、汎用性は薄いので普通に求められるのであればそれでも―――」

 

「そんな事ありませんよ。こういった小さな積み重ねが大成に繋がるのです。良い時間でした。私からもありがとうございます。浦和様。」

 

「―――……いえいえ、こちらこそ。」

 

「(思ったよりも全然いい。いや、むしろ理想的と言ってもいい雰囲気だ。)」

 

 サンとハナコが教え、アズサ、コハル、たまにヒフミも教わる。和気あいあいとした雰囲気。そして教える2人のレベルもまた高い。

 

「(あれ……?私必要かな?)」

 

 そうして先生にとって良い意味で自身の存在意義を考える時間ばかり過ぎていった。

 

「いい感じみたいだね。」

 

「はい!サンちゃんは丁寧ですし、ハナコちゃんがなんだかとってもすごくって……!それにアズサちゃんも学習意欲たっぷりです!」

 

「コハルちゃんは実力を隠していたようですし……」

 

「これならもしかして、余裕で合格できてしまうかもしれません……!」

 

「実は、『もし一次試験で不合格者が出てしまったら合宿をしてください』とティーパーティーから言われてまして……」

 

「合宿?」

 

「はい、そうなんです……それにもし三次試験まで落ちてしまったら……あうう……」

「で、でも、心配は杞憂で終わりそうですし、暗い話はこのあたりにしますね!」

 

 そう嬉しそうに話すヒフミ。しかし、この場を理想的だと思う中、先生には一つの懸念があった。

 

「えーっと……えーっと…?」

 

「コハルちゃん。そこは―――」

 

「………」

 

 教室内を俯瞰し、常に歩き回っているサンが、コハルの方へはピクリとも足を運ばないのだ。ただ、時折ハナコがコハルに対して教えている様子を見ているだけ。

 

 補修授業部はその性質上、全員合格しなければ終わらない。コハルの面倒を見ないのは何故だろうか。

 

『………』

 

 見ているだけ。つまり気にかけていないことはない。だが、手は貸さない。

 ほぼ初対面のようなものである筈だが、彼女を信頼しているのだろうか。或いはそれ以外に何か理由があるのか。

 

 先生はそれが、どうしても気になっていた。

 

■■■■□

 

【第一次特別学力試験、当日】

 

「……っ」

 

「うぅ……」

 

「ふふっ」

 

「……」

 

「眠いですね」

 

 試験当日。反応は多様だ。

 

「みんな、落ち着いて頑張ってね」

 

 最大のパフォーマンスを発揮させる為落ち着きを促し、先生は用紙を配り始め―――

 

 

 

 

 

 

 ―――始まりを告げるチャイムが鳴った。

 

■■■■■

 

「みなさんお疲れ様でした……!」

 

「100点満点で60点以上でしたら合格だそうです!高得点は取れなくても、取り敢えずそのラインだけ超えられたら―――」

 

「阿慈谷様、前置きが長いです。早めに発表した方が精神衛生上良いでしょう。」

 

「そ、そうですね!先生、結果をお願いします!」

 

サン:98点―――合格

 

「うーん……もっと自分のコンディションを整えるべきでしたね。次に行きましょう。」

 

ヒフミ:76点―――合格

 

「あ、ありがとうございます!なんだが無難な点数ですが、よかったです!では、次に……」

 

アズサ:48点―――不合格

 

「……はいぃ?」

 

「ちっ、紙一重だったか……」

 

「……ま、待ってください!『紙一重』っていう点数じゃないですよ!?まあまあ足りてないですよ!?」

 

「………これは…なかなか……」

 

 サンが他の結果も確認する。その顔は珍しく歪んでいた。

 

 コハル:11点―――不合格

 ハナコ: 2 点―――不合格

 

「!?」

「あらあら……」

 

「2点!?!?!?いや、それだけじゃなくてコハルちゃ……え?………えええぇぇぇ!?!?!?!?」

 

 困惑するヒフミ。最早言いたいことが多すぎて口から引っ掛かっているようだ。

 

「阿慈谷様……」

 

 背後からヒフミの肩にサンが手を置いた。

 

「サ……サンちゃん?もしかしてなにか策が!!」

 

 ヒフミの瞳が希望を取り戻し、キラキラと輝く。

 しかし―――

 

「ちょっとこれは駄目かもしれません。」

 

「あ……」

 

 目の笑っていないサンの微笑。最後の希望すら潰えたヒフミのなにかが切れた声がした。

 

「あうぅ……」

 

「ヒフミ!しっかり……!」

 

「阿慈谷様!!救護騎士団を!どなたか哀れな阿慈谷様の為に救護騎士団の方を呼んでください!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

第一次特別学力試験の結果

 

ハナコ―――不合格

アズサ―――不合格

コハル―――不合格

ヒフミ――――合格

サン―――――合格

 

補修授業部の合宿が決定した!

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