安眠求めて旅に出たクズが伝説巻き起こす話   作:がしやま

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第4話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果から言おう。

 

 

 

「大富豪なってもうたんだが」

 

 

 

 株当たったわ。ドンピシャで当たったわ。

 

 春休みは過ぎ新しいクラスメートたちとワイワイキャッキャする学生たちを横目に、俺は両親に買ってもらった企業の株が当たることを願いながら高校二年の学生生活を送っていた。

 

 必死の思いで土下座までして手に入れた唯一の株、当たってくれなきゃ両親に顔向けできん。

 不安と緊張を常に巡らせ、外れた場合の謝罪方法を考える毎日。あれは地獄だったね。

 しかしそんな日々が二か月程続いた頃、とうとう運命の日が訪れた。

 

 

 当たったのだ。

 俺が買った企業の株価ある日を境にグーンって上がって見事に当たったのだ。もうガチめに働かんくてええぐらいよ。

 

 

 このやべー事態に母さんは発狂して気絶するわ、父さんは魂抜けて白目になるわ、家の中はわかりやすく阿鼻叫喚。そうだよな、息子が急に株引き当てて大金手に入れたらそうなるわな。こんなカオスな展開受け入れられるやつとか最早悟り開いてるとしか思えん。無我の境地天元突破しちゃってるよソイツ。

 

 

 だけどとりまこれで金問題は解決したと言っても過言ではない。俺の手元には現在冗談抜きで一生遊んで暮らせるぐらいの金がある。万が一使い切ったとしてもまた今回みたく株買えばいいだけだしこの先金に困ることはないと考えていいだろう。まさに勝ち組そのもの。

 

 このふざけた試練が終わったら投資家として生きていくって俺決めたから。一生働かん。勉強もせん。なんなら親に「高校は自主退学して自分探しの旅に出る」って言ったし。全ては俺の安眠のため、やむをえん。

 大金に目がくらみ思考が疎かになった両親は快くOKしてくれたさ。マヌケなやつらめ。

 

 

 

 ということで、彼らの気が変わらぬうちに俺は自分探しの旅と称した夏油傑を探す旅に出ることにする。

 株価が上昇するまでの期間、毎日かかさず特訓に力を入れていたこともあり初期よりは遥かに戦える。ポケモンがな。俺のことは聞かないでくれ。

 

 大丈夫、ちゃんとあのポンコツ共も成長した。特訓の過程で色々とわかったこともあったし、今からでも十分旅に出れるぐらいにはなってる。俺は後方で待機してるだけでいいってワケよ。流石俺、指導者としての才能あるわ。

 

 

 

 まっ、準備は整ったんだからやるっきゃねーよな。ここまでやったんだし。

 折角大金を手に入れたのだ、全部吹っ切れて自由にやろうぜ自由に! もう怖いもんなんてない! 勉強もせんでいいのだ!!

 ぶっちゃけ人生二周目だし「俺に勉強必要?」って感じで必要性に疑念を抱いてたんだよな。でも今回ようやく数学の苦痛から解放される! 最高だぜ社会人!! 青春? 寝る方が大事だわ人間の三大欲求舐めんなよ。

 

 

 

 机に置いてあったリュックを背負い、モンスターボール二個をポケットに入れる。

 そのまま部屋を出ようと足先を扉に向けるが、その途中で壁に吊り下げてあった鏡の前に立ち寄る。

 

 

 鏡に映った頬の傷を徐に人差し指でなぞる。

 この傷を見る度に思い出す、鷹に連れ去られたコイキングを助けようとした時のことを。巣からコイキング救出しようとしたら鷹がブチギレて滅茶苦茶攻撃されて、その時に嘴が頬をガッてな。ガッて、結構深めに。ホント怖かった。アイツ目ぇエグってくる勢いで突いてきてたもん。怖かったよ俺。思い出しただけでも泣きそう。ホント、今に至るまで色々あったよ……。

 

 

「……もう行くか」

 

 

 悪い思い出を掘り返すのはやめよう。自分が惨めになるだけだ。メリハリ大事。

 鏡に背を向け、ドアノブに手を伸ばす。ああそうだ。これだけ言っとこう。

 

 

 

「いってきます」

 

 

 

 これでしばらくはこの家とはお別れだ。さらば、俺の座布団。また家に帰ってきたらちゃんと枕として使ってやるからな。

 

 

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