安眠求めて旅に出たクズが伝説巻き起こす話   作:がしやま

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第6話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気付いたら木々に囲まれた自然の中にいた。

 ギャラドスによる空中ジェットコースターグルングルンで盛大に酔った俺。生憎こんな事態想定すらしていなかったものだからエチケット袋も何も持ち合わせておらず、渋々どこか吐いてもよさそうな場所を探すがべくギャラドスの背中を降りる。

 てかなんか暗くね? いつの間に夜になったん?

 

 

「……誰だ」

 

 

 もう誰もいないだろうしこの場で吐いちゃおっかな、と思い始めた矢先に制服を着た金髪の男に声をかけられる。だ、誰やねんお前……! 見せもんじゃねーんだぞ散れ!!

 

 しかし金髪の男は帰ってくれるどころか益々警戒した様子で俺を睨み続ける。やめて、本当に俺怪しい奴じゃないから。ちょっとポケモン二体従えてるだけの霊能力者だから。大丈夫、俺、普通の人間。ちょっとグロッキーなってるだけで。

 

 

 あまり喋りすぎるとマジで吐きそうだったから金髪男の日本人としての察しと思いやりの心を信じ、テレパシーによる説明を必死に行う。伝わってくれ! 吐くからどっかいけ!

 だがそんな訴えも虚しく、まるで図ったかのようなタイミングで現れるキモい化物。

 

 次から次へとなにお前ら、裏で打ち合わせでもしたのかってレベルで邪魔してくるじゃん。え、出会って早々悪いけどお前らのこと普通に嫌い。顔面にゲロぶちまけるぞおい。

 

 てかなんだこの目ん玉だらけのスライムは。なんかエロゲーで出そうな見た目してんな、見るからに危なそう。

 

 

 俺は後ろにいる金髪男に「大人しくしてろよ」という意味をこめて片手で動きを制す。前述した通り喋ろうとしたらマジ吐きそうになるからジェスチャーでいくことにする。今のところなんとか平然を装った風を保ってるけど内心ガチやばいから。ギリッギリだから。

 

 えーい、もうやっちゃってギャラドス! 木っ端みじんにしちゃって!

 

 という意味を込めて右手を動かすと、ギャラドスは心得たと言わんばかりに視線を化物へと向けた。よし、いっけぇぇぇぇぇ!

 

 

 

 

 ……え?

 

 

 

 

 ギャラドスの口に集まり始める光、その光は光線となり目の前の化物を丸々飲み込む。

 光線が止むと、そこには既に化物の姿はなく、ヤベー程に破壊された木々たち……。

 

 おいおいおい……囃し立てたのは悪かったけど破壊光線はやりすぎだって。もっと弱い攻撃でも倒せてたろあのレベルだったら。オーバーキルにも程があるわ。

 

 しかも後片付けどうすんだよホントに。木とか修復不可能でしょうが、通報されたら一発アウト案件なんだが。環境省に怒られるどころじゃすまないよコレ。

 

 てかゲームで見た時よりも明らかに威力上がってね? こんな言葉通りの破壊光線ある? もっとこう……戦隊もののヒーローが撃つみたいな微笑ましいビーム撃ってたじゃん。なに平然と街一つ滅ぼせそうなビーム撃っちゃってんだよ。怖いわ。

 

 

 

 自分が想像していた以上のギャラドスの力に驚きと恐怖を覚える俺。あと環境省からのお呼び出しも怖い。怒られるのは嫌よ嫌。

 

 しかし、この世界でのポケモンは普通の人には見えない仕様になっているのを思い出して我に返る。

 やっぱ大丈夫か、どうせ俺以外にギャラドス見える奴いねーんだし。仮に疑われても知らぬ存ぜぬ通せば乗り切れそうだな。普通に考えて、ただの子供にこんなゴジラが歩いた跡みたいな惨劇生み出せるわけないし。

 

 

 

 うし、大丈夫! これで解決……と言いたいところだが吐く! 流石にそろそろ吐く! ああ早く吐くとこ探さねーと!!

 

 あっ、金髪男まだいたのかよ!

 はよどっかいけって……いや、そうだ。どっかいってもらう前に、これだけ聞いておこう。流石に無いだろうけど一応な、一応。

 

 

 

「――夏油傑という人間を、知っているか」

 

 

 

 ゲロり対策のためになるべく短い言葉で尋ねてみたが、思った以上に高圧的な感じになってしまった。でも人前で吐くよかマシ。

 まあどうせ知らんのやろうけど――

 

 

「あの人に、何の用だ」

 

 

 えっ!!!!

 うそっ、待って! なんか知ってる風なこと言ってねコイツ!? 夏油傑知ってんのお前!?

 おおおおおおおキタコレキタコレ!! 物は試しで聞いたつもりがまさかの知り合いみたいな感じだったんだけど!!

 いやー、こんなことあるんだな……天文学的確率過ぎてもう言葉が出んわ。やったぜ。

 

 

 ウキウキ気分で「じゃあソイツに会わせてくれ!」と続けようと口を開きかける……が、タイミング悪く抑えていた吐き気の波が大波となって襲ってきた。

 ぐっ……や、やべぇ。一旦吐かねーとマジやべぇ。でも人前で吐くのは無理! 俺のプライドが許さん!!

 くそっ、早いとこ俺の意思を伝えたいが、今はやむをえん。

 

 

 

「(ちょっと遠くでゲロってくるから、それ終わったら)また、会おう」

 

 

 

 待っててくれよ、すぐ戻るから! 絶対待ってろよな!!

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