鬼と呼ばれる少年と、家出をした少女が夜中に歩いていると、ネコが背後からついてきた。もちろん野生のネコだと思うが…
「ネコってこんなに人についてくるものだっけ?」
「いや…。犬とかならありえるかもしれないけど、ネコってそんなに人懐っこい感じはしないよね?」
「ボクは外に出たこと無いから質問されても困るなぁ。」
「でも、君言葉はとても上手に話しているし…。」
それは事実だ。少年はこれまで小屋の中でまともに話した事など無いが、ここまで言葉を話せると自分でも正直言って気持悪い。しかし、そのおかげで今彼女と話すことができるのだ。
「ついてくるネコはいいとして、どの辺の村に向うの?」
「えっと…たしか、ずっと奥にある橋を渡って更に5里くらい進んだ先に小さい村があるはずだよ?」
さすが。と言葉に出さずに少年は考えて、ふたたび後ろについてくるネコを見た。よく見ると、ネコには所々に血がついていた。
「ねぇ…。あのネコ怪我して無い?」
少女は後ろのネコを見て、驚いた。
「あ!!大変だ!! かわいそうに…。」
「とりあえず血がついているとあれだから、そこにある水で洗おう。」
これが正しい判断かどうかはよく分からないが、とにかく血だけは洗いたかった。その理由は自分以外から流れる血は、どうも苦手だからだ。
少女はネコを抱えて水辺に連れて行く。ネコは抵抗する体力が無いのか、嫌がるそぶりもしないで抱えられていた。
二人で手の平を利用して水をすくい、血のついている部分に水をかけて毛を洗った。 洗っている途中で出血している部分を発見したので、洗い終わったら傷に薬草をつけておく。
作業が終了して、ネコを放すとネコは橋のある方向へものすごい速さで走っていった。
「ふふ。なにか用事でもあるのかな?」
「さぁ?とりあえずボク達も村を目指そう。」
そんなことをしている間に時間をくってしまったが、ようやく橋にたどりついた。
「さて、少し休憩しよう。」
少女はそういって橋の下にある薄い小さい石を持って横投げで水面に向って投げた。
パシャッ!パシャッパシャッ!パシャッ パシャ! ボチャン!!!
なんと石は水面で五回も跳ねた。
「おぉ~~」
少年は素直な感動を口にした。
すると少女は、同じく平たい石を少年に渡してきた。これは「君もやってみなよ。」と理解して、少年は先ほど観た少女と同じように石を水面にむかって投げた。
パシャッ!パシャパシャ!! ボチャン!!!
三回はねた。
「あれ?」
少女よりも跳ねた回数が少なかった。
「クスクス。」
少女は少年を見て小さく笑った。
「なっ!!」
少年は心に火が付いて、その後も石を投げ続けた。
しかし何度やっても少女を超えることはできなかった。