安眠求めて旅に出たクズが伝説巻き起こす話   作:がしやま

10 / 12
第10話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――なんか……夏油傑の居場所ゲットしたんだが。

 

 

 

 時は遡り数時間前。

 今日も今日とて夏油傑の情報を掴むべく、オカルトだの土地神? 云々で噂されてるイカレたスピリチュアルタウンへと赴いた。

 しかし最近はあまりにも夏油傑探しに進展がないが故に、どうせ今回も化物とのバトルか聞き込みだけで終わるんだろうとか諦め気味に考えていた。タイムリミットまで残り一週間を切った、状況は絶望的。

 

 安眠のためと今まで色々やってきたものの、ここまで手がかり一つないとなると流石にモチベ下がる……。

 そんな暗い気持ちでギャラドスに乗り、そこら辺をブラブラしていた時だ。

 金髪男と奇跡的な再開を果たした。

 

 

 え、マジ? うっそやん。そっくりさんでは……ないな、本人だ。間違いない。

 金髪男との唐突な再開にテンションぶち上って小さくガッツポーズを決めた俺、しかしよーくみたらなんか様子がおかしいのに気づく。

 

 金髪男とツレ? っぽいやつが化物に襲われていやがる。どちらもボロボロで、ツレの奴に至っては血がダラダラ。「これ放っておいたら死ぬんじゃね?」ぐらいの満身創痍ぶり。

 面倒ごとの予感を察知した俺はすぐさま回れ右して出直そうとしたが、我に返ってなんとか踏みとどまる。

 

 

 ここでアイツが化物に殺されでもしたらそれこそお先真っ暗。残り少ないタイムリミットも踏まえると、今を逃せば俺の安眠は永遠に失われたも同然。

 

 このクソゲーを終わらせるまたとないチャンスをみすみす逃すのか、俺?

 いや、違うだろ俺、やるんだろ。今後の安眠のためにも必ずや成し遂げなければならない。大丈夫、最悪の場合俺が育てた優秀なポケモンたちがいる。コイツらに任せればどんな強敵も一発でドカンよ、ワンパンマンもびっくりの速さだぜ!!

 

 

 

 ということで俺氏、ギャラドスと共に登場。

 頼りになるポケモン二体がバックにいることもあってクッソ調子に乗っていた俺は、あろうことかほぼ出番を失っていた竹刀片手に化物の前に立ちふさがる。

 ここは通さねぇぜ、通りたきゃ俺のポケモン倒してみろや!

 

 

 かっこつけと牽制のつもりで勢いよく竹刀を一振り。

 だがそれと同時に相手が攻撃してきやがりましたのでクソビビッた。運良くさっきの一振りで攻撃を相殺できていようで、ギリ命拾いした。

 

 しかしすっかり恐れ慄き、無事チキンと成り下がってしまった俺はコダックを召喚。ゴルダックに進化させて選手交代だ!

 

 

 ゴルダックに化物の相手を任せてギャラドスに乗る俺。

 しかしずっと突っ立ってばかりの金髪男に気付き、「はよ乗れや」という意味を込めギャラドスを指さす。

 

 

 普通の奴に俺のポケモンたちは見えんが、どうやら金髪男は化物の姿が見えてるっぽいからうちのポケモンたちも見えるだろ、という安直すぎる考えの元見えてる前提で指示を出してみた。

 状況が状況だったため結構勢いに任せた感じだったが、なんか伝わったっぽいから良しとする。

 

 金髪男がギャラドスに乗ったのを確認し、ゴルダックを撤退させてトンズラをこく俺。こう見えて無駄な争いは好まないタチなんだよね、ハハッ。

 

 

 

 とりま戦線離脱できたところで病院に急ぐことにする。

 俺、医療の知識とか全然無いけどこれだけはわかる。金髪男のツレ、マジで死にかけだわ。一分一秒を争うとはまさにこのこと。てか生きてる? もしや手遅れだったりする?

