太陽に反射されキラキラ輝く白髪を、窓から吹き込むそよ風が悪戯に揺らす。
ふわり、とどこからともなく教室に一枚の青葉が迷い込んでくる。葉の緑は男の白によく映えた。
五条悟。
五条家相伝の術式と特異体質を受け継ぎ、呪術界では現代最強と謡われる特級呪術師の一人である。
「竜神、ねぇ……」
ポツリと呟き、ホチキスで留められた資料をつまらなそうに眺める。
強力な呪霊を二体引き連れ日本を旅する謎多き男、竜神。呪術高専二年七海建人が初めて遭遇したのを皮切りに日本中で目撃証言が上がり始めたが、そのあまりの神出鬼没さから未だコンタクトの一つとれていないのが現状。
上層部としては今後の権力維持のためにも何が何でも竜神を引き入れたいところ。五条悟が特級呪術師となり呪術界のパワーバランスが一気に傾いてしまったことも追い風となり、竜神を取り入れようという傾向は尚のこと強まってきている。
しかし当の五条は、そんな老人たちの思惑など然程興味はないといった様子。
パサリと机の上に資料を放り投げ、椅子の背もたれにもたれかかりながら大きな欠伸を一つ。そして「そんで、本当にお前は竜神に心当たりねーのかよ。傑」と隣に座っていた夏油傑に訊ねた。
それに対して夏油は「まったく」と首を横に振る。
七海の話によれば、竜神は夏油傑に固執しているような素振りを時折見せていたという。だが夏油本人は全くもって竜神とやらに心当たりはなし、謎は深まるばかりだ。
「竜神とかいう奴の術式に関しては呪霊操術の可能性が高いらしいぜ。
なんでも、使役してた呪霊と術者本人の呪力が異なってるとかで」
「私の血筋に竜神がいる可能性が高い……というわけかい?」
「って感じで上層部は考えてるらしいけど、それを踏まえた上で怪しい奴とかいないわけ?」
「……思い当たる人はいないよ、けど」
「けど?」
しかし、夏油はふと我に返って先ほどまで言おうとしていた言葉を飲み込む。そして「やっぱりなんでもない」と笑顔を取り繕った。
……もし、もしも竜神が自身と同じ呪霊操術の使い手なのであれば。もし、彼も自分と同じ苦しみを背負っているのであれば――
「――助けてあげたい」
ポツリと、小さな声で呟く。五条は「なんか言った?」と聞き返すが、「ううん、気にしないで」と顔を背ける。
腹の奥底に溜まり続ける重たい本音を、夏油は静かに隠すのであった。
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見っつかんね~~~~~あん時の奴見っつかんね~~~~~~~~。
夏油傑を知るオカルトマニアの金髪男を探すべく望んでもいない心霊スポット巡りを行う俺であるが、後から気付いた。これすっげぇ無謀だ。
日付、時間、場所、この三つの奇跡が重なってようやっと金髪男と会えるわけであって、日本中にある大量の心霊スポットから一つ絞って「またあの金髪男と会えますよーに!」とか、運試し要素が強すぎる。
しかも行く度行く度変な化物が襲ってきて参っちゃうよな。まあ全部ギャラドスとゴルダックが片づけてくれるんだけどよ。あんなグロテスクでおっかねー見た目だけど俺らのポケモンたちには秒で倒されるもんだから、最早なんか儚さ感じ始めたよね。多分重症だコレ。
周辺で聞き込みとかもしてるんだけど、こっちもあんま上手くいってないんだよなぁ……。いや、惜しいとこまではいってんのよ? 渦巻ボタンの学生を見たっていう話はよく聞く。
……日本全国で。
マジで何なんだろうな、渦巻ボタンの高校やばない? 週に一回ぐらいの頻度で渦巻ボタンの高校生の話聞くんだけど。それも色んなところで。
金髪男は勿論のこと、白髪のイケメンとか塩顔のイケメンとか……まだ夏休みでもないし、流石におかしくないか? そういう部活? 日本中旅行する的な?
最近の教育制度はよくわからんわ、おじさん。あ、ここ過去か。
てかホントにどうしよ、ギャラドスのおかげで移動がクソ早いからもうちょいで全国の心霊スポット制覇できそうなんだよな。まだ二ヶ月ぐらいしか経ってないのに。もう一周するのはダルいから無し。
「……幅を広げてスピリチュアル系攻めてみるか?」
あの渦巻ボタンの高校生たち、長いから渦巻高校生でいいわ。んで、渦巻高校生たちの目撃証言があった場所的に、オカルト路線は合ってるっぽいんだよな。ただタイミングが合わないってだけで。
だから今度は宗教とか妖精とか…………あれ、妖精ってスピリチュアル入るかな? まあいいや、とりまそっち方面も確認してみようかなって感じ。
え、クソゲーに対してガチになりすぎ? うるせー俺の安眠がかかってんだ!! 意地でも夏油傑見つけて自堕落な生活ゲッツしてみせるのだ。
頑張れ!! 俺!!!