青の日   作:アンタンポン

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今日はシャル視点です。
明日の投稿が最終話となります。
セシリアと主人公くんのその後を軽く書いたので見てやってください。


シャルロット・デュノアの見る空

私は、人と違う生き方をしてきた。

 

フランスのIS第3世代筆頭軍事企業で、妾の子として生まれ、忌み嫌われ育てられてきた。優しかった母はすでにおらず、頼れるのは父だけだった。

 

父親に必要とされるためだけに、私は自分の心を閉ざして、ただ、強く、賢く、命令に従うだけの子どもになった。

 

3人目の男性IS操縦者として偽りの自分を作り、母のつけてくれた大好きな名前もシャルルと名を変え、男性IS操縦者と接点を作るために送りこまれた。

 

でも──。

 

彼に、出会ってしまった。

 

彼は、ただ呆然と現実を受け入れて生きている私に、「一緒にご飯を食べよう」と言った。「そんなもの、無視してしまえばいいよ」と言った。「君のことが好きな人は、ここにはいっぱいいるんだから」と言った。

 

それだけのことが、どうしようもなく、私には嬉しかった。

 

彼は、私に「無理しなくていいよ」と言った。

 

そんなふうに言われたのは、きっと、初めてだった。

 

***

 

ある日、私は屋上で、セシリアさんと彼が二人で並んでいるのを見た。

 

屋上のフェンス越しに、二人は静かに話していた。

 

彼は、彼女の言葉を、一つ一つ、大事に受け止めていた。

 

あの優しい顔。

私が、何度も、救われたあの笑顔。

 

でも、その笑顔は、私ではなく、彼女の方を向いていた。

 

──私には、分かっていた。

 

彼が誰を見て、誰を想って、誰を守りたいと思っているのか。

 

私は、その横で、ただ静かに立ち尽くしていた。

動かなかったのだ。いや、動けなかったのかもしれない。

 

彼は、私にとって「初めて欲しかった人」だったのに。

 

***

 

「……シャル?」

 

彼が、私に気づいて、声をかけた。

 

私は、少しだけ驚いたふりをして、笑ってみせた。

 

「ううん、別に。通りかかっただけだよ」

 

「そっか。じゃあ、またね」

 

「……うん、またね」

 

彼は、少しだけ名残惜しそうに、でもすぐにセシリアさんの方へ向き直った。

 

私のことを、大事な友達だと思ってくれているのは、ちゃんと分かっている。

 

だからこそ、何も言えなかった。

 

──ねえ。私ね、少しだけ、ずるいこと考えたんだよ。

 

もし、あの日、貴方に会ったのが私だったら。

 

もし、貴方がその青い薔薇のブローチを渡した相手が、私だったら。

 

そんなこと、考えたって仕方がないのに。

 

だけど、私は、今日も貴方の背中を見ている。

 

手を伸ばせば、きっと届く距離なのに。

 

たぶん私は、貴方の「特別」には、なれない。

 

でも、貴方の隣で、同じ空を見るくらいなら──。

 

──それで、私は十分だよ。

 

私は今日も、貴方と同じ青い空を見上げている。

 

貴方がくれた優しさを、少しだけ心にしまって。

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