 

 まあ、別に俺としては金髪男が生きてりゃそれでいい。ぶっちゃけ死なれても困らん。

 でもな、人生なるべく人に恩ってのは売っとくべきもんなんだぜ。良いことしてりゃあ社会で上手く立ち回れる、面倒臭いがわりと楽な生き方だぜ。ん? 動機が不純? うっせ、人生経験俺より下な奴が文句言ってんじゃねぇわ。

 

 

 だがそんな親切は残念ながら金髪男には伝わらなかったようで、滅茶苦茶警戒した様子で「貴方は一体、何者なんだ。何が目的なんだ」とそんなことを聞いてくる。

 おいおい、そこを聞くのは野暮ってやつだぜ? けど、コイツになら教えてやっても……いや。

 教えちゃダメなやつだな、これ。

 

 

 冷静に考えてみろ。

 「貴方の目的は何ですか?」って聞いて「神様により人質に取られた安眠を取り返すため」みたいなのが返ってきたら、どう思う? 正直に言ってみ? 俺なら冗談抜きで絶縁するね。

 

 状況も最悪だし、間違いなく空気読めない奴って思われる。変人扱いされるのだけは御免だ、俺ってこう見えてプライド高ぇんだぞ!

 うしっ! ここは強行突破だぜ!!

 

 

 

「――夏油傑の居場所を教えろ」

 

 

 

 しかし、金髪男は頑固にも「何故、夏油さんに固執する」と俺を睨んでくる。

 ちょ、やめいて。そこは流されろよ深堀すんな。こっちにもこっちの事情があるんだっての。そんなシリアスな空気醸し出されても困る、この空気にそぐう返答なんてできないよ俺。

 

 

 

「居場所を、教えろ」

 

 

 ええいこっちもやけくそだ、やるっきゃねぇ。この一点張りで乗り切るしかねぇ!

 あ~もうそのまま情報吐いてちゃんちゃんで良いじゃんか……! 平和的に終わらせようよ! お願いだからこれ以上詮索するのはよしてくれ!!

 

 だが金髪男は俺の必死の思いに反し、鉈を構えた。

 めっちゃ嫌な予感するんですが。

 

 

 

「言え、お前の目的は何だ」

 

 

 

 ねえ~~~~~~もうやだコイツ~~~~~~~~!!

 クソ面倒くさいことになってんやん、え、もしやバトル? まさかここにきて金髪男とのバトル? やだ~~~~~~~~~。

 

 てかここ空中だぜ? 足場とかも悪いし下手したら落ちるぜ? 高さ的に普通に死ぬぜ?

 折角化物から助けてやったのにこりゃねーよう……恩知らずにもほどがあるってんだ!

 

 だけどこのままやられっぱなしなのは非常にまずい……!

 しゃーねぇ、気は乗らないが殺されるとなると話は別だ! 死んだら安眠云々言ってるどころじゃないしな!

 よーし、まずは自衛のため竹刀を構えて、その後はゴルダックに全部任せ――あっ。

 

 

 竹刀落とした。

 

 

 ぎゃあああああああああ!!! 俺の、俺の数少なき護身アイテムが!! あんま使う機会なかったけどそこそこ気に入ってた俺の竹刀が!!!

 え、これ拾える? 今戻ればまだ回収可能か? よ、よし。拾いに行こう!

 

 

「(ちょっと竹刀落としたから先に取ってくるわ)……(申し訳ないから)全てが終わった後に(包み隠さず全部)話す。そしたら(このマヌケで阿呆な俺を)好きに笑えばいい」

 

 

 絶対笑われる……! 終わった……!

 絶望的な目で静かに息を吐く。ああ……プライド、俺のプライドが発泡スチロールのごとく砕け散っていく…………。

 

 しかしこんな俺に同情でもしたのか、金髪男は鉈を下した。

 そして「…………これだけは答えろ」と力強く俺に問うた。

 

 

 

「お前は、私たちの敵なのか?」

 

 

 

 ……え、何言ってんのコイツ?

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 ――ってな感じで、普通に敵じゃない意思だけ伝えたらそのまま夏油傑の居場所的なのを教えてくれた。詮索もされなかったしそれどころかなんか謝られた。なんで? 俺もうわかんないや。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。